東方亜人伝(凍結)   作:嵐川隼人

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遅くなって申し訳ございません!

予告通り、パチュリー戦です。

それでは、どうぞ。



七話

咲「さてと………蓮はどんな戦い方をするのかしら」

 

 

 パチュリーが蓮に弾幕ごっこを申し込んでから約30分後、彼のスペルカード作成を手伝った咲夜は近くの椅子に座り二人の戦闘が始まるのを待っていた。ちなみにアスナはある二人を呼びに図書館を出ている。

 

 

咲「………………それにしても」

 

 

 咲夜は蓮にスペルカードの作り方を教えた際感じた既視感に再び疑問を抱いた。

 咲夜が蓮と初めて会話したのは昨日だ。しかし、少しぐらいは感じるはずのぎこちなさを彼女は感じたことがない。むしろ、懐かしい友達と会話をしているような気楽な気分になる。一体何故───

 

 

ア「───お待たせしました、咲夜メイド長!」

 

 

 突然後ろから声をかけられる。振り向くとアスナが、二人ほどの女性を連れて来ていた。片方は背が高く、緑色のチャイナドレスを思わせる服を着た赤髪の女性。もう片方はレミリアにとても似ている、背中から七色の水晶を垂らした枝状の翼を生やした金髪の少女だ。

 

 

ア「美鈴さんとフランお嬢様をお呼びいたしました」

 

美「お疲れ様です、咲夜さん」

 

咲「お疲れ様、美玲」

 

フ「ねぇねぇ、咲夜!弾幕ごっこはいつ始まるの?」

 

咲「もうすぐですよ、妹様」

 

 

 また時間があるときに考えよう………そう思いながら、咲夜はパチュリーと蓮が立っている場所を見た。

 

ーーーーーーーーーーー

 

パ「準備はいいかしら?」

 

蓮「いつでも………と言いたいけど一つ確認。弾幕ごっこの勝敗条件は?」

 

パ「相手を再起不能にすれば勝ち。されたら負け。簡単でしょ?」

 

蓮「スペルカードの枚数は?」

 

パ「制限なしで行きましょ」

 

蓮「なるほど……わかった」

 

パ「それじゃ、始めましょうか」

 

 

 パチュリーは浮遊魔法を唱え飛ぶ準備をする。蓮は翼を大きく広げ、いつでも飛べる構えになっていた。

 

 

パ「(亜人種序列180位、堕天使・棟谷蓮………弾幕ごっこを知らないとはいえ、油断はできない)そちらからどうぞ」

 

蓮「それじゃ、早速!スペルカード『レインズジャベリン』!」

 

 

 初手でいきなりスペルカード宣言をした蓮。すると彼の姿が消える。

 突然のことにパチュリーは驚き、辺りを見渡した。すると上空から気配を感じた彼女が上を向くと、そこには自分の身長の約3倍はあるだろう、青い光に包まれた長い槍を持つ蓮がいた。蓮はその槍を両手でクルクルと回し始め、パチュリーに向けた。

 次の瞬間、その槍から無数の青いレーザーと小さな槍状の赤い弾幕が放たれ、パチュリーに降り注いだ。

 当たる直前でなんとか回避した彼女は、転移魔法を使って彼の背後に回った。

 

 

パ「危なかった…………初手にしては凄いスペルカードね」

 

蓮「転移魔法か……………それは予想してなかった」

 

パ「伊達に魔法使いやってないわ」

 

 

 とはいえ、真上を取られるとは思ってなかったパチュリーも彼の動きには驚いた。そして焦った。

 いきなり相手の上を取るなんてこと。レミリアでもしたことがない。

 

 

パ「それにしても、いきなり相手の上をとってスペルカードを発動するなんて」

 

蓮「最初は不意打ちのつもりだったんだけどね。でも今のでわかったよ」

 

パ「あら、何がわかったのかしら?」

 

蓮「君の意表をつく攻撃は通用しないってことさ。お陰で、戦法が減った」

 

パ「へぇ、それはお気の毒様。お詫びに私から特大のスペルカードをくれてあげるわ。スペルカード『ロイヤルフレア』」

 

 

 パチュリーが懐から取り出したのは、スペルカード『ロイヤルフレア』。発動と同時に巨大な火の玉が生成される。小型の太陽と例えられるそれは、蓮に向かって突っ込んだ。

 

 

蓮「うぉっと!」

 

 

 またしても彼の姿が消える。そしてまた彼女は背後を取られる。

 突っ込んだ火の玉は本棚にかけられた魔法の結界により吸収され、最小限の爆風で収まった。

 再び二人が睨み合う。戦いは始まったばかりだ。

 

 

ーーーーーーー

 

フ「凄ーい!あの蓮って人、今消えたよね!」

 

 

 二人の弾幕ごっこを観戦するフランドールは興奮した。

 彼女の中には、かつて霧雨魔理沙と戦った時のような高揚感があった。

 そしてその高揚感は、咲夜にもあった。

 

 

咲「パチュリー様のロイヤルフレアを一瞬で避けるなんて、でも一体どうやって?彼も転移魔法を使ったのかしら?」

 

美「いえ、ただ移動しただけみたいです」

 

 

 咲夜の疑問に美鈴が答える。その場にいた全員が驚く。

 

 

ア「え、移動しただけなんですか⁈」

 

美「はい。パチュリー様の上をとった際、一瞬彼の翼がブレたように見えたんです。それで彼の翼をよく観察していたら、ロイヤルフレアを避ける際その翼を一瞬だけ広げて、一回だけ羽ばたいていたんです。あの速度は多分、文屋の鴉天狗の手前か同等くらいかと」

 

咲「それを見れたっていうの?」

 

美「伊達に咲夜さんのナイフを受けてませんから」

 

 

 どやぁ、と胸を張って言ってるが、そもそも咲夜のナイフを受けるのは職務怠慢によるものだということを自覚してほしいと咲夜は心で思った。けれど今回は口には出さないでおこう。彼の前であまりそういうことをして怒ることはしたくない。

 

 

咲「(彼の前で?)」

 

 

 やはりおかしい。

 ここ最近、彼のことを意識していることが明らかに多い。

 事の発端は、キラから棟谷蓮の名前を聞いた時からだ。

 あの時から妙に彼のことを気にしている。

 彼が怪我から復活した時も、何故か心から安心したような気分にもなった。お嬢様・妹様・パチュリー様・美鈴・こぁ・アスナを除き、自分以外の人物の心配をすることなど今まで一度もないのに。

 ではなぜ彼のことをここまで意識してしまうのか?もしや私は彼のことを好いているのか?

 しかしこの感覚が恋愛的なものかどうかと言われると違うように思える。

 彼が好きというわけではない。

 好きというより、懐かしいという感じだ。

 彼と初めて会ったのはつい最近、だというのにまるで10年以上会っていない古くからの友人に出会ったような、そんな気分になる。

 だが、自分の記憶の中には彼の存在は無い、つまり会ったことなどないはずなのだ。

 じゃあこの感情は一体なんだ?なんでこんなにも彼のことを……

 

 

美「咲夜さん?」

 

咲「っ⁈な、何かしら?」

 

美「いえ、もうすぐパチュリー様と蓮さんの弾幕ごっこに決着がつきそうなので伝えようと」

 

 

 はっとなって蓮とパチュリーを見ると、パチュリーがスペルカード『賢者の石』を発動して蓮を追い詰めていた。美鈴に詳しく聞いて見たところ、まず蓮がパチュリーの周りを高速で回りながら四方から弾幕を放った。そしてパチュリーは再び転移魔法を使って移動し、地上へ降りた。すると今度はパチュリーが攻撃を仕掛けるが、レミリア以上の圧倒的なスピードで避けられてしまう。しかし弾幕で徐々に彼を天井へと移動させていき、位置についたところでスペルカードを発動し、彼を弾幕の中に閉じ込めて今に至るという。

 とりあえず今はこの戦いを見よう、そう思った。

 

ーーーーーー

 

 

蓮「なるほど、これは所謂袋のネズミ状態ってやつだね」

 

パ「自分が危機的状況にあるって分かっているのに、随分余裕そうだこと」

 

蓮「冗談はよして。これでも結構焦ってるから」

 

 

 焦っているという言葉とは裏腹に、彼の表情からは落ち着きが見られる。

 さすがは序列180位と言ったところか、肝が据わっている。

 

 

パ「それで、どうするの?降参する?」

 

蓮「まさか。降参なんてしないよ」

 

パ「じゃあ、どうするの?」

 

蓮「そうだね………」

 

 

 前後左右上下全方向から弾幕が迫ってくる。

 避けることは集中すれば出来るが、それだと攻撃ができない。

 かといって攻撃しに行ったら、それこそパチュリーの思うつぼだ。

 

 正直に言って、蓮はパチュリーのことを少し甘く見ていた。

 魔法で自分の寿命を延ばせる魔法使いはそうそういない。だからこそ彼女がどれほど凄い魔法使いなのか理解していたつもりだったが………

 

 

蓮「(これはもう魔法使いってレベルじゃない………賢者、いや大賢者かそれ以上の実力!)」

 

 

 彼女が操作している四つの結晶。それらは全て“賢者の石”と呼ばれている魔法の石。

 上級の魔法使いでさえ一つを操るのがやっとともいわれているその石を、彼女は四つも同時に、それも正確に操作している。その時点で体内に保有する魔力・魔法の扱い方は桁違いだと理解できる。それでいて、尚疲れたような表情を見せないのは、もはや驚きを通り越して尊敬に値する。

 

 

蓮「(魔法だけの戦いだったら、今の僕は確実に負けていた)」

 

 

 弾幕ごっこで良かったと、蓮は安心する。

 いくら180位だからとはいえ、魔法が得意という訳ではない。簡単に言えば上の下ぐらいの実力。それに対し彼女は最上級。蓮が今まで見てきた魔法使いの中で、特に群を抜いて天才的だ。

 

 

蓮「(これはあくまで模擬戦のようなもの、負けたところで何ということは無い………けど)」

 

 

 椅子に座っている咲夜に目線を向ける。

 実は咲夜が感じている感情は、蓮も感じていた。

 彼もまた、咲夜を古い友人のように思っていた。

 

 

蓮「(何でかわからないけど、彼女の前で負けるのは嫌だな…………よし)スペルカード発動『ストライク・ランサー』」

 

 

 懐から一枚のスペルカードを取り出し、発動する。

 すると右手に持っていた光の槍が、持ち手の長いスピア状から矛先が長いランス状に変化し、さらにその矛先が凄まじく巨大化した。

 

 

パ「あら、大きな槍ね。でも、それをどうするのかしら?」

 

蓮「勿論…………こうするんだよっ!」

 

 

 槍先をパチュリーに向ける。そして大きく翼をはばたかせ、彼女に突進した。

 

 

パ「………………え?」

 

 

 まさかの力技に、パチュリーは一瞬困惑する。

 その一瞬の隙を、蓮は見逃さなかった。

 文字通り、蓮はパチュリーに突っ込んだ。

 凄まじい爆発が発生する。

 その爆風に、咲夜たちは吹き飛ばされそうになった。

 

 

ア「な、何ですかこれーーーーーーー!!!」

 

美「いきなり突っ込むなんて、どんなごり押し技ですか!」

 

咲「っ……………」

 

 

 長引くと思った戦闘は、ごり押しであっけなく終了した。

 

To be continued…




以上7話でした。

もう無理矢理終わらせました感が半端ない文章になってしまいました。

とりあえず投稿してスランプを脱出したかったんや………

『レインズジャベリン』
…雨のように槍を降らせる。ダンボール戦記の『グロリアスレイ』をモデルにしました。

『ストライク・ランサー』
…巨大なランスで突進する。ダンボール戦記の『グングニル』をモデルにしました。
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