至高の命題を求めて   作:きりしら

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最近感想返しがとても楽しいです。きりしらです。

復刻ぐだイベお疲れ様でした。
昨年は完走できましたが、今回は半分程度でリタイアです。
イベントや仕事のせいで活動の時間が取れず、二次創作も遅筆になっています。

頭の中の文章や構成を正確に書き出すのは難しいですね。

酔っていれば尚更です。と責任逃れをしつつ、続きを投稿するのであった、まる


第8話

「いずれ貴方も知る。アイルランドの光の御子よ。

グランドオーダー――聖杯を巡る戦いはまだ始まったばかりだという事をな」

 

 

「オイ待て、それはどういう…おぉお!?やべえ、ここで強制帰還かよ!?

納得いかねえがしょうがねえ、あとは任せたぜ!藤丸!」

 

 

 

眩い光の粒子を散らし、この悪夢の元凶と思われるサーヴァント。

 

黒化したアルトリア・ペンドラゴンの消滅は確認された。

 

同じくこの聖杯戦争に参加していたクー・フーリンの消滅も確認し、あとは大聖杯に紛れていた水晶体の回収を行い、帰還を待つだけとなった小休止の時間。

 

 

突然その声は響いた

 

 

 

「いや、まさか君たちがここまでやるとはね。計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。48人目のマスター適性者」

 

 

 

外だというのにコツコツと靴の音が響く。

 

 

それほどまでに場は静まり返っていた。

 

 

 

「誰かしら、聞き覚えはある?エドワード」

 

 

「拙者が知るわけないでしょう、常識的に考えて」

 

 

 

この二人を除いて。

 

 

「まったく見込みのない子供だからと、善意で見逃してあげた私の失態だよ」

 

 

「レフ教授…?」

 

 

『レフ―――!?レフ教授だって?彼がそこにいるのかい!?』

 

 

コツ、と足を止めた男の姿を見て、驚愕したマシュとロマニの声が続く

 

 

 

「その声はロマニ君かな?君も生き残ってしまったのか。すぐに管制室に来てほしいと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね。まったく――――」

 

 

 

緑のシルクハットとスーツを着た男、レフ・ライノール。

 

彼は貼り付けたような笑顔から表情を一変させ、怒気の籠った顔で呟いた。

 

 

 

「どいつもこいつも統制のとれてないクズばかりで吐き気が止まらないな。人間というものはどうしてこう、定められた運命からズレたがるんだい?」

 

 

人を人とも思わない。といった様子であたりを見回すレフ。

 

すると、先の少女とサーヴァント。ユーリアとティーチに目を向けた。

 

 

 

「おや―――?君は、誰だ(・・)?」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

「君は、誰だ(・・)?」

 

 

 

(完全に私を見て言ってるわよね、あれ)

 

 

(そうだと思いますぞ、アレ、マスターのお知り合いだったりします?)

 

 

(違う、と思いたいわ。私の知り合いにあんな緑はいないわ、きっと)

 

 

(うーん、とりあえず名乗ってみては?ほら、ユーリア・ルフェ・なんとかって)

 

 

(そうね、ちょっと話してみようかしら)

 

 

 

「ユーリア・ルフェ・ヴァレンシュタインよ、緑の人。こっちはサーヴァントのエドワード」

 

 

 

「ヴァレンシュタイン―――?何故ここにいる、確かにあの時…」

 

 

 

思考に耽るレフ教授とやらを尻目に、隣のアニムスフィアたちに視線を送る。

 

 

 

先行して動いたのはキリエライトだった。

 

盾を構えてフジマルに下がるよう話す。

 

 

アニムスフィアは嬉々としてレフ教授とやらのもとへ駆け出すと、縋るような声で話をする。

 

 

 

 

カルデアの事。この街の事。帰れない事。すべてが予想外である事

 

 

「もう私は頭がどうにかなりそうだった!でもいいの、レフ。あなたがいれば何とかなるわよね?だって今までそうだったもの。今回だって私を助けてくれるんでしょう?」

 

 

 

そこにいたのはアニムスフィアの家名やカルデア所長としての責任に潰され、崩壊寸前の一人の少女だった。

 

 

 

「ああ、もちろんだとも。オルガ」

 

 

 

そんな少女に男は告げる。

 

 

男が設置した爆弾により、少女はすでに死んでいること。

 

 

肉体は四散し、残った残留思念が今の少女であること。

 

 

 

「おめでとうオルガ。君は死んだことで初めて、あれほど切望したレイシフト適性を手に入れたんだ」

 

 

「何……?何を言ってるのレフ…わ、わたしが、しんでる…?冗談…よね?レフ。嘘よ、レフ。わたし、そんな…」

 

 

 

アニムスフィアは崩れ落ち、ただ茫然とレフ・ライノールを見上げる。

 

 

 

「ああ、だがそれだと君があまりにも哀れだ。生涯をカルデアにささげた君に、せめて今のカルデアがどうなっているのか見せてあげよう」

 

 

 

レフの手元が歪み、太陽のように燃えるカルデアスを映す。

 

 

 

「さあ、よく見たまえアニムスフィアの末裔。あれが君たちの愚行の末路だ。」

 

 

「ああ、ああ…嘘よ、嘘だと言ってちょうだい…レフ…レフ…」

 

 

「……っ」

 

 

 

私は(・・)、躊躇いなくガンドをレフとやらに叩きこむ。

 

 

自分でも驚いたが、反射的に手が出た。

 

 

レフは顔を苦痛に歪め、憎々しげに私を睨みつける。

 

 

「ぐっ…!貴様…!良いだろう、オルガの夢を叶えるついで(・・・)に、君も連れて行ってあげよう」

 

 

 

ぐん、と身体が宙に浮く。

 

あの男に魔術的なサムシングで引っ張られているようだ。

 

 

 

「マスター!」

 

 

「そこにいなさい、エドワード。終わらせてくるわ」

 

 

 

心配そうに声をあげるエドワードに一声かけ、アニムスフィアと一緒にレフに近づいていく。

 

 

 

「人間が振れれば分子レベルで分解される地獄の具現―――。生きたまま無限の死を味わいたまえ!」

 

 

 

「ええ、あなたがね」

 

 

 

空間を歪め、現在の場所と別の場所を繋げる魔術。まったく勉強になるわ。

 

 

 

「なん…!?何だと…!?」

 

 

 

私は私とレフ教授の空間を歪め、居場所を入れ替える。

 

 

もちろん、彼が行った捕縛術は維持したまま、一切の身動きを許さない。

 

 

 

激しい頭痛に襲われながらも、私は彼ら(・・)を投げ捨て、カルデアスに向かって叩きつけた。

 

 

彼、ら?

 

 

「あっ」

 

 

 

「いや――――いや!嫌!助けて、誰か助けて!わた、わたし、こんなところで死にたくない!だってまだ褒められてない……!誰も、わたしを認めてくれてないじゃない……!」

 

 

 

「誰もわたしを評価してくれなかった!」

 

 

 

「みんなわたしを嫌っていた!」

 

 

 

「生まれてからずっと、ただの一度も、誰にも認めてもらえなかったのに――――!」

 

 

 

底から響く絶叫。

 

 

生涯誰にも目を向けられなかった少女の叫びが脳を揺らす。

 

 

 

 

 

何故私だけ転移した。あれだけ見栄を張っておきながら。

 

 

何故私だけ生き残った。何もない私よりも、アニムスフィアの方が生き残るべきだったのに。

 

 

だが、しかし、彼女は――――。

 

 

 

「もう、死んでいる、のよね」

 

 

 

カルデアスに繋がる空間は閉じた。

 

 

救えなかったことに悲観するフジマルの顔、何故助けなかったのかと責めるように見える、驚愕したキリエライトの顔。

 

沈黙がこの場を支配し、誰も口を開くことができない。

 

 

 

 

「いいや、まだだ。まだ終わりではない」

 

 

だが、その中にまた、あの男の声が聞こえた。

 

 

「なんですって―――?」

 

 

 

何食わぬ顔で現れるレフ。

 

先程カルデアスに叩きこんだ時とは打って変わり、落ち着いた様子で話しかける。

 

 

「やれやれ、肝を冷やした。まさかあれほどとは―――さて、改めて自己紹介をしよう。私はレフ・ライノール・フラウロス。貴様たち人類を処理するために遣わされた、2015年担当者だ。」

 

 

レフ、いいえ

フラウロスは、私にされたことを無視するかのように淡々と説明をする。

 

 

人理の焼却。

 

進化の行き止まりでもなく。異種族との交戦の果ての滅びでもなく。ただ彼らの王の寵愛を失ったために燃え尽きるのだと。

 

途中何発もガンドを撃ち込んだが、平気な顔をして避ける彼の眼には、ただ深い狂気だけが見えた。

 

 

 

「おっと。この特異点もそろそろ限界か。では、さらばだロマニ、マシュ、48人目の適性者、そして―――」

 

 

 

空が割れ、地が裂け、轟音の中で私にだけ聞こえるように放つ言葉。

 

 

 

 

 

 

運命(Fate)の少女よ」

 

 

 

 

崩れ行く景色の中で

 

 

私はその言葉の意味を知ることなく、意識を手放した。

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