皆様の応援のお蔭で、ランキング入りを果たしました。
ありがとうございます、感無量です。
感想返しの方でも書かせていただいたのですが、始まりと終わりの大筋はフワッとメモに残してあります。
アルコールパワーで3章までは書いてみたいです。戦闘シーンは勘弁してください(小声)
登場人物の喋り方には細心の注意を払いますが、提案という形でも、誤字報告機能や活動報告に書いてくださればと思います。
これからもよろしくお願いします
『―――――』
声が、聞こえる
『君は、弱者だ』
責めるような声色、誰かと話す声だ。
『身の程を弁え、その身の振り方を知るといい』
馴染みのあるようで、遠い声
『
この、声は
「ヴァレンシュタインさん、ヴァレンシュタインさん」
「ううん…ん、キリエライト?」
「はい、マシュ・キリエライトです。おはようございます」
名前を呼ばれて目が覚める。
いつのまにか寝ていたみたい。
嫌な夢だった。云い知れない不快感が私を襲っていた気がするわ。
「ええ、おはようキリエライト。それで、何故私は貴女に背負われているの?エドワードはどこかしら」
キリエライトに挨拶を返し尋ねる。
そうそう、おはよう皆さん。
ユーリアという名前の者よ。
まだしっくりこないのだけれど。
今はキリエライトに背負われて移動中のようね。
「拙者絶賛見回り中でござるー」
暢気な声が前方から聞こえる。
エドワードは周辺警戒の役割みたいね。
「すみません、うなされていたようなので起こしてしまいました。
ヴァレンシュタインさんは我々と合流後、20分程気を失われてました。現在この異変の中心部、クーフーリンさんの示す大聖杯へ向かっています」
キリエライトは申し訳なさそうに説明してくれる。
気を失っていたのね、緊張が解けたせいかしら。
「ありがとうキリエライト。
重かったでしょう。降ろしてくれて大丈夫よ」
「いえ、デミサーヴァントとなった為か筋力にも向上が確認されています。ヴァレンシュタインさんが羽毛のような軽さでした」
「お世辞が上手ねキリエライト。
見なさいエドワード、これが女性への気遣いというものよ」
「緊急時故仕方なかったんですぞー?、拙者普段女性に対してはもっとこう、優しく、綿菓子を扱うかのような…」
あの抱え方は忘れないのよ、とエドワードに付け足して妄言をカットする。
そのままキリエライトに降ろしてもらうと、ニュッと気伸び。
うん、ナイスキュートよ私。
「それで、元凶は分かっているのかしら」
何気なく問うと、隣を歩いていたらしいアニムスフィアが不機嫌そうに口を開いた。
「呑気に寝てたのに偉そうね…。クー・フーリンの情報から、相手は騎士王アーサー・ペンドラゴン。伝承の英雄が聖杯の力で強化されているらしいわ」
アーサー。騎士王アーサー・ペンドラゴン。
ブリテンの王、聖剣の担い手。英雄の中でも比較的有名な人物ね。
「正面から挑むしかない状況なのは最悪ね、地の利は向こうにあるのだし」
顎に指を当てて思案する。
この状況で相手の不意を突き、打ち勝つ方法は…
正面からの突破は絶望的、そんな重い雰囲気の中、エドワードが口を開いた。
「あー、一ついいでござるか?」
どこか気の抜けた様子で話す彼を、皆が注目する。
「発言を許可します」
「結局のところ、こうやって悩んでても仕方ないですし?
策を練っても状況に変化が見られないのであれば、正面突破でなるようになるのではないかと思ったりするのでござるが」
「すごい、脳筋だ」
皆が絶句する中、フジマルが声をあげる。
たしかにその案はちょっとどうなのかしら。
作戦会議は無意味だから力比べで何とかしようってことよね。
「ぐぐ…悔しいけれど、確かに地の利も力も向こうが有利。ではヴァレンシュタインたちは前衛。藤丸達は後衛として宝具で不意を打ちましょう」
採用するのね
この向こう見ず作戦を採用するのね。
もうちょっと考え直したほうが良いんじゃないかしら、もちろん私もエドワードと同じ案しか出せないけれど。
後衛のラッキーパンチに期待よ
「ええ、それでいいわ」
「分かりました、所長」
「さあ、決戦よ!」
私とフジマルが返事をすると、アニムスフィアは堂々と宣言した。
貴女は戦わないの、と言葉が出かけたが、彼女は司令塔。
非戦闘員として数える必要があるのだろう。
結論から言おう。
この行き当たりばったりな作戦は、前衛と後衛がチェンジになるなど、多少の変化はあったものの、恐ろしいほど事が上手く運んだ。
「卑王鉄槌。極光は反転する…光を呑め…!」
漆黒に染まる鎧と剣、反転した騎士王の名前はアルトリア・ペンドラゴン
聖杯の力により黒化し、より王者としての側面を見せる。
彼女が持つ聖剣は急激に漆黒を放ち、怨敵を排除する無双の一振りと化す。
「宝具!展開します…!」
対するは盾の少女、マシュ・キリエライト。
迫り来る漆黒に飲み込まれんと、自らの盾を解放し防御の姿勢を取る。
『
『
『
『
漆黒の剣から放たれた光と、盾より広がる意志の光が激突する。
先の爆風とも比肩する力の奔流。
細腕で盾を構え、華奢な脚で地面に食らいつく。
自分一人では耐えられるはずもない、そんな少女の肩に手が添えられた。
「頑張ってマシュ…!私も一緒に頑張るから!」
「はい…はい!マスター!うっく…あぁぁ!!」
無限とも感じられる時を越え、少女たちは己の意志を貫き通す。
その眼には、刹那だが守り抜く騎士の火が灯っていた。
『よく…!よくやった二人とも!所長!ユーリアちゃん!』
「えぇ!やりなさいクー・フーリン!」
「エドワード、あなたの射撃を見せてあげましょう」
「任せとけ!」
「任されて!」
クー・フーリンは空中にルーンを刻み、ティーチは愛用の銃を構える。
アルトリア・ペンドラゴンによる宝具発動直後の一瞬。
その一瞬の隙を突いた見事なまでの連携を見せた。
「何…!?ぐっ…!?」
先行してティーチが放った銃弾は、反転したアルトリアの脚部を貫通。
跪いたアルトリアに追撃するように、移動阻害のルーンが直撃する。
「クーフーリン!令呪を以て命じる。宝具を発動して!」
藤丸立香が令呪を切る。
サーヴァントへの命令権を魔力に変換し、より最適な形でクー・フーリンへと流れ込んだ。
「ありがとよマスター!とっておきをくれてやる!焼き尽くせ木々の巨人―――――!『
キャスターであるクー・フーリンを象徴する宝具、ウィッカーマン
燃え盛る木の巨人は巨体を動かしアルトリアの元までたどり着くと、彼女を胸部の檻へ叩き込み、木々の身を以て燃やし尽くした。
「気持ち悪いほどあっけないわね、何か裏があるんじゃないかと疑いたくなるわ」
筆舌に尽くしがたい戦闘ではあったけれど、戦闘の初心者集団とは思えない連携だったわね。
まだ終わらない、そんな不安が私の中を流れていた。