Decade/Grand Order   作:KBS

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家族をデストロンに皆殺しにされたので初投稿です。


炎上

 ――声が聞こえた。

 

 「マシュ……目を覚ますんだ、マシュ……」

 

 ……だれ、ですか?

 

 「僕の事はどうでもいい……ただ、君に問いたい。君は、この世界を守りたいかい?」

 

 ……守りたい、です。まだ私は、やるべき事が残っている気がしますので。

 

 「……なら、力を貸そう。僕の力を君に全て託す。ただし、そうすれば君の時間はさらに縮まる事になる。それでもいいかい?」

 

 ……お願いします。

 

 「わかった……そうだ、もう1つ、君に伝える事があった」

 

 ……何でしょうか?

 

 「……君が幼い頃に僕は君の中にやってきた。しかし今、『もう1人』入ってきたようだ」

 

 もう1人……?それは、どういう――

 

 「すまない、時間だ。そろそろ君の肉体も意識を取り戻すだろう。健闘を祈るよ、どうか僕の力を役立ててくれ」

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 「……おい!おい、起きろマシュ!」

 

 「……ぅ…」

 

 士の声がマシュの意識を現実へ引き戻す。ぬかるんだ地面から体を起こし泥を払い落とすと、マシュは周囲を見回し、状況を確認する。

 現在マシュと士の周りには、瓦礫が火の粉を散らしながら燃え続けていた。

 

 「ここは……」

 「なんでも、レイシフトとかいうのをしちまったようだ。さっき通信してきた奴が言ってただけだが」

 「……通信は回復したのですか?」

 「少しだけな。端的に状況を伝えられて切れちまったよ。なんでもここは、2004年の日本らしい」

 「2004年の、日本ですか……?しかし、こんな記録は日本には……」

 

 マシュが知る限り、日本はこのような火の海ではなかった。自分の認識が間違っていたのかと少し不安になったが、落ち着いた声で士は説明する。

 

 「らしいな。確かさっきの奴は、ここを特異点だとか呼んでいた……っていうかお前、その格好はなんだ?」

 「え?」

 

 士に服装を指摘され、マシュは自分の体を見回す。そして、近くに落ちていた割れた鏡を見る限り、そこには明らかにいつもとは違う自分が映っていた。

 

 ピンクブロンドの髪は黒く、紫の瞳も真っ赤に色を変化させ。

 服も白衣から少々露出の多いボディラインが出やすく、黒をベースに黄色と赤のラインが入った物となり。

 さらに左胸には奇妙なマークと腰にも白のベルトが巻かれていた。

 

 「これが……私?」

 

 マシュは自分の身体をペタペタと触る。身体のサイズが変わったわけではないが、何処か力が漲っている感覚が有った。

 

 「俺が意識を取り戻した時には、もうお前その姿になってたぞ」

 「まさか……これが彼が授けてくれた力……?」

 「……彼?」

 

 声だけが聞こえ姿の見えなかった英霊が、マシュの脳内に浮かび上がる。彼が残りの力を自分に託すと言い残し、消滅したのは確かに覚えていた。

 

 「……恐らく、私にこの力をくれた英霊です。しかし、真名どころかクラスも告げずに消滅してしまいました」

 「そうか……だが、その力は多分ソイツとは違う力だろうな」

 

 ほぼ確信に変わっていたマシュの予測を、士は違うと言い切る。

 

 「……違う力、とは?」

 「俺は今のお前の姿に似た姿になる奴を知ってる。恐らく、お前の中にソイツの力が入っちまったのかもな」

 「そうなんですか……では、あの時の彼の力は一体……」

 「……もしかしたら、2つの力が1つに混じってそうなってるのかもな」

 

 マシュの力の原因を探っている中、カルデアからの通信を知らせる電子音が響き、小さな画面が士とマシュの前に現れ、カルデア医療スタッフ『ロマニ・アーキマン』が画面の向こうに姿を現す。

 

 『門矢くん、マシュは目覚めたみたいだね』

 「あぁ」

 『マシュ、今自分がどのような状態なのかは理解できているかい?』

 「はい……今の私は『デミ・サーヴァント』として存在しているのですね」

 『その通り。人間に英霊を融合させ、サーヴァントの力を扱えるようにする……君はどうやら、デミ・サーヴァントとなることで奇跡的に助かったらしい』

 「はい。なんとなく理解は出来ています」

 

 『それなら話は早い。門矢くん、僕らカルデアの使命は歴史を歪める特異点の修正だ。早速マシュと共にその特異点の修正にあたってくれるかい?』

 

 「大体わかった。だが、どうすればこの特異点とやらは修正される?この大火事を消火しろってか?」

 

 茶化すように言い、士は今も傍らで燃え上がる炎と瓦礫を一瞥し、画面に視線を戻す。

 

 『残念だけど違うね。今君たちが居る町には、本来の歴史では観測されない異常な魔力反応が発見されているから、それを断てばいい。だがまずはこの通信を安定させたいから、向かってほしい場所があるんだけど、構わないね?』

 「あぁ。何処だ?」

 『その特異点の何処かに霊脈のターミナルが有るはずだ。だからそこまで――』

 

 しかし、言いかけたところでカルデア側の設備の限界が来たのか、ロマニからの通信は途切れた。

 

 「霊脈がどうこう言っていたな……とにかく行くとするか」

 「そうですね、善は急げです」

 

 

 霊脈地を探す為、特異点を修正する任務を任された士と、英霊から力を託されたマシュは、歩き始める。

 炎上し汚染された都市、冬木での戦いが間もなく幕を開ける。

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