果てなき旅路   作:わっふる

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第0章 プロローグへと至るエピローグ
俺たちの聖杯戦争は――これからだ!


 

 

 ――この戦い、負ける訳にはいかない。

 

 俺は気合を入れなおしながら眼前の敵を睨む。

 その敵とは、眼鏡をかけた白衣の男とその男が使役するサーヴァントだ。

 相手にとって不足はない。俺はこれまで共に戦ってきた戦友とも言うべきサーヴァントへと告げた。

 

「気を付けろ、ランサー。こいつら、今までの敵とは格が違うぞ」

 

 彼女は俺の言葉を耳にすると、こちらを横目で見つつ一笑に付した。

 

「何よ今さら。勝てない筈の相手に挑むのなんていつものことでしょ?」

 

「フッ。そうだったな」

 

 ――ああ、なんて頼もしいんだ。

 

 俺は弱気になっていた自分を恥じる。俺はもう昔の俺とは違う。

 これまで戦ってきた相手だって本来俺たちが勝てるような相手じゃなかった。それでも、俺たちは勝ち続けてきたのだ。

 俺たちが今に至るまで文字通り死ぬほど苦労して積み重ねてきた経験と、確かな絆。それらは決して―――誰にも否定させはしない!

 

 

「いくぞ、ランサー!これがラストコンサートだ!」

 

「ええ、それでいいのよ!精々上手くワタシを輝かせなさい、プロデューサー!」

 

 俺たちの聖杯戦争は――これからだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「転輪は時を告げる。あらゆる衆生、あらゆる苦悩は我に還れ。大いなる悟りの下、人類はここに一つとなる。――一に還る転生(アミタ・アミターバ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! クソがあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 ♦ ♦ ♦ ♦

 

 

 目が覚めると、俺は保健室のような部屋にいた。ような、ではなく実際に保健室なのだが。

 

「知り尽くした天井だ...またやり直しかよ...」

 

 自分の目が急速に濁りつつあることを自覚しつつも呟く。...というか、思い出したらまた腹立ってきた。

 

「もうマジでいい加減にしろよ、あのクソ眼鏡!何がセイヴァー(救世者)だよ勝てるわけないだろあんなん!もうお前の勝ちでいいからはよ聖杯使えよ!」

 

 ベットから起き上がりつつ大声で愚痴を吐き出すと、少しだけすっきりした。...そういえば、この声質からして今回は(・・・)男か。正直もうどっちでもいいけど。

 そんな事をつらつらと考えつつ今後の予定を組み立てていると、如何にも不機嫌そうな声の持ち主が目前のカーテンを開きつつ話しかけてきた。

 

「それだけ叫べるほどの元気があるならここにいる理由なんてないでしょう。荷物...なんてなかったわね、手ぶらのままさっさと出て行きなさい、駄犬。」

 

 ...しかも今回はこいつ(カレン)かよ。大抵の場合は間桐とかいう名前のAIなのだが、今回は運が悪いようだ。

 何せ俺の目の前にいるカレンとかいう少女の見た目をしたAIは、健康で元気な人間を見てると吐き気がするなどとのたまう超絶サディストなのである。しかもまともな医療知識も有していないし、服装もシスター服のようなものの上に白衣を着てるのでぱっと見て保険室担当のAIに見えない、などムーンセルが彼女を保険担当に選んだ理由が全くもって理解できない。

 

 そのカレンとかいう少女は心底がっかりした目をしながら自身を眺める俺を見て何を思ったのか、顔を若干上気させながら言葉を告げた。

 

「先ほどの発言を撤回するわ。もうしばらくここにいても構いません」

 

「...はい?なんでだよ」

 

「いえ、その絶望しきったかのようなあなたの顔を見ていたら気分が高揚してきたので。先ほど、あなたの醜態で私の耳を汚した件を差し引いてもお釣りがくるかと」

 

 案の上ロクでもない理由だった。当然ここに居座っていいことなど皆無なので、その提案は却下だ。

 

「...いや、遠慮しとくわ」

 

 俺は短く告げるとすぐにベットから降り、カレンの横を競歩に出たらそれなりの順位が取れそうなレベルの早歩きで素通りして保健室の出入り口へと向かった。

 ...今ここで腕とかつかまれたら心臓止まるかもしれん、などと警戒していたが幸いにもカレンは俺の背中に視線をぶつけるだけで何もしてこず、開始直後に少女に腕をつかまれて死亡なんていう俺史上最悪の死に様だけは避けられた。

 しかし何故か部屋の外に出ても背中に刺さる視線は途切れず、扉を閉めるために保健室の方に体を向けたことでカレンと視線が合ってしまった。

 

「...今回は世話になった。サンキュー」

 

 あのカレンが何も追撃してこずに見つめるだけとかこの上なく恐ろしいのだが、助けられたというのは事実なので礼だけは述べておき、扉を静かに閉めると足早にその場を立ち去った。

 

 

 ♦ ♦ ♦ ♦

 

 

 誰もいなくなった保健室で、彼が立ち去った方の扉をカレンはじっと見つめて呟いた。

 

「...まだいても良かったというのは本当なのですが。何度やり直したところであなたには...」

 

 彼女はそこで言葉を止めると、何かを諦めるように深く息を吐きだして目をつぶった。

 

 

 





・オリ主
ザビ子が参加するまでに行われた過去の聖杯戦争の参加者。
何度もリトライしているが、死ぬ度に時間が巻き戻っているわけではなく、死んでも次回の聖杯戦争に引っ張りだされているだけ。
しかし、死ぬ度に性別・容姿・資質、その全てが変化している。
また、やり直しの中で60回ほど聖杯戦争で優勝しているが、その全てでその後トワイスチェックにひっかかり戦闘し、敗北している。
いやでも記憶に残るのでサーヴァントに関する知識は並外れており、大抵のサーヴァントに対して「あ、このサーヴァント聖杯戦争で会ったやつだ!」が可能なほど。

・カレン・オルテンシア
保健室を担当するNPC。オリ主を性別によって変化する三人称や固有名詞で呼ぶことは絶対にない。
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