私は夢を見た。
地面は重力を忘れて浮き上がり、空は絵の具を幾つも混ぜ合わせたようにぐちゃぐちゃに歪み、まるで世界が終わったかのような光景の中に存在する、例えるなら神殿のような何か。
そして、そこに佇む白いバックルのベルトを巻いた、一人の男性。
顔は見えないが、何故かその人を私は知っている気がした。
彼はベルトの脇に下がるホルダーからカードのような物を取り出し、空に向けて何か言っているが、距離が遠いので聞こえない。
…ただ、なんとなくだが。唇の動きからして、最後に彼はこう言ったように思えたのだ。
『変身』と――――
―――――――――――――――――――――――――
ある町に一つの写真館があった。しかし、そこに住むカメラマンの撮る写真は歪んだ写真ばかりで、いつも店に文句が殺到しては彼は店長の孫娘に怒られる。
そして今日も彼、『門矢 士』は『光 夏海』に説教を喰らっていた。
「いいですか士くん、写真を撮るのは勝手ですけど、士くんのピンボケ写真でお金をせびっちゃダメなんですよ!毎回苦情を聞くのは誰だと思ってるんですか!?」
「客は俺に撮られたがってるが、世界が俺に撮られたがってないんだ、仕方ないだろ」
そう言ってマゼンタカラーの二眼レフのカメラを弄りながら士は備え付けのソファに座りながら足を組みふんぞり返るが、それがまた夏海の癪に触った。
「もう!反省しないんなら……秘伝!笑いのツボ!!」
瞬間、 士の首筋にある笑いのツボに夏海の親指が素早く叩き込まれ、士は強制的に吹き出した。
「あはははは、夏ミカン、はは、お前っ、ははははは!」
「しばらく笑って反省してください!ふん!」
強制的に笑わされ腹筋を痛ませる士を放って夏海がそのまま部屋を去ろうとしたその時、彼女は盛大にキッチンから飛び出した『
「きゃあっ!?」
「うおあぁぁっ!?」
夏海は尻餅をつくが、ユウスケは後ろに居た光写真館の店長であり夏海の祖父『光 栄次郎』に当たり、まるでドミノ倒しのように二人で共に後ろに倒れた。
「いててて…店長、夏海ちゃん、大丈へぶっ」
倒れたまま二人に声をかけるユウスケの顔の上を、栄次郎の腕から離れた一羽の鶏が足場代わりに進んでいく。
「おっとっと、いけな……おわああぁぁっ!?」
立ち上がった栄次郎は、士が現在笑い転げている部屋まで鶏を追いかけるが、捕まえようとした際に足元の紐に引っ掛かり、転びながら鶏をキャッチすると共に、背景ロールの幕が落ち、光を放った。
「これは……」
「新しい世界、ですか……?」
「しっかし、なんだこの絵?北極か?」
「南極じゃないかな?」
笑いが収まった士、起き上がった夏海とユウスケ、そして捕まえた鶏を抱く栄次郎の一同の視線が集中する。
この光写真館には士達しか知らない『ある秘密』が存在する。それは、この背景ロールに映し出された絵の世界へと、この写真館は転移するのだ。
この謎の力でかつて士達は幾つもの『仮面ライダー』の世界を巡って戦い続けてきたのだ。
そして、今回映し出された絵には『雪山の中に小さく位置する円形の施設』が映し出されていた。
「どんなライダーの世界かはまだわからないが、行くとするか」
そして士達は、絵から発生する光に包まれ、世界の垣根を越えた。
まだFateキャラは出ないけどゆるして