アルコールがなかなか抜けない上に、酷い頭痛だ。
しかも眠れずにいた
問題のサチはお腹がいっぱいになったとたんに眠りについた。
どうするべきか、どうしたらいいのか。
警察に連れて行くべきか。 それとも……
ああああああ!!
いくら考えてもどうしたら良いのかわからない!
だってもし警察に届けたとして、本当に狼に育てられてた少女だったらどうする!?
あっという間にメディアの餌食にされ、全国に彼女が晒されることになるんだぞ!?それはあまりに残酷なことではないか。今時はネットにあげられて顔もしっかり載せられちゃうんだしそれで一生大変な思いをしたらどうする。そうなったら完璧僕のせいだ。僕が彼女の一生を汚してしまうんだ。あんなに純粋な彼女を。それだけは避けたい。でも……このまま僕が面倒を見るわけにはいかないし、かといって山に帰すわけにもいかんだろう。
頭をぐしゃぐしゃ掻き毟って、テーブルにガンガン頭をぶつけた。痛い。
……そうだ、誰かに相談を……。
間宮は絶対ダメ。こんなにカメラマン魂が疼くネタなんて一生ないほどのスクープだからな。
業界関係者は絶対だめだ。
かといって……かといって……。
僕には友達がいない。
僕のドッキリ人生で、信じられる人間は一人も現れなかった。
友達だと信じかけたことは三度あったよ、でも一人は勝手に僕の変顔写真をネット上にさらして、一人は僕の金で遊びまくった挙句にせびるようになって、一人は〝友達100人できるかなドッキリ〟のエキストラだった。
というわけで、僕には友達がいない。
人気者になったのは表面上だけ、学校生活においてはただただ笑われる(半分イジメだったんではないかと思う)だけだった……。
はあぁぁぁ……。
こんな一大事に相談できる友達の一人もいないっなんってっっっ。
持つべきものは友、ってよく言ったもんだよな……。
となれば―――。
姉貴の美乃理は……いやいや、絶対すぐ騒ぐに決まってる。ダメだ。絶対ダメだ。
口の堅い奴と言えば……妹の松子はどうだろう。あいつ意外と口止めすれば守れるデキる子だったよな(金で)。でも18歳、こんな重大な事の答えをあいつに出せるだろうか。
ちょっと待てよ、その前に、これがドッキリだったとしたらどうする―――?
一度確かめた方がいいんじゃないのか。
万が一昨日の出来事が、
というわけで、間宮に電話してみた。
「はーい」
「間宮?僕だけど、きの-」
「ちょっとあんた大丈夫!?昨日は大変だったわよ~!一人で帰るの一点張りで、んっもう強情なんだから!無事に辿り着けたの!?でも……ごめんなさいね。あたしが悪かったわ。好き、会ってみたい、って言うから連れて行ったのに。顔はまぁまぁいけるけど物静かで期待はずれだったとかなんとかってもうあの子達もほんっと我儘よね。あの後責任持って友達のダイナマイト爆子の店に連れてってなだめといたから――」
ブツッ。 ツー ツー ツー。
うん。
多分大丈夫だ。
ドッキリの線は薄い。
じゃあやっぱり、松子にするか。しょうがない。藁にもすがりたい思いだ。
***
「はあい」
「松子?お兄ちゃんだけど-」
「チッ」
チッ?
「なんの用?」
「あ、ああ。あのさ、ちょっと相談があるんだけど……」
「なに? 今登校中だから早くしてよねー」
「う、うん。今日、学校終わったらうち来れる?」
「えぇ??う~ん、めんどいなぁ」
「松子だけに、めちゃくちゃ重大な事を話したいから。これは、絶対誰にも言ってはいけない話だから、今の会話も絶対言うなよ。10でどうだ?お小遣い。おまえ新しいバック欲しいなって言ってたじゃないか」
「……20」
「よし!わかった。交渉成立な!待ってるから、頼んだぞ、くれぐれも内緒で!」
「わっかりましたぁ」
ブツッ ツー ツー ツー。
よし……相談できる。それだけで少し気持ちが軽くなったぞ。
あとは、寝よう。ベットはサチが使ってるし、僕はソファーの上で……。
ほんの少しの安心で、一気に眠気が襲ってきた。
携帯の目覚ましをセットしてから、ソファーの上に倒れこんだ。