「と、いう事で」
「うん」
「今の世界の形についてな、ホーネットから言われて色々考えてはみたのだが……」
「うん」
「ここはあえて君に任せようと思う」
「……わたし?」
なんでわたし? と言いたげにこてりと小首を傾げる。
呼び出されたのは──訳も分からずきょとんとした様子の魔人シルキィ。
「え、ほんとになんで私?」
「いや実はな、俺様はふと思い出したのだよシルキィちゃん。君が前に話してくれた事を」
対して魔王は得意げな顔。
ランスにとって、今の世界の形だとかはやっぱりどうでもいい。
一方でどうでもよくない事もある。目の前にいる魔人の事だってその一つ。
「この世界の形ってのは、元々は君が頑張った結果だったよな?」
「あぁ、その話……ええっと、そうね、でも別に私がどうこうしたって訳じゃなくて、私の要望を聞き入れたガイ様がそうしてくれた結果っていうか……」
それはGI期初頭、戦士シルキィは魔族の長を討伐するべく魔王の城に単身乗り込んだ。
襲撃は失敗に終わったものの、その強さと行動力、正義感や勇敢さなどを評価した魔王ガイは戦士シルキィに対して「自分の配下となれ」と命じた。
それを受けてシルキィは「人間が平和に暮らせる世界を作ってくれるならお前の配下になってやる」と返した。魔王ガイはその要望を聞き入れて、この世界を人間と魔物の世界に二分した。
「で、大事なのはその次だ」
「その次?」
あの時に聞いた話。その内容を思い出すランスの眉間にぐっと皺が寄る。
「あぁ、俺様はちゃーんと覚えているぞ。君はガイに夢を叶えて貰った、その返しきれない恩に報いる為、あいつに忠誠を捧げたんだとか言ってたよな」
「え、えぇ。そうだけど」
魔人四天王シルキィ・リトルレーズン。情に厚い彼女が約千年間にも渡る忠誠を捧げる先。
それは平和を実現させてくれた魔王。それは彼女にとってかけがえのない存在と言える。
「それ……俺様もだよな?」
「え?」
その事を理解した上で、ランスは堂々とそんな言葉を口にした。
「だってほれ、今の魔王はこの俺様だろ?」
「うん」
「んでな、俺様だってこの通り世界を二分したままにしている。これはつまりガイが君の為にしてやった事を、この俺様だって同じようにしてやってる事になるよな?」
「それは……えぇ、そうね」
「だろ? ってことはだ、君はこの俺様にも忠誠を捧げる必要があるって事になるよな」
「それは……まぁ、うん」
問われたシルキィは若干困惑しながらも頷きを返す。
世界を二分して統治する。魔王ガイの施策を現状は魔王ランスもそのまま維持している。
となればそれが夢だと語る者にとっては。自分は魔王ガイと同等の存在だという事になるではないか。それがランスの主張である。
「俺様はぶっちゃけ今の世界の形とかはどうでもいい。興味ねーし。だから番裏の砦とマジノラインについてはそのままにしたっていいし、あるいはぶっ壊したっていい」
「ランスさん……」
「でもシルキィちゃんは嫌だろ? 今の世界は君が望んだ形なんだから、このまま現状維持が君の望みだろ?」
「それは……うん、そうね。叶う事ならそうして欲しいかな。人間が魔物に支配されずに日々を生きる事が出来る世界がいい、私が生まれた頃の世界になんて戻したくないわ」
「だよな」
シルキィがそれを望む事は分かっていた。というよりも旧ホーネット派の多くは穏健派であり、旧ホーネット派が多く住むこのアメージング城城内では魔王ガイの施策を引き継ぐ事を望む声の方が多い。
加えてシィル等人間達の意見もあえて聞かずとも分かるようなもの。少なくともランスの周囲では、現状の体制を維持した方が喜ぶ者が圧倒的に多いと言える。
「んでさっきも言ったが俺様にとってはどうでもいい事だからな。君がそうして欲しいっつーならそうしてやってもいいのだが……」
そこでランスはこれ見よがしにチラッと視線を投げて、
「だったら……分かるよな?」
「……ええっと」
「分かるよな?」
「………………」
その目が何を期待しているのか。
まぁ、分かるかと問われれば、分かる。ここまで言われてわざわざ考えるまでもない。
「……ガイ様に忠誠を捧げるみたく、ランスさんにも忠誠を捧げろってこと?」
「そうそう、そういう事」
「………………」
魔王ガイと同じ事を成している自分にも、ガイに捧げていたような忠誠を。
そんな事を言われたシルキィは眉間を歪めて、ものすごく頭の痛そうな顔になった。
「あの……あのね? ランスさん」
「おう」
「えっとね、こんな事あえて言うような事じゃないとは思うんだけど、当たり前だけど私は魔人四天王として、魔王である貴方に対して忠誠を捧げるつもりでいるわよ? 貴方が魔王に就任したその日からそうしているつもりだし、忠誠を捧げろなんて言われても正直今更感が──」
「いや、それは違う」
「えっ」
その言葉を遮って魔王ランスは即座に首を横に振った。
魔人四天王として、シルキィは魔王ランスにしっかりと忠誠を捧げていたつもりだった。しかしどうやら当の魔王が言うにはそうではないらしい。
「ち、違う?」
「うむ、違うのだ」
「そ、そんな事は……ない、と思うんだけど……でも、そうね。貴方がそう言うのなら……」
自分の認識と他人からの認識が異なるというのは往々にてある話。
当代の魔王から直々に「忠誠心が足りない」と言われては頭を垂れる以外に選択肢はない。
シルキィは即座にその場で跪いて深く頭を垂れた。
「誠に申し訳ございませんでした。これからはもっと真剣に、全身全霊を込めてお仕え致します」
「いやいや違う違う、そういう事じゃないんだって」
「えっ?」
「そうじゃなくてだな、もっとこう……忠誠心っつーよりは……なんだろな、真心込めて? もっとこう熱っぽくっていうか……ほれ、なんとなく分かるだろ?」
「……ううん、ごめんね、全然分からない」
立ち上がりながらシルキィは困りきった顔で答える。
ランスは何が言いたいのか、何を求めているのか。単純な忠誠とは異なるようだが、しかし真心とか熱っぽくとか言われても訳が分からない。
「ううむ、言葉にするのが難しいな……」
「それを要求される方はもっと難しいんだけど……」
「要するにあの時の顔だ。以前に君が過去の話をしてくれた時の、あの顔」
ランスは思い出す。以前にシルキィから魔王ガイとの出会いなどの話を聞いた、あの時。
あの時に魔王ガイへの思いを語っていたシルキィの表情、それが深く印象に残っていた。いや印象に残るというか、端的に言えばムカムカしていた。
単なる忠誠とは違う、単なる忠誠を超えたものがその表情に表れていたからだ。そういうのを目にするとランスはムカムカするのである。
「ただの忠誠って感じじゃなくて……もっとほわっとしてて、真心いっぱい夢いっぱいって感じの……」
「……え。私、そんな顔してた?」
「してた。だから俺様もそんな感じがいい。単なる忠誠だけじゃなくて、もっと愛情満タンで、更にその中にほんのりとした色気と若干のエロスが混じっているような……とにかくそんな感じの顔で頼む」
「そ、そんな事を言われても……!」
注文されている内容が分からない。あまりの無茶ぶりにシルキィは顔を上気させて声を荒げる。
しかし我儘魔王ランスが欲しいのは単なる忠誠ではなく、シルキィが魔王ガイに向けていたような感情。ザックリ言えばそんな感じの忠誠。
なんせあの時色々とムカついたから。まるで昔の男の影がチラつくみたいでとってもムカついたので、ならばと今魔王になったランスはそれをそのまま手に入れてやろうと考えたのである。
「いいかシルキィちゃん! 君はあの時自分で言ったんだぞ!! ガイの事はエロ的な感情こそ無いものの好き好き大好き愛してるーって!」
「言ってない! そんな事は誓って絶対に言ってない!!」
「いーや言ってた! 似たような事は言ってた!! んでそれはガイが君の夢を叶えてくれたからだ、人間の世界が平和になって嬉しかったからだろ!?」
「そ、そりゃ嬉しかったけど……っ!」
「だったら俺様もそうしてやる!!」
世界の形の現状維持、その決定権を持つ魔王は堂々と宣言する。
「君がそうして欲しいっつーなら今の世界は今まで通り、ずっとこのままにしといてやる。俺様だって君の夢を叶えてやる!」
「……う」
「どーだシルキィちゃん、嬉しいだろう!?」
「ぁ、あうぅ……」
「嬉しいよな!? 嬉しいはずだ! つーことは! 君は俺様に対しても好き好き大好き愛してるーになるべきだ! そうだろう!」
「え、えぇと……あ、うぅぅ……!」
溜らずシルキィは小さな呻きを漏らす。
そりゃ嬉しい。人間世界に住む人々が平和なままでいてくれたらこの上なく嬉しい。嬉しいけど……しかし好き好き大好き愛してるーなんてそんなの、あまりにも恥ずかしい。
そんなものを求められる事自体も恥ずかしいのだが、そんなものを真っ向から堂々と要求してくるランスの熱量がとても気恥ずかしい。
「わ、わたし、そんな事を言われても……!」
とはいえ困った事に元々は自分が蒔いた種、それを逆手に取ってくるランスの要求は理屈としては理解出来てしまう。
人間が魔物に虐げられない世界、それを叶えてくれた魔王ガイに自分は生涯を賭した忠誠を誓い、この千年間奉公してきた。そう宣言したのは自分であってそこに噓偽りは無い。
であれば、それを引き続き叶えてくれると言うランスにも同等の忠誠が必要だと言われれば確かにそうなのだろう。それがどうも単なる忠誠じゃなく真心とか夢とか愛情やエロスが混ざってないといけないらしいが、人間世界の平和を維持する対価としては破格の安さと言える……が、ただ恥ずかしい。とにかく恥ずかしい。
「……あの、わたしね、ちゃんとランスさん相手にも忠誠を尽くすつもりでいるのよ? それじゃ駄目なの?」
「だーめ。この先またあの時みたく『私は魔王ガイ様が好きなんですー』みたいな顔されるとムカつくからな」
ムカつくから、過去を望みや想いを上書きして自分のものにする。
どうやらあの一件はよほどランスにとって男のプライドを逆撫でするものだったようだ。特に超・挑戦モードで実際に魔王ガイと相対した事で、その感情はランスの中で徹底的なものになっていた。
「いいか! 君はもう俺様のものだ!」
「そ、それは……はい」
「なんせ運命も繋がっているし!」
「それは言わないで……!」
「そんで俺様はガイに勝った!! あの二つに割れた生意気な顔をこの手で直接ボコボコにしてやった!」
「……超・挑戦モードだっけ? ホーネット様から話は聞いたけど……」
「そう! つまり全てにおいて俺様が上! ありとあらゆる面においてアイツよりも俺様の方が上回っているのだ! だから──」
と、そこで。
「……いや、待てよ?」
熱弁を振るうランスの動きが止まった。
「……いいや、違うな。そうだ、考えてみればこれでは駄目だ」
「駄目って、なにが?」
「これではあの髭親父とやってる事が同じだ。それではあいつを上回ったとは言えん」
この世界を人間世界と魔物界とに分けて、それを世界の形として維持して統治していく。
その行いは魔王ガイと全く同じ、同等のもの。無論それでもシルキィにとっては大きな価値があるものに違いないが、しかしランスが求めているのはそれ以上。
魔王ガイと同等、ではなくて魔王ガイよりも上。それを証明しなければこの鬱憤は収まらない。
「うむ……そうだな。よし、じゃあこうしよう、シルキィちゃん」
「な、なに?」
古の時代、戦士シルキィと魔王ガイが交わした約束、それを上回る方法。
一番手っ取り早いものを思い付いたランスの目の奥がギラリと光った。
「魔王ガイ。あいつはケチだ。ケチな髭野郎だ」
「……えっと」
「俺様はあいつみたくケチな男ではない。という訳で、もう一つ願いを叶えてやる」
「も、もう一つ?」
「うむ。君は魔人になる見返りに今の世界の形をガイに要求した。だったら俺様は追加でもう一つだ。この世界の形の現状維持に加えて、もう一つ君の望みを叶えてやろうじゃないか」
実にグッドなアイディア、これでヤツの上をいく事になるぜとランスは笑う。
魔王ガイが叶えた望みは一つ。一方で自分が叶える望みは二つ。そうすれば単純に二倍の価値となるし、なによりも器のデカさが違う。
一つしか望みを叶えてくれないケチくさい魔王とは違う、男の器量のデカさを見せつける事で、魔王ランスは完全勝利を手にするのである。
「ほれ、なんでもいいぞ。言ってみろ」
「そんな、望みなんて……」
「なんかあるだろ。なんでも叶えてやるぞ。魔王である俺様に不可能なんてないからな」
「えぇ~……」
シルキィは困惑げに眉を下げる。
なんでも叶えてやると言われても、困る。ハッキリ言って困る。
そう言われてポンと望みが思い付くような、ランスみたいな性格ではないのである。
「別に……私は……」
平和な世界というこの上無い夢を叶えて貰って、更にもう一つを望むなんて。
欲張りが過ぎる気がしてならない。ましてやその対価となっているものがものでは。
「……ねぇ、ランスさん。どうしてそんなにするの?」
しばし躊躇っていたシルキィだったが、やがておずおずと口を開いた。
「どうしてって?」
「だって、そんな、私なんて……魔人シルキィなんてランスさんにとっては自分に仕える魔人の一人に過ぎないでしょ? それなのに……」
欲しいのは愛情たっぷりな忠誠──らしいが、いずれにせよそんなものを対価にして望みを叶えようとする理由がよく分からない。
シルキィとしてはすでに魔王に対して忠誠を捧げている。だから抱かせろと言われれば一も二も無くこの身を捧げるつもりだし、実際そうしてきた。
それで十分ではないのか。その上で尚、こうやって自分の望みを叶えようとしてまでそれ以上のものを欲しがる理由が分からない。シルキィは自分の女としての価値を消しゴム一つ分ぐらいにしか感じていない為、余計にそう考えてしまうのである。
「一魔人の望みを叶えるだなんて大それた事、ガイ様がしてくれた事でさえ異常なのに……特定の魔人を特別扱いするのは良くないと思うの」
「魔王の俺様が誰を贔屓しようが俺様の勝手だろう」
「それはそうだけど……それでも、ランスさんの周りには私なんかよりも魅力的な人が沢山いるでしょ? わざわざ私を気に掛ける必要なんて……」
「大丈夫だ、君は可愛い、自信を持て」
「いっ、……い、いらない。そんな自信いらない……!」
魔人シルキィ・リトルレーズン。彼女は女の子扱いされると弱い。
赤く染まった両頬を押さえて小さく俯いた。行為中でもない素面の時にそういう事を言われるとどうすればいいのか分からない。
「あぁもう、へんな事言うから顔が熱くなってきちゃったじゃない……!」
「君って素っ裸を晒しても恥ずかしがらねーのにこういうのは恥ずかしがるんだよな」
「それは……そういう訳じゃなくて……」
「つっても現に恥ずかしがってるし」
「だから……それはぁ……」
そういう訳ではない。──と、シルキィ自身はそう思っている。
女の子扱いされると弱いなどと、そんなのは謂れも無き冤罪である──というのが自己認識。
シルキィ・リトルレーズンは戦士、戦士たる者、軽々におだてられて頬を朱に染めるような乙女思考など持ち合わせてはいない、はず。
(そうよ……少なくとも以前までの私なら……)
この千年近く、魔人四天王として魔王に忠義を捧げてきた自分であればそうだったはず。
そんな自分が、今こうして熱の籠るその顔に恥じらいを浮かべちゃったりしているのは。
(うぅ……やっぱり、あれが原因なのかなぁ……私の、逃れようのない運命が……)
あの日。運命の赤い糸に導かれて電卓キューブ迷宮に訪れたあの日から。
あの日からなーんかランスが気になる。というか、気にしまいとしていたものを直視せざるを得なくなったと言った方がいいのか。
運命の繋がりを実感して以降、変に意識して恥ずかしくなる事が増えた、そういう訳ではないとも言い切れない自分がいるのである。
(……はぁ)
だからこそ、先程からの話にもシルキィは困っている。
(が、ガイ様に向けていたのと同じ想い、かぁ……)
先程からの話を要約するにそんな感じの忠誠心を魔王ランスは要求している。
具体性の無い、その言葉の意味が分からない──というのは恥ずかしさから出てくる建前で。
実際は今の自分なら、やろうと思えば出来てしまうような気がするから困っているのである。
「……うぅ、わかった、分かりました」
「分かったってなにが?」
「ランスさんがとーっても強情で、私なんかじゃどうやっても逃れられそうにないってこと」
「そりゃそうだ。俺様は魔王様だぞ」
そういう意味じゃないんだけどなぁ、とシルキィは心の中でだけ囁く。
「だから……あの、ぜ……」
「ぜ?」
「ぜ、善処します……」
こんな感じで望まれて、その度に煙に巻いてうやむやに出来るような器用な性格はしていない。
嘘が吐けない性格の自分は正直に生きるしかない、シルキィは絞り出すように答えた。
「善処?」
「うん。私なりにだけど、ランスさんの要望に応えられるように頑張ってみるから」
「おぉそうか、うむ、それならばよろしい」
「お、お手柔らかに……」
いずれこの気恥ずかしさにも慣れる時が来るのだろうか。
その時の自分はどんな表情をしているのだろうか。分からない。魔人四天王でも千年間生きても分からないものは沢山あった。
「それはそうと、もう一つの望みは本当にいらんのか」
「うん。本当にいらないけど」
「でもこれは俺様がガイよりも器のデカい男だと証明する為に必要なのだ。なんでもいいから言ってみ」
「それなら……今後も、私をランスさんのお側に置いて欲しい、かな」
「え? そんだけ?」
世界の平和とは比べ物にならない程小さな望みにランスは目を丸くする。
「そんなんでいいのか?」
「うん」
「……きみ、欲無いな。それじゃこれまでと特に変わらんぞ」
「……そうかな。これまでと変わらないってことは……ないと思うけど」
一番に望むものは永遠に変わらない、それは千年前すでに貰っている。
そして二番目に出てきたものがそれなのだとしたら、たった一年と半年程での自分に変化にビックリだなとシルキィは思うのだった。
──こうして。
魔人シルキィの望み通り、魔物界と人間世界の状態は現状維持とする事が決定した。
境界線が破壊される事はなく、引き続き世界は二分されたまま。
そうした決定が大々的に発表されるような事も無く、対外的は静観を貫いたまま。
ランスの興味もすぐに失せてどうでもよくなった事柄の一つでしかないのだが、しかし変わらない現状に不満を抱く声は続く。
ただそれでも派閥戦争にて多数派だったケイブリス派が敗北してまだ間もない時勢。不満はあれども魔王相手に反旗を翻そうなどとは普通は考えないし、その力も無い。
それは当たり前の状態とも言えるが、しかしそれは魔物界においての話。
つまり現状に不満を抱く声の一つは、今となっては近くなった人間世界の方からも。