至高の命題を求めて   作:きりしら

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書くときは気持ちが先行してしまうので、後から読み直した時に文章等書き加えていきたいと思います。

素直クールな評価感想をお待ちしております。


第2話

「追ってこないみたいでござるな…」

 

 

 

「そうみたいね、本当に死ぬかと思った。まだ心臓が跳ねてるわ」

 

 

 

数十メートルはあろう地割れの崖を飛び降り、エドワードが私を降ろす。

 

 

ごきげんよう皆様方。私よ。

 

 

前回は物語のヒロインのように、成り行きで王子様に抱えられながら跳んでみたのだけれど、どうだったかしら。

 

 

まあ私はヒロインでなければ王子様は変な口調のヒゲだし、残念ながらここは夢のある物語ではなく現実のようなのだけれど。

 

 

 

「揺られすぎて気持ちが悪いわ…」

 

 

 

「あれだけ走ればそうなるでしょうなぁ」

 

 

 

視界がぐるぐるして手足が震える。

 

開幕早々ゲロインの不名誉を受けるわけにはいかない。

 

かくなる上は溢れる女子力でカバーよ。

 

ファイト、私。

 

 

 

「では少し休んだら探索しましょうぞ。

さっき跳んだ時、遠くで戦闘してるのか矢が飛んでるのが見えましたしな」

 

 

「さすが海賊、目が良いのね。ごめんなさい、すぐに準備するわ」

 

 

「目と直感は海賊の必須スキルでござる故!」

 

 

ゆっくりと呼吸を整える

 

ヒッヒッフー…ヒッヒッフー…ヒッフー…

 

「それはラマーズ法でござる」

 

 

 

 

閑話休題(これでいいのよ)

 

 

 

 

「私、完全復活」

 

 

休憩を繰り返しつつエドワード(ナビ)についていきながら呼吸を整える事数分。

 

 

私はすっかり元気を取り戻すことに成功した。

 

 

両腕をあげてニュッと気伸び。肩口までの青い髪が揺れてキュートだ。さすが私。

 

 

 

「やんややんや。では進行再開!…と行きたいところですがー、あのごたごたのせいでまだ名前を聞いていなかったでござるな。拙者からいきますぞ、我こそは黒髭!真名をエドワード・ティーチというでござる!デュフフ、問おう、汝が拙者のマスターか?」

 

 

 

はぁ、まったくこのヒゲは。

 

 

身振り手振りを大仰に、エドワードは私に自己紹介をする。

 

 

私はため息を一つついて、エドワードへ語り掛けた。

 

 

 

「いい、エドワード。素敵な紳士の貴方に良いことを教えてあげる。女という生き物はね、多少ミステリアスな方が魅力的なのよ。おいそれと乙女のシークレットガーデンに踏み入るものではないわ。むやみに蹴散らすのではなく、一つ一つ摘み取るように知っていくことが大切なの。そうすることで当の本人も意識の外に置いていた秘密が掴めるという事もあるわ。それに、誰だって知らないことを聞かれたら期待に応えようとしてパニックになるでしょう?よく覚えておいて頂戴、今私たちに必要なのは、自己紹介ではなくて周囲の情報収集。そうは思わない?」

 

 

 

エドワードは私の言葉を聞くと、思案顔で黙り込む。

 

 

そして数分と経たずに口を開いた。

 

 

 

「つまりですな、マスターは記憶喪失という事でよろしいか?」

「うん」

 

 

駄目ね、一瞬で看破されたわ。

このあたりの洞察力も、さすがは海賊、といったものかしら

 

 

「冗長でござるなぁ!!前半部分ほとんどいらなかったですしおすし!」

 

 

エドワードは目を見開いてツッコミを入れる。

そんな怒らなくてもいいじゃない。

 

 

「人はパニックになると自分が何を喋ったか分からなくなるものなのよ」

 

 

「で、では聞くでござるが、もしやこれまで冗談や余裕そうに話していたのも、パニックになっていたから話していたからですかな…?」

 

 

 

エドワードは恐る恐るといった様子で私に質問する。

 

 

何を言うかと思ったら…

 

 

 

「それは素よ、聞き分けていって頂戴」

 

 

「めんどくせぇですぞこのマスター!!」

 

 

ウオォンと嘆くエドワードに、つい表情が緩む。

 

 

 

マスターとサーヴァント(主人と使い魔)なんて言うから、もっと固い方がそれっぽいかと思ったのだけれど、結構砕けた感じで接しても怒らないのね。

 

 

 

「からかってごめんなさいエドワード、じゃあ行きましょうか」

 

 

「………………」

 

 

ジッと私の顔を見て黙るエドワード

 

 

「なに?」

 

 

黙って見られるのはちょっと怖い、いったい何だというの

 

 

「いやなに、無表情も愛らしいでござるが、笑うと更に良いじゃねぇか、と思いましてな。」

 

 

「!?」

 

 

「デュフフ、では拙者は準備万端のため出発進行でござる!」

 

 

「ま、待ちなさいエドワード、1回でいいから叩かせなさい」

 

 

からかったことへの仕返しか、ふざけたこと言うエドワード。

 

 

急に駆け足になるエドワードを追うように、私も駆けだす。

 

 

さっき休憩したばかりだというのに、顔が熱い。

 

 

これはきっと周りの炎のせいだ。

 

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