真名当てゲーム(仮) 作:DJ
―――以下、某所の書き置きより抜粋。
サーヴァント。それは、使い魔の最上級である。
なればこそ、その扱いには万全を期す。
例えば、魔術師でもない者がそれを呼ぶ。呼んで、使役する。そんなことは、技術的に不可能であることを差し置いても論外だ。
ここまでは前提である。
聖杯戦争を知り、あらゆる運命を見聞してきた諸君らであれば当然知り得る常識である。
では何故、記したか。
それは当然、その前提が
だが、案ずることはない。狼狽する必要もない。
何故ならこれは、前提を崩すための物語であるからだ。
何故ならこれは、前提を崩さなければ始まらない物語であるからだ。
万が一、私が斃れた時のため。……そのために、ここに我が計画の全容を記す。
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冬木市には、少しだけ不思議が多い。
初めてそう思ったのは、小学四年生の頃だ。
山奥のお城には、絶対に行ってはいけないと言われて。
行ってはいけない……なら、なんでお城を建てたのだろう。誰も行けないんじゃあ、使えないじゃないか。
――そう、首を傾げたのを憶えている。
今思えば、突拍子もない発想だ。
子供にとっては、自分が行けるところだけが世界の全てで、あとのところは誰も行けない、見ることも出来ない場所らしい。
嗚呼、こうやって昔の自分を自嘲するのも、今まさに
目の前に光る魔法陣。
その中心には、全身に青い紋様の浮いた男。
「サーヴァント、キャスター。はじめまして、マスター……闘いは好きじゃあない。悪いが早々に、聖杯は諦めて貰おうか。」
聖杯。
サーヴァント。
キャスター。…そして闘い。
どうやら僕は、物騒な騒動に巻き込まれるらしい。
色々疑問は尽きないけれど、否。むしろ尽きないからこそか。
「僕はマスターじゃない。衛宮切嗣っていう名前がちゃんとあるんでね。」
言えたのは、そんな皮肉だけだった。
なら当然、相手はムッとするに決まっていて、だけど男は、あくまで紳士だった。
「そりゃ失礼。エミヤキリツグ……ケリィと呼ばせてもらおう。先はああ言ったがね、戦闘は苦手でも聖杯は欲しい。だからケリィ、お互い足掻こうじゃないか。幸い知名度補正、というヤツは存分に持ち合わせていてね、ステータスを見れば分かると思うんだが。」
矢継ぎ早に出てくる新単語。当然、僕にわかるはずもない。
「待て。ええと、まず、そのサーヴァントってのはなんだい?或いは聖杯についてでもいい。とにかく、僕に何が起こっていて、君は何者なんだ?」
我ながら、中々に良い質問だ。
要点を抑えて、知りたいことが伝わりやすい。
が、男は首を傾げ。
「ふむ?……ああ。なるほど、イレギュラーか?名乗らなかったのは正解だったな。好かろう。では私自ら、一から十まで説明してやる。ひとまず座りたまえよ。」
尊大な態度の紳士だが、不思議と嫌悪感は湧かない。
僕は座って、説明を聞くことにした。