9・イレブン~突然野球部がなくなったんでサッカー部に入って頑張りたいと思います~ 作:七竹真
そのあと伊庭たちと部室で会って、鳥本に会いに河川敷に行くことになった。
「うわー、広いなー。こんなとこに、サッカーグラウンドがあるなんて俺知らなかったよ」
「学校から離れてますしね~」
「しかし、あいつらうまくないか?」
「うまいな。確実に俺たちよりうまい」
「おい、お前らマジで言ってんのか?」
「当たり前だろ、桐ヶ丘!俺たちサッカーライフ2日目のド素人だぞ」
「・・・帰ってパスとドリブルの練習して来い。メタル、お前が付いてろ」
「えー、そんな。こっから遠いんですよ」
「ランアンドゴー。アナザーぷらくてす!」
「わかりましたよ」
という桐ヶ丘の一言で、俺たちは学校に戻ることになった。その時メタルがぼそっと言った一言は忘れられない。
「桐ヶ丘君、発音下手ですね」
そういうのは言わない約束でしょ
「何か言ったか?」
「いえ、何も」
お前弱っ!
「そか、頑張って来いよ」
「おう!」
「1・2」
「「「1・2」」」
「1・2」
「「「1・2」」」
野球部のころやっていたランニングで、学校まで戻る。ちなみに、「1・2」が俺で、「「「1・2」」」はメタル、伊庭、氏家の三人だ。
学校が見え始めたころ、俺は、一人の生徒が校門から出てくるのが見えた。2年で、玉坂の番長である岩井門太だ。そこで俺は、ふとある考えが頭をよぎった。
「岩井~!」
「!!岩井さんにむかって呼び捨てとは、許せねえでガス!」
そう言って飛び出してきそうになった子分を制し、
「何の用だ」
とドスのきいた声で言ってきた。
「お前、サッカーやらないか?」
「はっ、何を言っている?サッカーだ?そんなガキの遊びなんて俺はーしねーよ」
「そうでガス、そうでガス。やらないでガスよ!」
「いいじゃん、やろうぜ!」
俺がこのやり取りをしている後ろで、
「あ、あれって玉坂の番長である岩井先輩ですよね?」
「ああ。そうだ」
「な、なんてことを!下手な真似をしないでください」
とみんながコソコソと話しているのが聞こえる。それを気にせずに俺は続ける。
「お前のその筋肉で覆われた鎧の肉体があれば絶対いいDFになれると思うんだ」
「ふん、たわけたことを」
たわけて!お前は何時代の人間だよ!と思いつつ、
「その鋼の肉体とボディバランスを俺たちにくれ!この通りだ!!」
俺は、DOGEZAした。そうしてでも岩井は強いだろうと思い、チームに欲しかったからだ。俺たちが今必要なのは、プレイヤーとしての才能が、必殺技の才能があるやつだ。九花と桐ヶ丘はもう持っているらしいけど。
「お前たちも!」
メタルたちにも促すと、
「ちょ、ちょっと待ってください。ど、どうして、彼を誘うんですか!学校一の不良を!」
「お前が言ってた良いDFの条件にぴたりとあてはまりそうだから」
「チームとしてまとまれそうでなければ意味がないんですよ!」
「フ、フハハハハハハハハ。水卜、お前おもしれえ奴だな。俺に対してはみんなビビッて、部活の勧誘とかそんなもん一切してこねぇのによ」
そこで岩井は一度きって、
「そのもやしメガネが言った良いDFの条件が当てはまるのが俺か。面白れぇ。やってやるよサッカー!チームの輪も乱さんようにな!」
「ありがとな、岩井!」
こうして、新たに岩井門太が仲間になった俺たち。仲間集めはまだまだ続く。
ちなみに、この後岩井も入って、サッカ-の練習をした。そういえば、子分ガスはどこに行ったのだろう。
「さてと、昨日の報告から入ろうか」
「ええ。こちら側は、鳥本とは接触できなかったわ」
「そうか」
「これはおそらく、昨日彼に部活があったからということだろう」
「なるほど」
「でそっちは・・・って見なくてもわかるわ」
うん、わかるよな。この圧倒的威圧感と巨体、岩井である。
「岩井を仲間にした。あとは、パスとドリブルの練習を30分ずつかな。んで、帰る途中に商店街の福沢スポーツでボール買って帰った。そのボールで、家の中でパスの練習をしたんだ」
「おお、頑張るじゃんか」
「当たり前だろ。サッカー楽しくなってきたし、必殺技身に着けたいし!」
「そっかー。よかった」
「で、今日はどうするんだ?」
と伊庭が言うと、
「俺たちは練習だろ。早くうまくなって
「岩井!お前、ありがとな!」
「いいよ。それより、お前らのポジションって言うんだっけか?はどこなんだ?」
「私はMF。攻撃のほうが得意かな」
「俺はFW。玉坂FC時代は14だった。左サイドのアタッカーだな」
「僕は、DFですね。右サイドバックです」
「俺もメタルさんと同じくDFっす。センターバックの右側っす」
「お前らは?」
「・・・」
俺たちは、とても大切なことを忘れていた。それは、俺たちのポジションである。
「あっ」
そういうリアクションはやめてほしいって、心の底から思いました。
「ポ、ポジション決めるの忘れていましたね。ひ、ひとまず氏家君は足が速いのでMFに、岩井君はDFでその体の大きさとボディバランスを考慮してセンターバックの左側、伊庭君は気迫がありますから左サイドバックのDFで、水卜君は…」
特にないですよね。わかってますって。FWってゆうガラじゃないし、MFでもなんか違うしな…。あっ!あそこはどうだろうか?
「GKはダメかなぁ」
「「「「「それだ!」」」」」
「野球部時代にキャッチャーとしてすごしていた水卜なら、強靭な足腰とバランス感覚があるはずだ」
「それに、武器はバントでしたから、瞬発力も高いです!」
「じゃ、決まり!今日はみっちり練習しよー!」
「「「「「おー!」」」」」
そうして練習が始まった。夕日が沈むまで俺たちはボールを追いかけ続けた。
「氏家、行って来い」
「わかりました」
俺の名前は氏家一二三。玉坂中1年だ。俺は、元野球部で、今はサッカー部にいる。ポジションはMFだ。
今日俺には、ミッションがある。同じ元野球部1年の寅忍表と庄内稲吾をサッカー部に入れるというミッションが。そのためにまず、彼らの下駄箱に呼び出し状を入れる。書いてあることは、放課後にサッカー部の部室に来いということだ。周りに誰もいないことを確認し、入れる。ミッションコンプリート!
放課後
「氏家、ちゃんと入れたな?」
俺は、氏家に対して確認を取る。
「はい」
「これで10人になれば、あとは鳥本か」
「く―!!いいちょーしだよー!」
「確かにこのままいって実践を積んだりして強くなれば、JFTに出場できるかもしれませんね」
とワーワー騒いでいると
「「失礼しまーす」」
「よ!二人とも久しぶり」
「キャプテン!」
「俺はもう、キャプテンじゃねえよ」
「そうだべさ。何してんだ寅忍」
パン!
いきなり拍が聞こえたので、そっちを見てみると桐ヶ丘だった。
「そーゆー思い出話はいいから、さっさと本題に入って!」
「ああ、そうだな。じゃ、氏家頼むぞ」
「はい。2人ともなんで呼ばれたか理由はわかっていると思うけれど言っておくと、サッカー部に入ってほしいんだ!」
「俺はいいよ」
「寅忍!!」
「じゃ、おらも」
二人とも案外あっさりと仲間になった。
「ほ、本当にいいのか?」
「いいに決まってるだろ。昨日お前たちの練習する姿みてたらさ、楽しそうだなって思ってさ」
「んだ。野球とどっぢが楽しいがなんてやってみねぇと分かんねぇべ」
「ふっ。これで、DFとMF2名確保成功ですね。」
「そろそろユニフォーム出してみたほうがいいんじゃないんすか」
「ユニフォーム!?」
「ユニフォームってあの背番号のある?」
「そうです。そのやつです。しかし、まだ11人そろってませんからね。そろってから見てみましょう。というわけで、練習開始ですよ!」
「「「「「!!・・・・・・・・・・はーい」」」」」
こうして俺たちは、10人になった。真堂ともサッカーやりたいし、鳥本ともやりてえ。サッカーって面白いな!
部員勧誘を始めたのが水曜。そこから2日で4人も部員が増えた。今日は、金曜日。毎日毎日俺たちは、サッカーの練習に明け暮れていた。
「はぁぁああ!」
シューーー
伊庭が、庄内からスライディングでボールを奪う。それをメタルにパスした瞬間、桐ヶ丘に奪われた。そこからゴールめがけてシュートを打ってくるものの俺はキャッチして得点をやらせない。
「水卜、上達したじゃんか」
「へっ、どうだ!!」
「皆さん、かなり上達していますね」
5対5の攻防戦のあとの休憩の時、メタルがそう言った。
「そうだな。初心者の中でもできるほうだと思うぜ」
「特に、水卜君と伊庭君は素晴らしいです。ボールに食らいつく反応速度と野球部時代に塁に飛び込むために培われたスライディングがいいですね」
「そうか?」
褒められては、悪い気はしない。
「岩井君も、タックルはいいんですがその時に抜かれると終わってしまうんですよね」
「そうか。仏血斬に強くなんねぇとだめってことだな?」
「違います。これを解決するのが伊庭君です」
「俺?」
いきなり名前が出てきた伊庭は、少々驚いているようだ。
「はい。岩井君がタックルして奪えればその時に奪う。奪えず抜かれたときには、その瞬間にスライディングを仕掛ける。こういった方法で解決できると思います」
「成る程。伊庭、あとでそれ練習しようぜ!」
「ああ。桐ヶ丘、練習相手を頼めるか?」
「おうよ!任せろ!」
「じゃあ、九花はキーパー練に付き合ってくれないか?」
「いいよ!」
「では、僕たちは1on1といきますか」
みんな練習に戻っていく。
俺たちにできることはただ一つ。練習だ!うまくなるには、練習あるのみ!
数日後
「ええーーーーーー!!」
俺たちは、その報告を聞いて驚いた。なぜならば、あの竜王学園が練習試合を申し込んできたからだ。
「ま、まじで?」
そう聞くとメタルは、いたって冷静に、
「マジです。試合は来週の日曜午前9時半から。場所は、玉坂のグラウンドだそうですよ」
「しかし、なんで俺たちに練習試合なんて申し込んでくるんだ?」
ナイス、桐ヶ丘。俺も聞きたかったことだ。部員数は10名しかいない上に初心者が6名っていう弱小チームなのに…。
「狙いは、九花さんと桐ヶ丘君でしょうね」
「九花は分かるがなぜ俺なんだ?」
「玉坂FC時代、オーバーヘッドのストライカーという風に呼ばれていたでしょう?」
・・・・・・オーバーヘッドのストライカーって
「ダっせ!」
「うるせえ!俺のボボロゼンオーバーの手にかかりてぇのか!」
ボボロゼンオーバーとは、炎をまとったオーバーヘッドシュートらしい。とても強い威力で俺なんかじゃ到底止めらんねぇ。
「あの、話し戻していいですか?」
「ああ」
「だから、その可能性もあると考えただけです」
確かにオーバーヘッドは難しいスキルだと思う(始めて間もないやつが言うなと言われるとちょっと…)。
「でもさ、そんなに桐ヶ丘コイツは有名なのか?おな小でも、そんなにすごいって聞いたことねぇぞ」
「そうね。私もサッカーやってるぐらいしか聞いたことないわ」
蓮池も同じく聞いたことがないという。ま、サッカーに興味のなかった奴らの知っていることなんてそんなもんさ。
「・・・・・・・」
一指し指を立ててポーズをとっていたメタルが白くなった。
「チーム内の呼び方だしな」
桐ヶ丘の追い打ち。メタルがさらに白くなり、風がヒューッと吹く。
「で、では気を取り直して」
眼鏡をくいっとあげて、メタルが続ける。
「明日の鳥本君勧誘には誰が行きますか?」
「キャプテン部長の九花と情報を入手してきた菊野は言ったほうがいいと思う」
と桐ヶ丘。
「お前は、元・玉坂FCだろ?だったら行ったほうがいいだろ」
「あとは、元野球部の代表として、キャ、水卜先輩ですか?」
と氏家が俺を推薦。
「そうね。それでいいと思うよ!」
「鳥本君勧誘メンバーは、九花さん、菊野さん、桐ヶ丘君、水卜君の4名で行います。結果は、RINEで報告してください」
「わかった」
「じゃ、また明日!」
「おう!」
to be continued