ダイスを振ってクロスオーバーの転移主人公を決めた。 作:ジム・ビム
早く決闘シーンが書きたい!
ハルキゲニアのトリステイン王国にあるトリステイン魔法学校。
国内外の貴族の子供が多く在籍しているその学校にある広い草原で、2年生へ進級する際に行われる儀式が執り行われている。
生物を召喚する魔法『サモン・サーヴァント』を使い、召喚者の使い魔を呼び寄せ、契約を交わす儀式だ。
すでに多くの学生が自身の使い魔と契約を交わし、次に召喚される生き物が何なのかを興味深そうに見ている。
その見物客となった学生の視線に先に、今まさに召喚に挑もうとする少女がいる。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、この学校でも一番の有名人だ。
魔法が使えない、頭でっかちの落ちこぼれ。
【ゼロのルイズ】の蔑称で蔑まれている彼女は、召喚の儀式に挑もうとしていた。
「大丈夫、私は成功する。成功するのよ…」
自身に言い聞かせ、一度の深呼吸。
自身の周りにはすでに人はいない。
みなすでに召喚を終え、遠巻きにこちらを見ているのがわかる。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン!我の運命に従いし使い魔を召喚せよ!」
呪文を唱えた。
いつもなら魔法を唱えた瞬間に爆発する形で失敗するが、今回は爆発音はおろか、煙すら起こらない。
やがて銀の鏡が現れた。
今まで召喚されてきた時に見た銀の鏡より、遥かに巨大な鏡がルイズの眼前に現れたのだ。
「え…きゃッ!」
20メイルを超える鏡は、出現したと同時に巨大な人型の何かを吐きだすのを見た。
とてつもない轟音を響かせて飛び出たそれは、ルイズを飛び越え疾走し、400メイルほど遠くで急停止した。
―――それは巨人だ。
―――異形の巨人だ。
20メイルを軽く超える巨体、黒く染まった骨しかないように見える全身、ひときわ大きい手とその甲から飛び出る3本の白い角。
その手には鋼鉄製だろうか、一本の剣が握られている。
立ち止った巨人は、観察するように辺りを見回し、やがて茫然と立ち尽くす私たちに気が付いたようだった。
一歩、また一歩と長い歩幅が400メイルの距離を走破していく。
それを見ていた同級生たちも一歩、また一歩と後ろへ下がって行く。
恐慌状態になって散り散りに逃げ出さないのが奇跡だろう。
そして、それを呼びだしたルイズは茫然とその場に立ち尽くしていた。
かの巨人から発せられる轟音が耳を責め立てているのがわかるが、それでも予想外の存在から来る驚愕から抜け出せなかった。
やがてルイズから50メイルの距離を空け立ち止った巨人はゆっくりと跪く。
立ち直った立会人の教師、ジャン・コルベールが、慌ててルイズの前へ庇うように躍り出る。
いつのまにか耳をつんざく轟音は小さくなり、ヒュンヒュンという音となった。
そして巨人の胸部から、人が現れた。
おおよそ0サントはある身長を持った、美しい女性だ。
水晶細工にも例えられるだろうその綺麗な顔立ちは、氷のように鋭い眼をこちらに向けていた。
「―――そなたらに聞く!ここはいずこか!?
我はフィルモア帝国、カンプ・ノイエシルチス所属、リリーマ・フォン・トラスなり!
言葉が通じるなら返答されたし!」
巨人の胸部から現れた女性は、雪山から吹き下ろす風ようなよく通る声で疑問の返答を求めた。
ルイズはハッとして声を出そうとするも、その前に彼女を守るように背を向けるコルベールが声を上げた。
「こちらはトリステイン王国、トリステイン魔法学校であります!」
「……真であろうな!?」
「本当の事です…!杖に誓っても!」
コルベールは焦っていた。
あの女性を一目見ただけで、自身では到底太刀打ちできない存在であると予期したからだ。
ここで彼女を怒らせてはならないと、誠実に言葉を交わすしかないと理解した。
さもなくば後ろにいる学生たちにも危害が及ぶ可能性があるのだから。
「当てはまる国名、地名、いずれも無しか…仕方ない…」
かすかにそう彼女、リリーマが呟くのを、ルイズの耳が捉えた。
そしてリリーマがその場から跳躍し、地面に降り立った。
腰にはあの巨人と同一の形状をした剣を佩びている。
「少し話がしたい。いいだろうか」
「…その前に、後ろの学生たちを学校へ帰しておきたいのですが……よろしいですか?」
そうコルベールは問いかけると、彼女はかまわないと了承した。
即座にコルベールはもう一人の立会人の教師、シュヴルーズへ学生の引率を頼む。
やがて彼女に率いられた学生たちは、自身の使い魔と共に学校への帰路へついた。
コルベールとルイズを残して。
巨人から鳴り響いていた轟音はいつのまにかかき消えていた。
「さて、今一度自己紹介を。
私はフィルモア帝国、カンプ・ノイエシルチス所属、リリーマ・フォン・トラスです。」
「私はトリスティン王国、トリスティン魔法学校で教師をやっております。
ジャン・コルベールと申します。
こちらの学生は貴方を召喚してしまったルイズです。」
そう言ってコルベールは横へ動き、自身の後ろに隠していたルイズを露わにする。
オロオロとコルベールの後ろを見ていたルイズは少し驚き、しかし一歩前に出て自己紹介をする。
「え、あ…!る、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです。」
一例すると一歩後ろへ下がり、コルベールもルイズを半分さえぎる形で彼女を隠す。
ただの自己紹介だというのに、ルイズは冷や汗が止まらなかった。
彼女から発せられる威圧感を感じ、恐怖したのだ。
「ふむ、ではいくつか質問がしたい。よろしいか?」
「ええ、ええ、いきなり呼びだされたのですから当たり前でしょうな。どうぞ。」
そしてコルベールが主導となって話し合いが開始された。