東方亜人伝(凍結)   作:嵐川隼人

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予想以上に時間がかかってしまいました、ごめんなさい!


今日はレミリアとその師匠のキラ君の二人の弾幕ごっこになります。


それでは、どうぞ。


五話

 その翌朝、紅魔館の誰よりも早く起きた咲夜は、思いっきり部屋の窓を開けた。

 雲一つない晴天の空。朝を教えてくれる小鳥たちのさえずり。それらはまだ目覚めていない咲夜の脳を起こすのには十分だった。

 背筋を伸ばし、今日も一日頑張ろうと気合を入れた時、

 

 

咲「……………………………?」

 

 

 何かの音が咲夜の耳に入ってきた。耳を立ててみると、どうやら上の方、紅魔館の屋上から聞こえるようだ。

 侵入者の可能性があると感じた咲夜は、パジャマ姿のまま自前のナイフを持ち、静かに屋上へ向かった。

 屋上に近づくにつれ、その音は人の歌声のようだと分かった。屋上の扉に着いた咲夜は深呼吸し、ゆっくりと扉を開けた。そして扉の隙間から確認してみたところ、

 

 

咲「あれは……………蓮?」

 

 

 そこには体を大きく動かしながら歌う蓮の姿が見えた。どうやら彼の歌声らしい。

 侵入者ではないと安心した咲夜はナイフをしまい、屋上で歌う彼の声を静かに聞いた。

 

 

咲「…………………綺麗」

 

 

 それだけ、否、()()()()言葉が出なかった。

 男性的な声とも、女性的な声ともとれる、中性的で優しさのある素直な歌声。今まで聞いたことのないその綺麗な声に、咲夜は魅了された。

 彼がプロの歌手であることは覚えていたが、彼の歌は咲夜の想像を遥かに超えていた。

 しばらくして、歌い終わったのか満足気な顔をした蓮に、咲夜は拍手しながら近づいた。

 

 

咲「あんな綺麗な歌声、初めて聞いた。凄いじゃない」

 

蓮「咲夜…………いつからそこにいたの?」

 

咲「ついさっき。起きてすぐ窓を開けたらあなたの声が聞こえてね、気になって来てみたのよ」

 

蓮「そっか」

 

 

 途端、二人の腹の虫が鳴る。お互いのちょっと間抜けな音に思わず笑いあう。

 

 

蓮「ハハハ、今同時になったね」

 

咲「そうね、フフッ。それじゃあ朝食の準備しましょうか。私は一回部屋に戻って着替えてくるから、先に厨房に行ってて」

 

蓮「わかった」

 

 

 そう言って咲夜は自室に戻り、いつものメイド服に着替えた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 朝食後、蓮と咲夜はレミリアに呼ばれ、紅魔館の大広間に来ていた。

 

 

レ「改めて自己紹介よ。私はレミリア・スカーレット。この紅魔館の主よ。今日からあなたはここで執事として働くことになるのだけど……………まぁ上下関係とかはあまり気にせず、気楽に話してくれると嬉しいわ」

 

蓮「あ、はい。よろしくお願いします……………じゃなくて、よろしく?」

 

レ「無理にする必要はないわ。話しやすいように話して。さて………早速仕事をして、と言いたいところなのだけど、その前に言い忘れていたことがあってね。蓮は、“弾幕ごっこ”って知ってるかしら?」

 

蓮「弾幕ごっこ?いや、知らない」

 

レ「“弾幕ごっこ”というのは、この世界………幻想郷における決闘ルールよ」

 

蓮「へぇ。それで、その弾幕ごっこって一体どんなの?」

 

レ「そうね……………説明するより実際に見たほうがいいわね。キラさん、相手してもらってもいいですか?」

 

 

 天井を見上げてこの場にいない人物の名を呼ぶレミリア。どういうことかと疑問に思った二人が見上げると、天井に誰かがぶら下がっているのが見えた。おそらくキラだ。キラはそこから勢いよく落下し、床にぶつかる寸前で綺麗な着地を決めた。

 

 

キ「いいよ。チュートリアルみたいなものだし、スペルカードは一枚でいいかな?」

 

レ「それでお願いします。それじゃあ二人は離れてて」

 

 

 そうしてキラとレミリアが向かい合う。その二人から蓮と咲夜は距離を取った。

 

 

レ「それじゃいきますよ!」

 

 

 開始の合図をしたのと同時にレミリアはキラに向けて真っ赤なエネルギーの弾を大量に放った。その弾幕をキラは迷うことなく華麗に避け、同じく青いレーザーをレミリアに放った。

 開始早々、蓮はその弾幕の打ち合いに圧倒された。

 しばらくすると、レミリアは懐から弾幕の絵柄が入ったカードを取り出した。

 

 

レ「スペル発動、『スカーレットシュート』!」

 

 

 何かを宣言した直後、レミリアが放ったのは先ほどの弾幕とは比にならないほどの大量の弾幕だ。しかもそれはただの弾幕ではなく、少し規則性のある弾幕だった。

 これが弾幕ごっこの一番の特徴、スペルカードである。スペルカードは通常の弾幕とは異なり、弾幕の量が凄まじく、美しく、規則性があるのが特徴だ。

 レミリアから放たれる尋常じゃないスペルカードの弾幕がキラに迫り、当たる直前、

 

 

キ「まだまだ遅いね」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 これには蓮だけではなく、咲夜も驚いた。更に二人を驚かせたのは、()()()()()()()()()()()()()()()

 それを見たレミリアは自分の師匠の恐ろしさを改めて感じた。

 スペルカードの効果が切れたのを確認したキラはレミリアに振り向いた。

 

 

レ「さすがは私の師匠ですね。当たる気がしませんよ」

 

キ「それはどうも。さて、ではこちらも行かせてもらうよ。スペル発動『グングニルレインズ』」

 

 

 次はキラがカードを取り出し、宣言する。するとレミリアの頭上に魔法陣が展開され、槍の形をした弾幕が雨のように降り注いだ。速度はそこまでなく、まるで『当てる気は全くありません』ともとれる簡単な弾幕に見えた。

 弾幕をたやすく避け、一気にキラに近づく。勝てる、と彼女は一瞬だけ思った。

 それが、彼女に大きな隙を与えてしまった。

 

 

キ「知ってる、レミリア?雨ってさ……………()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

レ「⁈しまっ……………」

 

 

 キラが放った槍は床に当たり、それと同時に大量の弾幕をまき散らした。大きなものから小さいものまで、大きさがバラバラのエネルギー玉が四方八方に飛び、レミリアに迫った。完全に油断していたレミリアはそれに対応することができず、被弾してしまった。

 それによりレミリアの負けが決定し、二人の弾幕ごっこは終わった。被弾してしまったレミリアは残念そうな顔をしながら床に降りてきた。

 

 

レ「あーあ、今度こそ勝てると思ったのですけどねー」

 

キ「まだまだ、ってことさ」

 

レ「というか師匠、弾幕ごっこになれるの早すぎますよね?説明したの、()()()ですよ!」

 

キ「それだけレミリアの説明が上手だったってことさ。それに、()()()が相手してくれたんだ。上達しないほうがおかしいでしょ?」

 

レ「だとしてもです!」

 

キ「まぁまぁ、次があるさ。今日の失敗を糧に、頑張りたまえ(なでなで)」

 

レ「子供みたくなでるな!」

 

蓮・咲『……………何、この親子喧嘩』

 

 

 喧嘩する二人(といっても、ただレミリアが一方的に言っているのをキラがなだめているだけだが)を見て、蓮と咲夜は思わずツッコミを入れた。すると同時に、咲夜は何か不思議な感覚を感じた。

 

 

咲「(……………?何だろう、この感覚…………まるで、過去にもこんなことがあったような………)」

 

 

 咲夜が感じたのは、世に言う既視感という感覚だ。

 実は彼女、十六夜咲夜は、過去の記憶………特に幼少期の記憶をはっきりと憶えていない。そのため、自分の生年月日、家族、更には自分の()()()()()でさえ知らない。現在ある名前は、レミリアが初めて彼女と出会った日が満月の翌日、すなわち十六夜の月で、昨夜ならもっときれいな月の夜に出会えたのにということから、昨夜を咲夜ともじりつけられた名前であり、実名ではない。尤も、自分に名前があったのかさえも憶えていないが。

 

 

蓮「………や……………くや…………咲夜!」

 

咲「っ⁈な、何?」

 

蓮「どうしたの?何か考え込んでたみたいだけど」

 

咲「だ、大丈夫!ただちょっとボーっとしてただけだから」

 

蓮「ふーん…………あ、喧嘩終わったみたい。行こうか」

 

咲「え、えぇ、そうしましょう」

 

 

 ちょうどレミリアとキラの親子喧嘩?が終わったらしく、蓮と一緒に咲夜は二人の所へ向かった。その光景にも、咲夜はまた既視感を覚えた。しかし考えても仕方がないと思い、あまり気にしないようにした。

 

 

キ「いやー、ごめんごめん。待たせちゃったかな?」

 

蓮「僕は大丈夫。そっちはもう済んだの?」

 

キ「まあね。レミリアがこうやって色々言ってくるのはもう慣れたし」

 

レ「ちょっとキラさん⁈それじゃまるで私がいつもキラさんに文句言ってるみたいじゃないですか!」

 

キ「事実じゃん。まぁ、それは置いといて、だ。弾幕ごっこを見た感想は?」

 

蓮「えっと、とりあえず綺麗だった。それと、楽しそうだった」

 

キ「そう思ってくれたのなら幸いだね。弾幕ごっこは何より、綺麗かつ楽しいゲームなんだから。それじゃ今から詳しい説明をするから、ホワイトボードとペンを……………」

 

 

 と、キラが説明を始めようとしたその時、大広間の扉が勢いよく開き、アスナが飛び込んできた。

 

 

レ「どうしたのアスナ、そんなに慌てて?」

 

ア「ぜぇ……………ぜぇ……………お、お嬢様どギラざま宛にぞくだづでございまず……………」

 

 

 急ぎすぎて息が切れかけているからか、ろれつがほとんど回っていない彼女は何とかその封筒をレミリアに渡す。書き手の名はR.G.となっていた。

 

 

レ「これは…………………レグルスさん?」

 

 

 早速中身を確認すると、一通の手紙が入っていた。二人は内容に目を通す。そして、青ざめた。

 

 

レ「“蓮のことを報告するため今すぐ二人で来い”…………………ですって。これ、完全に怒ってますよ」

 

キ「だよねー、じゃあ急がないと!あーっと、ごめん。急用ができちゃったみたいだ。弾幕ごっこについてはまた後で話すからさ、蓮君は咲夜ちゃんに幻想郷を案内してもらいなよ、うんそれが良い。本当は色々教えたかったけど、あいつ時間に厳しいから遅れると色々厄介なんだよね、ハハハ。んじゃそういうわけで二人ともよろしく、夜にはちゃんと帰ってくるから!」

 

 

 咲夜が質問する間もなく、風のように二人は大広間の窓から飛び出し、全速力でどこかに向かった。急な展開に蓮と咲夜はついていけず、途中から放心状態になっていた。

 数十秒後、やっと咲夜が口を開いた。

 

 

咲「…………………それじゃあまず、紅魔館の住人から紹介するわ。アスナもいいわね」

 

ア「あ……………はい」

 

蓮「……………うん、よろしく」

 

 

 

 

To Be continued...




はい、五話でした。

次回、多分紅魔館メンバー紹介編になります。
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