Decade/Grand Order   作:KBS

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姉を殺された上に脳以外の部分をサイボーグにされたので初投稿です。


ノーブルファンタズム

 「海東……」

 「やはり君もこの世界に来てたんだね、似合ってるよその服と髪型。ところで、珍しく一人旅かい士?」

 「……生憎だが夏ミカンもユウスケも、この世界に来た時に別れたみたいだからな。今はそこの後輩と、うるさい所長とイマジンと、場数を踏んでそうな英霊とここを探索中だ」

 「ふむ……」

 

 事情を聞き、頷きながら順番に士の後ろに居る三人の顔を海東は見る。そして最終的に、マシュへと視線を合わせた。

 

 「ねえ君、名前は?」

 「えっ、あ、マシュ・キリエライトです……」

 「ふーん……士は今、彼女に夢中なんだね。嫉妬しちゃうな~」

 

 海東のマシュへの視線が品定めをするような目に変わる。若干の恐怖を覚えたマシュは少し後退った。

 

 「妙な事を言うな。それより、何しに来た?」

 「もちろん、この世界のお宝を頂く為に決まってるじゃないか。僕が何をしているか忘れたかい?」

 

 海東 大樹は、世界を股に掛ける怪盗である。彼は時には非人道的なものも使い、様々な手段でその世界の『お宝』を盗み出し、士の邪魔をすることも多々あった。

 

 「……それよりも士、何か悩んでるみたいだね。手伝ってあげるよ」

 「……何?」

 『KAMEN RIDE』

 「変身」

 『DIEND!』

 

 海東はライダーカードを見せるように左手に持ち、銃型の変身装置『ディエンドライバー』を右手に持つと、ライダーカードを装填し、銃身を前に押し出す。士のディケイドライバーと同様に、音声と共にカードに封印されたエネルギーが実体化の待機状態に入る。

 そしてディエンドライバーを真上に掲げ、掛け声と共に引き金を引くと空へとライダーの紋章が発射され、紋章は13枚のライドプレートへと変化し、赤、青、緑の幻影が海東に重なると、ディケイドと同じくディヴァインオレで構成されたスーツが海東を包む。

 そして、浮かんでいたライドプレートが頭へ刺さると、モノクロのスーツはシアンカラーに彩飾されていった。

 

 「海東、お前まさか――」

 『ATTACK RIDE:BLAST!』

 

 『仮面ライダーディエンド』へと変身した海東は、無言でマシュへと銃口を向け、カードを装填する。そして引き金を引くと、士が使うものと同様に銃口が分身し、マシュへと一気に迫った。

 

 「っ、あぁぁっ!」

 

 マシュは盾を構え、何とか踏ん張ろうとするが、先程自分を恐怖で動けなくしたバーサーカーを一撃で撃破したような者が相手だと体が怖じ気付いたのか、力なく吹き飛ばされた。

 

 「チッ、味方のフリしやがった敵って訳か!」

 「邪魔しないでおくれよ」

 『KAMEN RIDE:RIO-TROOPER!』

 

 キャスターは杖を持ち、ディエンドへと向かっていこうとするが、ディエンドライバーの持つライダーカードに描かれたライダーを召喚する能力で呼び出されたライダー兵隊、ライオトルーパーズに囲まれてしまう。

 

 「盗っ人野郎、てめえ勝手におっ始めてんじゃねーぞ!」

 「君も邪魔だよモモタロス、彼と遊んでなよ」

 『KAMEN RIDE:SASWORD!』

 「ケッ、またソイツか!今度はブチのめしてやるぜぇ!」

 

 サソリを象った紫の仮面ライダー、サソードを召喚すると、このライダーと以前戦った記憶があるモモタロスは武器を構えて突撃する。

 

 「さて……士、行くよ?」

 「……あぁ、来いよ海東」

 『FINAL ATTACK RIDE:DI・DI・DI・DIEND!』

 

 ディエンドは必殺技のカードを装填し、銃口を士へと向ける。光のカードがライオトルーパーズとサソードを回収しながら士の胸をロックオンする。

 しかし、まるで待っているかのように士は動こうとしない。

 

 「おい士!何してやがんださっさと逃げろ!」

 「ボーッと突っ立ってるな、死ぬぞ!」

 「門矢 士!逃げなさい、早く!」

 

 モモタロス、キャスター、オルガマリーが必死に声を上げるが、士は一歩も動かなかった。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 先程の人物に吹き飛ばされ、私は気を失いかけているのだろう、意識や視界がハッキリとしていない。

 

 ≪……マシュ……マシュ!≫

 

 誰かが私を呼ぶ。しかし、その声を私は聞いたことが無い。誰かの必死の呼び掛けも無下にしてしまうようで申し訳ないが、私は重い瞼を閉じた。

 

 ≪マシュ……俺はここにいる、目を開けてくれ≫

 

 まだ、謎の声は聞こえる。軽くなった瞼を開くと、そこは炎上している冬木ではなく、真っ白な景色が辺りに広がる奇妙な空間。

 さらに、まだ奇妙なものはある。今、私の前に立っている一人の男性と思わしき人物。彼の体は全身が黒く、大きな真っ赤な目、今の私と同じマークが左胸にあり、彼の頭や胸の辺りや手首足首などに刻まれている黄色と赤のライン、そして白いベルト。

 ただ、彼の大きな目は見えるが、顔の全体像だけが霞がかって見えない。

 

 ≪よかった、ようやく俺に気付いてくれたか≫

 ≪貴方は、誰ですか……?≫

 

 私に力をくれたあの英霊とも違うこの人物に、私は疑問点が幾つも湧いてくる。何故私を知っているのか、何故この場所に彼と共に居るのかと、挙げ出せばキリがないが。

 

 ≪俺は―面―イ――ブラ――、君に力を与えた英霊の一人だ≫

 

 ノイズがかかったように一部が聞こえなかったが、彼が私に力を与えたとはどういう事だろうか。確か、私に宿った英霊は一人の筈では……?

 

 ≪……時間がないな。このままでは士くんがやられてしまう≫

 ≪えっ……先輩が、危ないんですか?≫

 ≪ああ。だから俺は君をここに呼び出した。これから言うことをよく聞いてくれ≫

 

 私は頷く。 先輩に危機が迫っているというのなら、私は放っておく事など出来ない。

 

 

 ≪君に力の使い方を教える。時間がないから手短に話すことになるが――≫

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 そして、士達へと視点は戻る。

 

 ディエンドは引き金を引き、士へとエネルギー波を発射した。士は仲間の必死の呼び掛けも無視し、動きはしない。このままでは確実に士はバーサーカーと同じように消し飛ばされるだろう。しかし、間に合わない。

 

 絶望しかけたその時だった。

 

 

 「あああぁぁああぁぁぁ―――っ!!」

 

 

 なんとマシュが士の前に飛び込み、盾を地面へ突き立て、構えたのだ。

 

 「……ようやく来たか、マシュ」

 

 さらに、その盾から魔法陣のようなものが展開され、エネルギー波から完全に士とマシュを守った。

 

 「……ようやく使えたみてえだな、宝具を」

 

 キャスターは弟子の成長を喜ぶ師のようにニヤリと笑うが、これだけでは終わらなかった。

 

 「先輩を傷付ける者は……誰であろうと許しません!!」

 

 マシュは盾から手を離し、腹部の前で握り拳を合わせる。すると、ベルトが光を放ちながら赤い部分が回転し、マシュにエネルギーを供給していく。

 マシュは再び盾を持つと同時に飛び上がり、マシュのエネルギーが伝わり燃え上がる盾をディエンドに向け構える。

 

 「たぁぁあああぁ―――っ!!」

 

 そのまま重力に従いディエンドへと急降下し、盾を使ったタックルはディエンドを大きく後退させる。

 しかし、まだ終わらない。マシュは再び盾を地面に突き立て、今度はそれを踏み台にしてより高く飛び上がる。

 

 「でやぁああぁぁぁ―――っ!!!」

 

 燃える右足を前に突き出し放ったキックは、ディエンドを吹き飛ばし、大ダメージを与える。

 

 「これは、まずいな……一旦退かせてもらうよ」

 『ATTACK RIDE:INVISIBLE!

 

 カードを一枚装填し、ディエンドは透明化してさっさと逃げていった。

 ぜぇぜぇと息を切らしていたマシュは、士の方へ振り向く。

 

 「やりましたよ、先輩……私、宝具を出せました……」

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 「……結構痛かったなぁ」

 

 海東は変身を解除し、近くの瓦礫へと隠れていた。先程のタックルやキックのダメージは予想以上だったのか、体を撫でて呻く。

 

 「全く……悪者役も楽じゃないね。士が困ってたからやってあげたけど」

 

 愚痴をこぼしながら、海東は燃える街へ消えていった。

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