Father〜父親達の娘愛〜(更新停止)   作:(TADA)

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今回はイベント『涙のスマイルアンカー』にオヤジーズが乱入です。イベントの感動はぶち壊していくスタイル。


相変わらずオヤジーズが好き勝手するのでご注意ください。


涙のスマイルドーター〜決戦は体育祭〜

体育祭である。これが共学だったら運動が得意な男子は女子に良いところを見せようとして空回りし、運動が嫌いな生徒は当日に台風で中止にならないかお願いするイベントである。

だが美咲が通学する花女は女子校。そんなやる気になる人なんかいないだろうと思っていた。

当然のように美咲の願いは届かない。

某弦巻家の娘が「どうせだったら楽しくやりたいわ! そうだわ! お父様に頼んで豪華景品を用意しましょう!!」とか言い出したせいで勝利チームには女子高生垂涎のご褒美。そしてMVPには金一封が贈呈されることになった。

残念ながら美咲が止めるまもなく某弦巻家の娘が父親に連絡を取ってしまったたために無茶な要望が通ってしまった。

そして問題は花女が『地元密着』を謳っている学校ということだ。体育祭や文化祭などは地域住民達が見学したり、参加できる競技があったりする。

そのチャンスを逃すような親バカは美咲の知り合いにはいない。当然のように巨大な陣地を奪っている弦巻家領域には美咲には見覚えのありすぎる顔が集まっている。

というか氷川おじさんはいていいのか。朝のニュースで香港にBF団が現れたとか言ってたぞ。

ちなみにチーム分けは

赤・はぐみ、沙綾、イヴ、有咲、彩

白・美咲、香澄、りみ、たえ、こころ、紗夜、花音、千聖

白組に美咲の知り合いが多く集まっているが、赤組には『運動神経化物』のはぐみがいるから戦力差はほぼない。なにせはぐみが「勝ったら負けた方が可哀想」理論は北沢おじさんによって「真剣勝負で手を抜くことなどあり得ない」という教えによって容赦がなくなっている。これに対抗するには『スーパーチートパッパ』の娘である紗夜を生贄にするしかない。

 「……美咲さん。何か不穏な気配を感じたんですが」

 「気のせいですよ、紗夜さん」

なかなか勘が良い生贄である。隣に立っている紗夜のジト目をさらりと流す美咲。

 「う〜ん!! はぐが赤組って強敵だね!!」

 「香澄ちゃん……強敵ってレベルじゃないよ……」

香澄の笑顔の言葉にりみが自信なさげに言う。言いたいことはわかる。どう考えても走る系の競技になると対抗できるのは紗夜さんだけだ。美咲とたえも走りでははぐみに勝てない。

 「あの人達がいるだけで今年の体育祭がこんなに不安なものになるなんて……」

 「だ、大丈夫だよ千聖ちゃん!! 他の人もいるからお父さん達も無茶なんかしないよ!!」

花音の見事なフラグ建築を美咲はどこか遠くで聞いている。連中がやると決めたら一般人の迷惑なぞ気にせずに思いっきりはっちゃける。そのことを長いあいだ振り回されてきた美咲は知っている。

そして有咲の選手宣誓によって始まる競技。まず徒競走。これは圧倒的な速さではぐみがトップ。地味に日本新記録が出て北沢おじさんの自慢が応援席まで届いたが美咲はこれをスルー。次の玉入れでは美咲とたえの二人でりみに集めてもらった玉をカゴに向かってまとめてダンクして圧倒的勝利を取った。赤組ではバゲットスナイパー沙綾とハーフ武士娘イヴがいたが、二人は投げ入れると言う行為が得意ではなかったのか勝利となった。

そして1年生のダンスで事件は起こる

 「……なんでいるんですか白鷺おじさん」

 「千聖にいいところを見せようと思ってね!!」

殺したい、この笑顔。

美咲の心情を余所に他の女子生徒は世界的有名なイケメン俳優と踊れることに喜んでいる。だが応援席にいる千聖の羞恥心は大変なことになっている。

そして始まる音楽。素人に混じってキレッキレの踊りを披露する白鷺おじさん。そして終わった直後に千聖に投げキッスを忘れない。羞恥心がブレイクした千聖はどこかへ走りさった。

 「恥ずかしがる千聖も最高に可愛いと思わないかい、美咲ちゃん」

 「その超ポジティブ思考はなんなんですか」

白鷺おじさんの言葉に半目で突っ込む美咲。しかし白鷺おじさんはイケメンに笑いながら観客席に戻っていった。あ、他のオヤジーズと一緒に祝杯を挙げている。

そして昼食。オヤジーズの襲撃を警戒した美咲だったが、それは杞憂に終わる。

なにせ午後一である住民参加型競技である『棒倒し』の準備にオヤジーズ総出で取り掛かっているからだ。

 「な、なぁ。奥沢さん。あれって……」

 「棒倒し用の棒ですよ、きっと」

 「クレーン車で運ぶような石柱で棒倒しをやるつもりなのか!?」

一緒に昼食を取っていた有咲渾身のツッコミである。だがあのオヤジーズが参加するとなれば普通の棒では衝撃波だけで倒れてしまうので競技にならないから仕方ないのだ。

そして始まる住民参加型競技『棒倒し』

 『さぁ、やってまいりました花咲川女子学園体育祭名物住民参加型競技。今年は棒倒しが行われます。実況は私花咲川女子学園に咲く二輪の花、牛込姉妹の父である私がやらせていただきます。解説は一度も奥沢と氷川に勝ったことがないにも関わらず将棋界で神とか呼ばれてイキっている戸山にお願いしております』

 『なぁ、今流れるように俺のことディスらなかったか?』

ついに実況と解説にオヤジーズが侵食し始めた。この体育祭はもう終わりだな。美咲はどこか諦めた気分でこれから始まるオヤジーズの暴走を眺める。逆に考えれば自分が巻き込まれないだけマシだと考えればいいのだ。そう考えるだけで少し楽になる。

 『さぁ、まずは赤組からの入場です!! おっと先頭にいるのは角界の元大横綱・雷雲が威風堂々と入場です。そしてその隣には現代のラストサムライ若宮もおります!! これは中々の威圧感です!!』

その光景はさながら北沢おじさんと若宮おじさんに率いられた軍勢といったところだろうか。山吹おじさんと丸山おじさんがいないのはきっと目を離したら行方不明になる松原おじさん対策だろう。そう思って美咲がオヤジーズの陣取っている場所を見ると松原おじさんを囲むように山吹おじさん、丸山おじさん、白鷺おじさんがいた。鉄壁の守りだ。

 『そして次は白組の入場です!! おぉっと!! これは凄い!! 流石は天下の弦巻財閥総帥!! なんと神輿の上に豪華な玉座に座り、それを部下達に担がせての入場です!!』

 「まぁ!! お父様かっこいいわ!!」

 「弦巻おじさん……なにやってるんですか……」

こころの歓声と美咲のボヤきは同時であった。

 「あれ? お父さん達がいない」

たえの言葉に美咲と紗夜が思わず白組の方を確認すると、確かに美咲の父親と花園おじさん、氷川おじさんの三人組がいない。

 『それでは競技スタァァァァト!!!!』

牛込おじさんの言葉に用意されていた銅鑼が鳴らされ、美咲達の疑問が解消されずに競技が開始してしまう。お互いに様子見なのか、攻めていくその他大勢のみなさんに混じらずに神輿の上で『絶対王者』的に余裕を持って座っている弦巻おじさんと、石柱の前で腕を組んで立っている北沢おじさんと若宮おじさん。

そしてお互いの雑兵達がぶつかり合った時、弦巻おじさんはニヤリと笑って片手を挙げる。

それを合図に風切り音を鳴らしながら一台の戦車が入ってくる。細長い先端に回転刃が装着され、馬が引くと思われる位置に氷川おじさんと花園おじさん。御者の位置に美咲の父親がいる。

 「「……えぇぇ……」」

本気でドン引きした声が美咲と紗夜でハモる。なんというか学校の一競技にそこまでやるかという声だ。

 『おぉっと!! ここで白組に戦車の登場だぁぁ!! 汚い!! 流石弦巻汚い!!』

 「我がルールである!!!!」

牛込おじさんの実況に力強く叫ぶ弦巻おじさん。やっていることは最悪である。

 『うぅむ、あれはまさか』

 『知っているのか戸山!!』

 『うむ。あれは映画バーフバリに出てきたバラーラデーヴァが乗っていたびっくりどっきりバラーラデーヴァ号。しかも1号機!!』

 『わざわざ映画の戦車を作るとかマジでドン引きだぞ弦巻!!』

牛込おじさんの声を笑い飛ばす弦巻おじさん。しかし、その強さは絶大だった。バラーラデーヴァ号は並み居る雑兵達を回転刃(マジ刃じゃなく流石にスポンジっぽい)で弾き飛ばし、北沢おじさんと若宮おじさんに向かっていく。

前に出ようとした若宮おじさんを北沢おじさんは止める。そして重さの単位はトンであろう石柱を片手で持ち上げた。

 「……なぁ、奥沢さん。私は幻覚を見てるんだよな」

 「ところがどっこい現実です……!!」

 「なんであれを片手で持ち上げられるんだ!!」

有咲魂の咆哮である。だが北沢おじさんにはできてしまうのだから仕方ない。

そして北沢おじさんはそれを白組が用意したバラーラデーヴァ号に向かって振り下ろす。グシャぁっといい音を立てて哀れバラーラデーヴァ号が潰されてしまう。ショッギョムッジョ。美咲の父親と氷川おじさん、花園おじさんは素早く脱出している。それに舌打ちが漏れたのは美咲と紗夜の二人だ。一緒に潰れて仕舞えば心労が減ったのに。

石柱が地面に倒れたら負けなので北沢おじさんも地面につくギリギリで石柱を止め、元の位置に戻す。

 「ふむ、流石は戦闘民族北沢である。よかろう、奥沢、氷川、花園!! 相手は二人だ!! 倒してしまうがいい!!」

 「氷川!! 花園!! ジェットストリームアタックをかけるぞ!!」

 「「おう!!」」

弦巻おじさんの言葉にノリノリで乗っかる美咲の父親、氷川おじさん、花園おじさんの三人。三人縦列になって北沢おじさんに向かって走る。

 「死ね」

その一言と共に三人組に逆刃刀で斬りかかる若宮おじさん。それによってジェットストリームフォーメーションは崩される。

 「今回こそ貴様に勝つぞ、氷川」

 「相変わらずしつこいな、若宮」

そして始まる氷川おじさんと若宮おじさんの一騎討ち。三本同時に斬撃が出たり衝撃波が出たりのビックリ人間ショーが始まっている。

そして北沢おじさんの相手を美咲の父親と花園おじさんがやっている。地面を抉る四股をジャンプで回避し、抉れた地面を蹴り飛ばして攻撃する美咲の父親。素早く北沢おじさんの背後に回り込み八極拳の拳を叩き込む花園おじさん。

しかし北沢おじさんはそれを避けずに受け止める。およそ人体から出てはいけない音をたてながらも北沢おじさんは平然としている。

 『さぁ、予想通りの人外対決になってまいりました。解説の戸山はどう思われますか?』

 『あいつらは自重という言葉を知った方がいい』

 『香澄ちゃんと明日香ちゃんのことになると自重を忘れる人間のセリフじゃないな』

 『はぁ!! 香澄と明日香は世界一可愛いから!!』

 『はぁ!? 世界一可愛いのはうちのゆりとりみだから!!』

そしてどうでもいいところで始まる場外乱闘。

 「……紗夜さん、どうしましょうか?」

 「……私に聞かないでください、美咲さん」

美咲と紗夜の呟きは歓声と悲鳴にかき消されるのであった。

 




牛込父
りみパパ。フリーアナウンサーで実況からバラエティ、ニュースまで幅広く活躍する。将来は愛する二人の愛娘のライブのMCをやりたいと考えている。

戸山父
香澄パパ。将棋界で神と呼ばれる最強の棋士。しかし、美咲パッパと紗夜・日菜パッパには勝てたことがない。仲間内で毎回そのネタで弄られる。娘の心理=盤上心理という意味のわからない結論に至った変態。ちなみにりゅうおうのおしごとの『名人』と同一人物。クロスオーバーですからね!!

娘達の体育祭で好き勝手するオヤジーズ
娘達に良いところを見せたいファザーハート。娘達にはいい迷惑。




そんな感じで『涙のスマイルアンカー』イベントにオヤジーズが乱入しました。はぐみの悩みははぐみパッパによって処理され、結果的にオヤジーズの暴走に。どうしてこうなった。

ちなみにチーム分けは本編に出てこなかったキャラは勝手に白組に放り込みました。まぁ、先輩組は彩ちゃんが「仲良い子と別れちゃった」と言っていたからいいかな、と。こころちゃんはパパン達の都合で白組になっていただきました。

ちなみに未だ出てきていないのは有咲パパと薫パパですが、二人ともキャラ設定が作ってあるのでいずれ出したいところ。

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