ダイスを振ってクロスオーバーの転移主人公を決めた。   作:ジム・ビム

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一カ月放置して、本当に申し訳ない。
仕事が忙しかったり、FG○のイベントで時間がとれなかったりと書く時間が取れなかった。

今回のお話はいきなり時間が飛んで500年未来の話となります。
この作品は話の合間合間に500年未来の話を差し込みますのでご了承ください。


500.語られるは――― ①

 太陽が少し沈みかけた時間帯、トリステイン・アルビオン双王国 トリステイン学園都市。

 トリスタニアと並ぶ巨大な都市は、かつてはトリスティン魔法学院と呼ばれていた。

 500年前に起きた《100年の変革》により、4000年間続いてきた様々な事柄が変わらざるおえなくなった。

 かつてとは違い、貴族以外でも魔法や騎士、GTMの事について学ぶ場が設けられたこの都市は、その変わらざるおえなかったものの一つである。

 

 中央に聳える1つの塔とそれを囲む5つの塔。

 6つの塔を繋ぐ五角形(ペンタゴン)の形をなす城壁。

 城壁に設けられた門から伸びる、まるで蜘蛛の巣のように張り巡らされた道と、道に沿うように建てられてた大小様々な建物。

 4方3リーグにも及ぶその巨大な五角形(ペンタゴン)の姿を持つ都市の北部、角の頂点に建てられた時計塔で私、ルアラン・ド・ラ・ロッタは偉大なる虚無の魔法使い、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール様から500年前の話を聞いていた。

 

「―――これが彼女との最初の出会いね」

 

 ルイズ様はそう締めくくると、空に浮かばせた紅茶の入ったカップを手に取り口に含む。

 宙に浮かぶルイズ様は、柔らかい安楽椅子に座っているようにリラックスしていた。

 この移り変わっていく世界を見守るため、300年前に自身で作りあげた虚無の魔法で肉体を捨てた彼女は、定期的にこうやって過去を語ることで魂の摩耗を防いでいるのだ。

 

「様々な形で語られている話を、実際に当事者から聞いてみると色々な驚きがありますね」

 

 私はルイズ様の語るお話を打ちこんでいた電子書本を机の上に置き、少し背伸びをしながらそう口を開いた。

 でしょうね、とほほ笑むルイズ様は、宙に浮かばせたソーサーに空になったカップを起き、軽く指をふって紅茶の入ったポッドを呼び寄せる。

 そしてカップに紅茶を注ぎながらルイズ様は口を開く。

 

「このお話は有名だものね。市井で出回っている本には色々な脚色も多いと聞いているわ」

 

「はいそうです。突拍子の無いモノだとルイズ様が虚無で戦い、勝つことでリリーマ様を使い魔としたとされている物もあります」

 

 その頃はまだ虚無は伝説の中のお話だというのに、そう私は苦笑しつつ手に持ったカップから紅茶を飲む。

 

「そうね。あの頃は今と違って虚無はただの伝説、御伽話に出てくる魔法だったわね」

 

「はい。系統魔法も一般市民には使えず、貴族のみが振るえるものとされているのですよね?」

 

「ええそうよ。500年前は、今では常識となっていることのほとんどがなかった」

 

 そう懐かしそうにルイズ様は仰った。

 

「《100年の変革》により様々なモノが一気に広まったのは、学校でも学ぶ常識ですからね」

 

「…あの頃は、激動の時代だったわ。

 東方連合軍によるロマリア連合皇国への大侵攻。

 ブリミル教の革新。エルフとの講和。

 4000年続いてきたことが全て変わったと言っても過言じゃなかった」

 

「《始まりの10年》ですね。騎士とGTMが世に出たのもその頃、と」

 

「ええ、そこから多くの事が移り変わって行った。

 【変異】の魔法が公開され、多くの貴族が騎士となっていったのも。

 【錬金】の魔法が作りかえられ、【錬金術】となったのも。

 《100年の変革》の根底を支えた、全ての技術が出そろった。

 ゆえに《始まりの10年》と呼ばれているのでしょうね」

 

「【変異】も【錬金術】も、どっちも今の世界を支えている魔法です」

 

 もし【変異】の魔法が無ければ騎士という存在は現代に定着せず、【錬金術】が作られなければGTMの生産は不可能だ。

 この二つの魔法はまさしく、世界を変えた魔法と言える。

 そう考えていた私に、ルイズ様は意地悪そうな笑顔でこう仰った。

 

「世界を支える、そういう意味では虚無の魔法は役立たずよね」

 

「え、いえ、そんなことは…」

 

 冗談よ、とルイズ様は頬笑んだ。

 

「では、そろそろ続きを始めましょう」

 

 でなきゃ日が暮れちゃうわ。とルイズ様は呟いた。

 

「あ、はい。お願いします。」

 

 そう私は答えて、机の上に置いていた電子書本を手に取る。

 

「そうね…彼女が召喚された次の日の事よ―――」




オリジナル魔法解説

【変異】
 水の魔法で生物の生体組織を組みかえることができる。
 使用者がドットやラインの魔法使いなら折れた骨をつないだり、切り離された腕や足を繋いで元通りにすることができる。
 トライアングルで遺伝子操作が可能となり、ファティマの製造ができるようになる。
 スクエアで騎士を作ることができるようになる。
 500年後のハルケギニアでは第1級使用制限魔法に指定されており、国家試験を合格しないかぎり使用は禁止される。

【錬金術】
 土の魔法群で【錬金】より純度の高い金属を精製できる。
 【錬金】でひとまとめに行われていた【分解】と【再結合】を二つの魔法に分け、そこに物質の【理解】というプロセスを担う魔法を入れることで完成する。
 ぶっちゃけ鋼の○金術師の錬金術。
 500年後のハルケギニアでは第2級使用制限魔法に制限されており、国家試験を合格しない限り使用は制限される。

【ルイズの作りあげた虚無の魔法】
 正式名称は不明。
 ルイズが一人で作りあげた魔法。
 肉体を捨て、魂のみで現世にとどまる魔法。
 ルイズが使用した後、エクスプロージョンを用いて資料やアイテムを全て破壊したため、どういった魔法なのか全くわからないものとなっている。
 一応第1級禁止魔法に登録されている。

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