ドッキリ男の恋―君はたった一つの星―   作:@星きらり

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3話 不思議な女

 

 え……と。

 

 僕は今、夢を見ているんでしょうか。

 それとも、たちの悪いドッキリで頭でも打って、たちの悪い異世界にでも飛ばされたんですかね?

 

 「おい童貞くん! もっと呑めよ~っ」

 

 この黒くて長い髪を引っ下げてるクールビューティーな女は悪魔か?

 

 「なんだ、もっと喋るおもしろい人かと思ってたけど、こんなにおとなしいぃんだ」

 

 この艶々した栗色カールを指でくるくるしている女は女狐か?

 

 「……」

 

 それにあのスマホばっかいじってるすっごーくつまんなそーな子猫ちゃんは本当にメス猫なんじゃないんだろおなぁーーー!!

 

 えーーーっっっ!?? 間宮あああああぁぁぁぁぁ!!!

 

 間宮を物凄い形相で睨みつけるが、一向に目が合わない。今ならこの目力だけで大魔王を倒せる気がする。でもあいつ絶対わざと目を合わせないようにしてる。

 

 するとクールビューティ矢田藍(やだあい)が、シャンパン片手に優海(うな)の肩に手を回して絡んできた。

 

 「あの落とし穴三十連発はもうお腹よじれるほど笑ったわー。あの時ちょっとへこんでてさ、一気に元気でたよ。で、あたしこいつ好きだわーって思って」

 「え……そうですか? それは……良かった」

 

 まさかのベタ褒めに、怒りがすっと引き、まんざらでもないはにかんだ笑顔を見せた。

 

 「ぷっ!」

 

 すると、藍は急に噴出してけらけら笑い出した。

 

 「ごめん、だめだ、だめだこりゃ笑っちゃう!顔見ただけで笑っちゃうよ~」

 

 そして一人で腹を抱えて笑い出すと、栗色カールの桂木真菜(かつらぎまな)も、子猫ちゃんも、つられたように笑い出した。

 

 「う……ウナちゃん、良かったわね、みんな喜んでくれてて……ね……」

 

 ばつの悪そうな顔をしながら、間宮が弱々しく消え入りそうな声でそう言った。

 

 「……」

 「ウナちゃん?」

 「……」

 「ウナ……」

 「……うっ……!」

 「!?」

 

 優海は急に腹を抱え、口を押さえた。

 

 「気持ち悪……いっ……」

 

 諸君、覚えておくんだ。大人の教科書20ページ目くらいにでてくるよ。

 これが、「「悪酔い」」の王道パターンだ。

 「「悪酔い」」ではね、時々あるんだよ。

 

 急な吐き気に襲われる事が。

 

 「キャーーーッッッ!!」

 

 リバース。

 

 はい、みんなドン引き。

 

 女子、驚いてから怒って速攻帰宅。

 

 さようなら。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 『好き、好きよ、ウナくん』

 

 『わっ! 君、そんな裸でなにしてんの!??』

 

 『わたし、あなたが好きなの。あなたと繋がれたいの』

 

 『好き? 僕を……?』

 

 『うん、……来て。こっちへ来て……』

 

 『でも……』

 

 『お願い! 来ないと泣いちゃう!』

 

 『え……。うん、俺も男だ!』

 

 裸でシーツに包まる女に向かって、走り出す。

 

 『うおおおぉぉぉ!!』

 

 ドス!!!

 

 あと1メールってとこで、穴に落ちた。

 

 穴!? こんなとこに穴!??

 

 テッテテー♪

 

 『まじかよ……』

 

 マイクを持った男が穴を覗いて、看板を出した。

 

 『童貞ドッキリ 大成功!!』

 

 童貞どっきりって……。

 

 こんなとこまで来なーーー!!!

 

 

 

 

 

 

 「う……」

 

 夢……。

 

 ぐわんぐわん回る脳味噌が、徐々に現実に戻っていった。

 

 気持ち悪い。

 あぁそういえば、夕べ……。

 

 「って、まだ夜なのか……。そういや一人で帰るって言い張って……」

 

 途中で急に倒れたような気がする。

 徐々に意識がはっきりしてくる。

 

 「……ん?」

 

 つんつん。

 

 「……んん?」

 

 つんつん。「あ、生きてた」

 

 「んあっ!??」

 

 見知らぬ声がして飛び起きた。しかも体を突つつく感触までしっかり感じたのだ。

 

 「な、何!? ドッキリ!?」

 「ドッキリ? なにそれ。美味しいの?」

 

 しゃがみ、きょとんとして首を傾げながら、こっちを見ている女がいる。

 今の台詞が本気のような顔でだ。そんなはずはないのに。

 

 「ちょ、その格好!どうしたんだ!?ボロボロだぞ、なんかあったのか!?」

 

 よく見ると、いやよく見ないでも、女の服はボロボロだった。黒いワンピースがあっちこっち破けて、土の汚れかわからないがとにかく汚れている。それに長い髪もボサボサだし、顔も土で黒く汚れていた。

 女は胸元の服を摘んで見ると、首を傾げてから、

 

 「そうかなぁ? へん?」

 

 と言った。

 

 「へん?って……」

 

 ちょっと変な子なのかな?……それとも障害のある子で迷子になってるとか……。だとしたら、警察に行かなきゃ。じゃなければ、ドッキリ……いや、まさか、こんな時間に。

 優海は腕時計を見た。

 午前二時。

 さすがにこの時間はないだろう。ならばやっぱり警察に……。

 

 「ちょっと待って、君は迷子の子なのかもしれない。一緒に交番に行ってあげるから。え……と、ここはどこなんだ……って!僕のアパートまであと一メートルじゃないか!こんなとこで寝てたのか……恥ずかしい」

 「交番?」

 「そうだよ、警察、おまわりさん、がいるところ。ちゃんと家に届けてくれるよ」

 「あっち家、帰れるよ。帰り道知ってる」

 

 自分の事、あっち、って読んでるのか。

 

 「え?そうなの?どこ?近く?」

 「ううん。お山。お山の上のほう」

 「や、山?そうかぁ」

 

 やっぱりそうだ。施設から抜け出して行方不明とか、そんなんかもしれない。

 その時、女がすくっと立った。

 

 「わわっ!! ちょ!!」

 「?」

 

 すると、ワンピースは大きく破れていて、右の胸とお腹が露になってしまったではないか。

 

 「ちょっとマズイマズイ!! その格好はマズイ!! ちょっと来て!!」

 

 優海は慌てて女の手を取ると、自分のアパートへ駆け込んだ。

 

 

 

 

 

 

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