Father〜父親達の娘愛〜(更新停止)   作:(TADA)

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お久しぶりに更新です。クロスキャラが出てくるので苦手な方は注意してください。


美咲、未知との遭遇〜パパ達の同級生〜

美咲はCiRCLEの前にあるカフェでパスパレのメンバーである白鷺千聖と大和麻弥と一緒に紅茶を飲んでいる。このCiRCLEに併設されたカフェは盆栽があったりヤシの木があったり足湯等が頻繁に入れ替わる謎の多い店だが、CiRCLEのオーナーが自分の父親だった時点で美咲は考えることを辞めた。多分、真面目に考えたら胃が死ぬ。

向かい側には子役から活躍する若手女優・白鷺千聖がゆっくりと紅茶を楽しんでいる。その姿は父親である白鷺おじさんそっくりであったが、美咲は口に出さない。出したら間違いなく機嫌を損ねて帰ってしまう。

ちなみに麻弥は千聖が美咲に声をかけた時点で嫌な予感を感じ取ったのか巻き込まれた形である。

 「それで? 美咲ちゃんは何の用事かしら?」

千聖の言葉に美咲は黙って白鷺おじさん主導の『Bear Wars』の台本を渡す。それを千聖は開くこともせずに大和印の自走式ゴミ回収ロボット・タベルンデスに放り込みながら再び微笑しながら口を開く。

 「それで? 美咲ちゃんは何の用事かしら?」

 「残念ながら台本を捨てても現実は変わりませんよ」

美咲の言葉に千聖は頭痛を抑えるように頭を抱える。

 「美咲ちゃんは私があの人と共演したくない理由はわかるわよね?」

 「当然です」

親バカの父親とテレビ共演とか拷問以外の何者でもない。特に千聖は父親と同じ職業についているから取り扱い注意なのだ。

 「だったら頼まれる時点で断られるのわかっているわよね? それで何で受け入れちゃうの? 美咲ちゃんの時点で断ってちょうだい」

 「はは、白鷺先輩は面白いことを言いますね。あの人達が私のいうことを聞いてくれるとでも?」

 「……ごめんなさい」

 「辞めてください。謝らないでください」

 「いや、本当にごめんなさい。そうだわ、今度パスパレとハロハピのみんなと一緒に旅行にでも行きましょうか」

 「露骨に優しくしないでください。私の心が死んでしまいます」

やはり他の親バカメンバーから見ても美咲は生贄扱いだった事実に格ゲーの弱パンチ連打のダメージを心においながらも美咲は何とか持ち直す。

二人のやりとりを苦笑しながら見ていた麻弥が今度は口を開く。

 「千聖さん。多分ですけどその仕事断る方が難しいっすよ。千聖さんのお父さんがジブンのお父さんにス○ーデストロイヤーの製作を依頼してたっすから」

 「待って。あの人はどこまで迷惑をかけるつもりなの」

 「ちなみに白鷺先輩。金銭面は天下の弦巻家。政治面ではうちのお父さん。アクションには氷川おじさんの伝手を使うつもりらしいんで諦めた方がいいですよ」

美咲に協力を依頼してきた白鷺おじさんの時点でこれだけ決まっていたので、現在はどこまで行っているかわからない状況である。だから美咲は素直に諦めた。

 「……どうにかならないかしら?」

 「多分無理ですよ」

美咲の無慈悲な言葉に千聖が机に沈む。嗚咽を漏らしているようだが少しすると起き上がった。

 「はぁ……あの人と一緒に仕事をすると私の羞恥心が大変なことになるんだけど……」

 「でも千聖さん。ライブに観客として来られるよりはマシじゃないっすか」

麻弥の言葉にそれはそうかと頷いている千聖。その思考は完全に親バカに迷惑をかけられる前提の話だが美咲は否定しない。だって一番の被害担当娘だからだ。

 「うん? そこにいるのは麻弥か?」

その言葉に現実逃避をしていた美咲と千聖の視線が自然に集中する。そして絶句した。

その人物の体は銀色に輝いていた。どこも出ずにどこも引っ込まないプロポーション。今時の小学生だって『ロボの絵を描け』と言われたらもっとマシなデザインになるであろうドラム缶のような体に玩具みたいな手足。それがスーツを着て歩いていた。

いくら非常識体験を多く体験している美咲も流石にこれは未知との遭遇だ

 「あ、メカ沢さんじゃないっすか」

そんな非現実的な相手に普通に挨拶する麻弥。

 「こんなところでどうしたんだ?」

 「ほら。白鷺さんからの依頼の件を白鷺さんの娘さんに話していたっす」

ごく普通に一般人に会話するようにメカ沢さんと呼ばれたドラム缶と会話する麻弥。美咲と千聖のSAN値がピンチ。

 「あぁ。あの○ターデストロイヤーの製作依頼か」

頭に油のようなものを指しながら言葉を続けるメカ沢。

 「俺は大和には感謝してんだ。俺みたいな不良でバカな奴を友人ってだけで雇ってくれているんだからよ」

いや、大和おじさんはそれ以外にも絶対に『実験台』としても雇っていると美咲は思う。

 「だけどよ。大和の研究所でハイテクに囲まれて仕事をしていると考えちまうのさ」

 ((貴方がハイテクの塊みたいですけど!!))

美咲と千聖の心は間違いなく一致した。だがそれに気づかずメカ沢は言葉を続ける。

 「オレ機械が苦手だからよ。それだから余計に感じちまうことなのかもしれねぇ」

それはサッカー選手がサッカーボールに苦手意識を持つのと同じではないだろうか。

 「大和の研究のおかげですげぇ発展しているし、すげぇ便利だ。けどよ、オレはそういう機械に頼りすぎて、デジタル化された世界って好きじゃねぇんだよな。やっぱそこに心が通じ会わなきゃすげぇ虚しいと思うんだよ」

そしてメカ沢は机を叩きながら悔しそうに言う。

 「このままじゃオレ達は機械に支配されちまうぜぇ!!」

………

 ((それはひょっとしてギャグで言っているのか!?))

 「おっと、お二人とも飲み物が切れてるっすね。メカ沢さん。ちょっと行ってきますね」

 「うん? おぉ、そうか。それじゃあこれを使いな」

そう言って玩具の手から出されたのは一万円札。

 「お釣りはお前達でわけな。普段からあいつらに振り回されているからな。ダチからの慰謝料だと思ってくれや」

 「「メ、メカ沢さん!!!」」

なんと言う漢気。美咲と千聖は思わず叫んでしまう。むしろ父親達の友人にこんな人格者……うん、メカ格者がいることに美咲は驚きだ。

三人でメカ沢さんにお礼を言ってレジへと向かう。

 「麻弥ちゃん。あの人……うん、あの人は?」

一瞬だけ人あつかいすることに躊躇したが、結局人間扱いした千聖は麻弥に説明を求める。麻弥も苦笑しながら口を開いた。

 「お父さんの研究所で働いている職員の人っす。なんでも高校時代の同級生だったとか」

 「……大和おじさんが作ったわけではないんですか?」

美咲の言葉に麻弥は首を振る。

 「ジブンも小さい時はそう思ったんすけど、お父さんに高校時代の写真を見せられて納得したっす」

そこで美咲は一つの記憶を思い出す。

 「ちょっと待ってください大和さん。その写真って他にゴリラとかフレディとか写ってませんでしたか?」

 「あ、その写真っすね」

なんと。父親の冗談だと思っていた高校時代の同級生話はガチだったらしい。と言うかゴリラとかフレディがいる高校ってどんなところだ。

 『不法投棄発見!! 不法投棄発見!!』

 『うん? こいつらは確か大和が作った……な!? おいやめろ!!』

 『不法投棄ハイケナイコトデス!! 不法投棄ハ禁止事項デス!! ゴミヲ回収シマス!!』

大和印の自走式ゴミ回収ロボット・タベルンデスに回収されてしまうメカ沢さん。それを黙って見送る美咲、千聖、麻弥の三人。

そしてゴミ収取車にメカ沢さんが放り込まれて運搬されるのを見届けてから麻弥はスマホを取り出して電話を始める。

 「あ、お父さんすか。メカ沢さんがまたゴミと間違えられて……うん、そうっす。それじゃあよろしくっす」

それだけ伝えて電話を切る麻弥。そしてどこか遠い目をしながら千聖が口を開く。

 「珍しいことじゃないのね?」

 「メカ沢さんが外に出ると高確率っすね」

とりあえず三人で見なかったことにしてそれぞれ飲み物を買って元の席に戻る。

 「おや。見慣れた顔がいるねぇ」

そこにタイミングよく声をかけてきた無精髭にトレンチコートを着崩した男性。千聖と麻弥が不思議そうにしているなかで唯一知っている美咲が口を開く。

 「今井おじさんじゃないですか」

 「やぁ、美咲ちゃん。久しぶりだねぇ」

 「言ってもそれほど久しぶりじゃないですけどね。今回はお父さんに仕事を斡旋してもらったって聞いてますけど」

やってきたのは世界を股にかけて何でも屋をやっている今井おじさん。ロゼリアの今井リサの父親である。だが、その見た目はくたびれたお父さん像そのもので、性格も合わさってダメ親父そのものであった。

 「いやぁ、久しぶりにリサに本気で怒られちゃったからねぇ。だから大きい仕事を片付けようと思って奥沢に頼んだら、まさかロアナプラに行かされるとは思っていなかったよ」

 「……あれ? それって犯罪都市で有名な……?」

美咲の言葉に今井おじさんは疲れた笑顔を見せながら答える。

 「そう。そこそこ。三合会とホテル・モスクワがちょっと力持ちすぎたからちょっと削ってこいとか無茶ぶりだよねぇ」

美咲にはその二つの名前がマフィアだったと父親から聞いている。疑問を上げようとした麻弥を視線で制す。自分から地雷原に突っ込む必要はないのだ。

 「まぁ、最終的に三合会とは話し合いで済んだけど、ホテル・モスクワとは遊撃隊と喧嘩になったからなぁ。荒事は苦手なんだけどねぇ」

 「……よく生きてられましたね」

 「なに。氷川とか若宮を相手にするよりは千倍は楽だったからねぇ。それより美咲ちゃん達はどうしたんだい?」

とりあえず今井おじさんの方から話を変えてくれたので大人しくそれに乗っかる。深入りは危険だ。

そして白鷺おじさんの野望(千聖視点)を話すと、今井おじさんはタバコに火を点けながらどこか納得していた。

 「あぁ、それなら俺にもガンアクションの指導をして欲しいって話が来てたよ。出演者も上原のところから借りるって話だ」

今井おじさんの言葉に千聖は机に沈むのであった。

 




今井父
リサ姉パパ。普段は家でグータラしている昼行灯な何でも屋。ぐうたらで家事もろくにできないので家事はリサ姉の仕事。リサ姉は父親の仕事を詳しく知らないのでよく仕事をしろとお説教をする。ちなみに拳銃の腕前はリボルバーで千キロスナイプをする腕前。

上原父
ひまりパパ。娘のために大手芸能プロダクションを一代で作り上げた辣腕家。娘を全力でプロデュースしようとしたら娘が友人の娘の追っかけになっていた事実に号泣した。

CiRCLE
美咲パパがオーナーを務める音楽スタジオ。しかし音楽スタジオは仮の姿で本来は国際警察連合の極東支部の一つ。しかし、ここのオーナーとクリーム色のスーツを着て羽扇を持った胡散臭い男が秘密裏に接触している場所でもある。

メカ沢さん
初のクロスオーバーキャラは魁!クロマティ高校からメカ沢さんでした!! 見た目は各自ググッてくださいね!!




お久しぶりです。ネタは前からあったのですが他の作品ばっかり書いていてバンドリは放置してました。ちなみにこれからもこんな感じの不定期連載です。

父親達の出身校はまさかのクロマティ高校。あのカオスにここのカオスを突っ込むことで最強に見える。なお、今後にこの設定が生かされる予定はありません。ちなみに他の候補は明稜高校か漢塾でした。明稜高校は普通だから却下され、漢塾はあの学校にオヤジーズを突っ込めないと思ったのでクロ高になりました。

次回は美咲ちゃんの家族紹介をしたいところ。クロスオーバーの嵐ですよ!!

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