『……ランスよ。私とセックスがしたいか?』
破壊神が言った。
「したーいっ!!」
魔王はすぐに答えた。とても元気良く答えた。
『ふむ、素直で宜しい。そんなにしたいのか』
「したい! したいぞバスワルド! 俺様はお前とセックスがしたいっ!」
破壊神ラ・バスワルド。それは神と呼ばれるに相応しいぐらいに神々しい美貌の美女。
その中身が実は結構なお茶目さんだという事がバスリンガルによって判明したものの、それでランスの抱きたい欲が下がるなんて事はない。
破壊神だろうが美女。中身はどうあれ美女。だったら当然セックスがしたい。
「させてくれるのか! そうなのか!」
降って湧いたような絶好の機会、鼻息荒く詰め寄るランス。
『うん。お前がしたいと言うならばさせてやっても良い……が』
「が?」
『いくつか問題がある。それを踏まえた上で判断した方が良いと思う』
一方でバスワルドは、というか翻訳機バスリンガルは落ち着き払ったまま語る。
ランスと破壊神ラ・バスワルドがセックスする上での、問題とは。
『まず第一に、私は破壊神だ』
「そりゃ知っとるが」
『うん、破壊神なんだ。……スゴい?』
「え?」
『スゴいか? スゴいだろ?』
「あ、あぁ、スゴいスゴい」
『そうだろう、そうだろう。……えへへん』
なにやら可愛らしく照れるバスワルド。
勿論ながらバスリンガル越しで。本体たるバスワルドはまるで微動だにせず。
「……で、問題ってなんじゃ」
『あぁ、要するに破壊神というのは破壊する存在、破壊する為だけに作られた存在だ。そんな私には破壊する以外の機能は備わっていない、それは性行為の機能も然りという事」
「なに? んじゃまさか……穴が無い、とか?」
『どうだろう。一応この身体は女性体として作られているので女性器はあると思うけど……神である私のそれがお前達地上の生き物のそれと同じかどうかはよく分からない。確認したことないし』
「うーむ……ま、まぁでも、とりあえず穴があるなら大丈夫だろ……たぶん」
第一の問題として神と人間の差異。
神というのは基本的に上位存在によって生み出されるものであり、その方法も生殖ではない。
となれば性行為の機能も備わってはいないのも当然といえば当然の話……なのだが、ともあれ一応穴はあるようなのでランスは良しとした。
そこに快楽以上の意味が無くとも、とりあえず穴に入れて気持ち良くなれればOKなのである。
『第二に、私はセックスを知らない』
「は?」
『なんせ破壊神だからな。破壊に関する事や汚染された魂の情報ならサーチ出来るが、人間の繁殖行為の情報など私の頭にはインプットされていない。故にお前がしたいしたいと望むセックスなる行為がいかなるものを指すのか、実はあんまりよく分かっていない』
第二の問題として無知。純潔や貞淑を通り越してただの無知。
それが破壊神ラ・バスワルド。神たる彼女は物事をあまりよく知らないのである。
「そうか、まぁそりゃ人間じゃねぇんだもんな……つーか神ってセックスしないのか?」
『それも知らない。私は私を創造した直属の上位神以外の神とは会ったことないし』
「マジか、なんも知らねぇんだなお前……」
『(。ˇ ⊖ˇ)~フフーン♪』
「ふふーんじゃない。けど、セックスをよく知らないのにそれでも俺にさせてくれるのか?」
『あぁ。私はお前に興味があるからな。同様にお前が私としたいという行いにも興味がある』
興味を抱いた男が興味を持つものであれば、同様に興味を持ってみたくなるもの。
知らないけどしてみたい、あるいは知らないからこそ好奇心は旺盛なのかもしれない。
『ただ知らないものは知らないからね。故に私とのセックスはただのセックスではなく無知ックスになるかもしれんが、それでも良いか?』
「おいちょっと待て、そんな単語知ってるって事はお前本当はセックス知ってるだろ」
『いいや知らない、ただ耳年増なだけだ。数千年もの間仕事が与えられず、日々退屈を持て余していた破壊神の頭脳に蓄積された無駄な知識の量を甘くみない方がいい』
「お前……なんか偉そうに言ってるけど全然カッコよくないぞそれ」
ランスは呆れたように呟く。
どうやらバスワルドは長年役目を与えられなかった事で耳年増になってしまったらしい……が。
とはいえ無知だろうが耳年増だろうが、そんな事を気にするようなランスではなく。
「つーかどれも大した問題じゃねーぞ。神だろうが無知だろうがセックスするには問題無い」
『いいや、一番の問題は次だ』
「あん?」
『第三の問題として……ランスよ、そもそもお前にそれが出来るのか?』
つまりはそれが最大の問題。
大前提として、そもそもランスが破壊神ラ・バスワルドとセックスなど出来るのか。
『見て分かる通り、私の身体の周囲には我が権能たる破壊の障壁が張り巡らされている』
「ぬ」
『セックスとは私の身体に触れる必要のある行いだと理解している。となれば私とセックスする為には我が破壊の障壁を突破する必要がある。それがお前に出来るのか、という話だ』
「ぬぬ……」
今だって安全の為に一定の距離を保っている、その理由を思い出してランスは眉を顰める。
破壊神の周囲には触れれば破壊を引き起こす破壊の粒子によるバリアが常時形成されている。
バスワルド曰く破壊の障壁と呼ぶようだが、それは魔人ですらも軽く触れただけで一瞬で命を落としてしまうような代物。最強のバリアで守られた破壊神とどうやってセックスするのか。
『見たところ魔王であるお前の身体は相応に頑丈そうだが、それでも私の破壊の力は神たる証であり純然たる第二級神の権能。触れようものなら魔王であっても命の保証は出来んぞ』
「……ちなみにこれって、お前の意思でバリアを解除出来たりなんかは──」
『無理だな。破壊の障壁は私にも解除不可能だ』
バスワルドはゆっくりと首を左右にふっ……たりはしない、彼女はあくまで不動の存在。
ただその代わりに『フル(・_・ 三・_・)フル』とバスリンガルが否定のジェスチャーを示す。
『先程も言ったが私は破壊するだけの存在だ。私が破壊の力を行使する過程においてこの障壁を解除する理由は何一つ無い。となればこの障壁を解除する機能だって必要無いのが道理だろう』
「ぐぬぬ……融通の効かないヤツ……」
『破壊神は破壊さえ出来ればいいんだもん。バスワルドそういうとこあるから』
破壊神バスワルドの役目。条件を満たしたら地上に顕現して片っ端から破壊して回るだけ。
そんなシンプル構造を重視した為か、破壊の障壁をOFFにするスイッチはバスワルド本人にも搭載されていないらしい。ハッキリ言って使い勝手が悪いのも納得の仕様である。
「なーるほど。これが一番の問題ってわけか」
『そうなるな。この障壁は私にはどうしようも出来ないものだ。なのでもしお前がそれでも私とのセックスを望むのであれば、これはお前の手でなんとかしてもらうしかない』
「ふーむ……」
破壊の障壁。それは文字通りにバスワルドとのセックスを拒む分厚い障壁。
性交も愛撫も何もかも、その身体に触らない事には始まらない。
「よし。そんじゃ触ってみよう」
という事で試してみる。
ランスは破壊神の身体にすっと手を伸ばした。
『え、危険だよ?』
「ちょっとぐらい平気だろ、俺様は魔王だぞ。どれどれ…………痛っ!!」
触れた瞬間、バチンッ! と衝撃。
指先に強烈な痛みが走ってランスは反射的に手を引っ込めた。
『どう?』
「……これ、結構痛い」
『だろうな、これは破壊の力そのものだもん。本来なら触れた指先が消滅しているはず、そうならなかったのは魔王の耐久性故だろう』
「ぬぅ……こりゃ気合で我慢して抱くってのはちょっと無理っぽいな……」
魔王アタックすら相殺する破壊の力、それは魔王の肉体を以てしても無事では済まないもの。
さすがのランスもこの痛みに耐えながらセックスするのはキツい。ハイパー兵器という男にとってはとてもデリケートな部分をこの破壊力の前に晒すのはさすがに腰が引けるようだ。
『o(`・ω´・+o) ドヤ!』
「どやじゃない」
『どうだランスよ、破壊神はスゴいんだという事が分かったか』
「そんなにスゴい破壊神だったら自分のバリアぐらい自分の力で解除しろよ」
『( ˘ω˘ ) スヤァ...』
「寝るな」
ぐっすり寝たふりバスワルド。
破壊の障壁の無敵性といい、神というのはかくも都合の良い存在なのである。
『で、どうする?』
「……ふむ」
『なにか手はあるか? それとも諦めるか?』
「諦めるだと? がははは、俺様にとってこの程度の問題など困難の内にも入らんわ」
とはいえこの程度の困難、たかが破壊の障壁。
魔王ランスはにぃっと笑った。
「自分の能力が制御不能でセックス出来ない、お前みたいな困ったちゃんは他にもいたのでな」
つまり似たような事はすでに経験済みで。
となればその解決方法だっておのずと学習済みなのである。
という事で。
「おーい、ワーグー、入るぞー」
「ランス、どうしたの?」
電卓キューブ迷宮から戻ってきて、場所はアメージング城。
ランスが訪ねたのは魔人ワーグの部屋。
「バスワルドよ、このワーグがお前の問題を解決してくれるぞ」
『ほう?』
「ね、ねぇちょっと……なんか部屋の壁が思いっきり壊されてるんだけど。これ以上その人を部屋の中に入れないでくれない?」
バスワルドが一歩動くだけでザックリ円形に切り取られてしまう部屋の壁や家具類。
せっかく風水的に最適な環境に整えたワーグの部屋が台無しである。
「それが破壊神バスワルド? サイゼルとハウゼルが合体したとかって聞いたけど……」
「そうだ。んでワーグよ、こいつは以前のお前と似たような状態なのだ」
「私と?」
「ほれ、お前は眠りの力が常時出っぱなしで困ってただろ? それと同じで、こいつも自分の物騒な力が常時出しっぱなしで制御出来んのだ」
『(。・ ω<)ゞてへぺろ♡』
「てへぺろって……」
可愛げのある顔文字が表示されたが、初対面で部屋の壁を破壊しといてこの態度である。
さすが無表情鉄面皮の第二級神は面の皮も厚いという事なのか。
「てな訳でワーグよ、ここはお前の力を借りたい」
「それって……もしかしなくても夢操作?」
「そう、夢操作」
魔人ワーグの力といえば、代名詞となる睡眠能力ともう一つ。
対象の意思や記憶や思考など、その内面を変化させてしまう夢操作能力。
「ワーグの時もそうだが、そもそも自分の力が自分で制御出来んというのがおかしい。自分で制御出来てこその自分の力だろうが」
「そりゃそうかもしれないけど……」
「そこで夢操作を使う。バスワルドの頭にちょちょっと手を加えて、破壊の力だって自分の能力なんだから自分で制御出来て当然だと思わせる、制御出来て当たり前だと思い込ませるのだ」
自分の能力が自分には制御出来ない。今のバスワルドは言わばそう思い込んでいる状態。
……とはいえそれでも自分の能力。自分が使用している力が自分自身に制御出来ぬ道理は無し。
なのでワーグの夢操作によってその認識を変更してやれば、意外とあっさり制御出来ちゃうのではないか。それがランスの考えた作戦である。
「でも夢操作は……ランス、夢操作の危険性は前に教えたでしょう?」
「あぁ聞いたな。けどなワーグ、バスワルドをこの状態で放置しとく事の方が危険だろう。このバリアに触れただけでお陀仏なんだぞ?」
「それは……そうかもしれないけど。でも相手の思考を変えちゃうってのは……」
「大丈夫大丈夫。バスワルドは見かけと違って中身は結構なアホだからな。ほんのちょっと思考が変わったって大した問題はあるまい」
「あのねぇランス、そういう問題じゃ……」
「なぁバスワルド。今からお前に夢操作を使うけど別に問題ないよな?」
『夢操作? 夢操作ってなんぞ?』
「そうだな……一種の催眠療法みたいなもんだ」
『ふむ、催眠か。なるほど……』
催眠を掛けて破壊の障壁を解除させる。
ランスの魂胆を知ったバスワルドは『催眠ぐらい別に構わないけど』と答えつつも。
『……ふっ』
と呟き、バスリンガルには『( ´,_ゝ`)プッ』と鼻で笑う顔文字が。
『……ふふふ、しかしだランスよ。お前が思い付いた作戦というのはその程度なのか』
「あん?」
『ふふん、何かと思えば催眠など。この破壊神にそんな小細工が効くものか(フラグ)』
「自分でフラグって言ってるじゃねーか」
「サイゼルとハウゼルが合体したらこんな性格になるのね……なんか意外」
破壊神の深慮遠謀は常人には読めず、彼女は自分自身で盛大なフラグを立てた。
ともあれ、夢操作の許可が出た事なので。
「んじゃバスワルド、とりあえず寝ろ」
『よし来た。……ぐぅ( 。- -。)zzZZ』
「よし寝たな」
「寝るのはっや……」
そしてバスワルドは寝た。
バスリンガルの表示はぐっすりだし、見れば本体たるバスワルドもちゃんと目を瞑っていた。
「よし、じゃあワーグ、やってみろ」
「はぁ……しょうがないわね。どうなっても知らないわよ?」
「大丈夫大丈夫、俺様の考えに間違いはない」
「だといいけどね……」
一種の禁じ手である夢操作だが、魔王様からの命令とあっては仕方無し。
渋々ながらもワーグは眠る破壊神のそばに近付いていく。
「ん……」
「どうだ?」
「んー……なんか、このバリア越しだと……夢の操作が難しい……」
「そこは気合で頑張れ。このバリアは俺様でも痛いからワーグが触ったらヤバいぞ」
破壊の障壁に触れぬよう、四苦八苦しながらもワーグは夢操作能力を行使していく。
これは今とは異なる別の時間軸、別の世界線での話になるが、魔人ワーグの能力というのはこの世界において全てを超越する究極的な存在と言える相手にも通用してしまうような驚きの代物。
故にそれは第二級神という神格を持つ破壊神ラ・バスワルドにも問題無く通用した。
そして破壊神が見ていた夢は改竄されて。
同時に自己認識が改竄されて──そして。
「おーい、バスワルド、起きろー」
「………………」
『……むにゃ?』
そして、バスワルドは目覚めた。
ゆっくりその目が開かれて、それまで機能停止中だったバスリンガルにも反応が。
『……で、何が変わったの?』
「そりゃお前の頭の中身がだ。……変わってるんだよな? ワーグ」
「うん。夢操作は成功しているはずよ」
「よし」
ワーグによる夢操作は成功した。バスワルドの自己認識は改変された。
これで問題は解決したのか。ランスはおほんと咳払いをして、
「なぁバスワルド」
『なに?』
「さっきから気になっていたのだが、お前のバリアが邪魔だ。せめて室内に居る時は解除しろ」
『あ、それもそうだね』
するとバスワルドはあっさり答えて。
『はい、消したよ』
周囲を覆う黒色のバリアが──消えた。
至ってなんでもない事のように、あっさりと破壊の障壁を解除してみせた。
「出来るじゃねーか」
「出来たわね……思い込みってスゴい……」
出来ると思い込んだから出来たのか。あるいは出来ないと思い込んでいただけなのか。
理由はどうあれ問題は解決した。ワーグの時然り、物事は切っ掛け一つで好転するようである。
「そもそもが神のくせして自分のバリアすら消せねーってのがおかしかったんだ」
『どういうこと? 私は破壊の障壁を消す事ぐらい簡単に出来るけど』
「つってもさっきまでは出来なかっただろ」
『馬鹿を言うな。我は破壊神ぞ?』
「いやでも現にさっきまで──」
『我が破壊の力が破壊神たる我に制御出来ぬはずがないだろう。あまり破壊神をナメるなよ?』
「…………なんか、イラッとくるな」
「しょうがないわよ、自己認識が変わっているんだから……確かにイラっとはするけど」
夢操作では改変前の自己認識を持ち得ぬ為、認識上において周囲とのギャップが生じてしまう。
それが難点といえば難点だが、ともあれ厄介だった破壊の障壁は消えた。
という事で。
「さてさて……改めて、バスワルドよ。よくぞ俺様の部屋に足を踏み入れたな」
『ん』
所変わってランスの部屋、魔王の寝室。
ここに招かれた女性がどうなるのか、魔王から下される運命とはただ一つ。
「いよいよお楽しみの時間だ。セックスしていいって言ったのはお前だったもんな」
『うん』
「その言葉に二言は無いよな?」
『うん』
すでに合意は獲得済み。
バスリンガルを通じてこくこく頷くバスワルド。
『でも……』
「なんだ」
『……あれー? なんか大きな問題があったような気がするんだけど(●´ ^`)ンー?』
「無い無い。そんなもんは無い」
『んー……そっか、それもそうだな』
バスワルド自身は忘れているものの、元々あった問題もすでに解決した。
破壊の障壁もすっかり消え去って、もはやその身を守るものは無し。
「ではバスワルド! セックスといくか!!」
『いいだろう! 掛かってくるがよい!!』
そんな勇ましい応酬が開始の合図。
こうしてランスと破壊神ラ・バスワルドのセックスが始まった。
「んじゃまずはこれを……」
すぐさまランスの手が伸びて、破壊神の胸元で交差する帯をひょいと掴む。
「ぬぅ……この服どうやって脱がすんだ? 背中で結んでんのかこれ?」
『え? 服を脱ぐの?』
「そりゃそうだ。セックスをするんだから服を脱ぐのは当然だろ」
『えー……でもでも、殿方の前で肌を晒すなんてバスワルド恥ずかしいっていうかー……』
「今更何を言っとる、とっとと脱げ脱げー!」
『きゃーー!!(´>ω<`)』
ランスの手が破壊神の身を覆うドレスを強引に剥ぎ取っていく。
バスリンガルから聞こえる悲鳴を無視して、一枚二枚とぽいぽい投げ捨てられて。
『うぅ……女性の服を無理やり脱がすなんて……ひどい……』
あっという間に生まれたままの姿(人間基準)になったバスワルド。
「おほー、分かっていた事だがやっぱりイイ身体しとるではないか、ぐふふふ……!」
服の上からでも分かるしっかりとした凹凸、出る所は出て締める所は引き締まった身体。
神の如き美貌に相応しい魅惑の身体に魔王ランスもご満悦。
「……………………」
一方で彼女は。
裸に剥かれて、好奇の視線でじろじろ観察されても破壊神バスワルドは一切動じない。
相変わらずの沈黙を貫いたまま、その表情だって眉一つ動かさない。
『あびゃびゃびゃびゃびゃびゃ』
「おい」
『むりむり。マジむりマジむり。はずい』
「おい、もうちょっと色気を出せんのかお前は」
『翻訳機が悪い!! 本当のバスワルドはもっと色気ムンムンだもん!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!』
しかして中身は別。
鉄壁の破壊神バスワルドも内心ではちゃんと羞恥を感じているらしい。
『ひ、人前で裸になるのがこんなに恥ずかしかったなんて……うぅ、ギブしちゃ駄目?』
「駄目に決まっとるだろ。セックスしていいって言ったのはお前の方なんだからな」
『ぐにゅぅ……』
「てな訳で……まずはおっぱい! あそーれもみもみーっと!!」
『あっ──!』
次いでランスはその胸に手を伸ばした。
サイゼルやハウゼルと同じサイズの双丘をもみもみ揉みしだいてみる。すると、
『やんっ!』
とか。
『ぁんっ!』
とか。
一応バスリンガルから嬌声めいたものは聞こえてくるのだが。
「……………………」
しかし──その本体たるバスワルドは。
「……もみもみ、もみもみー……」
「……………………」
「……あの、バスワルドさん?」
「……………………」
その胸を揉もうとも、何をしようとも。
相変わらず破壊神の表情に変化は無し。鉄壁を誇る鉄面皮はびくともしない。
「……………………」
「こ、これは……」
これにはランスも堪らず息を呑む。
反応が無い。おっぱいを揉んだ事によるリアクションが何一つ感じられない。
過去、反応が薄めの女性を抱いた経験は幾度とあれども、ここまでの無反応となると……。
「これは……すげーマグロ女……」
『まぐろ? 食べたいのか?』
「いや違う……てかお前、せめてもうちょっと女っぽい反応する事は出来んのか」
『え、してると思うけど。はずいし、くすぐったい感じがして、ぞわぞわしますよ?』
バスリンガル曰く、バスワルドはこれでも反応をしているつもりらしい。
これが神と人間の認識の違いなのか、ランスには理解の及ばない話である。
「ぬぅ……これじゃあせっかくの初セックスが盛り上がらんな。……しゃあない」
『どうするの?』
「奥の手を使う。こんな時用にイイ物があるのだ」
そう言ってランスが取り出したのは……。
「じゃじゃーん! 伝説の媚薬~!!」
『伝説の媚薬?』
「イエース。これを使えば無表情無反応のままではいられんはずだ」
伝説の媚薬。それはAL教にバランスブレイカー認定された女性に対する特効薬。
その効果といえば、たとえ神であろうとも一滴で腰砕けにしてしまうというのが売り文句。
『ふふん、何かと思えば媚薬など。この第二級神にそんな小細工が効くものか(フラグ)』
「だからフラグって……いや、もうツッコまんぞ」
伝説の媚薬をぽとりと一滴、無言を貫くバスワルドの口に流し込んだ。
すると──
『…………ん?』
「来たか?」
『…………ぴッッッ!?』
「来たっぽいな」
バスリンガルにはすぐさま反応が起きた。
体中を駆け巡る快楽と熱の衝撃、それは性交初体験の破壊神には驚愕を超えていたらしく。
『ひゃ、にゃ、な、にゅに゛ゅ……! ら、らん……す、なにこれ……!!』
「これが伝説の媚薬だ。第二級神には効かないんじゃなかったのか?」
『あれは、ちょっとした破壊神ジョークで……! ふひゃっ! は、か、からだ、が……!』
フラグ通りに伝説の媚薬にやられて、バスワルドは身体の感度がスゴい事になっていた。
バスリンガルの表示は『(´◕ฺω◕ฺ`)✪ฺω✪ฺ)◕ฺω◕ฺ)♉ฺA♉ฺ)☼ω☼)❝ฺω❝ฺ)◉ฺ。◉ฺ)☉ω☉)』と訳の分からない事になっているが、とにかく混乱しているのは伝わってくる。
「………………」
そしてそれは、本体たるバスワルドも。
「…………っ」
「お!」
「…………ん、くっ」
その顔に、変化が。
「……ふっ、ん……っ」
「おぉ! あの鉄面皮が崩れてきてるぞ!」
伝説の媚薬の効き目は上々、鉄壁を誇るバスワルドの表情が遂に歪んだ。
「ん……うぅ、ん……」
「ほぉ……エロい。元が鉄面皮だとこの程度の反応でも中々唆るではないか」
「っ……は、ぁ……」
破壊神の呼吸が荒くなる。
次第に肌の色には赤みが増して、よく見ればうっすら汗が浮かんできてきた。
「よーし、これなら楽しく抱けそうだな! さぁバスワルド、覚悟はいいか!」
『ら、らめぇぇ……♡ こんなの、こんなのバスワルドおかしくなっちゃうぅ……♡』
そしてその中身といえば、すでに十分なぐらい出来上がっているようで。
「……ん、はっ、ぁ……!」
「いざ! 破壊神を抱いた男になってやるぞー!」
『ら、ランスぅ……だめらってばぁ……♡』
「ええい、セリフにハートマーク付けながら無駄な抵抗するんじゃない! てりゃーーーっ!」
『ぴゃーーーーー♡!?』
何処か色気の無い悲鳴と共に、ランスは破壊神ラ・バスワルドとのセックスを楽しんだ。