「こちら3。現在扉前に待機中。いつでも突入可能。どうぞ。」
「こちら4。屋上から既に降下中。あと5秒で入れます。どうぞ。」
「こちら0。既に網は完成している。突入合図は現場の3の隊長に任せる。どうぞ。」
「こちら4。窓からグ二ゴムは見当たらない。どうぞ。」
「こちら3。突入合図を出す。3、2、1、GO。」
武装した部隊が麻薬販売組織の取り押さえを行う。
「A1、クリア!」
「A2、クリア!」
「……クローゼットに敵無し。A3、クリア!」
「こちら0。3は一度隊列を戻せ。」
「こちら4。突入する!」
一度壁を蹴り、大きく離れてからガラスを破る。
ロープを外し、アサルトライフルを構える。
その部屋はとても荒れていた。
だが、肝心のアレらは無かった。
「敵影、無し。C群のチェックにうつります。」
「こちら0。了解した。1、2、状況報告。」
「こちら1。現在生物、及び機械は発見出来ず。」
「こちら2。1と同じです。野次馬もいません。」
異様な静けさだった。
自分達は本当に危険組織に挑んでいるのか?
そんな思いが脳裏を掠める。
「C群、オールクリア。」
「了解した。残すはBだ。恐らく待ち伏せしているだろう。」
「手榴弾を使います。」
そういい、隊員は扉を僅かに開ける。
「ぐわぁぁぁぁ!?」
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
中に待ち伏せていた人間は、扉が開いた瞬間に銃を乱射し始めた。
扉を貫通した大量の弾丸が跳弾し、隊員達に軽傷を負わせる。
手榴弾が爆発し、大きな傷を負ったにも関わらず。
「あはははは!」
「前に出ます!」
一人がライオットシールドで散弾を防ぎながら突入する。
正面の敵に気を取られたその隊員は横からのタレットに蜂の巣にされた。
「無痛ガンだから痛くないよー!」
急遽作戦を変更し、隊員は壁を破壊する。
ライオットシールドを持っている四人が開けた穴を塞ぐ。
「撃て!!」
隊員達は構え、少女に狙いを定める。
「とっておきを出しちゃうぞ?えいっ!」
その僅かな時間で少女はロケットランチャーを躊躇なく放った。
爆発音は外の部隊にも聞こえた。
「おい、応答しろ3、4!……くそっ自爆か?」
司令官は無線機にどなる。
だが、繋がる気配さえ無かった。
「こちら1。大爆発が起きて少しした後少女が飛び降りてきました。」
「少女……まさか!?」
「『マッド・ガーデン・モガール』の『メグメグ』だと思います。」
「交戦は避けろ!勝ち目は無い!」
「はい、いつも言われてますからね。」
「国際テロ組織が関与してたとは……防衛省と国際平和協力本部に伝えないと……くそっ!!」
司令官は机を叩く。
周りの隊員は驚き、つい振り向く。
「くるくるくるーっ!!」
トラックがドリフトしながら交差点を曲がる。
メグメグは転倒するかしないかのギリギリを楽しんでいた。
足に銃器を装着し、アクセルとブレーキを踏む。
『安全運転を心がけてください』
「煩いなぁ、お前はナビだけしてればいいんだよー!」
『右折後、道なりです』
「いきなりナビをするんじゃなーい!……それにしても、今日は試作のロケランと散弾銃しか撃てなかったなぁ。」
ETCを通過しながら呟く。
彼女の隣の座席には合計六丁の装着型の銃器がある。
「次はどの銃器を使おうかな……」
ウィンカーを光らせ、追い越し車線に入る。
車のサンバイザーを銃器で引っ掛けて下ろし、先に重りを括り付けた糸に持ち替えて投げ、隙間を通す。
そのまま向こう側から降りてきた重りを引っ張り、丁度いいところで市販のサンバイザーに開けた穴を通し、サイドブレーキに巻き付ける。
最初は事故を起こしたが、もう慣れていた。
突然スマホからロックなBGMが流れ始める。
車線を戻し、まるでサイレンの様な音が流れ始めた時に電話に出る。
「はいはーい、メグメグだよ?」
「目的の物は手に入った?」
「電話おっそーい!ちゃんとやったからメグメグが帰ったら撫でてね!」
「分かった分かった。でもこっちにもサツが来てね……一戦交えるかもしれないけど大丈夫かい?」
「不完全燃焼だったから、タイミングバッチリ!」
「それは良かった。また後で。」
「はいはーい!」
彼女は法定速度ギリギリまでスピードを上げた。
警察は通行封鎖していた。
昼は漁船は出ず、競りも無いためそこまで影響が無いのが幸いといった所か。
そんな警察の所にゆっくりとトラックが走ってくる。
「すいませーん、今ここは通行止めですー!」
警察が前方で両手を上げる。
「えー通行止めー?」
彼女は声を出した。
余りに声が高い為、少女ではないかと訝しむ。
「ん?君、免許証持ってる―――!?」
トラックの窓から手榴弾がばら撒かれる。
爆炎と共にパトカーも警察も木っ端微塵になった。
「なら道は開けてもらうねー!」
トラックは港へ走る。
「大人しく武器を捨てよ!」
大声で呼びかけるが、返答は爆弾だ。
隊員達は身を隠す。
「従わないなら船を沈める!」
「あっと……それは困りましたね?」
強硬手段に出ようした隊長に臆したのか、一人の女性が飛び降りてくる。
「一体誰が貴方達に情報を流したのでしょう?」
「貴様に知る権利は無い!」
「ほぅ、私達に人権は無いと?まぁ当たり前ですねぇ。ですから―――」
女性は後ろ手にスイッチを見せる。
「今、民衆の命は我が手にありますのよ。さて、私達の言う事を聞いてもらいましょうか。」
「奴を撃て!」
「「よっと!!」」
脅しには屈しないと隊長が射撃命令を出す。
しかし女性を守る為にシールドを構えた男達が囲む。
遠くに見えたビルが複数倒壊する。
「ほらー、言う事を聞かないからこうなったのですよ?」
「なっ……」
「貴方が聞いてくれれば無関係の方は死ななかったのに……残念ですね?」
「くっ……」
「まずは武器を下ろして両手を挙げてもらいましょうか。全員。」
これは本当の脅し。
口だけではない、無関係の人を巻き込む本当の脅迫だ。
隊員は一人残らず武器を降ろす。
その間女性は電話を使っていた。
「くそっ、くそぉぉぉ!!」
「はい、分かった。……さて、私達の要件は済んだ。帰らせて頂きましょう。」
「待ちやがれこの下衆がぁぁ!」
悠々と女性は船に乗り、甲板から身を乗り出して言った。
「皆さん、さようなら!」
「う……わぁぁぁぁ!!」
一人が発作的に銃を拾い、構える。
不思議と照準があった。
奇妙な感覚と共に、慎重に指に力を入れる。
トラックが横転しながら薔薇をつくる。
そしてスイッチを押すと大爆発を起こし、一帯がコンクリートごと吹き飛ぶ。
「ぎゃぁぁぁ!?」
「うわぁぁぁ!!」
「ぶちまけるぅー!」
非常に彼女は喜んでいた。
街に仕掛けられた残りの爆弾も爆発し、テロ組織として大きな活動となった。
末端価格で総額8000億に登ると考えられた大きな麻薬売買を防ぐ事は出来なかったのだった。
後に国際的に国としての警戒心の浅さや、警察達の政府への不信感により国の基盤が荒れ、麻薬密売が横行する様になるのは別の話。
小型ボートから降りた彼女は女性に抱きついた。
「ママ、ちゃんと出来たよー!」
「偉い偉い。良く出来ました。」
「えへへー!じゃあメグメグは部屋に行くね!」
周りの大人達からの感謝を浴びながら彼女は自室へ戻る。
自室に戻るなり、真っ先に自分様の箱を探る。
瓶を取り出す。
パーカーの袖をまくって注射器を取り出し、瓶から液体を採って腕に刺す。
「うっ……んんんっ!!」
一時的な高揚感に包まれ、体を震わせる。
だが彼女は元から異常だった。
依存はしていたが、まるで効果が切れた後の行動がただの軍人なのだ。
武器を一つ一つ丁寧に磨いていく。
「AMR欲しいなぁ……腕に装着したら無敵だね!」
彼女は殺戮にも依存していたのだった。
壁一面に飾られた、火器のコレクションを舐めるように見渡す。
そして一段落したある日。
「しばらく休暇だよ、どうだい、メグメグ。こんな招待状が届いた。」
「え、なーに?……『コンパス』?刺殺武器の名前?」
「違う違う。自身のまま入って、技を使うカードを手に入れて、いくらでも復活する敵を虐殺するゲームだよ。」
「……楽しそう!!」
後に27人目のトップランカーと言われる少女の誕生であった。
メグメグの逃走経路
パトカー破壊の為、対戦車地雷を置きながら走る。
↓
途中で家の敷地などを走り撹乱する(過去に複数回ヘリを撃ち落とされて民家に大きな被害)。
↓
事前に配達会社内部の人間が用意したトラックに乗り込む。トラックを用意した配達支部の会社員は事前に銃殺しておく。
↓
堂々と高速道路を使う。
↓
パーキングエリアで銃器と麻薬を別のトラックに移し、爆弾を乗ってきたトラックに入れる。
↓
後は銃殺に気づき、ナンバープレートを確認したヘリを高速道路で引き付けながら港に突っ込む。
↓
対空砲撃ったり、こっそりついてこさせている潜水艦と共に外国へ逃走。
一番形の似ていそうなミニガンは18kgあるのですね……
しかも一丁でも反動がとても強く、人間が立って使える物ではないと……
それを一つずつ両腕に着けているメグメグはコンパス内で一番体重が重く、一番筋力があるのですね……
pv見ました!
やはり精神崩壊系キャラでしたか……
好きです(直球
抱きしめて、が唯一の一般的な思考に近い歌詞でしたね……