戦場のヴァルキュリアThe after  Attack of true valkyria   作:ピロッチ

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 ドーモ皆さん、ピロッチです。
先月第4作目が発売された戦場のヴァルキュリアシリーズですが、
今日が第1作発売10周年と言う事なので、これに肖り予てから考えていた
「ぼくのかんがえたせんヴァルごじつだん」として本作を投稿した次第です。

 さて、読むにあたって注意書きを。この作品では…

・作者は「2」以外実機を持っていないので、
 知識情報は基本的に公式設定資料集から集めています。

・他作品からゲスト多数のタグ通り、
 他の版権キャラがゲスト・敵役等として出演します。
 
・当然、元が戦争物なのでバンバン死亡者が続出しますし、
 中には(原作と環境が違うせいで)
 原作とは全然違う性格になってしまったキャラも出て来ます。

・他の投稿作との兼ね合い上、投稿は早くても月1回のペースに成ります。

 それでも構わないなら、続きをどうぞ。


第1章 開戦前夜編
第1話 戦火が迫る


 征歴1940年10月24日 ガリア公国首都 ランドグリーズ

 

「コーデリア女公殿下の即位5周年を1週間後に控え、

ガリア各地ではこの節目の日を祝う準備が進められています。

首都ランドグリーズも即位5周年を祝う祝賀ムード一色に染まりつつあり…」

 

 ラジオから流れるニュースに耳を傾けつつ、元ガリア義勇軍第3中隊長、

今は出版社「ポッテル・パブリッシュ」社長の

エレノア・ポッテル(旧姓バーロット)退役大尉は

仕事の合間を縫ってコーヒーを飲んでいた。

 

「あの戦いからもう5年か…」

 

 5年前、欧州を東西に二分する「東欧帝国連合」と「大西洋連邦機構」は、

汎用鉱物資源「ラグナイト」を巡って開戦。

後世、第二次欧州大戦と称される大戦争の幕は開かれた。

 

 その際、中立国の筈のガリアも帝国の侵略を受けたが、

ガリアは国を挙げて奮闘し、7か月の死闘の末何とか返り討ちにした。

翌年、彼女は軍を退役しかつての戦友にして部下のラルゴ・ポッテルと結婚。

次の年には念願である長男のフレデリック(以下、フレディ)も授かった。

 

 しかし帝国との戦役終結直後にガリア君主コーデリア女公が

自らが被差別民族ダルクス人である事をカミングアウトした事が

新たな戦いの火種となった。

 

 何が起きたかと言うと、ダルクス人を君主と認める気のない一部の貴族達が

有力者ギルベルト・ガッセナール伯爵を中心に「ガリア革命軍」を結成し、

武力で政権を奪わんと内戦を引き起こしたのだった。

 

 ガリア革命軍の勢いは強烈で、ギルベルト伯爵の死と引き換えとはいえ

首都ランドグリーズを占領し、女公を捕える所まで政府軍を追い詰める。

その際、エレノアも社員総出でラルゴの実家近辺に疎開した事が有った。

 

 しかし、ここから政府軍が粘りまさかの逆転。

秋から年末にかけて政府軍は反乱軍を圧倒し、

連邦への逃亡を図る反乱軍の総司令官でギルベルト伯爵の長男

バルドレン・ガッセナール以下伯爵の子女を全て戦死に追いやり、

残党を降伏させた事で、どうにか内戦は終結した。

 

 一方、東欧帝国連合と大西洋連邦機構の戦いだが、

当初帝国が各地で連邦を圧倒し、優位に戦いを進めていたが、

連邦も負けじと反攻作戦「ノーザンクロス」を発動。

述べ600万人を動員して帝都シュヴァルツグラードを南方から強襲する。

この一大反攻作戦は途中までは順調だったが、

予想外に早い冬の訪れと降雪を前に帝都一歩手前で頓挫してしまった。

 

 しかし、連邦が発動したもう一つの作戦「キグナス」により、

あわや帝都が陥落寸前に陥った事で停戦が成立し、帝都は陥落を免れ、

晴れて1000万人以上の死傷者を出した戦いは一応の終結を見たのであった。

 

「(両国共『平和が戻った』と言い張っているが、本当にそうなのか?)」

 

 だが、エレノアにはどうもこの平和が長続きすると信じられなかった。

それと言うのも…

 

「最後のニュースです。ユグド教団の代表、ペロン教皇は声明を発表し、

35年の『女公の告白』に関し、

『ヴァルキュリア人がダルクス人に濡れ衣を着せたとするガリア女公の発言は、

ユグド教団、ひいては欧州の人間社会そのものを揺るがす悪質な妄言であり、

帝国大使を通じて改めて撤回を要求した』と表明しました。

  

これは1935年、女公殿下が自身がダルクス人である事を明かし、

ダルクスの災厄は本来ヴァルキュリア人が起こしたのを

ダルクス人に押し付けたとする物で、

ユグド教団は1936年以降、毎年女公殿下のお言葉の撤回を要請していますが、

女公殿下は『たとえ自分が発言を撤回しても真実は変わらない。

故に、撤回は永久にない』と、あくまで拒絶の姿勢を見せています。

 

今回で通算5度目となる撤回要求に対し、

公国政府は今週中にも回答を帝国大使に伝えるとしています。

以上、GBSのイレーヌ・コラーがお送りしました…。」

 

「はぁ…(あ~バカバカしい。)」

 

 エレノアは盛大にため息をついた。帝国の市民は市民革命を知らない。

それ故いまだに中世的な気質を引きずっており、

コーデリアの告白も信仰対象(ヴァルキュリア)への侮辱としか受け取っていない。

だがまさかここまで悪意を持って受け取っていたとは…

 

「社長ー、お客さんですよー。」

 

 不意に階下から社員の声が掛かる。

 

「すぐ行くわ。」

 

 そう言うと、エレノアは来客を待たせぬように階段を駆け下りた。

 

 

 

 

「隊長、お久しぶりです。」

 

「あらウェルキンにアリシア!

久しぶりじゃない、でももう私は隊長じゃないわよ。」

 

 そこに待っていたのは5年前の第二次ガリア戦役の際、

彼女の部下だったウェルキンとアリシア(旧姓メルキオット)の

ギュンター夫妻だった。

 

「ああ、ごめんなさい、昔の癖で…」

 

「いいのよいいのよ。…ランドグリーズに来たってことは、

ひょっとして『また』慰霊祭に?」

 

「ええ、例によってまた慰霊祭に呼ばれまして、

帰りに折角だから会いにいこうという事になったんです。」

 

「やっぱり!貴方達も大変ねえ。」「ええ、おかげ様です。」

 

 このギュンター夫妻だが、夫ウェルキンはかつてエレノア率いる第3中隊で

第7小隊長として従軍。父ベルゲン・ギュンターの形見である試製戦車

「エーデルワイス」を駆り戦車51輌撃破という圧倒的なスコアを叩き出し、

現時点での戦車撃破総数の世界記録保持者である。その功績から、

国から特別に亡父の二つ名『青い一角獣』の継承を許された事からも

その威名が伺えるだろう。

 

 一方、妻アリシアは小隊付きの軍曹として第7小隊に所属し、

事実上の副隊長として同小隊を支えていたが、

同時に軽武装の偵察兵でありながら1人で通算1個中隊を超える

帝国軍兵士を仕留めた凄腕のエース兵でもあった。

 

 戦後、軍を退いた二人は結婚。ウェルキンは教員、アリシアはパン屋と成り、

今では長女のイサラも生まれ一市民として平穏に生きているのだが、

何しろ功績が功績だけにこの手の慰霊祭にはゲストとして度々呼ばれるのだ。

 

「これも一種の有名税というものかしら。」

 

「そうですね~。元上官としてエレノアさんもぜひ呼ばれればいいのに…」

 

「断固拒否するわ。(ジト目)」「(´・ω・`)」

 

「あー、所で隊ち…エレノアさん…」「久しく会ってない間に…その…。」

 

 そんなギュンター夫妻が言葉を詰まらせる理由、それは…

 

 

 

 

「「(すっかり老けたなぁ…)」」

 

 

 

 

 確かによく見ればエレノアの顔にはしわが目立ち、髪にもポツポツ白髪が。

無理もない、彼女は今年で40歳である。

 

「…ええ、解ってるのよ。去年以降急にね…

人間、年には勝てないのよ…(シュン)」

 

「あっ…」「すいません…」

 

「気にしないで。でも覚えておきなさい。

特にアリシア、貴女もあと15,6年すればこうなるのよ…」

 

「うげ。」←現在24歳

 

 エレノアがアリシアに冗談交じりの忠告をしていると…

 

「ようお二人さん!しばらくぶりじゃないか!元気そうで何よりだ!!」

 

 背後から声を掛けたのは、子供を肩に担ぎ、何やらデカい木箱を抱えた

「いかにも農夫」な格好の屈強な中年男。言うまでもないだろう、

エレノアの夫ラルゴと3歳になる彼の息子フレディである。

 

「やあラルゴ!それにフレディも!!」

 

「たいちょーさん、こんにちわー!」

 

「違うよフレディ、僕はもう隊長じゃないよ~。」

 

「(一同笑う)」

 

 見事なブーメランである。で、ラルゴを見てアリシアが一言。

 

「えーと、ラルゴさん?その抱えてる箱の中身は…」

 

「おう、こいつは家の農場の野菜だよ。

商品にならないけど、だからって捨てるなんて以ての外。と来りゃあ…なあ?」

 

 その通り、社員への差し入れである。尚、結構好評らしい。

 

「ああ、成程ね~。」

 

「そうよ、ラルゴったら月1のペースで3年欠かさず。」

 

「つ、月1ですか?!」

 

「仕方ないだろう?なんせ野菜の出来不出来ってのは自然が決める事なんだ、

こればっかりは人間様と言えども思い通りにはいかねえよ…ほい。」

 

「はい、どうも。」

 

 エレノアがラルゴから野菜の入った箱を受け取ると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴ               キ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アッー!」

 

 エレノアの腰からとても嫌な音が。理由は簡単である。

ラルゴの不格好だけど愛の籠った野菜は40のおばちゃんには重過ぎたのだ。

 

「え、エレノア?!」「ちょっ、エレノアさん?!」

 

「大丈夫ですか?」「ママだいじょーぶ?!」

 

「こ、腰がぁ~!」

 

 エレノア、堪らず腰を押さえて転げ回る。尚、落としそうになった箱は

ギュンター夫妻が慌ててキャッチしたので、中身は無事である。

 

「ら、ラルゴ…いつもはこんなに重くなかったわよ…

アナタ、どんだけ野菜を入れたのよ…。」

 

「ス、スマン…今月は女公様の即位5周年っていうから、

気合入れて目一杯詰め込んだの忘れてた…。」

 

「「ちょっとおおおぉぉぉ!」」

 

 ツッコミを入れつつギュンター夫妻が支えてくれたおかげで

何とか立ち上がれたエレノア。だが、大分ご立腹のようだ。

 

「ラールーゴー?(怒」「アッハイ…」

 

 さあ、きつーいお仕置きの時間である。

 

「アナタ、今月いっぱい野 菜 抜 き。(ニッコリ」

 

「うわああああああああああああ!!」

 

 エレノアからのとびっきりのお仕置きをくらい、

ガリア軍の制服のように真っ青になって絶叫するラルゴ。

 

「そ、それだけは…それだけは勘弁してくれーーーーー!!」

 

「 ダ メ ♪ 」

 

「な、なあフレディ?お前からも何とか…」

 

「パパがわるいよ。(プクー」

 

「あんまりだー、あんまりだー!!(泣」

 

 フレディからトドメを刺されて、余計凹んでしまったラルゴであった。

そしてこのやり取りを見たギュンター夫妻は思った。

 

「(この夫婦の関係って、軍隊時代の上下関係そのまんまなんだな…)」

 

 だがこのままだと尻に敷かれているラルゴが哀れ過ぎるので、

アリシアが急遽別の話題を振る。

 

「で、でも羨ましいですよ。私たちが今のエレノアさんの歳になるまで

仲良しのままでいられて、ましてや子供が出来るかなんて全然解らないだし。」

 

「あら有難う。でもね、40間近にもなって子供ができると大変よ。

私だって『フレディの反抗期と更年期が重なったりしたら』って考えると…」

 

「バッカお前ぇ、俺達が一つの部隊にいたあの頃と比べりゃ、

そんなもん天国みたいなもんだろう!(笑」

 

「それもそうねえ。(4人とも爆笑)」

 

「(ホッ…)」

 

 何とか立ち直ったラルゴのツッコミで笑っている夫婦二組、

だがラルゴにはギュンター夫妻とフレディにどうしても言えない秘密があった。

 

「(言えねえ…絶対言えねえ…新婚三日目に酔ったエレノアに迫られて

渋々手伝った結果がフレディなんて、絶対言えねえ…)」

 

 ご愁傷様。

 

 

 

 

 

 そして…

 

「それじゃあ、僕達はこれで、(イサラ)が待ってますから…」

 

「即位記念日(今月31日)は焼きたてのパンで一緒にお祝いしようかな、

何て考えてるんですよ。」

 

「あら、いいじゃない。そのときはラルゴの野菜も一緒にね。

お嬢さんにもよろしく伝えといて頂戴。…でもラルゴの分はナシよ。(キリッ」

 

「OTL ガックシ…」

 

「あ、あんまりラルゴさんを苛めないであげて下さいね?(苦笑」

 

 ギュンター夫妻がエレノアに別れを告げ、出版社を後にしようとしたその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガランガラン!!ガランガラン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「号外!!号が~~い!!」

 

 ベルを鳴らしながら声を張り上げるのは、

国内最大手の新聞社「ガリア・タイムズ」の号外販売員である。

 

「あら珍しい。号外なんて3年ぶりね(内容は内戦終結を知らせる物だった)。」

 

「でも、なんか様子が変じゃないですか?何というか、その…」

 

「あの人、大分鬼気迫ってますよ?」

 

 確かにその血相がただ事じゃない。よく聞いてみると…

 

「帝国から最後通牒!!帝国がガリアに最後通牒~っ!!」

 

 

 

 

「…えっ?帝国?最後通牒?」「うん、確かに僕にもそう聞こえたけど…」

 

「まさか…ねぇ…」

 

 販売員の言葉に嫌な予感満々の4人、とそこに…。

 

「しゃ、社長~~~~~~~~~~~っ!!」

 

 エレノアの部下の一人が大急ぎで駆け寄る。その手にはさっきの号外が…

 

「どうしたのアンリ、そんなに慌てて!」

 

「はぁはぁ…社長、こ、これを…」

 

 エレノアが息急き切った社員、アンリから渡された号外を受け取ってみると…

 

 

 

『帝国、ガリアに最後通牒!!』

 

「東欧帝国の駐ガリア大使は本日午後、『女公の告白』の撤回要求に対する

女公殿下からの回答を受け取るため宮殿に参内。

宮中で女公殿下自ら撤回拒否の意向を伝えた所、駐ガリア帝国大使は

『帝国は度重なる撤回拒否を最早看過できない。帝国への挑戦と受け取る。』

として、その場で帝国皇帝直筆の最後通牒文を提出した。

 

政府の発表によると、この最後通牒文曰く、

『今月末日までにガリアの国家主権を明け渡し、

未来永劫に帝国領となる事を受け入れねば、教皇の名において

ガリア国籍を持つ全ユグド教信者を破門し、然る後宣戦を布告する』

の事であるらしい。

 

女公殿下はエーベルハルト宰相を通じて軍務省に対し早急な義勇軍召集を命じ、

国民に対し『自分は公国および国民と運命を共にする。

帝国の圧力には断じて屈しないので心配しないでほしい』

とのお言葉を述べられた。」

 

 これを見たポッテル夫妻とギュンター夫妻、異口同音に一言。

 

「「「「また帝国か!!」」」」




 開戦前夜編の通り、実際に戦うのは暫く先の事です。
それにしても、幾ら真実とはいえ女公の告白はどう考えても
教団に真っ向から喧嘩を売っている内容ですよね。
もし「5」が出るとしたら、これを口実に再侵攻を図ったとか何とかで
ガリアはまた帝国と戦わされるのかな…?

 次回「第2話 今再びの召集」
徐々にだが、確実に集まってくるかつての英雄達。
戦いは、もうすぐそこまで迫っている。
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