オリ兄の死は弟の運命を正すか?   作:ドラゴン・タトゥーのオカマ

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「やれ、無能ばかりで気が滅入る。何が悪魔の駒か、何がレーティングゲームか。そんなものクソの役にも立ちはしない。大切なのは冥界で生産し、冥界で需要と供給の円環を作るか、人間界へのニーズを満たすものを作り出すことが大切だというのに。」
複数のパネルが敷き詰められた円筒型の空間で、その男はぶつくさと呟いていた。パネルに老若男女問わず、悪魔の様子が映し出されている。
男の姓はネビロス―地獄の監査官である。
悪魔の動向を逐一監視するウォッチメンであり、違反をした悪魔の首を刎ねる執行人。
「現魔王は趣味人の脳筋ばかり、唯一為政者としてマシなファルビムは怠惰で仕事をしない………こんなのがトップの種族なんぞ滅びるのも当然としか言いようがないな。特に……サーゼクスの妹の無能姫!!コイツはなんだ!!オレの介入を拒むならそれ相応に統治できてるのかと思いきや!!シトリーがいなければガバガバではないか!!まるで貴様の股のようだな!!
お前が!!お前ら兄弟が余計な事をせねばはぐれが人を襲う前に首を刎ねておるわ!!」
彼は悪魔の全てを見ている者だ。それは同時に、悪魔の愚かさを目の当たりにしているのと同義であり、彼は常に憤怒していた。
「ディオドラのカスは天界の顔に泥を塗る真似をしおって!!貴様ら現魔王の身内は揃いも揃って厄ネタばかりよ!!」
彼は深いため息を吐いて、ある少女の顔を思い浮かべる。
その少女は魔界に、転生悪魔のためのレーティングゲームの学校を作ると言っていた。
古い悪魔はそれを笑うだろうが、ネビロスは笑わなかった。

「……訂正と謝罪を。すまないソーナ・シトリー。君の崇高な目的と行いを知っていて糞共と一括りにしてしまった。」
ネビロスはその夢を無謀なものだとは思っていた。

だが、無駄なものだとは微塵に思っていなかった。
だから彼は今なおせっせと集めている。

老害共が突かれたら痛いネタを。


袋の天鼠

とぼとぼと自室に帰ると、明かりもつけず制服から着替えず、すぐさま寝台に飛び込み溜息を吐き出す。本日得たストレスを腹の底から吐き出すように。

 

兵藤一誠との顔合わせは散々なものに終わった。

眷属への勧誘は失敗、それどころか敵意を持たれる始末だ。

何がそんなに不満なのかが分からない。

祐斗のお陰で何とか協力は取り付けられたが、それでは駄目なのだ。

兵藤一誠は人間である。

それ故に、レーティングゲームのへの参加は認められない。

神滅具『赤龍帝の篭手』の力を得られないのだ。

無理矢理眷属にする事も考えたが、もし強制をすれば『連中』が黙っていない。

この国に古くから存在する、対化物戦闘組織「衛府」が介入してくるのは目に見えている。

あの連中の事を想起し、思わず歯軋りする。

ああ、忌々しい……人間なんぞ私達(悪魔)の手で操られていれば良いものを……!!

 

「衛府」……正式名称、特別防衛府庁。平安時代よりその存在を仄めかされている組織であり、名だたる猛者が衛府に属していたと言う。

だが、その存在の長さに反して内情は不明であり、分かっているのは二点のみ。

 

一つは、彼等は真っ向から他神話と戦争出来る程の戦力を有しているということ、二つ目は……人外、特に聖書に対してただならぬ悪意を有していることだ。

私はそっと目を伏せてあの時の事を思い返した。

過去、冥界で幹部の一人がお兄様と対談しているところを見た事がある。

よく日に焼けた肌に、ロマンスグレーの髪をオールバックにしていたナイスミドルであった。男は終始にこやかに話していたが、対するお兄様は汗をかき渋い顔でたどたどしく受け答えをしていた。

その光景に強い違和感を抱いた私は

男が帰った後、私はお兄様から話を聞いた際驚いた。

 

・正式な手続きを経ずに直接日本に来るのを禁ずる。また、手続きを怠って入国した場合はぐれ悪魔として処分する。

・正式な手続きを取って入国しても監視役として衛府から二人監視役に付けること。

・入国は駒王町からのみ。正式な手続きを踏んだとしてもそれ以外の場所から入国した場合はぐれ悪魔と見なして処分する。

・日本国民に眷属として引き込む場合、脅迫や合意の得られない眷属勧誘をした際処分する。ect………

 

あまりにも悪魔に対して不平等な条約を!!あの男は呑み込ませたのだ!!

私はお兄様に問いただした。『何故このような条件を飲むのですか』と

お兄様は沈痛な面持ちで答えた。『こうしなければ我々は滅ぼされる。』と

眉を顰める私に、お兄様は教えてくれた。

先程会った男は、「衛府」の最高幹部の1人。

私が駒王町を治める際の条件を突きつけに来たという。何様のつもりなのか。

始めはあまりにもこちらに不利な条約にお兄様も反対した。

だが、彼は笑いながらこう言ったそうだ。

『この条件を飲めないと言うならば、我々は不法占拠と拉致殺人諸々で君達と事を構えるのも辞さない所存だ。』

要は従わなければ悪魔を滅ぼす、と言い放ったのだ。

私はその時思わず鼻で笑った。

人間のくせによくも大きく出たものだ、と。

大口を叩いた報いを受けよ、と。

次の日、上級悪魔の首が送りつけられるまではそんな気持ちでいたのだ。

頭蓋を切り取り、脳に花を突き刺して贈られてきたそれを見て、私は嘔吐した。

私はなめていたのだ、人間の尽きない悪意を。

奴等は悪魔と戦争になっても構わない。否、それどころか悪魔を滅ぼすために準備をしてきたと言うべき状態であった。

この上級悪魔は所謂タカ派であり、不平等条約を結ばされたと聞き眷属を連れ改定を迫ったのだろう。

その返答がこれとしたら、衛府は本当に悪魔と戦争をするつもりだろう。

もし、悪魔が今戦争を行えば勝っても負けてもより衰退するのは目に見えている。

逆に衛府は自分たちが全滅しても厭わないのだろうか。

……厭わないのだろう、衛府以外にも対化物戦闘機関は存在する。

つまり、奴等は嬉嬉として全兵力を投入してくるというわけだ。

 

先程例えとして他神話を出したが、日本神話はその在り方故に、他の神の信仰を貶めず、他の神を邪神として扱わない為、他神話と和平条約を締結している。

……唯一、冥界を除いて。

無論、聖書は他の神話と同盟を組んでいないため、戦争になったら救援を期待出来ない。

それに、あの条約は、あくまで悪魔が駒王町を統治するのを認める条約でしかない。

つまり、衛府は何時だって堕天使と悪魔に対し、戦争を仕掛けられる状態なのだ。

その気になれば、駒王町の人間を犠牲にする事で奇襲を仕掛けてくる事も出来る。

有り得ない、と笑い飛ばしたいが……駒王町の人間の大半が私達の契約者だ。

「国家転覆罪」を適用させたら即刻死刑に出来る。つまり……

 

何の気兼ねもなく皆殺しに出来るのだ。

 

もし、衛府が悪魔と戦争をする事を決めたのならば、私は生きて冥界に帰れるのだろうか。

 

―ウルルァァ

「アレ」の唸り声がする、お腹が空いたのだろうか。

私の悩みを何一つ解決出来ないくせに一丁前にご飯はたかる。

全く手間のかかる狗だ。

―ウルルァ

そんなに鳴かないで、後で出すから… … …

そのままリアス・グレモリーは夢にへと落ちていった。




最高幹部と一般兵、条約締結後の会話
―隊長はかなりの悪魔嫌いでありますが、駒王町の住民についてはどう思われておりますか。
「え?駒王町の人間の事はどう思っているかって?別に、何も?
悪夢と契約なんかして、肥え太るせてる家畜程度にしか思ってないよ。」
―では、駒王町がハルマゲドンの地となったとしても……
「そんなもの、決まってるだろう?不干渉さ。
だって僕らは向こうとそう取り決めたんだから。
そもそもさ……
悪魔に毒されたクズが大勢死のうがどうでも良いだろう?
ああでも、悪魔と契約してない国民は是が非でも助けないとね。」
―左様であります。
「近い内に家宅捜索をしよう。
悪魔との繋がりが無いか見て、無かった人間を助けよう。
え?悪魔と繋がってる人間はどうするかって?そうだね。
裏切り者として皆の前に死体を晒してもらおうか。」

衛府の一般兵はモスクワ付近のオプリチニキ程度の戦闘力です。
悪魔の皆さんにとって大した障害じゃないですよねぇ?(スマイルチャージ)
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