「クソッ、戦闘の音を聞きつけて来やがったってのか!?」
「修行は中止だ、離れろ!」
バーサーカーの突然の乱入に驚愕し、キャスターは距離を置くため下がる。
しかし、眼前の恐怖に捕らわれたマシュは足を動かすことが出来なかった。
「マシュ、逃げなさい!早くっ!!」
「あ……ぁ……」
既に体力もほとんど限界を迎えているのも相乗し、マシュの足は棒切れにでもなったかのように動かない。
勿論近くに居る動けない獲物を見逃す訳は無く。バーサーカーは雄叫びのような声を上げながら大剣をマシュに向けて振り下ろした。
「■■■■■■■■――――!!」
「っ……!」
「待てコラァァァッ!!」
死を覚悟し目を閉じるマシュだが、怒声と共に金属同士がぶつかり合う音が響き、マシュへの攻撃はギリギリの所で停止する。
マシュが目を開くと、そこには赤い青竜刀型の武器『モモタロスォード』を手にマシュの前でバーサーカーの攻撃を受け止めているモモタロスの姿があった。
「も、モモタロスさん……!?」
「いい加減に俺にも戦わせろってんだよ!マシュマロ!お前さっさと逃げろ!どうせそんだけ疲れてんだから戦えねーだろ!」
「マシュマっ…!?わ、わかりました…!」
「ナイスタイミングだモモタロス、変身!」
『KAMEN RIDE: DECADE!』
モモタロスに間違った名前の呼ばれ方をしつつも、マシュはオルガマリーの近くまでフラフラと退く。
そして士はディケイドへ変身し、モモタロスがバーサーカーの大剣を根性で弾き飛ばすのとほぼ同時に、ライドブッカーでバーサーカーへと切りかかった。
「ハッ!」
「どおりゃあぁぁぁ!!」
「■■■■■■■!!!」
互いの武器が確かにバーサーカーの肉体に傷を負わせるが、瞬時に再生するのを見たディケイドは一歩退き、ライドブッカーからカードを三枚取り出す。
「速攻でケリをつける他無いな」
『KAMEN RIDE:FAIZ!』
『FORM RIDE:FAIZ AXEL!』
ディケイドは一枚目の『仮面ライダー555』のカードで555の姿になり、さらに二枚目のカードで555のパワーアップ形態である『アクセルフォーム』へとさらに姿を変える。そして、
『START UP』
スイッチを押すと同時に十秒のカウントが始まり、
アクセルフォームは、ブレスレット型のファイズアクセルのスイッチを押すことで、十秒の間だけ自分の速度を通常の一千倍に跳ね上げる能力が存在する。
そして、三枚目の金色に輝く555のライダークレストが描かれたカードをベルトに装填した。
『FINAL ATTACK RIDE:FA・FA・FA・FAIZ!』
右足に『ファイズポインター』が出現すると、そのまま
『THREE、TWO、ONE…TIME OUT』
ファイズアクセルが加速終了を知らせると共にアクセルフォームは解除され、通常の555の姿へと戻る。
しかし。
「■■■■■■――――ッ!!」
「馬鹿な……!?」
「士、避けろぉっ!!」
モモタロスの声も間に合わず、
「ぐ……っ!」
「先輩っ……!!」
ダメージが多大だったのか、
「先輩!しっかりしてください先輩!」
「クソッ…油断した……!」
「その体じゃ無理よ、止めなさい!」
すぐに再変身しようとする士だが、カードを持つ手をオルガマリーが止めた。サーヴァントの中でも特に攻撃力の高いバーサーカーの一撃が直撃したとあっては、いくらスーツが守ろうと士本人には確実にダメージが通っていた。
その一方、キャスターと協力しながらモモタロスはバーサーカーと渡り合っていたが、流石に体力自慢のモモタロスにも限界が近づいていた。
「ンニャロォッ!」
「そらッ!」
モモタロスはバーサーカーの腰を蹴り、そのまま斬りつける。キャスターは頭部目掛けて光弾を放ち、わずかながらバーサーカーの視界を奪った。
「■■■■―――!!」
「くそったれ、ホントに攻撃効いてんのか!?」
「諦めんなよ、鬼!効いてなくても、やるしかねーだろ!」
「だから鬼じゃねえっ!あぁクソッ、なんか良い肉体でもありゃ良いのによ……!」
文句を言いながらバーサーカーの攻撃を弾くモモタロスと、遠隔から光弾を撃ち続けるキャスター。
モモタロスは憑依できそうな人間を探そうと周囲を見回すが、無論そんな人間は一人しか居ない。一か八か、モモタロスは士へむけて大きく声を上げる。
「おい士!お前の体使っても良いか!!」
「……あぁ、良いぞ!好きなように使え!」
今自分は動けないが、モモタロスが憑依すれば違うと悟った士は腕を広げ自分の肉体のコントロールを手放し、モモタロスの体は透明になり、士の中へとモモタロスは飛び込むように憑依した。
士の髪の一部と瞳が赤くなり、髪型は髪を全体的に跳ねさせたオールバックへと変化する。
「いよっしゃあ!こっからは本気だぜぇ!」
モモタロスが入った士はディケイドライバーを外し、その代わりに『デンオウベルト』が腰に現れ、四つの『フォームスイッチ』の内、一番上の赤のスイッチを押し、手に持った『ライダーパス』を『ターミナルバックル』の前へセタッチする。
「変身ッ!」
『SWORD FORM』
腰の左右に出現した『デンガッシャー』を剣状に組み上げると、電王はそのままバーサーカーへ向かっていく。
「行くぜ行くぜ行くぜぇ!!」
「■■■■■■■――――!!」
電王はバーサーカーの大剣による攻撃を潜り抜け、デンガッシャーでバーサーカーの肉体を切り裂く。しかし、一太刀浴びせた程度ではバーサーカーの回復力ですぐに治された。
「チッ、ならコイツで一気に決めるぜ!」
『FULL CHARGE』
バーサーカーから離れ、ライダーパスをもう一度セタッチすると、音声と共にベルトからデンガッシャーへとエネルギーが伝わり、デンガッシャーの赤く染まった刀身『オーラソード』が勢いよく射出される。
「俺の必殺技……パート2!」
指揮棒のようにデンガッシャーを右から左へ振るうと、射出された刀身がその軌道の通りにバーサーカーの肉体を切り裂き、次は左から右へとデンガッシャーを振るうと、再び同じ軌道でバーサーカーを刀身は切り裂き。
トドメにデンガッシャーを振り上げ、一気に振り下ろすと、刀身は一気にバーサーカーを両断する――
ハズだった。
―――ガキンッ!!
「んだとぉっ……お、俺の必殺技が……!?」
バーサーカーにはほとんどダメージは通っておらず、最後の一撃は刀身が弾き返されてしまった。
次はこちらの番とでも言うように、バーサーカーは大剣を連続で振るい、電王を追い詰めようとする。
「■■■■■■■■■■―――――ッ!!」
「うぉ、てめっ、ちょ、待てコラッ!」
士の肉体が万全であれば大したことは無かったかもしれないが、ダメージを受けた肉体に遠慮したのか、モモタロスは反撃が出来ないまま、近くの瓦礫まで追い込まれてしまう。
「や、ヤベェッ……!」
「■■■■■■■■!!!」
「おいコラ、デカブツ!オレを忘れてんじゃねえっ!」
キャスターも何とか援護に回り光弾を放つが、バーサーカーの肉体にはかすり傷一つも付きはしなかった。
「何っ…!?コイツ、まさか――」
先程の攻撃が一切通用しなくなった事からキャスターは一つの結論に辿り着く。もしこれが本当だとすれば、自分達はとんだ悪手を打っていた事になると、キャスターは確信した。
しかし、その時。
「その通り。このサーヴァントに連続の攻撃はいけないのさ。何しろすぐに肉体が対処しちゃうみたいだからね。だから……」
『FINAL ATTACK RIDE:DI・DI・DI・DIEND!』
どこからともなく声が響き、突如現れた青緑色の光のカードの渦が、バーサーカーの心臓をロックオンする。そして、光線がバーサーカーの胸を貫き、バーサーカーは消滅した。
「こんな風に一撃で決めなきゃいけないのさ」
「この攻撃……まさか」
デンオウベルトを外して変身を解除し、モモタロスが体から出た士は、声の主が近づいてきている事を察知する。おおよそわかっているが。
「やぁ士。ナマコは食べられるようになったかい?」
変身を解除し、そこにはニヒルな笑みを浮かべる青年、『海東 大樹』が立っていた。