至高の命題を求めて   作:きりしら

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新ぐだぐだイベントお疲れ様でした。
お久しぶりでございます。
12連勤と1日開けて7連勤、もれなく4時間の残業付き。
気力も使い果たして書けていませんでした。

それはそれとしてから次回から一章となります。目指せ、三章踏破。
主人公ちゃんと黒髭の応援をよろしくお願いします。

特に感想を頂けるととても喜びます。
ちょっとした疑問などもどんどん言ってくださればと思います。
何分知識が浅いのと酔っているので間違いが多いですし、指摘なども頂ければ幸いです。


第9話

「マスター、今日の朝食はどれを選ぶ予定で?ちなみに拙者は桃が良いでござる」

 

 

「私は林檎で良いわ、これね、ありがとう」

 

 

 

エドワードからレーションを受け取り、一口頬張る、不味いわ。

 

 

 

ごきげんよう、皆様方。私よ。

 

 

今はカルデアの自室で朝食中。支給された高カロリーレーションの朝食よ。

 

 

カルデアは現在孤立無援。食料も備蓄を考えて使わなきゃいけないみたい。

 

 

億が一カルデアが孤立した時に備えて、1年以上耐えられるように食料の備蓄をしている、と今のトップから説明があったけれど随分貧相な食事ね、良いのだけれど。

 

 

 

そうそう

結局あの火の海都市、冬木だったかしら――――から抜け出した後、カルデアで数日のメディカルポッド収容を経て復活したわ。

 

 

治療が終わった後、周りの職員方からは凄い目で見られたりしたけど、そうよね。私爆風に晒されて服とか色々飛んでたらしいもの。

 

 

ポッドから全裸の美少女が出てくるなんて、それは凄い目で見るでしょうね、きっと。

 

 

神に見放されているのかしら、ふふふ

 

 

「馬鹿ね。私は、全てに選ばれたのよ」

 

 

「えっ、いきなりどうしたでござるかマスター。レーションに選ばれたって?」

 

 

「……独り言よエドワード。気にしないで頂戴」

 

 

あの冬木で見捨ててしまった彼女。

 

私の注意力と練度不足で殺してしまった所長の命は、二度と戻らない。

 

 

現在所長代理を務めているロマニ・アーキマンは、あの状況では助けることは出来なかったから気に病むなと言ってくれたけれど、やはりどう考えても私が悪いのだろう。

 

 

何も知らない私が生き残り、生きるべき有能な人物が死んだ。

 

これは大きな痛手だ、これからの聖杯探索、そして人理修復にとって。

 

私が失敗しなければあの娘は

 

 

「ていっ」

 

 

「ゆんっ………何をするのかしらエドワード、痛いじゃない」

 

 

突然頭部に衝撃を受け、エドワードを見る。

 

 

「何か思い詰めてたでしょうマスター、拙者そういう空気苦手でござる故、ブレイクしてみたでござる」

 

 

「……悔しいけど正解よ、エドワード。つい考え込みすぎたわ」

 

 

無性に悔しいが、エドワードは的確に私をサポートしてくれる。

 

 

サーヴァントとマスターは契約によって心が通うらしいが、これは心を読むレベルなのではないかしら。

 

 

魔力のパスを通じて機嫌が筒抜けなのかもしれないわね。むむむ。

 

 

 

「マスターたるもの、常に余裕を持って優雅たれ、ですぞー。

過去の事は考えても何も変わらないでござる、今を生きてこその人生ですし」

 

 

「そうね、ネガティブになりやすいのが私の悪い癖ね。お茶を頂戴、エドワード」

 

 

「切り替えが早いところがマスターの良い癖でござる。どぞー」

 

 

「ありがとう、エドワード」

 

 

調子の良いサーヴァントだ。

 

 

私はペットボトルのお茶を少し飲み、一息つく。

 

 

不思議ね、もう入らないわ。小食にも程があるでしょう。

 

 

それにしても

管制室の職員は次の特異点捜索のため忙しく働く中、私たちはこうやってのんびり食事をとることができる。

 

 

職員には感謝をしなければね。

 

 

横になったまま、ぼーっと天井を見つめて暫く過ごす。

ああそういえば

 

 

「そういえば、今日は戦力増強のための召喚実験だったかしら」

 

 

タイトルがぼんやりとしか見えないが、何やら薄い本を読んでいるエドワードに話しかける。

 

 

私の記憶が正しければ、今日は特異点探索のための召喚実験がある日だ。

 

 

レオナルドから時間厳守と言われていた気がする。

 

 

「エドワード、行きましょう」

 

 

「ちょっと待ってくだちい、良いところなんでつ」

 

 

「エドワード」

 

 

「しょうがないでござるなぁ」

 

 

エドワードを急かし、抱えてもらう。

 

 

そのまま近くにあった椅子に座らせてもらうと、魔術を使って自走を始める。

 

 

身体は慣れていても、精神的に魔術初心者の私は、常に練習を欠かすわけにはいかない。

 

 

根源?とか属性?がよく分からないから、手当たり次第に使ってみて馴染むものを特化させれば良いのだ。きっと。多分。恐らく。

 

 

 

「召喚実験…」

 

 

「どうしたのエドワード、何か気になる?」

 

 

広い廊下を移動する中、ポツリと呟くエドワードの言葉に問いかける。

 

 

私では難しい事なのだろうか。

 

 

「いえね、マスター。

拙者、一緒に戦うなら可愛ーい女性が良いと思うのでござる。ほら、拙者生前の乗組員は皆むさい男ばっかりでしたし?」

 

 

心配して損をした。とはこの事ね。

 

このエドワード、どうにも私が失敗するとは微塵も考えていないらしい。

 

全く…

 

 

「同感よ、エドワード」

 

 

良いサーヴァントに恵まれたものね。

 

 

 

 

 

 

閑話休題(Deus vult)

 

 

 

 

 

 

召喚室とやらに着いたわ。

 

 

フジマルとキリエライト、そして杖を持った……男性が話をしている。

 

 

もうフジマルは召喚を終えたようね、ちょっと遅れてしまったわ。

 

 

「あ、こんにちはユーリアさん!」

 

 

「ええ、こんにちはフジマル。

貴女はもう召喚実験が済んだのかしら」

 

 

「はい!冬木で助けてくれたクー・フーリンさんが来てくれました。中でダヴィンチちゃんが待ってますよ」

 

 

ああ、フードを被っていえよく見えなかったけれど

あの時のキャスターだったのね。

 

 

「一緒に戦ったサーヴァントなら相性も良いでしょうし、良かったわねフジマル」

 

 

「ありがとうございます!ユーリアさんはこれからですよね、応援してます」

 

 

マスター適正のある人類最後の2人という重圧をものともせず、朗らかに笑うフジマル。

 

強い娘だ。

しかし、その表情の裏でどれだけの苦悩があるかも想像がつく。

 

何も考えていない私よりも余程辛いだろう。

 

 

「マスター。ダヴィンチ殿がうるさいでござるし、さっさと行くでござるよ」

 

 

「ええ…そうね。じゃあフジマル、キリエライト。また後で」

 

 

名残惜しいけど、エドワードに急かされる形で話を終える。

 

同じマスター同士、もう少し話したかったのだけれど。

 

 

「はーい。マシュ、クーフーリン、行こう!」

 

「はい、先輩」

 

「ったく、気を付けろって言っただろう嬢ちゃん。ああいう手合いは…」

 

 

 

フジマル達の声を背に、召喚室へ入る。

 

 

召喚室の中はこざっぱりとしていて、薄暗い。

 

部屋の中心には、レオナルド・ダ・ヴィンチ

英霊召喚の完全な成功例である第三号であると聞いている。

 

私は彼、いや彼女は苦手だ。

 

というのも

 

 

「遅れてしま」

 

 

「あー、ようやく来たね。

遅刻だ、時間もないしちゃっちゃと召喚、始めよっか

大丈夫、キミなら簡易召喚でも出来るだろうさ。今世紀の天才ちゃん」

 

 

「ええ、手解き」

 

 

「召喚に必要な文言は覚えてる?よろしい、キミに幸運がありますように、と。早速始めてくれて構わないよ。

何せ次の特異点を探すのに忙しいんだ、今は1分1秒が惜しいのさ」

 

 

「ええ」

 

 

初めましてからこの有様なのだ。

 

私に喋らせてくれない。

 

モナリザを模したその顔は、笑っているようでその実笑っていない。怖い。

 

私が何をしたというのか。

 

 

(大丈夫でござる、拙者も苦手でござるよマスター。さっさと済ませて帰るのが得策かと。)

 

 

(そうね、エドワード。ここは苦しいわ)

 

 

周りからせっつかれて手を前に出す。

 

 

イメージ、イメージが大事なのよ。

 

 

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 

霊子が走り、空間が振動する。

 

この胸の思いを形にする。近しいサーヴァントを呼ぶのだ。

 

 

私は生きるのよ。記憶を失った今、私が生きる意味を探すのだ。

 

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)繰り返す都度に五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

 

 

様々な物を見て、触れ、受け入れたい。時には相手の中に踏み入ることも必要だ。

 

 

「――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 

ただ私は知りたい。

 

 

私がここにいる意味、成すべき事象。失われた命題を。

 

 

 

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。」

 

 

 

たとえこの意思が作られた物であるとしても。

 

 

 

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――」

 

 

たとえこの身体が誰か(・・)の残滓に過ぎないとしても。

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

 

ああ、そうとも(・・・・・・・)

 

 

 

「サーヴァント、清姫……こう見えてバーサーカーですのよ。どうかよろしくお願いしますね、マスター様」

 

 

 

()がそれを望むんだ。

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