もし黒のアサシンがジャックちゃんではなく、インド大戦不可避になったら(仮) 作:お空と北極
Apocrypha見返してて思ったんですけど、やっぱりカルナさん規格外ですな!(今更感)
「む、姿が消えましたね。やはりあれは黒のアサシンですか。」
シギショアラを見渡せる塔の上でサーヴァント──黒のアーチャーはひとりごちた。先程まで隣にいた黒のアーチャーのマスターは、黒のアサシンの元へと既に向かっている。で、あればアサシンの姿が消えた今、マスターが危険だ。
「私もマスターを追いましょうか。」
「いや、その必要はないよ。」
振り向きざまに黒のアーチャーは魔力を込めた弓矢を放った。黒のアサシンはひらりと避け、塔の一角が爆発で瓦礫になった。
「ちょ、ちょっとタンマ! いきなり狙撃だなんて酷いよ? ほら、武器なんて持ってないから!」
次の矢を引こうと構える黒のアーチャーに黒のアサシンは両手を上げて戦闘の意思が無いことを示す。
「……貴方は、黒のアサシンですね?今まで何故こちらに参戦しなかったのですか? 単独で魔力を回収して、貴方は何がしたかったのですか?こちらに合流すれば魔力不足など起こりえなかったのに。」
「だって、どっちにつくか見極めてるところだから。黒で召喚されたからって絶対にこっちにつかないといけないとか、無いでしょ?貴方だってそうだったはずだ。」
「いえ、黒のサーヴァントは黒として召喚されたのですから、こちらに与するのが道理です。私が聞いているのは、貴方が合流しなかった理由、貴方の目的です。」
「そうだね。じゃ、そもそも、黒って何だろうって考えよっか。」
こうやって話している間も全く油断を見せない黒のアーチャーに黒のアサシンは苦笑いしながら言った。
「聖杯に与えられた知識と人伝に聞いた話だから詳しいところはまだ知らないけど、黒のサーヴァントっていうのはユグドミレニアがユグドミレニアの勝利のために召喚したサーヴァントだ。言い方を変えれば、ユグドミレニアの人間がユグドミレニアの為の戦士を用意した、ということだろうね。」
「……。」
「さて、黒のアサシンのマスターは一体どういう人間なのか、答えはそこにあるんだよ。」
「……勿体ぶらずに早く言いなさい。」
「ハイハイ。結論から言うと私のマスターは完全にはユグドミレニアの人間ではなかったんだ。只の数合わせの雇われ三流魔術師。島国生まれの生贄を使った魔術の使い手だった。私の召喚も人間の命と苦痛を生贄にして行われた。だから、」
「殺した。」
「貴方、まさかマスター殺し──!」
引き絞られていた弓矢が高速で差し迫る。黒のアサシンはすんでのところで避けて、また塔が壊れた。あと一発できっと崩れるだろう。
仕方なく黒のアサシンは腰の剣を抜いて構えた。
「もう話を聞かないの?」
「一度裏切りをした者は二度としないとは限りませんから。それに、あとは分かります。魔力を回収していたのは単独行動に必要な分を集めていたのですね?」
「まあそんだけ聞けば分かるよねえ。それなら、交渉決裂ってことで、充分時間も稼いだし今日のところはお暇しますか!」
「行かせません。」
黒のアサシンは後に倒れるように塔から落ちる。後を追って上か黒のアーチャーが飛び、下へと向かって矢を射った。黒のアサシンは辛うじて剣で弾き着地する。
黒のアサシンとてあの爆発する矢を受けることは無駄に丈夫と自負するその体でもただでは済まないと理解していた。
塔のしたの広場で後を追って着地した黒のアーチャーに斬り掛かるが世界がぐるりと回った。どうやら投げ飛ばされたらしい、と背中を地面に打ちつけられながら黒のアサシンは遅れて認識する。
「チィッ……!」
すかさず、この塔に登る前に設置していた爆発印を起動して黒のアーチャーから視界を遮る爆風を起こす。
その風に乗り跳ね上がるように立って黒のアサシンは相手が素手で構えるのを見、驚いた。
「素手? アーチャーなのに?」
「ええ、失礼。これがパンクラチオンです。」
黒のアサシンは口を開けて心底驚いているようだった。
「……あー……英雄ってのはほんとに……」
「?!」
動きの止まった黒のアサシンに黒のアーチャーは警戒を高めた。空を仰いだ黒のアサシンの顔は見えない。だが、確かに黒のアサシンから今まで無かった肌に刺すような殺意が出るのを肌に感じた。
「英雄、黒のアーチャー。気が変わった。
「……行きますよ!」
剣と拳が交わされた。
「うわ、大丈夫かなあお姉さん……結構バンバン音がするけど。でもこっちだってマスターは任せてとは言ったものの、どうするかまだ考えてないんだよなあ。」
幸い、アサシンのくれた印はかなり優秀なようで自分からなにか仕掛けない限りは見つからない筈だ。で、あればこの有利性をどうにかして生かしていきたいけど。
「やっぱり味方が欲しいところだよね。サーヴァントがアーチャーだけとは限らないし。」
フラットは少し悩んでからある番号に電話をかけた。
「もしもし獅子劫さん。俺です。フラットです。」
『あん? お前誰だ。……いや、もしかして時計塔にいた金髪の小僧か?! なんで俺の電話番号知ってやがる!』
「今はそんなことどうでもいいです。実はお願いがあって。……助けてくれません? 今シギショアラにいるんですけど。」
『はああああああ???』
「声が大きいです! 今追われてるんですから! 電話口から声が漏れちゃいます! 兎も角、シギショアラの街の3番通りで待ってますんでお願いしますよ!」
『待て! 俺はまだ一言も助けるだなんて』
「あら、お電話はもういいのですか?」
「大丈夫。あの人は多分お人好しだから。」
電話を切ってフラットは目の前のユグドミレニアの服を着た魔術師──フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアに相対した。体を支える無骨な機械で建物と建物の間に浮かんでいるのを見て、場違いにもカッコイイと感じた。
いつだって世界中の少年はロボットが好きに決まっている。時計塔は頭の固い連中が多いから、こんな奇抜なのは中々見ることはできない。
「?? ……貴方は黒のアサシンのマスターですね? 本来のマスターとはどう見ても違うようですから、貴方はユグドミレニアの人間ではないようですので、一応警告せていただけないでしょうか?」
「いいですよ。」
「立ち去りなさい。ここは遍く全て我ら千界樹ユグドミレニアの大地。踏み入った無礼は不問に処します。この警告を看過するようであれば死という等価をもって愚行の代償を支払っていただきます。」
「それは嫌だなあ。俺は俺の思うとおりに動きたいし。」
フラットは魔術回路を起こした。遠くの音と魔力のパスの流れからアサシンの方も戦闘が始まったようだ。
「
「マルス射撃命令。」
フィオレの
「オラァアアアアアッ!」
両者の目の前が真っ赤な雷で覆われる。
鎧の騎士がフィオレの弾丸をすべてフィオレの方へと弾き飛ばし、フィオレが回避を迫られた。
「おい! こっちだ!」
フラットは獅子劫の言う通りに近くにあった車の背後へと隠れた。
「やっぱり来てくれたんですね!」
「1つ貸しだからな!事情も後で話して貰うぞ!セイバー!深追いはするな!」
車の影から様子を伺うとフィオレは既に撤退を余儀なくされているようだった。サーヴァントにやれることなど人間には数える程しかない。道理だった。
「仕方ありませんね……アーチャー、撤退です。」
『アーチャー、撤退です。』
パスを通じて念話でマスターの指示を聞いた黒のアーチャーは黒のアサシンから距離をとった。そもそもアサシンとまともに正面から戦って未だ仕留められない時点であまり状況は良くないのだ。
「どうした?
「くっ!」
黒のアサシンは、アーチャーの癖に、と言っていたが、黒のアサシンこそアサシンらしくない、と黒のアーチャーは思う。
割に合わない。
『マスター、申し訳ありません。こちらもこれ以上は無理かと。』
『分かりました。では所定の位置で合流しましょう。』
『了解しました。ありがとうマスター。』
「そろそろ
黒のアサシンが全身の筋肉に力を巡らせるのを見て、黒のアーチャーは地面に向かって矢を乱打した。途端に煙と爆発で視界が奪われ、黒のアサシンは怯む。
視界が開いた時には黒のアーチャーは消えていた。多少の釈然としない感じは残るが、
「まあ、良い。逃げてもいいと言ったのは私だし、こちらもマスターに呼ばれているからな。」
『お姉さん! 戦闘が終わったらこっちに来てください! 紹介したい人達がいるので!』
「──おーけい。くれぐれも下手なことしちゃダメだからね。その人達に迷惑かけるのもダメよ。」
黒のアサシンは、その紹介したいという人達がマスターの敵にならないことを切に願いながら急いだ。
アーチャー??弓はフェイント用です。
アサシン??気配遮断スキルとか持ってないよ?■■特権でなんとかなるでしょ。
黒のアサシン情報1
見た目はグレーの髪で肩のあたりで少しだけ緩くまとめて、顔は中性的。少しつり目気味で瞳はよく見たら赤みがかった黒。