エフェクト宇宙人 ミラクル星人
迷子珍獣 ハネジロー
登場。
ZAT基地
その日、ZATステーションではニューヨーク本部から重要な任務が言い渡されていた。
「ここ数日、大西洋沖合で一年近く前に消息を絶った旅客機『エアバスA400』の救難信号が確認された。一年も所在が分からなかったにもかかわらずだ。更に発信されたエリアは海のど真ん中『バミューダトライアングル』から離れた所でだ。本部はこの正体を探るべく探索チームを派遣したそうだがエリアには強力な磁場が発生しており迂闊に近づくことができず、撤退。そこで我々極東支部に調査に向かってもらいたいとのことだ。」
千冬は、モニターで場所を確認しながら説明する。
「しかし、ちふ・・・・・じゃなくて隊長。それならなぜフランスと南米支部から出さないんですか?本部はこの間の被害もあって仕方がないと思いますが・・・・・」
「あぁ。実は先日、フランスで過去に出現した地底怪獣が出現してな。どうにか撃退したんだが被害が大きく人員を割けられないそうだ。南米に関しては本部の戦力が乏しい故に警戒態勢を敷かねばならないという理由がある。それに調査するエリアは、強力な磁場が発生しているため通常機では接近できない。耐磁力コーティングを施せるのはまだこの極東支部しかないからな。」
「はあ。」
「では、どのような経由で向かうのですか?」
「それについては束。」
「はいは~い、一度私たちはフランス支部に降り立った後、コーティング作業に一日は現地で滞在。コーティング作業終了後の翌日に現地へ向かうよ~。言っておくけど今回調査するエリアは磁場が強いから通信機も改修してから行くことになるから。装備品に関しても整えておくように~。」
「ちなみに今回はねえ・・・・じゃなくて博士も一緒に行くんですか?」
「あったり前でしょ。束さん以外コーティングの方法まだ誰も知らないんだから。」
数日後、ZAT極東支部は総出でフランス支部へと飛び立っていった。
フランス支部へ到着した一同は、コーティング作業を行う束、支部長に挨拶に行く千冬を除いて各隊員たちは自由行動が許された。一日という事もあり、一夏と箒は、簪を連れて列車を利用して隣国のドイツへと向かった。
ドイツ軍基地
「身分証明書の掲示をお願いします。」
「ZATの者です。」
一夏たちは身分証明書を見せて検問所を通り抜け、車を指定された場所へと停める。
「懐かしい宿舎だな。」
「本当だな、ここに来ただけであの頃を思い出す。」
一夏と箒は感慨深そうに見る。
「ところで二人の友達は?」
「あぁ、そうそう!一応連絡はしておいたんだけどな・・・・・・・」
一夏は、歩きながらある部隊の訓練所へと向かう。そこでは、全員共通で眼帯をしている。
「よし!そこまで!続いて次のカリキュラムに移行する!」
「「「「はっ!」」」」
先頭で指揮をしているラウラの姿があった。ラウラは、一夏たちの姿を確認すると副官であるクラリッサに後を任せ、三人の所へと来る。
「態々、ZATの隊員が来てくれるとはな。」
「いやいや、ドイツのIS特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼ隊隊長が俺たちのために時間を割いてくれるとはね。」
「フッフフフフ・・・・・久しぶりだな、2人とも。」
ラウラは笑いながら二人に握手をする。
「ボーデヴィッヒも元気そうで何よりだ。それとも少佐殿と呼んだ方がいいか?」
「ハッハハハハハ、二人とも相変わらずで嬉しいぞ。」
ラウラはそう言うと簪の方を見る。
「彼女は更識簪隊員。俺たちの同僚だよ。」
「ほう・・・・・ドイツ軍IS特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼ隊隊長 ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐だ。」
「ZAT極東支部 オペレーターの簪です。」
二人は握手をしながら互いに挨拶する。
「・・・・しかし、一夏。お前も罪深いな。箒がいながらもう一人嫁を作るとは・・・・・・・」
「「「ブッ!?」」」
ラウラの思わぬ発言に噴き出す三人。
「ラウラ、勘違いしないでくれ!?簪は飽くまで俺たちの同僚で友達だよ!」
「ん?そうだったのか?私にはそう見えてしまっていたのだが・・・・・」
「そもそも一夏は二股するほどひどい男じゃない。」
「すまんな。お前たちがいるとついからかいたくなるのでな・・・・・・・・」
簪を加えて一夏たちは久々の友人の会話に没頭する。
ZAT フランス支部
「極東支部 隊長織斑です。」
フランス支部では千冬がフランス支部隊長に挨拶をしていた。
「このような状況で申し訳ない。本来なら紅茶の一杯でも出したいところなのだが・・・・」
「お気持ちだけで結構です。しかし、報告に聞いていた以上に被害が大きかったようですね。」
千冬は、隊長室に歩きながら支部の様子を見る。角の港の方をちらっと見ると大破した機体が何機か確認できる。
「何しろほんの少し前まではISの天下でしたからな。いくらシュミレーションなどで訓練したとはいえまだ成り上がりのパイロットばかりです。怪獣頻出期を経験し、それを活かしているあなた方の国が羨ましいものです。」
「そうでもありませんよ。こちらでも被害が出ないわけではありませんから。」
部屋に付くと支部長は、ニューヨーク本部からの命令書を千冬に渡す。
「内容はわかっているだろうが今回の任務は発信地の調査です。」
「えぇ・・・・しかし、このような事態が起こるものなのでしょうか?島すら確認されていないエリアから消息を絶った旅客機の救難信号が出るとは・・・・」
「私も正直まだ半信半疑だ。だが、過去の怪獣頻出期、侵略狙いの異星人たちの来訪。それを考えれば地球でも未開な現象が起きても不思議ではありません。」
「・・・・・仰る通りです。」
千冬は命令書を一通り確認し終えると元に戻す。
「命令書、確かに確認させてもらいました。予定では明日早朝にここから発ちます。」
「うむ。それとこちら側から頼みがある。」
「ん?頼みとは?」
支部長の顔を見て千冬は不思議そうに聞く。
「我がフランス支部の装備及び機体の開発・製作をしてもらっているスポンサーである『デュノア社』の社長夫妻がどうしてもと頼まれましてな。調査に同行させてもらいたいとのことだ。」
「なっ!?」
支部長の言葉に千冬は思わず驚く。
「いくらスポンサーと言えど、民間人を調査に同行させるのは危険すぎます!」
「私もそのことで何度もお断りしたのだが何故か引き下がってもらえないのだ。」
「・・・それでその夫妻は?」
「今日も来る予定だ。」
「では、私の方から事情を聴いてみましょう。いくらスポンサーの方でも無理な頼みもありますから。」
千冬は、そう言うと支部長と共に応接室へと向かう。
翌日 早朝 ZATフランス支部 格納庫
朝早く、一夏たちは調査に向かうべく格納庫に集合していた。
「織斑、お前昨日篠ノ之と更識を連れて何処行ってたんだ?」
「まさかダブルデートですか?」
「嫌だなぁ・・・・・・ドイツの友人に会いに行ったんですよ!」
そんな会話をしていると千冬が荒垣と束を引き連れて来た。
「全員、整列!」
荒垣の掛け声と共に全員が整列する。
「では、隊長。」
「うん、今日はいよいよ大西洋の例のエリアへと飛ぶ。一応耐コーティング処理は済ませたが安心はできん。最悪な場合は海の藻屑になるかもしれない危険な任務だ。全員心して行うように!」
「「「「「「了解!」」」」」」
「今回は特殊な環境での任務だからな。旧式ではあるが今回はこれにコンドルとスワローを積んで向かう。」
千冬がそう言うと束は後ろのシャッターを上げる。そこには大型の戦闘機があった。
「デカっ!?」
「隊長、これは・・・・・」
「“TACファルコン”。かつて、TACが主力として運用していた大型戦闘機だ。旧型ではあるが宇宙空間戦闘も可能な上に束の改修もあって性能に申し分はない。荒垣と更識、西田は、ホエールで途中まで同行。後は磁場に呑まれないようエリア近辺で待機だ。」
「えっ?何故そこで二手に別れるんですか?」
北島は、不思議そうに聞く。
「訳は二つある。一つは万が一我々が戻ってこなかった場合に備えて救援を呼ぶため。そして、もう一つはある人物たちを同行させることになったからだ。」
「同行者?」
「入って来ていただいて結構です。」
千冬が言うと格納庫に顎髭を生やした厳格な風貌の男性とその夫人と思われる女性が入ってきた。
「紹介する、今回の調査に同行することになったフランス支部のスポンサー『デュノア社』社長 アルベール氏と妻のロゼンダ夫人だ。」
千冬の紹介で一夏たちは二人に敬礼する。
「アルベール・デュノアです。今回の同行に関して私たちの勝手な行動ながら申し訳ない。しかし、今回の調査の話を聞いてどうしても確認しなければならないと思ってね。どうか許してもらいたい。」
「隊長、いくらスポンサーの方でも無理がありますよ!?だって、社長夫妻ですよ!?もしものことがあったら大変なことに・・・・・・・」
「私も理由を聞かなければ同行させる気はなかった。」
「どんな理由なんですか?」
「それは詳しくは教えられん。お二人が行動する場合は篠ノ之隊員について行ってもらう。危険だと判断した場合はファルコンの中へ戻ってもらう条件でだ。今日は幸い天候も良好だ。すぐに向かうぞ!」
「「「「「「「了解!!」」」」」」」
ZATは、デュノア夫妻を同行させ直ちに現場へと出発した。
大西洋沖合
スカイホエールとTACファルコンは、目標ポイントへと近づきつつあった。
『隊長、間もなく目標エリアに到着します。』
「よし、スカイホエールはこの場で待機。3時間で戻る予定にしているがそれ以上経っても戻らない場合はフランス支部に連絡を取って応援要請を掛けてくれ。」
『了解!』
『隊長、くれぐれもお気をつけて。』
「わかっている。束、私たちはこのまま前進だ。救難信号が発せられたポイントまで把握できるか?」
「できるだけ正確にはやってみるよ。でも、こんな環境はそう滅多に来れないからね。慎重に操縦してね。」
「わかった。」
TACファルコンはそのまま目標ポイント目指して前進する。しばらくすると濃い霧に包まれ、磁場の影響か機器が警報を鳴らし始める。
「予想以上だな・・・・・・・篠ノ之!コーティングはあとどのくらい持つ!?」
「おおよそ後3分!それ以上だとファルコンの操縦系統が完全にダウンします!」
「くっ!持ってくれ・・・・・・・・」
不安定に揺れながらもTACファルコンは前進する。
「・・・・・・!計器回復、磁場の影響下から解放されました!」
「そうか・・・・・ん?あれは・・・・」
千冬は操縦席から見える島を見て驚く。
「島?」
「おかしいね~この辺に島はないはずなんだけど・・・・・・」
困惑したように言いながらもTACファルコンは島の上空から手頃な着陸ポイントを見つけ出し、着陸する。
「北島、島の大気は?」
「異常ないです。有毒な物質は検出されていません。」
「・・・・そうか。よし、各々チームに別れて行動する。織斑、お前は私と一緒に来い。」
「了解!」
「デュノア氏、あなた方はここからあまり離れないようにしてください。何しろ未知の場所なので。後できればどちらかが交代で見回るようにしてください。」
「分かりました。」
そう言うと各隊員たちはファルコンに束を残して調査を開始する。
「・・・・・霧が濃い割には、随分と青々しいな。」
千冬は不思議がりながらも一夏と共に森へと歩いて行く。
「しっかし、こんな島があったなんて・・・・・・信じられないな。」
「一夏、自然は時に科学では証明できない現象だって起きる。この島だって謎だらけなんだ。慎重に行うぞ。」
「了解・・・・・・って、ここではいつもの呼び方でいいのかよ?」
「まあ、2人っきりだしな。こういう時ぐらいはいつも通りの呼び方で構わんぞ。」
「はいはい、それじゃあ千冬姉。早いところ奥へ進もう。」
「あぁ。」
箒チーム
「・・・・・」
「・・・・・・」
後ろで辺りをキョロキョロしているデュノア夫人に何とも言えない奇妙な感覚を感じながら箒は辺りを調べる。
「・・・・・あの・・・・」
「ん?」
「デュノア夫人は、何の目的で今回の調査に同行することを決めたんですか?」
「・・・・・・」
箒の質問でデュノア夫人の表情が暗くなる。
「あっ・・・・・・い、いえ。別に何も言わなくて・・・・・・・」
「・・・・・・娘を探したかったの。」
「えっ?」
夫人の口から出た言葉に箒はキョトンとする。
「正確には私の本当の娘ではないんだけどね。2年ほど前、夫の愛人だった子を養子として迎え入れたの。貴方とそう変わらない年頃の娘で、結局向き合う事ができなかったけど。」
「娘さん・・・・・・ですか。」
デュノア夫人の話を聞きながら箒は森の中を歩いて行く。
「私ね、生まれつき子供が作れない体質だったのよ。それ故に私と夫との間には子供がいなかった。そして、二年前にあの子を養子として引き取るときに愛人がいたことを明かしたわ。まあ、元々不器用だったからそうすることでしか私への愛情を示せない人なのよ。でも、私は悔しかった。」
デュノア夫人は、複雑な表情で森の奥を見渡す。
「私もあの人との間で子供が持ちたかった。でも、それが叶う事がなくあの子の母親は持つことができた。だから、最初に会った時、似ていたこともあって泥棒猫って言って顔を引っ叩いてしまったわ。」
「・・・・・・・・」
「ひどい女だと幻滅したでしょ?その後、会社のグループ内であの子を排除する為に暗殺を企てた一派がいることが噂されて、一旦あの子をほとぼりが冷めるまで信用のおけるところへ預けることにしたのよ。そして、行方不明になった・・・・・・・・家から出る時も最初のことがあって何も言えなかったわ。」
「・・・・・・夫人は、娘さんが見つかったらどうするつもりなんですか?」
箒は、デュノア夫人の顔を見て聞く。デュノア夫人は、顔色を変えずに答えた。
「謝って、今度こそあの子の母親として向き合いたい。例え血は繋がっていなくてもあの子には私の娘であるのには変わりないから。」
「・・・・・・・そうですか。」
箒は、限界距離まで来たのを確認すると引き返そうとする。
そのとき
「ん?」
現場付近の川で何かが動いているのに気がついた。箒はZATガンを引き抜いて慎重に近づいて行く。
「・・・・・・・」
霧でよくわからないが下あごに白い髭を蓄えた宇宙人らしき生物が何やら洗濯をしているようだった。
「宇宙人?」
箒は、デュノア夫人の身の安全のことも考えてその場から離れようとする。しかし、夫人が枯れ枝を踏んで音を立ててしまったため、宇宙人たちは二人がいる茂みの方を見た。
(しまった!)
箒は息を殺しながら、近づいてくる足音に警戒する。見つかった場合は撃つしかない。そう思いながらも近づいてくる宇宙人へ警戒を強める。
そして、宇宙人が自分たちの目の前に立ち止まった瞬間、箒は茂みの中から姿を現し、宇宙人にZATガンを向ける。
「動くな!」
『!?』
現れた箒に宇宙人は驚きながらも両手を上げる。箒はデュノア夫人を後ろに招いて距離を取りながらも宇宙人への警戒を緩めない。
『ま、待ってくれ!』
宇宙人はテレパシーを使っているのか二人に呼びかけてくる。
『私は宇宙人だが君たちへ危害を加えるつもりはない。だが、この島に来たという事は何か乗り物で来たというのか?』
「・・・・・・私たちは、この島から発せられた救難信号を辿ってここまで来た。」
箒の言葉を聞いて宇宙人は目を丸くする。
『救難信号・・・・・・・あぁ!あの信号を辿ってきてくれたのか!っという事は助けに来てくれたのだな。』
「・・・・・・一つ聞きたい。お前以外に仲間は?」
宇宙人は急に力が抜けたように言う。
『・・・・・・いや、もういない。私以外のミラクル星人はみんな奴に殺されてしまった。ここに流れ着いたこの星の住民もあの子を残してみんな・・・・・』
「あの子?人間の生存者がいるのか?」
ミラクル星人と名乗る宇宙人に敵意がないという事がわかり箒は銃を降ろす。
『あぁ、2年ほど前にこの島に不時着した飛行機に乗っていた女の子だ。私が着た頃には機体は奴に破壊され、生き残っていたのもその子だけだった。』
「そ、その女の子はどこにいるんです!?」
デュノア夫人はもしやと思いミラクル星人に問いかける。
『名はシャルロット。だが、ここ数日高熱を出して弱っている。お願いだ、どうかこの島から連れ出してはもらえないだろうか?』
ミラクル星人の言葉を聞いてデュノア夫人は、唖然としていた。
「会わせてください!すぐにあの子に会わせてください!」
デュノア夫人に掴まれてミラクル星人は思わず驚く。
「お願いです!その子は私の娘なんです!」
『娘?もしや、貴方があの子の・・・・』
「夫人、待ってください。これ以上先に行くのは危険です。」
箒はすぐにファルコンにいる束に連絡を取ろうとする。
「こちら篠ノ之。ファルコン応答願います。ファルコン応答願います!」
『・・・・・・・・・』
「おかしい、通信が取れない。」
「束さん?束さん、応答してくれ!・・・・・・ダメだ、通信が繋がらない。」
一方の一夏たちも連絡が取れなくなっていた。そんな一夏を他所に千冬は何かの破片を拾い上げる。
「・・・・・・・これは自然にできたものじゃないな。何かが破壊されたようなものに見えるが・・・・・」
パムー
「「!?」」
一瞬目の前を通り過ぎた生き物に二人は思わずギョッとする。
「なっ、なんだ今の生き物は!?」
「行ってみよう!」
二人は、急いで生き物の後を追う。しばらく移動してみるとそこには大きな岩穴があった。
「この穴に逃げ込んだのか?」
パムー
穴の奥から先ほどの生き物の声が聞こえてくる。一夏は思い切って入ってみることにした。
「お、おい!?待て一夏!こういうところには迂闊に・・・・・って、人の話を聞け!?」
先に進んで行ってしまう一夏を千冬は慌てて追いかけて行った。
ハネジロー大好きだけどグッズがあまり出ていないからそろそろ等身大ハネジローの人形でも発売してくれないかな~。