夏空の下、ウルトラマンは、友をいじめた子供達を虐殺した   作:ルシエド

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 千景は何を思ったのだろう。

 殺されてしまえ、だろうか。

 死んでしまえ、だろうか。

 死んでもいい、だろうか。

 殺されても構わない、だろうか。

 

 今でも覚えている。

 その少女は、徒党を組んだいじめっ子の一人だった。

 この少女を含めた徒党に、服を無理矢理奪われ焼却炉で燃やされ、泣きながら裸で帰った日のことを、その時感じた想いを、千景は忘れていない。

 "探し出して絶対に殺してやる"と思ったことはない。そこまで憎くはない。

 だが、殺されそうになっているところを見殺しにしてやりたいと思う程度には、憎かった。

 

 千景は鎌を握ったまま、振り上げない。

 このまま何もしなければ、自分が殺したことになるんだろうかと、千景はふと思う。

 

―――"それ"は、駄目だ。俺は"それ"で後悔した。

 

―――殺した人は、夢に出るよ。ずっと、ずっと

 

 大事な友達の、あの日の言葉が脳裏に蘇る。

 私が殺すわけじゃない、と千景は自分に言い聞かせる。

 あの日の竜胆の言葉を一つ思い出したことで、千景はもっと思い出す。

 千景を背負っていたあの時の竜胆が、若葉に引き出された"本音"を口にする、記憶。

 

―――俺は殴られる人をなくしたかったんだよ。

―――強い側が弱い側を一方的に攻撃するのが嫌だった。

―――人が暴力で傷付くのが嫌だった。

―――人が死ぬのが嫌だった。

―――俺みたいな奴に殺される人間を、俺みたいな奴から守りたかったんだ

 

 そんな竜胆だから千景を守ってくれた。

 そんな彼だから、千景は好ましく思っていた。

 

(ここでこの人を見捨てたら……竜胆君は……)

 

 千景の心に湧く、一抹の迷い。

 

―――笑顔、幸せ、日常、平穏。

―――ここにあるそれらを壊すようなことはしたくない。これは俺の、確かな願い

 

 あの村にある笑顔、幸せ、日常、平穏ですら、竜胆は慈しんだ。

 竜胆だったらこのいじめっ子も見捨てない。千景にはそう確信できる。

 

(竜胆君は……こんな人の死でも……悲しむんだろうか……きっと、悲しむ……)

 

 千景の手は、鎌を持ち上げないが、鎌から離れてもくれない。

 

―――あの村の奴らに……千景が復讐を望んだら止めるのか

 

―――止めないよ。

―――止められない。

―――それはちーちゃんの権利だ。俺はそこに何を思っても、止める権利はない

 

 あの時、若葉の問いに、竜胆はそう答えた。

 竜胆は結局仕返しをせず、千景の復讐を否定しなかった。

 それは、"竜胆の中にある正しさ"よりも、"千景が選んだ正しさ"を尊重し優先する、という意思表示に他ならない。

 

 竜胆は憎いはずの人間達の笑顔と幸福を、尊んだ。

 そこにある平和と日常が続くことを祈った。

 その上で、千景が復讐することを、否定しなかった。

 

(私がこの人を見捨てても、竜胆君はきっと何も言わない。

 私がそれを竜胆君に打ち明けても、何も責めない。そして、きっと、きっと――)

 

 もしも、そうなれば。

 

(――ただ寂しそうに、悲しそうに、微笑んで、私を気遣った言葉を、言うだけだ)

 

 竜胆は死を悲しんで、見捨てた千景の心の傷を見抜いて、優しく千景を気遣うのだ。

 見捨てたっていい。

 そんなことで竜胆は千景を嫌わない。

 千景もそれは分かっている。

 ただ、竜胆が、悲しそうにする、それだけで。

 

―――誰も許してないよ。ただ、誰も死んでほしくないし、皆に幸せになってほしいだけ

 

―――だから、俺も許さない

 

 千景も、竜胆も同じだ。

 まだ本当は、誰も許していない。

 なのに竜胆は、"皆が幸せになればいいな"と思っている。願っている。

 千景のような人生と気持ちを抱いているのに、友奈のように皆の幸福を願っている。

 

 だけど、違う。

 若葉があの指摘をしてくれたから、千景にも、よく分かっている。

 

―――お前は"他人は許せる"が、"自分は許せず"。"人は許せる"が、"怪物は許せず"。そして

―――『自分への攻撃』は許せても、『千景への攻撃』は許せなかったのだな

 

 千景は、自分にされたことが許せなくて。

 竜胆は、千景(ともだち)にされたことが許せない。

 それは完全に同じことなのに、完全に違うことなのだ。

 

 許すとは、許せないとは、何なのか。

 許せることと、許せないことの境界線は、どこにあるのか。

 何故竜胆は、許せない人の幸福も、嫌いな人の笑顔も、望めるのか。

 

 "この人を死なせたら彼は悲しむ"。

 その想いが、千景に鎌を強く握らせる。

 そして、いじめっ子は、星屑とオコリンボールを前にして、泣きながら叫んだ。

 

 

 

「―――誰か、助けてぇっ!」

 

―――誰か、たすけて

 

 

 

 そのいじめっ子の涙ながらの叫びが、竜胆と出会う前、毎日のように攻撃されていた頃の千景が心で叫んでいた「たすけて」と、重なった。

 千景は忘れない。

 彼女らにいじめられた、あの頃の恨みも。

 "たすけて"と願って、でも誰も助けてくれなかった、あの時の苦しみと悲しみも。

 何もかも、忘れていない。

 

 "誰も助けてくれなかった"という血を吐くような辛さも。

 "彼が助けてくれて嬉しかった"という嬉しさも。

 千景は、何一つとして忘れていない。

 

 そうして、千景は。

 

 誰にも助けてもらえなかった、あの頃の自分を助けるように―――いじめっ子を、助けた。

 

「……え?」

 

 切り落とされた星屑とオコリンボールが地に落ちる。

 いじめっ子だったその子が千景の横顔を見て、呆然とその名を呼んだ。

 

「郡、さん?」

 

「早く逃げて……避難所はあっち」

 

「あ、ありがとう!」

 

 ありがとうと言われたが、嬉しくはなかった。

 何の達成感も無い。

 何の喜びもない。

 むしろ、"見捨てていればよかった"という、小さな悔いが残っているほどだった。

 

 "助けた人に『ありがとう』と言われたいから助けるわけじゃない"という気持ちが、少し分かった……なんて、千景は思っていた。

 いじめっ子に感謝なんて、最初から期待していない。

 感謝の有無など考えもせず、千景はその命を助けた。

 

 それは、"皆に好かれたいから勇者をやる"と考えていた頃の千景を考えれば、信じられないようなことだった。

 

(そっか)

 

 千景は、竜胆や友奈、若葉などの内にある、"千景には理解できない部分"を、今この瞬間に理解した。

 

(『ありがとう』がなくても、他人のために戦える人達は……

 きっと……その胸の中に、『ありがとう』よりずっと大切な、何かがあったのね……)

 

 千景の仲間の中にいる、人々の感謝がなくても戦っていけそうな強い者達のことを、千景は今まで以上に理解する。

 それは、千景が"勇者の強さ"を身に着けつつあることの証明でもあった。

 

「待って!」

 

 いじめっ子に一瞥すらくれず、去っていこうとする千景の手を、少女が掴んだ。

 背筋に寒気が走り、吐き気がする。

 それはいじめっ子への憎悪ではない。恐怖だ。

 いじめっ子に触れられた、ただそれだけで、千景の体はトラウマで縮み上がる。

 

「ごめんなさい!」

 

 千景の手を掴み、頭を下げて謝るいじめっ子。

 千景は、このいじめっ子個人への怒りが薄れていくのを実感する。

 なのに、いじめっ子達全員への怒りの総量は全く減らず、許す気は全く湧いてこないのが、不思議だった。

 

「私、村を出て、色々見て考えて、郡さんに悪い事しちゃってたんじゃないかって思って……」

 

 謝られているのに。

 このいじめっ子個人への怒りは薄れているのに。

 全く許す気が湧いてこない。

 けれど憎悪も薄れ始めているから、もう"死ねばいい"だなんて思えなくて。

 

「ずっと謝りたいって、思ってたの」

 

 何一つとして許してはいない。それでも、千景は、こう思う。

 

 "見捨てなくてよかった"と。

 

「ごめんなさい。本当にごめんなさい。郡さんに、私なんて言ったらいいか……」

 

「謝らなくていい……謝られても、私は……あなたを許せそうにない」

 

 元いじめっ子がしゅんとする。

 

「でも……

 あなたが死んだら悲しむ人がいるの。

 あなたの幸せを望んでる人がいるの」

 

 竜胆がいなければ、千景はこの子を見捨てて、死なせていただろう。

 竜胆が、他人に"愚か"と言われても仕方ないああいう生き方をしていなければ、千景はこの子を見捨てず助けようだなんて、思わなかっただろう。

 竜胆がこんな子の死ですら悲しむ人間でなかったら、千景は別の選択をしていた。

 竜胆が居たから。

 千景が彼との友情を大事にしていたから。

 

 千景は後悔を一つ、背負わずに済んだのだ。

 

「だから……私はあなたが嫌いでも、あなたが生きる権利は守る」

 

 千景は跳び、戦場に戻る。

 激闘の渦中に挑む千景の数が、六つから七つに戻った。

 七人の千景は仲間を守り、敵を討つ。

 避難所に逃げる途中の元いじめっ子が、見上げた先で戦う千景の姿は赤く、美しかった。

 

(高嶋さん、竜胆君)

 

 敵はあまりにも多い。

 それに対し、千景は仲間の背中は堅固に守り、自分自身は守らず、捨て身の猛攻で星屑とオコリンボールに立ち向かう。

 千景七人が代わる代わる死んでいき、そのたび蘇り、敵を駆逐していく。

 

(私はあなた達のようにはなれない。

 でも……あなた達の生き方が好き。

 あなた達があなた達らしく在るのを、見ているのが好き)

 

 この鎌が、人を切るためのものでなく、人を守るためのものであってくれてよかったと、千景は心の底から思う。

 

(私は優しい人にはなれないかもしれない。

 私は結局、私と、私の大事なものしか、大切にできないかもしれない。

 ……それでも……高嶋さんや竜胆君を、悲しませない自分でいたい)

 

―――ぐんちゃんは優しいね!

―――ちーちゃんは優しいな

 

(……集中して、戦わないと)

 

 記憶の中の声だけで動揺させるのやめてほしい、なんて思って、千景は記憶の中の少年の笑顔を睨みつけた。

 

 千景をいじめたのもこの世界の一部だ。

 千景を救ったのもこの世界の一部だ。

 そして千景も、この世界の一部だ。

 

 勇者は、世界を守るため、戦い続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 継続して杏の背中を守っていた千景の内の一人がまた、杏の背後を狙う星屑を切り捨てた。

 

「ありがとうございます、千景さん」

 

「敵のこと、何か分かった?」

 

「いくつかは分かりました。けど……」

 

 杏は前に出れない。

 後衛スタイルの彼女は星屑に食い殺されかねないし、オコリンボールの触手で首の隙間を狙われかねない。

 その上、杏の精霊・雪女郎は丸亀市一つ程度なら軽くカバーできるが、その分一般人を殺さないように制御することが難しい。

 杏はクロスボウでひたすら敵を撃つしかないのだ。

 

 だがその分、後衛としてじっくり敵を観察することができていた。

 杏は勇者唯一の知将。

 ただ一人、前線指揮官として柔軟に状況へ対応できるだけの知力を持っている。

 その目はオコリンボールの行動と特性をよく見て、よく分析していた。

 

「新型のボール型バーテックスですが、動くものに反応するみたいです」

 

「動くもの?」

 

「車の中でじっとしている人には何も反応してないんです。

 逆に全力で走って逃げたりしている人には積極的に襲いかかっています。

 その場合、車の中の人は星屑が襲うようになっているみたいです。

 あのボール型は逆に、動くものに対しては、星屑以上に敏感みたいですよ」

 

「……ああ、さっき、車の周りにバーテックスの死体がやたら多いと思ったら……」

 

 千景は杏の足元の氷漬けになっているオコリンボールも見た。

 

「それと、冷気にも弱いみたいです。

 人間にこのボール型が取り付いた場合、今のところ凍らせる以外に対処法がなくて……」

 

「なるほど。でも、伊予島さんの冷気があれば……」

 

「……無理です。

 いくらなんでも、バーテックスが凍るレベルの冷気を出せば人が耐えられません。

 五月です。半袖の人だって多いんです。これで吹雪なんて出した日には大惨事になります」

 

「……丸亀市の……いえ、四国全住民を人質に取られた形かしら」

 

「はい」

 

 話しながらも、二人のクロスボウとボウガンは常に敵を潰し続ける。

 手を止めている余裕が無い。

 手を止めていては、何万人死んでしまうかも分からない。

 

「せめて、樹海化さえできていれば、こんなことには……!」

 

 例えば、特定の状況の戦場で、あまりにも敵が多い空を見上げて、「空が二割、敵が八割です!」と叫ぶ者もどこかにはいるだろう。

 敵の数の多さを示すには、とても分かりやすい表現法だ。

 

 ならば、この表現法に倣って言おう。

 今現在、勇者達の周辺空間において。

 敵が五割、空気が五割。周辺空間の半分を、敵の姿が埋め尽くしていた。

 

 

 

 

 

 奇跡的に、まだ死人は出ていなかった。

 まだ、戦闘開始からほんの少ししか経っていない。

 結界外から侵入してきた星屑達が一直線に飛翔し、海岸線を越え、街中に侵入する程度の時間しか経っていない。

 その上で言おう。

 死人が出ていないのは、奇跡的な話である。

 

 そしてこれからも死人が出ないというのは、あまりにも希望的観測が過ぎた。

 

『ぐうううっ……!』

 

 なんというパワーか。

 アントラー・レオは、空中でティガを一方的に押していた。

 振るわれる黒い大アゴに、ティガトルネードは防戦一方にしかなれない。

 亜型のレオの空中戦能力は、ティガダーク以下の空中戦能力しかない赤きティガトルネードを圧倒可能なものであった。

 

(なんつーパワーだ……! ティガトルネードの腕じゃなきゃ防げない……!)

 

 しかも、硬い。

 旋刃盤を抜き打ちで叩きつけてみるが、装甲が削れただけで致命傷まで刻めない。

 これを削り切るにはどれだけ手がかかるか、想像もつかなかった。

 

 クワガタムシのような大アゴを、両手で何とか掴み止めるティガ。

 だががら空きになった腹に、レオ・バーテックスの頃から脅威だった高威力の炎弾が、連続で突き刺さった。

 

『ぐぶっ……!?』

 

 炎弾は脆いティガトルネードの体を貫通……は、せず。

 球子からの力の継承の影響で、炎にある程度の耐性を持っていた表皮が、炎弾の衝撃と熱になんとか耐えてくれていた。

 炎弾に吹っ飛ばされ、激痛に耐えるティガが大通り十字路のど真ん中に落ちる。

 足元周辺の歩道に避難中の人間が何人も居たが、そっちを余分に見ていられるほど時間と戦況に余裕がない。

 

「―――!」

 

 人々が何かを言っていたが、それに耳を傾ける余裕もない。

 ただ、声の様子から、それが罵声であることは理解できた。

 ティガトルネードは立ち上がる。

 

『まだだっ……!』

 

 一瞬で、戦場を見渡す。

 

 パワードは何十体もの大型を一人で止めていた。

 相対する敵の強さだけで言えば、誰よりも厳しい戦場にいた。

 だが、なんと凄まじいことか。

 既に新顔を含めた大型を十体以上、負傷で結界外にまで撃退している。

 そして現在も二十を超える恐ろしい怪獣相手に、ズタボロになりながら渡り合っていた。

 

 勇者達も決死の想いで星屑とオコリンボールの怒涛の流入を食い止めようとしている。

 それは個人単位の人助けと、秒単位の遅延にしかなっていないが、それでも何ら無駄ではない。

 勇者達の戦いが、大社に向かって一直線に突っ込んでいく星屑達が"ついで"で殺していこうとした何百何千という数の人間を、救っていたのだ。

 

 だがもう、手遅れになるラインが近い。

 止めきれない。

 皆の力では止めきれない。

 ここが無茶のしどころだと、竜胆は思考した。

 

 竜胆の周囲に、七つの巨大な旋刃盤が出現する。

 

『七個同時制御は初めてだが……やるっきゃねえだろ!』

 

 無茶をする方法は、いくつか考えがあった。

 その中で竜胆がこれを選んだ理由は、そこまで深いものではない。

 七という数字が好きだから。旋刃盤が好きだから。

 それだけだ。

 だが、どうせ全部等しく危険で無茶な策であるのなら、せめて"好きなもの"でやっちまおうと思ったわけで。

 

 七つの旋刃盤が、空を舞った。

 

 旋刃盤が一飛びするだけで、数百のバーテックスが爆散し、燃え尽きていく。

 触れるだけで砕け、かすっただけで燃え尽きる。まるで燃える流星だ。

 しかもこれは、盾でもある。

 人々を守る、土居球子の盾だ。

 

(もっと、もっと、視点を広く!)

 

 視点を広げ、街を俯瞰するように見て、ひたすらに頭を回す。

 ここではどれが最適解、ここには何が最適対処、あそこはそれが最優先。

 そうやって思考し、ただの一人も死なせないため、七つの旋刃盤を飛び回させる。

 竜胆は一つ、思いつく。

 思いついたが、知力が足りない。計算ができない。

 そこで、頼りになる仲間を頼った。

 

『杏! 弱くていい! 熱気に対して最適な場所に、冷気をくれ!』

 

「はいっ!」

 

 杏が竜胆の意図を汲み取って、竜胆の頭では"具体的にどこにどうするか"を思いつけなかったそれを、実行に移してくれる。

 

 旋刃盤が飛び回る街に、冷気が降りた。

 熱された空気と、冷やされた空気が、自然の摂理として移動を始める。

 やがて街中には熱と冷気が生み出した風が吹き始め、風に吹かれて物が動き、オコリンボールが感知する動体の数が一気に増えた。

 結果、オコリンボールの感知精度が一気に低下した。

 

 これは大まかに同じ方向から吹き、吹いたり止んだりする、自然の風とは違う。

 様々な方向から常に吹き続ける、人造の風である。

 これにより、風で動き続けるものは常に動き続け、人間の動きを誤魔化してくれた。

 

 バーテックスが大社に向かって一直線に進み続けるのはそのままだが、これでなんとか、そのついでで殺される数えきれない人の被害は抑えられる。

 が、感知精度を下げるのが関の山。

 それでも数万規模の星屑とオコリンボールは、沢山の人をロックオンしていた。

 

 竜胆は大社を狙う千万規模のバーテックスを旋刃盤で何とか足止めし、人々を狙う数万規模のバーテックスを対処している勇者達に向け、叫ぶ。

 

『敵がいる範囲の広さに惑わされるな!

 敵の数の多さに惑わされるな!

 発想を変えろ! こいつらが人を殺せるのは、人がいる場所だけだ!』

 

 旋刃盤を三つ、勇者の援護と、人々を守るための防衛線に回す。

 

『人が居ない場所でこいつらは人を殺せない!

 最悪、"自分の近くに居て倒せる個体"は無視していい!

 倒せる位置にいるから倒しておく、ってやってたら結果的に足止めされるぞ!

 倒せる奴を無視して移動、人を殺しそうになってる個体を倒す、って意識でいい!』

 

 竜胆の高い視点からの助言が、勇者の動きを変える。

 空間を埋め尽くすような星屑とオコリンボールを無視して、その合間を潜り抜けるに飛び抜ける友奈と若葉が、人を襲っているバーテックスを倒しているのが見えた。

 

 だが、ティガが好き勝手できるのもここまでだと言わんばかりに、空からアントラー・レオが降りてきた。

 レオが地上にティガを落としてから十秒前後。追撃に来るには十分な時間。

 黒い大アゴが、ティガの巨体を挟み込んだ。

 

『っ、ぐ、グッ……!』

 

 反応が遅れ、二の腕を挟み込まれる形で捕まってしまったティガ。

 その二の腕に、黒い大アゴの突起が食い込む。

 頑丈なはずのティガトルネードの肉でも耐えられない。

 このままいけば、腕を折られるか、最悪真っ二つにされてしまうかもしれない。

 

 その時、ティガの視界に、遠くの風景が目に入った。

 

『―――っ』

 

 このままバーテックス達が進めば、直撃するその道に。

 遠くにある、避難民達がひしめいているその道に。

 安芸真鈴の姿と、球子の母の姿が見えた。

 

 人々が居る。

 何の罪も無い人々が。

 力なき人々が。

 球子が守ろうとした人々が、そこにいる。

 

 ティガの腕に刺さっていた大アゴが、ビキッと音を立てた。

 腕の内側に食い込んでいた大アゴの一部分が、腕の筋肉の圧力に負け、ビキビキビキと腕の筋肉に押し潰されていく。

 腕の筋肉は更に隆起し、圧力の増加は止まらない。

 信じられないレベルに腕の力が増し、二の腕を外側から押し込むという圧倒的有利な状況から、大アゴが押し返されてしまった。

 

 そして、赤きティガトルネードの体が、更に真っ赤に染まっていく。

 

『守るんだああああああああッ!!!』

 

 それが"ウルトラヒートハッグ"だと、レオが認識した瞬間。

 レオは後ろに飛んで逃げた。

 ティガは前に跳んで距離を詰めた。

 大爆発の轟音が、四国全域に響き渡る。

 

「わっ、わわわっ!」

 

 一般市民が動揺する中、爆煙が晴れ、二つの巨体が姿を現す。

 アントラー由来の大アゴの片方が大爆発させられたレオ。

 上半身が傷だらけになったティガ。

 技のかかりは甘かったが、効果は絶大だったようだ。

 レオは飛翔し、距離を取る。飛行形態を持たないティガでは追いすがれない。

 

『あ、待っ―――』

 

 そして、レオが空から炎弾を連射した。

 

『!』

 

 すかさず、飛行能力がトルネードより高いティガダークにチェンジ。

 空に飛び上がり、炎弾を交差させた腕と体で受け止める。

 右、左と飛んで、次々飛んで来る炎弾を受け止め続ける。

 一発たりとも街に落とさせてはいけない。

 レオは街を人質に取った。

 ただそれだけの、有効で効果的な戦術。

 

『ぐっ……』

 

 竜胆は苦悶の声を漏らしながら、ただひたすら炎弾をその身で受け止め続けた。

 街を守るために。

 人を守るために。

 命を守るために。

 

 レオの大アゴに二の腕ごと挟まれていた時もずっと、自爆していた時もずっと、今もずっと、竜胆は七つの旋刃盤を飛ばし続け、人々を守り続けている。

 他に多くのことができないほどに、必死に"守ること"に集中し、人間離れした才能の全てをここに注ぎ込んでいた。

 

 だが、それにも限界は来る。

 炎弾がティガを撃ち、打ち、討つ寸前にまでいったそのタイミングの、最後の一発。

 それをティガが防ぎ漏らして、炎弾がビルに当たってしまった。

 真っ二つに折れ、上半分が落ちてくるビル。

 その下には、避難途中だった名もなき母親と、名もなき男の子がいた。

 

『―――』

 

 竜胆は、一も二もなく飛び込む。

 そして、背中で支えるようにして、落下してきたビルの上半分を受け止めた。

 ビルの落下が止まり、母親と子供が、守ってくれたティガを見上げる。

 

「あっ……」

 

 声を漏らす、小さな二人の人間。

 

 この行為は、優しくも愚かな行為だった。

 レオが空中で炎弾をチャージし、ビルを支えて動きを止めたティガへと、最大までチャージした炎弾を叩き込む。

 崩れるビル。

 呻くティガ。

 ティガはレオの最大火力で背中を焼かれながらも、自分の体をうつ伏せでドームのようにして――あの日、刺された球子を守ろうとした姿勢と同じ――ビルの破片から親子を守る。

 子供が、純粋な気持ちで、ティガを見上げ声を張り上げた。

 

「ウルトラマン!」

 

 ティガが体を起こし、親子が無事なことを確認すると、ゆっくり頷く。

 母親はティガに深く頭を下げ、子供の手を引き、逃げていった。

 『今度は守れた』、と。

 竜胆がその瞬間に思ったのは、弱さだっただろうか。

 それとも、別の何かだったのか。

 

 そしてこれ以上の蛮行を、竜胆の仲間は許さない。

 

 若葉が義経を身に宿し、星屑とオコリンボールを蹴って跳ぶ。

 跳べば跳ぶほど加速する義経ゆえに、空を幾千万の敵が飛ぶこの戦場は、若葉にとって翼が与えられたに等しい戦場だ。

 その右手は、友奈の左手を掴んでいる。

 友奈を掴んだまま、遥か高くへと若葉は飛び上がっていく。

 

 そして若葉がその勢いのまま、レオへと友奈を投げつけた。

 若葉の義経が最高の加速を与え、一目連を宿した友奈が、全力をぶつける。

 

「リュウくんいじめんなっー!!」

 

 暴風の如き連打が、レオの大アゴの折れた方の断面に、クリティカルヒットした。

 大アゴが更に砕かれ、ダメージでレオが落ちていく。

 空中で友奈がピースし、若葉が拳を握って見せ、地上のティガが親指を立てて返す。

 

 若葉と友奈が抜けた防衛線の穴を、ティガの旋刃盤が埋め、またしても彼らは相互に助け合い、一人では守りきれないものを守り合う。

 

『自惚れるなよ、邪悪』

 

 避難している大勢の人達が見える。

 それらを庇うようにして、ティガは立った。

 相対するは、亜型のレオと、無数のオコリンボール。

 

『まだまだ折れない。俺達は最後の力も枯れてない。

 ここから一歩も退()がるかよ……この先に、お前らは一歩も通さないっ!!』

 

 赤き光が、燃える炎が、ティガに寄り添い、強く強く輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アナスタシアは、それを見ていた。

 痛ましく見ていた。

 悲しげに見ていた。

 絶望にしか繋がらない皆の努力を、見つめていた。

 

「なんで……

 いつもあたしが、あたしにしか見えないものを、皆に教えると……

 みんな、いつも聞いてくれたのに……いつも信じてくれたのに……」

 

 車椅子の上でぎゅっとスカートを握って、その上に涙をこぼす。

 

「なんで……こんな時だけ……あたしの話を、聞いてくれないの……信じてくれないの……」

 

 アナスタシアの右手には、ブラックスパークレンスなどと同じ、巨人へと変身するための光のアイテムが握られていた。

 

 アイテムの名はエボルトラスター。

 進化(エボル)真実を見定めるもの(トラスター)の名を冠する神器。

 どこか日本刀に似た構造をした、鞘に収まった短剣型のアイテムである。

 鞘から刀を抜くことで、アナスタシアはウルトラマンネクサスになることができる。

 

 だが、アナスタシアは変身しない。

 腹の傷は治りきっておらず、体が変身に耐えられるかも怪しい状態である、というのもある。

 だがそれ以上に、心が戦いを放棄していた。

 エボルトラスターを握り、涙で濡らすアナスタシアの耳に、遠くより声が届く。

 

『この世界は滅びたりしない、絶対に!

 死んでたまるか、死なせてたまるか、絶対に!』

 

 それは、ティガの……御守竜胆の叫びだった。

 

『俺達の明日は、俺達のものだ! ―――てめえらに奪う権利はないッ!』

 

 敵への憎悪、憤怒。強敵に対する恐怖、躊躇。

 心の闇が、ティガトルネードの黒色をより深い色に変え、力を増す。

 味方への信頼、絆。死んだ仲間達がくれた希望、未来。

 心の光が、ティガトルネードの赤色を、より強く光り輝かせる。

 

 アナスタシアの目に映るのは、何よりも濃い闇と、その闇が引き立てる何よりも美しい光。

 

『俺達に、くだらない運命を―――押し付けてくんなぁぁぁぁッ!!』

 

 闇の中で、迷う人々を導く篝火が輝いているような、黒と赤。

 

 迷うアナスタシアが、その光につられそうになる。

 

「……未来は……未来はっ……」

 

 運命は残酷だ。

 アナスタシアが見た未来もあり、見なかった未来もあり。

 必然の結末が積み重なることによって、必然の結末はもたらされる。

 エボルトラスターを握るアナスタシアは、見た。

 

 遠く彼方で、星屑とオコリンボールに追い詰められた、ひなたの姿を見た。

 

 ひなたが死ぬのは一週間後だ。

 ここでは死なない。ひなたが死ぬ未来もアナスタシアには見えていない。

 それは、未来が決まっているから、誰が何をしても変わらない、とかではなく。

 "ここでアナスタシアが取る行動が絶対的に一つ"だからこそ、未来は一つに決まっていた。

 

「―――う」

 

 当たり前だ。アナスタシアが、母のように慕うひなたを、見捨てられるわけがない。

 

 少女は、腹の傷を開きながら、魂を震わせ叫びながら、エボルトラスターを引き抜いた。

 

「うあああっーーーーー!!」

 

 いっそ、見捨てられれば、未来は変えられたかもしれないのに。

 ひなたが予定より早く死ねば、未来も変わったかもしれないのに。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだと、アナスタシアは、分かっていたはずだったのに。

 

 それでも彼女は、ひなたの命を、諦めることはできなかった。

 

 

 

 

 

 銀色の流星が、空へと上がり、地に落ちる。

 ひなたを襲っていたバーテックスは、銀色の拳の一振りで押し潰されていた。

 巨人はひなたの敵を潰した後、ゆっくりと立ち上がる。

 ひなたが銀色の巨人を見上げ、その名を呼んだ。

 

「アナちゃん……?」

 

 ゆっくりと頷く、銀色の巨人。

 全身が銀色。

 胸に輝くはカラータイマーとは似て非なる赤き器官、エナジーコア。

 ティガと似た色合いの瞳が、強く光り輝いている。

 

 立ち上がるアナスタシアを見て、人々が次々と声を上げた。

 

「ネクサス」

 

「ネクサスだ!」

 

「ウルトラマン―――ネクサス!」

 

 ネクサスが腕を振ると、"光が水に落ちたような音"がする。

 美しい水の波紋のような光が、水面に流れる波紋のように、ウルトラマンの表面を流れる。

 ネクサスの姿が、一瞬で変わる。

 銀から、紫に。

 

 銀に染まっていた体は、濃淡二色の紫を基調とした体へ変わる。

 銀色だった部分は、銀色の生体甲冑へと変化する。

 これこそがウルトラマンネクサスの真骨頂。

 銀色の巨人から、色有りし巨人へと変わる『強化変身』。

 

『……変わった!?』

 

 銀の"アンファンス"から、色の付いた"ジュネッス"への強化変身を初めて見た竜胆が、驚きの声を上げた。

 そう、アナスタシアとネクサスは。

 地球戦力のウルトラマンの中で唯一、『強化変身』を持つウルトラマンなのである。

 

 強化形態(ジュネッス)へと変わったネクサスが、光を纏った拳を突き上げた。

 四国全てが、黄金の光に包まれていく。

 

『―――!?』

 

 黄金の光に驚いたティガだが、すぐにまた驚かされる。

 なんと、周囲の光景が、四国ではなく真っ赤な荒野へと変貌していたからだ。

 

『な、なんだ!? ここ……どこだ!?』

 

 非現実的なほどに、青が濃すぎる空。

 太陽もない、月もない、星もない、なのに明るい世界。

 砂の無い、結晶が埋められた赤土が敷き詰められたかのような、真っ赤な荒野。

 

「落ち着いて、リュウくん」

 

『あ、友奈、これはいったい……』

 

「『フェーズシフトウェーブ』だよ。

 ここはアナちゃんが作った異空間、『メタフィールド』。

 要するに、私達の世界の隣に、思う存分戦える異世界を作って、そこに全員引き込んだんだ」

 

『! これが、話に聞いてたメタフィールド……!?』

 

「ここは私達の世界の隣にある異空間。

 元の世界とは繋がってないんだよ。

 そして、異空間に引き込む相手はアナちゃんが選べるから……」

 

 友奈が指差した先に、並ぶバーテックス達。

 もはや一般人の被害を気にする必要もない。

 敵は圧倒的に強く、圧倒的に多いが……それだけだった。

 先程までと比べれば、圧倒的に希望が持てる状況になっていた。

 

「……一般人は一人もこっちに来てないけど、敵は全部こっちに来てるんだよね」

 

『……大逆転だな!』

 

「うん!」

 

 ウルトラマン三人と、勇者四人で、敵を―――と、思ったその時。

 ティガの背後で、ネクサスが倒れた。

 腹からまるで血のように光が吹き出し、腹の部分が光になってほどけていく。

 

「え?」

 

『お、おい、アナちゃん!?』

 

『いたい……いたぃ……』

 

『! まさか、腹の傷が……』

 

「リュウくん! 早く敵を全部、じゃなくてもほとんどは倒さないと!

 メタフィールドって、アナちゃんの体と同じ成分で出来てるの!

 展開中はずっとアナちゃんの命を削らないと維持できないんだよ!」

 

『ちくしょう、いい話には裏があるって本当だな! 良い技だと思ったら!』

 

 ネクサスはフェーズシフトウェーブという光の技で、メタフィールドという異空間を作る。

 これは狙った対象を結界内に引き込める上、結界内ではウルトラマンも勇者も強化される効果があるため、ネクサスの代名詞とも言える強力な技だ。

 が。

 このメタフィールドは、ネクサスの体と同じ成分で出来ている。

 ネクサスはこれの展開と維持に、命を削らなければならないのだ。

 展開可能時間は最大三分間。

 三分以上展開するとネクサスは死ぬ。

 地球での活動限界がないネクサスにとって、これこそが"巨人の三分間"だった。

 

『皆、こっち集まってくれ! アナちゃんを守りながら、陣形組んで俺達で敵を殲滅するぞ!』

 

 メタフィールドは、敵との戦いから、街を守るための"不連続時空間"。

 すなわちこれは、樹海化と同じ―――『戦場と日常を隔離する、神の異界創造能力』である。

 

 神樹は自らの根で世界を覆い、時間を止めて、異界を作る。

 ネクサスは体と命を削り、その体から異界を作る。

 樹海化とメタフィールドの違いはあれど、両者は根本的に同じ力を行使している。

 樹海は神樹の一部で出来ていて、メタフィールドはネクサスの一部で出来ているからだ。

 

 ブルトンの力と樹海化の力が相殺されていた四国に、アナスタシアは無理矢理メタフィールドをねじ込んで、人々を守り救った。

 だがその代償として、腹の傷が開き、絶大な苦痛を味わっている。

 一刻も早く敵を倒し、彼女を病院に連れて行かなければ手遅れになりかねない。

 

『動くな、ゆっくり休んでろ』

 

 ティガがネクサスの、竜胆がアナスタシアの頭を撫でた。

 兄が妹にそうするように。

 

『あとは俺達がやる』

 

 勇者がティガを見上げ、ティガがゆっくりと頷く。

 敵大型は十数体。

 EXゴモラ、ザンボラー、バードン、ベムスター。

 星屑は四千体、オコリンボールは1900万体ほど。

 敵の軍勢を前にして、ウルトラマンパワードと、ティガトルネードが肩を並べて並び立つ。

 

準備はいいかい?(Are you ready?)

 

ああ!(Ready!)

 

 景気づけ、とばかりに放たれたメガ・スペシウム光線が、オコリンボール達に炸裂。

 

 300万体ほどを爆裂させ、メタフィールドの幻想的な青空に、ドでかい開幕の花火を上げた。

 

 

 




 自重を知らない威力のパワード必殺光線
 量産型はスペック下がってるからへーきへーき

【原典とか混じえた解説】

●ウルトラマンネクサス
 絆――ネクサス――のウルトラマン。
 (ネクサス)を名に冠する、力を失った巨人の神。
 絆の力で神に至る可能性の提示者。
 太古より全宇宙の平和を守り続ける、伝説の銀色の巨人。その力の一端。

 ネクサスは人から人へと受け継がれる、継承の光でもある。
 Aさんが戦えなくなれば、次に世界を守るBさんに託される。
 Bさんが倒れた時、Bさんが信頼していたCさんに託される。
 そうして人から人へ、託される光。
 それは、希望の光である。
 人から人へ託されるたび、ネクサスは人の希望と絆を経て、神の力を取り戻していくのだ。

 ネクサスのウルトラマンとしての最たる特徴は、常に『二つの形態を持つ』こと。
 銀一色の第一形態・アンファンス。
 別の色を基調とした第二形態・ジュネッス。
 ジュネッスは変身者によって赤色や赤色など、全く違う力を発現させるため、変身者が変わるたびにネクサスの強さや戦闘スタイルはガラっと変わる。
 だがメタフィールドの展開など、一部能力は全てのジュネッスが使用することが可能である。

 現ネクサスの適能者(デュナミスト)はアナスタシア・神美。
 現在、地球最後の適能者(デュナミスト)
 固有ジュネッスは『ジュネッスパーピュア』。
 濃淡二色の紫色が混じった、紫色のジュネッス。
 パーピュアは古語で紫の意。
 王権を表す紫などに用いられる。

※備考
 乃木園子が神樹に与えられた勇者衣装とほぼ同色



●火山怪鳥 バードン
 ウルトラマンを『殺した』怪獣。
 初登場時にウルトラマンタロウを殺し、戦場に居た他の怪獣を捕食し、援軍に来たゾフィーも殺し、防衛隊の妨害も突破し、大規模団地を襲撃して大人から子供まで残らず捕食し平らげた。
 四万度の火炎を吐き、毒素の拡散で広範囲の人間を失明させ、ウルトラマンの皮膚を容易に貫くクチバシで敵の体を穴だらけにし、光の巨人ですら絶命させる恐ろしい猛毒を流し込む。
 その脅威の毒性は、口から少し漏れた毒だけで森が枯れ果てている描写があるほど。
 怪獣を模倣した存在を兵器化するマケット怪獣計画において、人間が扱ってもその毒のせいで環境破壊が起こるため、使役怪獣候補から外されたという恐るべき怪鳥。
 飛行速度はマッハ10。
 原作ウルトラマンティガの各形態の中に、バードンの飛行速度を超える形態は存在しない。
 原作でウルトラマンタロウ・ゾフィーを打倒し、メビウスを猛毒で撃退し病院送りにしている。

●宇宙大怪獣 ベムスター
 ウルトラマンに『勝った』怪獣。
 ウルトラシリーズの中でも上位に位置する知名度の怪獣。
 個体によってプロセスや能力強度が激しく上下するが、総じて『腹の五角形の口であらゆるものを捕食する』という特性を持つ。
 これが光線等も吸収してしまう上、安易な接近戦はベムスターに打ち込んだ手足を捕食されてしまうなど、遠近両方でウルトラマンを追い詰める特性となっている。
 "レーダー波の類を捕食して反射させないことでステルス状態になる"というとんでもないこともする。
 バードン同様、『名前だけで強いイメージを持たれる怪獣枠』の一体。
 飛行速度はマッハ5。
 原作ではウルトラマンジャックを敗走させ、ウルトラマンタロウを撃退し、ウルトラマンヒカリを追い詰め、ウルトラマンビクトリーを窮地に落とし、ウルトラマンXを捕食完了直前まで詰ませた。

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