インフィニットストラトス「みんなには、平穏な暮らしを」   作:角印

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初投稿になります。
温かい目で読んでいただけると幸いです。

主人公プロフィール

近江 月数(仮名)
165センチ
金髪
制服の上に、紺色のパーカー着用。
※目立つ金髪を隠すために、フードを被っていることが多い。


第1話 再会

第1話 再会

 

IS学園、生徒会室・・・

室内には見目麗しい女生徒と、

学生服の上にパーカーを羽織る金髪の少年がいた。

 

「近江家 代理当主 近江月数、着任致しました」

 

リクライニングチェアから立ち上がった生徒会長である更識楯無は、

目の前で膝まつく少年の頭を撫でた。

 

「そこまで畏まらなくていいわよ。これからは、学友なんだから。もう少し、フレンドリーにいきましょ?」

 

「・・・分かりました、更識先輩」

 

二人は高校生ではあるが、もちろん一般人ではない。

更識 楯無は、対暗部用暗部・・・裏の組織に対抗するための裏の組織の元締め。

第17代目"楯無"であり、

近江 月数は、更識家の分家の一つでもある"近江家"の次男坊。

諸事情により、代理当主として楯無の懐刀を買っている。

第8代目"月数"代行である。

 

「よろしい。さっそく任務の話だけど」

 

そう言って、楯無は二枚の写真を月数に手渡した。

織斑 一夏

篠ノ乃 箒

の学生証写真の写しだ。

 

「任務は、こちら2名の護衛ですか?」

 

「いえ、護衛は必要ないわ。二人の記録を取って欲しいのよ」

 

「記録・・・ですか?」

 

「二人は、とんでもない姉を持つ人物。私が所属するロシア政府も、更識家が所属する日本政府も、そして私自身も興味があるの」

 

楯無は、自由国籍権を所持し、

ロシアの代表生でありながら、更識家当主として日本政府にもコネを持つ、

とんでもJKなのである。

 

「部屋割りも根回しして、二人を同室にしたわ。ただ、二ヶ月の制約を織斑先生に決められてしまったけどね」

 

「承知致し───それは、少しやり過ぎではありませんか?」

 

「別に平気でしょう。織斑先生が、二ヶ月とはいえ許可を出したのだから」

 

男女を二人っきりの部屋にさせたら、どうなるか・・・と、浅い知識で心配する月数であったが、千冬からしたら一夏の唐変木っぷりを知っているため、心配は杞憂なのだろう。

 

「それに、あなたにとっても悪い話じゃないのよ」

 

悪戯っこの笑みを浮かべた楯無に、月数は少し苦い顔をする。

楯無は、手に持つ扇子を開き、舞のように回り始めた。

 

「時に、学園最強の生徒会長、

時に、対暗部用暗部 更識家当主 17代目楯無

時に、後輩想いの恋のキューピット!」

 

「きゅ、キューピット・・・?」

 

「はいはい、そこ引かない」

 

一石二鳥

と書かれた扇子に仰がれながらも、

類の表情は引きっぱなしだった。

だが、同時にかすかな期待が生まれていた。

 

「さぁ、受け取りなさい」

 

「鍵・・・? もしかして───」

 

「その、もしかしてよ。せっかくお姉さんが二人っきりにさせてあげるんだから、感謝してね」

 

そうウィンクを送られた月数は、暗がりでも分かる程、赤面していた。

パーカーのフードで顔を隠したが、楯無のニヤニヤが収まることはなかった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

月数SIDE

 

「はぁ・・・あの方は、相変わらずだ」

 

結局、あの後も当主様に弄られ続けた。

人をおちょくる天才であることは、幼少時代から知っている。

だけど、憎めない人柄のせいで、つい許してしまうんだよなぁ・・・。

 

「早く教室に戻らないと」

 

授業初日の朝から呼び出されて、既に一限目の時間は終わっていた。

これでも自分は、"世界で二人目の男性IS操縦者"

だから途中入室で、さらに目立ちたくない・・・のだが、

 

[ガヤガヤ]

 

(あっ、これ無理・・・)

 

昼休み前だというのに、1年1組の教室前は女生徒で埋め尽くされていた。

すぐに物陰に隠れて、様子を伺う。

"あれが、織斑一夏くん?""え、超イケメンじゃない!""もう一人の男子はどこかしら?"

まるで、世間で言うアイドルみたいな見られ方だ。

 

「・・・ん?」

 

群れになっていた女子軍に動きがあった。

一人の女生徒が、織斑一夏を連れて教室を堂々と出て行く。

 

(篠ノ之箒・・・)

 

確か、二人は数年ぶりに再会する幼馴染という情報だ。

任務通り、二人の後をつけなければ。

 

(反対側から上がって、屋上から回り込もう)

 

足早に階段を駆け上がる。

運良く、他女生徒と出くわす事はなく、屋上に上がってこれた。

 

「久しぶり。六年ぶりだけど、箒だってすぐ分かったぞ」

 

(おっと・・・)

 

二人も屋上まで登ってきていたようだ。

屋上は、花壇やベンチが配置されているが、開放的な空間だ。

自分とは反対側の階段から、野次馬の女子たちが、

織斑一夏と篠ノ之箒の様子を伺っているのが、丸見えだった。

 

「よ、よく覚えているな・・・」

 

「いや、忘れるわけないだろ。幼馴染のことくらい」

 

「・・・」←織斑一夏を睨んでいる。

 

ふむ・・・二人の関係は、とても良好に見えるが、

篠ノ之箒に、織斑一夏に対して何かしらの思い有り。

それが、どういったものなのかは、これからを通じて調査していこう。

 

[キーンコーンカーンコーン]

 

二限目開始の鐘がなると、織斑くんと篠ノ之さん、合わせて遠巻きに見ていた女子達も引いていった。

 

(自分も早く戻らないと・・・)

 

教室近くまで来ると、[パァンッ]と気持ちの良い音が響いた。

何の音か気になるけど、とりあえず教室に入らなきゃ───

 

[ガラガラ・・・]

 

「「「「「・・・」」」」」

 

「ぁ・・・」

 

教室の後ろから入室したら、みんなが物珍しい目で自分に振り向いた。

前の方で、痛そうに頭を抱えていた織斑くんでさえ、目を見開いていた。

慣れない人の視線に、自分は癖でフードを深く被り、顔を伏せた。

 

「「「「「きゃあああぁぁぁ!!!!!」」」」」

 

鼓膜を叩く女子達の声に、耳を塞ぎつつも自分は、

"会いたかった一人の女生徒"を見つけた。

変わらず、眠たそうな雰囲気をしていて、何故かサイズの合ってない制服を着ている。

布仏 本音・・・。

近江家と同じく、更識家に仕えてきた分家で、

IS学園に来る前に、自分の告白を受け入れてくれた女の子だ。

 

「───」←自分に向かって、手を振っている

 

だぼだぼの袖で、控えめに手を振ってくれた本音に、

嬉しくて、織斑先生に注意をされるまで、棒立ちしてしまった。




次話は少しだけ、IS学園に来る前の月数と本音の書きたいと思います。

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