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第1話
ふと思うことがある。私は一体何のために生きているのだろうかと。
「マスター!」
私は、私の生きる意味を探したい。
今こうして生きている中で、唯一無二である私の存在理由を叫びたい。
「マスタァ!」
様々な物を見て、触れ、受け入れたい。
時には相手の中に踏み入るのもいいかもしれない。
「マースタァ!」
私は知りたいのだ、私の「聞いてるでござるかマスター!!」
「五月蝿いわね、せっかくアンニュイに現実逃避してるのに。
口を動かす暇があったら足を動かしなさい、エドワード。」
私の隣を走りながら叫ぶ大男、エドワード・ティーチに声を掛ける。
燃え盛る街の中、いったい何故、かの大海賊 黒髭が私の隣を走っているのか
何故私はマスターなどと呼ばれているのか。
そんなの私が聞きたいくらいだ。
目が覚めたら周りは炎燃ゆる廃墟都市、気が付けば自称・黒髭に介抱され
貴女は魔術師であり、この黒髭を召喚したマスターであると宣告される始末。
どうしてこうなったと頭を抱えたくなる。
「でも、ただ一つだけ確かなことは…」
「何でしょうかぁ!?」
目の前に積み上がる瓦礫を乗り越えるようにジャンプ。
存外高かったが、着地を綺麗に決めることができた。
そんな瓦礫をゴミのように蹴散らし、現れる追跡者。
「■■■■■■■■■■■■――――――!!!!」
それは、巨躯に見合うだけの声量をもって吠え、私たちを見据えた。
「こいつを何とかしないと死ぬってことよ、エドワード」
「ハッ、そいつぁ違いねぇ!」
私達は今、この巨人に追われている。
起き抜けに魔術師宣告をされた後、続けざまに行われたむさい髭の照れ顔サーヴァント宣言に唖然としていた時
不意に近くの屋敷からこいつが飛び出してきた。
それはもうハリウッドもビックリの大爆発と共にだ。
ちょっとばかり命の危険をバリバリ感じたのは言うまでもない。
二人で顔を合わせ、弾かれるようにして逃走を始めたのはもう30分も前の事である。
じりじりと距離を詰める黒い巨人。
理性の伴わない獰猛な顔、筋骨隆々の手に持つ巨大な石斧が、炎を反射しギラリと光る。
「ふふふ、怖いわエドワード、みっともなく失禁して死にそうよ」
「そういう割に随分余裕そうな顔してるんですよなぁ…」
「顔に出ないタイプなのかもね、私。…来るわよ」
「■■■■■―――!!!!」
巨人が石斧を私目がけて振るう。
奇跡的に動いた身体は、巨人から吹き飛ばされるようにして転がった。
「マスター!」
エドワードが私を持ち上げ、肩に引っかけるようにして走り始める。
気分はまるでお米様だ。
「ありがとうエドワード、あなたがいなかったら死んでたわ。感謝で涙が出ちゃいそう。
でも、少し距離を開けられたら降ろしてくれて結構よ。
私、重いでしょう?」
「デュフフ、何喰ってんだってくらい軽いですぞ。
拙者、もう少し肉付きが良い方が好みでござる故。」
「そう、あなたの好みは聞いてないのだけれど。まあ、参考にしておくわ」
エドワードは私をお米様抱っこの状態のまま、先程と遜色ない速度で走って見せる。
燃え盛る廃墟を縫うようにして走る。走る。走る。
もう結構な時間は逃走劇を繰り広げているわけなのだけれど
未だ追ってくる巨躯、飽きないのかしら、飽きないのでしょうね。
何故かは知らないけど、あの巨人は私たちを殺したくてたまらないみたい。
「ふふ、モテモテね、私たち。」
「やっぱり結構余裕でござるな!?」
エドワードに持ち上げられ、狙いが定まらないが
嫌がらせも含めて指先から魔力の弾を撃ち出してみる。
中々当たりにくいけれど、運良く当たった場所は抉れて苦悶の声をあげているし、この巨人は案外撃たれ弱いのかもしれない。
もっと身体を鍛えなさいな。
「マスター!この先崖がありますぞ!」
カーナビ、いやエドワードの声に
再びの現実逃避兼嫌がらせから意識を戻す。
「今何か失礼なことを考えなかったでござるか?」
「そんなことないわエドワード、あなたは素敵な
それより、崖だったわね、地割れの影響で出来たのかしら。
少し離れているけど、向こう岸もあるみたいだし、私がサポートしたら跳べるかしら?」
「合点!」
「素晴らしい返事ね、エドワード。そういうの好きよ」
『瞬間強化』
『ガンド』
エドワードからざっくり教わった魔術師のいろは、自身の身体に流れる魔術回路を探り、そこにエネルギーを流す。
この瞬間、エドワードと私はその身体機能を強化され、スペック以上の能力を行使できる。
それと同時に巨人へ最大出力の魔力弾を放つ。
それは吸い込まれるようにして巨人の心臓を貫き、活動を停止した瞬間の隙を狙って、エドワードは崖を跳躍した。
浮遊する感覚、だが不思議な安心感がある。
何も覚えていない私だが、エドワードになら任せても大丈夫だという確信にも似た感情がある。
「ライダー」
私が呼び
「何でござるかー!」
彼が返す。
「絶対に生きてやるわよ」
「当たり前ですぞ!
拙者!まだ見ぬ
「「アーッハッハッハッハ!!!」」
生死を前にしたやり取りに、二人で大笑いをしながら落ちていく。
こうして、せめてこの地獄から生き残れるとありがたいなーと思いつつ
私の生きる意味を探す、奇妙な冒険は始まるのであった、まる
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