ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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祝100話!何とか大洗に行けました!Byみほ      そして、ギリギリ原作1話に入ったわね……Byエリカ    可成り無理矢理ですけどね…By小梅


Panzer100『大洗に到着。新たな伝説の序章です』

Side:みほ

 

 

熊本を出発して14時間……現在は明け方の5時。

起きるにはまだまだ全然早いけど、私は起きてフェリーの甲板に来てた――何故って、この時間なら、船旅をしてる人の特権とも言える絶景が見れるからね。

 

 

 

「世界の誰よりも早く朝日を拝む事が出来るのは、確かに船旅の特権だわね。」

 

「海上に居る人よりも早く朝日を拝める人はいませんからね♪」

 

「エリカさん、小梅さん!」

 

来てたんだ?……てっきりまだ寝てるって思ったんだけど――って言うか、私が部屋を出る時には確実に眠ってたよね!?……若しかして寝た振りをしてたの?分かり易く言うなら狸寝入り!!

 

 

 

「違うわよ!私も小梅もロンメルとアンドリューに起こされたのよ……」

 

「まるで『みほさんが甲板に向かったから、お前等も行け』って言ってるみたいでした。」

 

 

 

……ロンメルとアンドリューは、いい仕事をしてくれると言うか何と言うか……だけどまぁ、甲板からの朝日をエリカさんと小梅さんと一緒に拝む事が出来たのは最高だったよ!

身も蓋もないかも知れないけど、これだけ最高な事があったのなら、大洗でもきっといいことがあると思う!!

 

 

 

「でしょうね……大洗でも暴れるわよみほ!!」

 

「私達の力を、見せてあげましょう!!」

 

「勿論、その心算だよエリカさん、小梅さん!!」

 

新たな地で、私は私の戦車道を始める……そして、私の戦車道がお婆ちゃんの西住流を真っ向から撃ち砕いて、本当の戦車道って言うモノを示して見せる!

その為にもまずは、大洗女子学園に戦車道をする為の場所を作らないとだね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer100

『大洗に到着。新たな伝説の序章です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:優花里

 

 

はぁ~~……新年度までは学園艦も大洗に寄港しているのでありますが些か暇ですねぇ……自慢ではありませんが、親しい友人も居ないので、友達と連れたって何処かに繰り出す事も出来ません……我ながら寂しいモノです。

何か面白い事でもないですかねぇ?

 

まぁ、そんな物が簡単に見つかれば、私が暇を持て余す事は無いのですが……こう、目の前に戦車でもバーンと現れてくれれば一気に気分が盛り上がるんでありますがねぇ。

 

そんな事を考えながらリゾートアウトレット(現 大洗シーサイドステーション)を散策して、その途中で入港して来たフェリーを眺めている真最中……本当に暇ですねぇ。

 

「おや?あのさんふらわあは、北海道からではなく熊本からのでありますか?珍しいでありますねぇ?」

 

さんふらわあと言えば北海道の苫小牧港からの便が殆どで、熊本から大洗への便は定期就航ではなく、大型連休や長期休暇の限定便だったと記憶していますが――あぁ、今は春休みですから、運航していてもオカシクはない訳ですか。

 

春休みを長期休暇とは呼ばないと思いますが。

 

 

それにしても熊本からですか……黒森峰の本拠地ですねぇ。西住殿と、逸見殿と、赤星殿は元気にやっているでしょうか?

大会の決勝戦以来会って居ませんし、そもそも連絡先も知りませんからねぇ……決勝戦の会場で連絡先を交換しておけばよかったです。

 

まぁ、そんな事を言ってもしょうがないのですが、目の前のさんふらわあからは乗客と、カーフェリーならではの積み荷として車も続々と降りてきていますね?

マイカーと一緒に旅先に行けると言うのがカーフェリーの売りでありますからなぁ……って、何か出てきましたよ?

明らかに車と違うアレは……戦車!!それも、アイスブルーのパンターG型と、漆黒のティーガーⅡだったのですから!!――まさか中学時代の西住殿の相棒が現れるとは思ってなかったであります!!

 

何故これが大洗に!?

いえ、これが此処に来たと言う事は、若しかして西住殿も……

 

 

 

「はい、到着!お疲れ様でしたエリカさん、小梅さん。ロンメルとアンドリューもお疲れ様。」

 

「無事に着きましたね~~……まさか、また大洗に来る事になるとは思いませんでした。」

 

「ホントよね……人生、何があるか分からないモノだわ。」

 

『ガウゥゥゥ……』

 

『♪』

 

 

 

って、アイスブルーのパンターのキューポラから西住殿が現れ、操縦席からは赤星殿――だけでなく、漆黒のティーガーⅡの操縦席からは逸見殿まで!?

……ティーガーⅡのキューポラから頭を出してた虎と、砲塔に座ってた九尾の狐には突っ込み不要なんでありましょうが。

 

しかし、どうして御三方が大洗に?しかも戦車まで持って来て……?

まさかとは思いますが、戦車道の彼是を噂してるネット掲示板でまことしやかに囁かれていた『西住流のお家騒動』『黒森峰の内乱』は、実は只の噂話ではなかったのでしょうか?

 

火のない所に煙は立たぬと言いますが、如何やらネットの噂は、まったくのデマと言う訳では無さそうでありますね……

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

無事に大洗に到着して、戦車もフェリーから降ろした訳なんだけど……此れから如何しようか?

大洗の学園艦は大洗港に停泊してるし、編入手続きも終わってるから直ぐに出も学園艦に入る事は出来るんだけど……今は春休み期間中だから、学園艦に入ってもあんまり面白くないんだよねぇ?……学園艦の中は、殆ど人が居ないからね。

 

 

 

「そうなのよねぇ……こう言っちゃなんだけど長期休みの学園艦って、ある意味では幽霊船よね?」

 

「エリカさん、其れを言ったらお終いです。」

 

 

 

小梅さんの言う通り、其れを言ったらお終いなんだけど、長期休みの時って船舶科の生徒を除いて、殆どが学園艦を離れちゃうから幽霊船って言うのもあながち間違いじゃないかも知れないよ。

尤も、こんなに大きな幽霊船が現れたら、船乗りさん達はビックリ仰天だろうけどね。

 

 

さてと、取り敢えずは戦車をアウトレットの駐車場に止めて適当に散策するとしようか?結構見て回る物が有りそうだからね。

 

 

 

「西住殿!逸見殿!赤星殿!!」

 

 

 

そう思って移動しようとした矢先に聞こえて来た、私達を呼ぶ声……貴女は、秋山優花里さん!

久しぶりだね、元気してた?

 

 

 

「決勝戦の会場で会って以来ですね?」

 

「調子は如何?って、聞くまでも無さそうね。」

 

「はい!バリバリ元気でありますよ!ついさっきまで、暇でしたが。

 西住殿と逸見殿と赤星殿も元気そうで安心しました!――しかし、隻腕の軍神と、銀の狂狼、慧眼の隼が勢揃いした所に、戦車まで揃うと非常に絵になるでありますねぇ?

 お世辞抜きで『月間戦車道』の表紙や巻頭グラビアを飾れると思います。」

 

「雑誌のグラビアって……エリカさんや小梅さんは兎も角、私は如何だろう?

 幾ら私が戦車道での有名選手だとは言っても、私の場合こんな身体だから、色々と編集の方からNGが出るんじゃないかと思うんだ?」

 

「何を仰いますか!『隻腕の軍神』は、今や戦車道界隈に於ける超有名人にして黒森峰の大記録の立役者であります!

 其れに、片腕である事をものともせずに試合に臨む西住殿の姿は、多くの障碍者やパラアスリートに勇気と希望を与えているのです!そんな方が雑誌の表紙を飾る企画にNGが出る筈がありません!

 西住殿と逸見殿と赤星殿が表紙を飾れば、全国売上100万部は堅いであります!!――付け加えるなら、御三方が旧ドイツ軍の軍服姿で、西住殿がマントでも羽織ってれば尚良いですねぇ♪」

 

「……旧ドイツ軍て、ナチスドイツよね?」

 

「寧ろ、そっちの方がNG入るんじゃないのかしら……」

 

 

 

あはは……うん、間違いなくそっちにNGが入るだろうね。

所で秋山さん……サインには『優花里さんへ』って書いたから、優花里さんの方が良いかな?

 

 

 

「あ、はい!其方でお願いします!」

 

 

 

其れじゃあ優花里さん、優花里さんはこんな所で何してたの?

いや、今は春休みの期間だから学園艦が大洗に停泊してるのは分かるんだけど、優花里さんが此処に居るのはちょっと意外かな?

アウトレットって戦車関係のお店も無かったみたいだし……

 

 

 

「折角停泊しているのですから学園艦の中にばかりいるのも勿体ないと思って出かけてみたんですが、物の見事に暇を持て余してしまいまして、ぼんやりと海を見ていたらこのフェリーが入港して来たと言う訳です。

 其れで、熊本からとは珍しいと思って見ていたら、中から戦車が現れ、西住殿達が戦車から出て来たので慌ててやって来たのであります。

 いやぁ、今日は暇な一日から一転して、最高の日になったでありますよぉ!!」

 

「私等と戦車に会っただけで、此処までテンションを上げる事が出来る秋山に、ある意味で尊敬の念を抱くわ……」

 

「根っからの戦車と戦車道好きなんですねぇ……」

 

「純粋に戦車と戦車道が好きみたいだから、私としては嬉しいけど♪」

 

「はい!私、秋山優花里は戦車と戦車道が大好きなのであります!!

 で、時に御三方は何故大洗に?前に来た時は、戦車のパーツ補給兼、休暇と言う事でしたが、今回はフェリーで、しかも西住殿の中学時代の相棒とも言える戦車まで一緒に……」

 

 

 

あ~~……うん、やっぱりそれは気になるよねぇ?

あんまり軽々しく言って良い物でもないけど、優花里さんとは4月から同じ学校の生徒になる訳だし、言っちゃっても良いかな?

エリカさんと小梅さんは如何思う――

 

 

 

「答えは簡単よ秋山、4月から私とみほと小梅は大洗女子学園の生徒になるからよ。」

 

「って、エリカさん!?」

 

「みほさんが言うよりも早く、殆ど脊髄反射でぶっちゃけましたねぇ……」

 

 

 

これは流石に予想外だよ!?まさか、エリカさんがストレートにぶっちゃけるとは思ってなかったもん!!

でもまぁ、そう言う事なんだよ優花里さん。

私とエリカさんと小梅さんの3人は、4月から大洗女子学園に編入して、其処の生徒になるの。その為に、熊本からフェリーで大洗までやって来たんだよ。

 

 

 

「マジでありますか!?でも何故大洗に?

 西住殿が率いる遊撃隊は、今は黒森峰の戦車隊には必要不可欠な存在の筈です。その遊撃隊の要とも言える御三方が黒森峰から大洗にと言うのは、些か理解が出来ません。」

 

「……私達3人は、西住流を破門になったからだよ。」

 

「!!」

 

 

 

優花里さんは決勝戦を見てたんだから、あの救出劇の事は知ってるよね?

大会の結果を報告に行った場で、私のお婆ちゃん――西住流の家元が、あの救出劇を真っ向から否定したんだよ。しかも、あろう事か、プラウダの選手は見殺しにするべきだったとまで言ってね。

 

 

 

「な、何でありますか其れは!!

 西住殿達のあの時の行動は、濁流に飛び込んだと言う危険行為を咎めるなら未だしも、水没した戦車の乗員全員を救出した事は賞賛されるべき物であって否定されるべき物ではない筈です!!」

 

「マッタク持ってアンタの言う通りよ秋山。

 でも、家元は勝利は人の命よりも重いって考えててね……其れに遂にみほがプッツン行った訳よ。私と小梅もだけどね。」

 

「みほさんの戦車道を否定する事は、私とエリカさんの戦車道の否定と同じですからね……思い切り家元の考えを否定し、その結果3人仲良く西住流を破門されたと言う訳です。」

 

 

 

そして西住流を破門された以上、西住流と深い繋がりのある黒森峰に居る事は出来ない……だから、私達は大洗に来たんだよ。

 

 

 

「成程……ネットで、まことしやかに囁かれていた噂は本当だったと言う訳ですか……」

 

「「「ネットでの噂?」」」

 

「はい。戦車道に関する話をする非公式掲示板なんですが、其処に秋頃から『履帯切れ子』と言う方が『西住家のお家騒動』『黒森峰内乱』というタイトルでスレッドを立ててまして、其処で西住殿達が西住流を破門になり、黒森峰から去ると言う噂が囁かれていたんですよ。

 私も、只のネットの噂だと思っていたのですが、今の話を聞いてそれが単なる噂ではなく、事実であると認識しました……」

 

 

 

ネットでそんな噂が……って言うか『履帯切れ子』って如何考えても理子さんだよね?

まさか、理子さんがネットでリークしてたとは思わなかったよ……まぁ、其れだけ私達が黒森峰を去るって言う事が受け入れがたかったのかも知れないけどね。

 

まぁ、そう言う訳で私達は大洗に来たんだけど、戦車道を辞めた訳じゃない。戦車道を辞めたんなら、戦車を持ってくる必要はないからね。

私達は、大洗女子学園で戦車道をやる為に、此処に来たんだよ優花里さん。

 

 

 

「マジでありますか!?

 アレ?でも大洗女子学園は20年前に戦車道を廃止した筈でありますよ?――今は戦車道は行っていない普通の女子校ですが……」

 

「無いのなら、新しくつくればいいだけの事だよ。

 要件を満たせば、新たに『戦車道部』って言うのを設立する事は可能だからね。」

 

「言われてみれば確かに!!

 あの、その時は是非とも、私にもお手伝いをさせて下さい!戦車道は素人でも、戦車の知識に関しては、誰にも負けない自信がありますから、何かの役に立てると思います!!」

 

 

 

其れは頼もしいね?

その時はお願いするよ優花里さん。

 

 

 

「西住殿にお願いされました!!!いやっほうーーー!最高だぜぇ!!!」

 

「秋山、アンタテンション上がり過ぎ。」

 

「みほさんのお願いを聞いて、テンションが振り切れちゃったみたいですね此れは……」

 

 

 

あはは……其れはまた何とも。

と言うか、私は其処まで凄い人間じゃない心算なんだけど、戦車道ファンの人からしたらそうじゃないのかも知れないね?――その辺をよく考えて行動しないとだよ。

 

でも此れで、取り敢えず戦車道部を設立するための人員を1人は確保できたね――後は、編入後にドレだけ確保できるかだよ。

大洗で戦車道を続ける事が出来なければ、お婆ちゃんの西住流を否定する事は出来ないし、何よりも私の戦車道をする事が出来ないから。

 

編入手続きが終わったら、その辺の事を考えて行かないとだね。

 

 

 

余談だけど、学園艦で編入手続きを終えた後は、優花里さんの案内で大洗の町を見て回ったよ。

優花里さんがおすすめだって言うお好み焼き屋さん『道』で食べたオリジナルお好み焼き『トマトとアボカドのお好み焼き』は誇張抜きで、頬っぺたが落ちるんじゃないかって思う位に美味しかったです!!

 

あと、大洗の商店街の皆さんに、ロンメルとアンドリューが大層可愛がられてたね。

 

 

 

「狐がロンメル殿で、虎がアンドリュー殿……何とも凄い名前でありますね?」

 

「砂漠の狐と砂漠の虎だから♪」

 

取り敢えず大洗での1日目は、思いがけず充実した日になったと同時に、大洗での最初の思い出になったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:まほ

 

 

みほ達が居なくなってしまうと、何とも寂しい物が有るな……思えば、みほとエリカと小梅は1年生達の中心人物だったから、その3人が黒森峰から去ってしまったら、寂しくなるのは当たり前か。

 

 

 

「えぇ、マッタク持ってその通りだわまほ――家元は一体何を考えてるのか、本気で疑いたいわ。

 こんな事を言ったらアレだけど、一度頭を切開して脳味噌調べた方が良いんじゃない?」

 

「出来ればそうしたいが、中々そうも行かないだろうな。

 そして、何を考えているのかと聞かれれば、お婆様は勝利しか考えていない――其れこそ勝利を得る為なら、それ以外の全てを斬り捨てろと思って居るさ……其れが、結果としてみほ達を黒森峰から去らせたのだから笑えないがね。」

 

「はぁ……改めて聞いても、呆れてため息しか出ないわ。

 本気で師範を家元にした方が良いんじゃないのかしら西住流は?」

 

 

 

私もそう思う。

だが、そう言う意味ではお婆様がみほ達を破門したのは好都合だった――みほ達が敵になる事で、中と外からお婆様の西住流を否定する事が出来るからな。

 

 

 

「中と外から?……まほ、貴女何を考えてるの?」

 

「何をか……凛、私は来年度の大会ではお婆様の言う西住流を、悪意たっぷりに再現して、世間にお婆様の考え方の是非を問おうと思ってるんだ。

 分かり易く言うなら、私はみほの為に王者である事を捨て、ヒールに徹する心算だ。」

 

「ヒールに!?」

 

「勝利のみを目的とした、勝利の渇望者となり、戦車道における礼節などは蹴り捨てる……そして、その上で相手を殲滅して絶対的な勝利を手にする……戦車女子としては、あるまじき行為を徹底する――恐らくメディアからの非難は免れないだろうな。

 ――私と共に闇に堕ちて欲しいと言ったら、お前は如何する凛?」

 

「……貴女が其れを望むなら、私は其れに付き合うわまほ。

 貴女がやろうとしてる事は、みほの正しさを証明するために『悪』になると言う事でしょう?――だったら、私も乗らせて貰うわ。

 みほが居なかったら、私は明光大で潰れてたし、ヒーローが存在する為には、ヒーローが倒すべきヒールが絶対に必要になるでしょう?

 英雄が英雄になる為に、絶対悪として生み出された『アンリマユ』の様にね。

 貴女がみほの為に、歪んだ西住流を否定する為に悪に堕ちると言うなら、私も其れに付き合うわよまほ――貴女を公私に渡って支えるのが、私の役目だからね。」

 

 

 

そうか……ありがとう凛。

本当に私は良い友人を持った――恐らく共に闇に堕ちてくれる者などそうそう居ないだろうからね。

だが、おかげで私は来年度は本気で悪に徹する事が出来る……お婆様の言う西住流を徹底的に体現して相手を叩きのめし、礼節の欠片もない戦い方を世論に問うてやる!!

 

そして証明してやるんだ、みほの戦車道は間違ってなく、間違っていたのはお婆様の唱える西住流だと言う事を!!

 

 

 

――轟!!

 

 

 

「軍神招来……みほだけかと思ってたけど、まほも出来るとは、流石は姉妹って所かしら?」

 

「まぁ、姉妹だからね。」

 

何にしても、此処からがスタート地点だ……お婆様の言う西住流が終わりを告げる為のな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

『や~ってやる、や~ってやる、や~ってやるぜ!!』

 

 

 

ん~~……もう朝?

って言うか目覚まし時計が鳴ってるって、若しかして寝過ごしちゃった!?……て、そんな筈ないか、もう黒森峰じゃないんだからね。

 

 

 

「そう言う事よみほ。」

 

「もうすぐ朝ごはんできるので、顔を洗ってきちゃって下さい。」

 

「エリカさん、小梅さん……うん、了解です。」

 

大洗に来てから早1週間が経って、大洗女子学園の学園艦の事も可成り把握出来たよ……黒森峰の学園艦と比べたら小型とは言え、此れだけの規模の物を把握するって言うのは簡単じゃなかったけどね。

 

で、顔を洗った後は、準備を整えて学校に行くのみ!

とは言っても今日は始業式だけだから特に何もないよ――何やら注目されてるのは虎と狐が一緒に居るからだろうけどロンメルとアンドリューが一緒に登校するのは、黒森峰の頃からのお約束だから今更辞める気もないよ。

 

 

 

「ふふ、それでこそ西住先輩ですね♪」

 

「どんな時でもブレないな隊長は……久しぶりに会ったけど、元気そうで安心したヨ。」

 

 

 

この声は、梓ちゃんにクロエちゃん!?

2人ともどうして大洗に?――梓ちゃんは、てっきり黒森峰に行くと思ってたのに。

 

 

 

「その心算だったんですけど、姉隊長から西住先輩が黒森峰を去るって言う事を聞いて、受験先を変更したんです。

 黒森峰で先輩と一緒に戦車道をしたかったんですけど、先輩がいない黒森峰では其れは難しいので、思い切って先輩の編入先と同じ学校に進学する事にしたんです!!」

 

「私もアズサに誘われてね……隊長と一緒にまた戦車道が出来るのは、嬉しい事だヨ。」

 

 

 

そうだったんだ……マッタクお姉ちゃんったら。――でもありがとうだよ。

エリカさんと小梅さんに加えて、梓ちゃんとクロエちゃんも居るなら、最低限の戦力は確保できるし、優花里さんを入れれば新しい部を設立する為の条件である『部員5人以上』はクリアできるからね。(新しい部活の設立条件は大洗女子学園のホームページで調べた。)

 

 

 

「如何やら私達にとっては追い風が吹いてるみたいねみほ――此れならきっと、色々と巧く行くはずよ。」

 

「うん、私もそう思うよエリカさん。」

 

「では、景気づけに一発行きましょうかみほさん?――新たな門出としても、悪くないでしょう?」

 

 

 

うん、そうだね小梅さん。

其れじゃあ行こうか……Panzer――

 

 

 

「「「「Vor!!!」」」」

 

 

 

新たな地、大洗で私は私の戦車道を貫く……そして、お婆ちゃんの西住流を真っ向から否定して粉砕する!!

私とエリカさんと小梅さんを、西住流から破門したって言うのは、西住流にとっての最大の敵を生み出す事だって言う事を、骨の髄まで知ると良いよ――悪いけど、自分が属してた流派であっても手心を加える心算は無いから。

 

精々後悔して貰おうかな?……隻腕の軍神と、その仲間を破門した己の愚行を!!!――勝利のみを追い求める戦車道こそが邪道だって言う事を、証明してあげる!

 

 

そして見せてあげるよ、本当の西住の戦車道を!!――西住みほの戦車道を!!

 

 

――轟!!

 

 

 

「軍神招来来たーーー!!!」

 

「此れはもう絶対勝利確定ですね!!」

 

「因みに今回の軍神は何かなアズサ?」

 

「大戦期の軍神として名高い『西住小太郎』だね。」

 

 

 

あはは……其れは曾お爺ちゃんだよ梓ちゃん。――まさか、近代史の軍神をこの身に宿してるとは思わなかったけど、其れ程の軍神を宿してるなら、誰が相手であっても負けはないって言えるよ!!

 

其れは黒森峰が相手であってもね――大洗で戦車道を復活させた暁に、私の反撃が始まる……お婆ちゃんへの反撃がね。

だから、覚悟しておくと良いよ。――私は、私達は持てる力の全てを持ってして、お婆ちゃんの西住流を徹底的に否定してあげるからさ!!

 

 

歪んだ流派を、これ以上続けさせる訳には行かないからね!!

 

お婆ちゃんの西住流は、此処で終わりだよ!!――私達が終わらせるから、其れは絶対!……終わりが訪れるその時を、大人しく待っていやがれだよ!!

 

私達の反抗、其の身で受けて貰う心算だから、その時を楽しみにしておいてね、お婆ちゃん――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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