東方亜人伝(凍結)   作:嵐川隼人

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今更ながら、
蓮君の姿のイメージ:ボカロ(ですよね?)氷川キヨテルのライブバージョン時の姿で、コート無し。

それでは、どうぞ。

※今回かなり駄文になってる可能性があります。


六話

〜紅魔館・廊下〜

 

咲「なんか……凄かったわね、さっきの」

 

ア「はい………私もあんなに慌てるキラ様とレミリア様は初めて見ました………」

 

蓮「いつもはあんな感じじゃないんだよね?」

 

咲「え、えぇ。普段はもっと冷静で、慌てることはほとんどないのだけど………」

 

ア「それほど怖いのでしょうか………レグルス様の怒りは」

 

蓮「かもね………」

 

 

弾幕ごっこを教えようとしたキラとレミリアが、レグルスからの怒りの手紙を受け取り、青ざめた表情で飛び出して行った後、咲夜はアスナと共に、蓮に紅魔館を案内していた。

 

 

蓮「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕は棟谷蓮、今日からこの紅魔館で執事をすることになったんだ」

 

ア「あ、そうだったんですか。私はアスナと申します。これからよろしくお願いします」

 

咲「この子は私の一番信頼できる後輩で、今はメイド長代理を務めているの。だから関係でいえば、蓮の上司に当たるわね」

 

蓮「えっ、そうなの?」

 

ア「は、はい!あ、でも敬語とか気にしなくて構いませんから!」

 

蓮「そっか、わかったよ」

 

咲「さて、二人の自己紹介が済んだところで………着いたわ」

 

 

咲夜が立ち止まったのは、大広間の扉より一回り小さい紫色の扉の前。咲夜が扉を三回ほどノックすると、中から黒いワンピースのような服を着た赤髪の女性が現れた。

 

 

?「はいはーい。あっ、咲夜さん!それにアスナさんも!」

 

咲「こんにちわ、()()。パチュリー様はいらっしゃるかしら?」

 

?「はい、いらっしゃいますよ」

 

 

こぁ、と呼ばれる女性は、パチュリーという人物の元へと案内した。その際部屋に入った蓮は、目を丸くした。

部屋全てが、本と本棚で埋め尽くされていた。視認しただけでも1000冊以上はある。

 

 

?「ところで咲夜さん、そちらの黒い翼を生やした方は?」

 

咲「今日から執事になる新人よ。名前は………」

 

?「あれ?ちょっと待ってください。そのお顔………もしかして、棟谷蓮様ですか⁈二ヶ月ほど前から行方不明になったとされる、亜人種序列180位の堕天使の!」

 

蓮「う、うん。そうだよ」

 

?「職業は作詞作曲も手がけるプロのシンガーソングライターで、ファンクラブ会員数5万人以上!音楽を知る者の間では知らないものはいないとされる、あの超超超有名人、棟谷蓮様ですか!」

 

咲「こぁ……………貴方、彼を知ってるの?」

 

?「当たり前ですよ!だってほら!」

 

 

蓮の名前を聞いた瞬間テンションが上がり始めた彼女は、服のポケットから何かを取り出し3人に見せた。何かのカードのようだ。アスナがそれを読み上げる。

 

 

ア「『棟谷蓮ファンクラブ・会員No.00007・会員名:小悪魔(こぁ)』……………って、これファンクラブカードじゃないですか!しかも一桁⁈」

 

蓮「なるほど……………君は僕のファン、ってことなんだね」

 

小「はい!キャーー、どうしよう!まさかあの棟谷蓮様にこんなところで会えるなんて!あ、あの、サインもらえませんか!それが無理ならせめて握手だけでも!いや、それよりも行方不明になってから大丈夫でしたか?お怪我はありませんでしたか?蓮様が姿を消されてからの毎日がとてもとても心配で!」

 

?「うるさいわね、こぁ」

 

 

凄い勢いで話すこぁの後ろから、新たな人影が現れる。長い紫髪の先を赤と青のリボンでまとめ、薄紫色のゆったりとしたパジャマのような服を着ている。ドアキャップのような薄紫の帽子に三日月のような飾りをつけている。

 

 

?「ここは図書館、静かにする場所よ。司書でもある貴方が大声出してどうするの」

 

小「も、申し訳ありませんでした、パチュリー様」

 

パ「全く………それで、貴方が棟谷蓮?」

 

蓮「あ、はい。僕のことを知っているのですか?」

 

パ「ある程度はレミィ………あぁ、レミィというのはレミリアのことね。彼女から聞いてるわ。それに、さっきこぁが大声で名前を呼んでいたし、いやでもわかるわ」

 

小「うっ…………」

 

パ「………まぁ、この話はこれぐらいにして。私はパチュリー・ノーレッジ。パチュリーでいいわ。このヴワル図書館の管理人をしている魔法使いよ」

 

蓮「魔法使い?ということは人間?」

 

パ「元々はね。今は魔法で特殊な身体になってるから、一応亜人。といっても、寿命が長くなったのと食事を必要としなくなった、ぐらいしか違いはないけど」

 

蓮「そうなんですか」

 

パ「えぇ。ところで、レミィとキラは?」

 

ア「お二人は先程、レグルス様から召集の手紙を受け取った後、風のように何処かへ行ってしまわれました。何でも、レグルス様がお怒りだと思われたらしくて」

 

パ「………成る程ね。あのレグルスが怒っているのなら、急ぐのは当然かしら」

 

咲「パチュリー様は、お嬢様方がお急ぎになられた理由が分かるのですか?」

 

パ「えぇ。ていうか、咲夜はキラから説明を受けなかった?」

 

咲「えーっと、はい」

 

パ「あ、そう。まぁ、いいわ。そのうち分かると思うし」

 

咲「そのうち………ですか………」

 

パ「えぇ、そのうちね……………それにしても」

 

 

パチュリーは何か不思議なものを見るような目で蓮の周りをぐるぐると回り始めた。特に彼の翼に興味があるらしく、(つつ)いたり広げたりなどした。

 

 

パ「へぇ、堕天使の翼って黒いのねぇ。堕天使といえば白色で片翼が無いのが一般的だと思ってたのだけど。これが普通でいいのかしら?」

 

蓮「まぁ、そうだね。もちろん片翼が無い堕天使も一応いるけど」

 

パ「ふーん。片翼が無い堕天使と、黒い翼の堕天使にはどういう違いがあるの?」

 

蓮「えっと。まず片翼が無い堕天使だけど、これは大罪の証、つまり天使の掟を破ったものに与えられる罰を示しているんだ。大罪には色々あるんだけど、一番わかりやすいのは人間の殺害だね。天使は人間を厄災から守護するのが主な役目。だから、その守るべき対象を傷つけるのは絶対に駄目なんだ。ちなみに僕達天使族の翼は神の名を持つもの以外消し去ることもできないから、先の戦いで失くした、なんてことはない」

 

パ「つまり、片翼が無い=大罪人だとすぐに見分けがつく訳ね」

 

蓮「そうだよ。次に黒い翼の堕天使についてだけど、これは天使の任を解くための試練に合格した者に見られる、自由の証なんだ」

 

パ「自由の証?」

 

蓮「そう。試練というのは、天使として生を受けたもの全員に課せられるもので、この黒い翼はその試験に合格し、天使としての任を解かれ自由に行動することができることを示すんだ。だから、この黒い翼は、天使族の憧れでもあるんだ」

 

 

蓮の説明に納得するパチュリー。すると、その場で手を挙げる者がいた。意外にも、アスナだった。アスナは蓮に質問する。

 

 

ア「あの、あの!蓮さんの説明によれば、蓮さんのような堕天使はいい人なんですよね?なのに、なぜ大罪を犯した天使も同じように“堕天使”と言われるのですか?」

 

蓮「『地上に“堕”ちた“天使”』と表現されるからだよ。片翼が無い大罪人の天使はその罪を償わせるために地上に堕とされる。同時に黒い翼を持つ優秀な天使は自ら地上に堕ちる。こういう理由で僕のような天使も堕天使と言われるんだ」

 

ア「そ、そうなんですか。なんか、強引ですね」

 

蓮「まぁ、そこは暗黙の了解ってことで」

 

ア「あ、はい」

 

 

まだ納得したわけではないようだが、それ以上アスナは質問をしなかった。そしてそろそろ違う場所に行こうとした時、パチュリーが彼に話しかけた。

 

 

パ「そういえば貴方、弾幕ごっこは知ってるかしら?」

 

蓮「はい、先程キラさんとレミリアさんがしていたのを見ました」

 

パ「見た、てことは、実際にはまだしたことはないってことね」

 

蓮「そうなりますね」

 

パ「ふーん。だったら、今ここで()と一回やってみたらどうかしら?」

 

咲「えっ⁈パチュリー様が⁈」

 

 

まさか自分から弾幕ごっこしたいと言うとは思わなかった咲夜はびっくりして目を丸くした。

実はパチュリーはとても病弱で体力がなく、あまり激しい運動は好まない。そのため、弾幕ごっこをすることが滅多にない。なのに今回、蓮に自分から弾幕ごっこをしようと持ちかけたことに、咲夜は驚きを隠せなかった。

 

 

小「へぇ、いつもは図書館で弾幕ごっこしないひ弱なパチュリー様が珍しい」

 

パ「一言多いわよ、こぁ。………まぁ、いいわ。それで、どうかしら?」

 

蓮「僕は、構いませんよ。ですが、どうして?」

 

パ「堕天使である貴方の動きを観察したいってのも理由なんだけどね。実はレミィから貴方の相手をするように頼まれたのよ」

 

蓮「なるほど………分かりました」

 

パ「それじゃ、早速………と、言いたいところだけど、貴方スペルカード作ってないわよね?時間あげるから、最低でも二枚作って。咲夜も手伝ってあげて」

 

咲「分かりました」

 

蓮「すぐ作ってきます」

 

蓮は近くにあったテーブルに座り、咲夜と一緒にスペルカードの作成に取り掛かった。その様子を見ながら、パチュリーはいつのまにか小悪魔が持ってきていた紅茶を飲んだ。

 

To be continued…




以上六話でした。

次回、パチュリーと蓮君の弾幕ごっこです。一体どちらが勝つのでしょうか。

ではまた。

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