オリ兄の死は弟の運命を正すか? 作:ドラゴン・タトゥーのオカマ
なら俺は死者蘇生の禁忌に手を染めてでも、兄ちゃんを生き返らせて二人で生きていこうと思う。
「君のお兄さんを生き返らせる方法がある」
ぐるん、と。兵藤一誠は首だけを動かして振り向く。
木場祐斗は確かにそう言った。
兄ちゃん、生き返らせる方法が存在する。
兵藤一誠がその言葉の真意を理解すると、構えていた腕を下ろして木場祐斗に向き直る。
「教えろ。」
木場祐斗も、先程まで発せられていた敵意と殺意が収まったのを肌で感じ、舌で唇を湿らせてからポツポツと話し始めた。
「君のお兄さんを生き返らせる方法がある、まず確実に蘇生することの出来る手段があるんだ。先程部長が説明していた悪魔の駒による悪魔への転生……は止しておこう。」
悪魔に転生と聞いた瞬間、兵藤一誠の目が大きく見開かれ、瞳が、視線が肉体を貫かんばかりに圧を掛けてきた為、慌てて木場祐斗は悪魔の駒を用いる案を廃棄した。
……何やらグレモリーの顔が青ざめているが、果たして………
「次に……これはかなり時間がかかるし、確証もないが君のお兄さんを人間として生き返らせることが出来る方法だ。
神滅具、【幽世の聖杯】の宿主を探し、 【幽世の聖杯】の力を以て君のお兄さんを復活させる。」
幽世の聖杯……極めれば神をも屠れるという、神器の中でもかなりの力を有する神滅具の一つである。
その能力を詳しくは把握していないが、命を弄ぶという点において右に出るものは無いというものらしい。
どこにあるか、誰が宿しているか、ましてや力を貸してくれるのか全く分からないが、木場祐斗はこれに賭けるしかなかった。
兵藤一誠は無言で佇んでいる。
その顔は陰になって見えないが、射抜くような視線は変わらず発せられている。
……というかどうなっているんだ彼の顔。部室は今電灯をつけていて明るいのに何故陰になっているんだ。
あといい加減自分の口から説明してください部長。いや頑張れ頑張れじゃないですから。語尾にハートつければいいもんじゃないですから。
てか何やってるんですか部長、今おふざけしたら彼にみんなぶち殺されるんですよ。
木場祐斗が頭と胃を締め付けられている時、兵藤一誠は深い溜息を吐いて思案していた。
――兄ちゃんを人間として生き返らせたとして、兄ちゃんの帰る場所はもう無い……俺の都合で、兄ちゃんを生き返らせても苦しめるだけなんじゃないか………
――けれども、兄ちゃんはあの時死ぬべきではなかった人だ。
俺なんかを庇って死んじゃいけなかった。一晩経ってから何度考えてもこの結論に至る。不意に、兄ちゃんが過去に俺に言った事を思い出した。
『お前もいつかは、誰かの為に何かをする時がある。
そんな時、どうするべきか悩んだら考え方を変えるんだ。
お前が、どうしたいかで選択肢を決めるといい。』
「………分かったよ兄ちゃん。俺は、自分の心に従って兄ちゃんを生き返らせる。」
決意は出来た。
何故リアス・グレモリーが青ざめているのか。
何故リアス・グレモリーが木場祐斗に何がなんでも言いくるめさせたのか。
そりゃ簡単ですよ。
彼女はとんでもないことをやらかした。