オリ兄の死は弟の運命を正すか?   作:ドラゴン・タトゥーのオカマ

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原典のコカビエルを調べようとしましたが、情報が少なすぎる為に勝手に盛り込みました。反省はしていない。

原典の彼は星を読むのが得意な天使だったようですね。

今回もまたオリキャラがでしゃばっています。

月と邪眼が特徴の元七大天使です、別名のひとつが某有名RPGの即死呪文と同じで、死を司る天使とも言われているので彼からとったのでしょうか。

月……邪眼……と思ってあの名作漫画の要素を盛り込んでいます。
(一応伝承でもその権能は持っていますで)

ちょっと腐り気味な描写があります、ご注意を



番外編と平行世界
月夜に蠢く邪眼


神の子を見張るもの(グリゴリ)の一室で、二人の堕天使が酒を酌み交わしていた。1人は眉間に深いシワを刻み込んだ妙齢の男、もう1人は酷く痩せて隈の酷い長身の男。二人は堕天使の中でも鼻つまみ者であった。

現にここには二人以外誰かが来ることは滅多にない、来るとしても戦闘狂なアザゼルの拾い子くらいだろう。

 

口に出すと小っ恥ずかしいため、一度も面向かって口にしたことは無いが眉間にシワのある男―コカビエルは目の前の男と酒を飲み交わす事に一抹の楽しみと多大な安らぎを感じていた。

 

だが、今日に限っては共に酒を飲むのは避けたかった。

目に見えて機嫌が悪いのだ、原因は確実にアザゼルが下した命令だろう。

 

(よりにもよって、此奴が保護している人間を調べさせろ等と言えば、な。)

最近は自重しているとはいえ、神器を抜き取っていた男の知的好奇心を満たすために子供に犠牲になれ、と言われて首を縦に振るわけがない。

親から子を取り上げるような真似を拒絶されるのは目に見えているはずだ。

 

(周りも周りだ、特にバラキエル。)

子を持つ一人の男として声の掛け方が致命的に間違えている。

お前の子供は異常だ、だから調べると言われていい顔をする親がいるわけないだろう。

此奴は余計頑なに首を縦に振らんと言うのに……

 

 

「まったく老いとは恐ろしいものだ。嘗ての理想を忘れ、あそこまで醜く成り下がるくらいならば潔く滅びるべきであるよ……そうは思わんか、親友」

長身の男が空になった杯に酒をなみなみと注ぎながら、コカビエルに話を振る。

 

口元は笑っているが、目は全く笑っていない。寧ろ、瞳の奥に黒い焔のようなものが揺らめいているようだ。

男は機嫌が悪いと笑みを浮かべながら激怒する癖があり、しかも何かに当たり散らしたりしない代わりに突拍子もなくとんでもない事をやらかすから質が悪い。

 

どう答えても男の機嫌が治ることはない。故に黙して酒を呷る。

何言っても面倒臭いのだ、この男は。

 

「この膠着状態が我々を堕落させている原因だとするなら、是が非でも打破せねばなるまい……お前もそう思うだろう?なあコカビエル………あの老耄はちゃんと抱き込んだか?」

「ぶふぉっ!?」

 

コカビエルは思わず酒を吹き出した、無理もない。

最も厄介な存在に自分の計画が見抜かれているのだ、驚きすぎて心臓まで飛び出しかねない衝撃だ。

 

「ンー、その反応からして図星らしいなコカビエルゥ。」

ニマニマと腹立たしい顔で覗き込んでくる。

 

 

「……かつてお前を守ろうとしたものを俺は壊そうとしているのに、何故俺に協力するのだ?」

 

「簡単な事だよ、親友。もう存在しないからさ。過去に愛した女を捨てたバラキエルとシェムハザ……人間という存在の可能性に興味を示していたアザゼルは、神器を集めて解剖して殺す愚か者と成り下がった。」

 

常にザラキエルの脳裏にあるのはかつてのグリゴリの様子だった。

男にとって堕天使の全盛期とは人間の娘と交わり堕天し、人間に智慧を授けたあの頃である。

男が堕天した経緯は他の堕天使たちとは違うものの、

人間を愛したが為に堕ちた堕天使が、何故人間を「危険だから」と殺すのだろう?

嘗て化粧を教えたように、力の使い方を教えてあげれば良いのに。

 

人間を愛して堕天したはずなのに、何故悪魔と結ばれているのだろう?

前の妻の身体は醜く老いて気に入らないのか?

 

あの娘を愛して堕天した筈なのに、なぜ他の女と子を設けたのだろう?

ザラキエルはそれを許せなかった。

他の幹部も同様だ。醜い。醜くて下らないと男は感じている。

男はこの生命が滅ぼされかけた時、彼等を救ってしまった。故に、醜く穢れ果てた彼等に引導を渡すのは男でなければならない。

 

 

「……俺は……堕天使こそが最も素晴らしい種であると証明したいだけだ、お前と一緒にするな。」

どこか子供っぽく、突き放すように言ったのが可笑しいのだろう、長身の方はくすくすと笑いながら続けた。

「そうだね、そうだとも。私のはただの八つ当たりだ、過去の愚昧な自分に対する報復だ。だが、お前は違うだろう?」

「…………」

「お前は、死んでいった仲間達のために事を起こす。隠しても無駄だ、私には筒抜けなのはお前も理解しているだろう?」

皺のひどい男はお手上げと言わんばかりに深い溜息を吐いた。

 

「……誰にも言うな。」

「言わんとも。お前の目的をただの鴉に成り果てた奴らに誰が言うものか?人の子に星を教え、人の子と星を読むのが好きだった、優しいお前を殺したがりの狂人のように扱う愚弟共に」

「………」

ああ、この男はそんなにも今の堕天使が憎いのか、皺のひどい男はいたたまれない気持ちになった。

コカビエルはザラキエルをよく知っている。嘗てミカエルと肩を並べていた厳格な天使、堕ちた天使を屠る執行人だったザラキエルを知っている。

人間を愛した為に堕ちた天使の赦免を訴え、神に堕天させられた

 

「星を読むのが好きなお前が、何故戦争を望むのか……アザゼルも、シェムハザも、バラキエルも、忘れ去ってしまったようだ。

……お前はこんなにも眉間にシワを刻み込む様な男では無かったのにな。」

 

悪意と嬉々を滲ませていたが一転、悲しそうな顔をすると長身の男は皺のひどい男の眉間を撫でた。

 

「………そういうお前こそ、枯れ木のように痩せ細った男ではなかっただろう。それに…………」

 

「アイツらを貶す様な男ではなかった、と?私も奴らと同じく醜く劣っていくのさ、親友。悲しいことだ……だが、私には分かる。お前は別だと。お前の魂はあの時の熱と光を喪っていない。お前の魂はあの時のまま美しくある。

だからお前は生かしておきたい……いや、違うな。生きてて欲しいと言うべきか。」

羨むような口調で

「………お前の魂は、蝋の溶け切った蝋燭のようだ。」

 

「そうとも、些細な事で消えてもおかしくはない。だが、火種にはなる。

人間を道具にする教会を攻め滅ぼそう。人間を搾取する悪魔を嬲り殺そう。」

人間への愛を忘れた同胞をすべからく殺そう。……聖書の愚行に、終止符を。

そういい高く杯を上げると、そのまま一気に飲み干した。




・男
嘗てミカエルと同列に語られていた天使の一人。
エルシャダイではスタイリッシュバイキンマンと有名な御方。
神に堕天使達の赦免を訴えて墜とされた。
堕天の際に魂を大いに摩耗した為、ほかの堕天使と比べて不健康な見た目であり現在まともに光力を扱えないほど衰弱している。
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