ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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行き成り実戦形式……ですかBy小梅      炎が、アンタを呼んでるわ!Byエリカ     なら燃え尽きちゃいな……潔くね!Byみほ


Panzer103『教官参上!行き成り戦車動かします!』

Side:みほ

 

 

如何も皆さんおはようございます、西住みほです。

行き成りですが、現在私は目が覚めた直後にも関わらず、身動きが取れない状態となっています――一体何があったのかと思うかもしれませんが、簡単に、五七五で言うなら、『朝起きて 右と左に 戦友が』って言う所です。

 

最大限ぶっちゃけて言うと、エリカさんと小梅さんに抱き枕にされてます!!

いや、私の部屋は三段ベッドを入れるスペースが無いって言う事でトリプルベッドを入れて、寝る時はいつも3人一緒のベッドだったけど、抱き枕にされるって言うのは流石に初めてだよ!?

 

 

 

「んん……みほぉ……」

 

「みほさんぁん……」

 

「はうぁ!!」

 

ヤバい、これはヤバい!!なんて言うか可成りヤバい、主に私の精神的に!!

右腕にエリカさんの柔らかい物が押し当てられ、左の脇下には小梅さんの柔らかい物がぁぁーーー!!ふわふわでプルプルな物がぁぁぁ!!

この状況を打開するには……アンドリュー、渾身の一発をお願い!!

 

 

 

『ガオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!』

 

 

 

「「!!?」」

 

「……目が覚めた、エリカさん、小梅さん?」

 

「バッチリ目が覚めたわ……って、この格好は若しかして……」

 

「私とエリカさん、みほさんを抱き枕にしてましたか?」

 

 

 

うん、バッチリとね。

私としては驚いたけど嫌ではなかったからとやかく言う心算は無いけど……せめて胸を押し当てるのだけは止めてほしいかな?幾ら女の子同士とは言え、流石に照れるからね……

 

 

「「……Jawohl.(了解。)」」

 

「お願いするよ本気で……」

 

其れじゃあこの話は此処までとして、朝ごはんを食べて学校に行こうか?

生徒会の話では、今日から実践的な訓練を始めるって言う事だったし、教官って言う人を呼んでるって事だったからね――果たして、どんな人が教官としてやって来るのか、ちょっと楽しみではあるかな♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer103

『教官参上!行き成り戦車動かします!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリカさんと小梅さんを起こしてから朝ごはん。

アンドリューの咆哮で目を覚ましたとは言え、目覚めたのは6時だから朝ごはんを作る時間は充分にあったから、今日も今日とて良い朝御飯が摂れたのは間違い無いね。

 

因みに本日の朝食メニューは、ふっくら炊きあがった白飯に白菜の浅漬け、アジの干物と納豆、そしてワカメと豆腐となめこの味噌汁って言う純和風なメニューだった。

香ばしいトーストも悪くないけど、やっぱり日本人的には朝は御飯と納豆と味噌汁だよね♪

 

と言うか『焼き魚』『納豆』『味噌汁』の白飯三種の神器を嫌いな人を、私は日本人として認めない!認められる筈がない!有り得ないから!

 

 

 

「其れ、通学途中の女子高生が言う事でもないと思うわよみほ?

 まぁ、貴女の意見にはおおむね賛成するけどね……納豆は好みが分かれるから兎も角として、焼き魚と味噌汁が嫌いだなんて言う輩は速攻で日本国籍を捨てなさいって感じだわ。」

 

「焼き魚と味噌汁は日本人のソウルフードですからね……其れが嫌いだなんて言う人は、日本人と名乗る資格すらありませんよ!!」

 

 

 

マッタクだよ!

日本は瑞穂の国って言われる位なんだから、もっとお米食べないと!

そうだ、戦車道履修者の人達にも出来るだけ主食はお米にするように言っておかないとだよ!どんな競技でも、一流アスリートって呼ばれる人達の多くは米食べてるからね!(此れは事実だよ。)

 

 

 

「言われてみれば、黒森峰の頃の主食もパンや麺よりも御飯の方が多かった気がしますねぇ?」

 

「基本的に、御飯て言うのはパンや麺と比べると腹持ちが格段に良いんだけど、そうであるにも拘らずパンや麺と違って油とか卵なんかを加えてないから、同じおかずの場合は、主食が御飯の方が総カロリー数は低くなるんだよね。」

 

「米は太るからとか言って食べないくせに、遥かにカロリーの高いケーキなんかは平気で食べる奴等に米の素晴らしさを小一時間ほど語ってやりたいわね。」

 

「うん、其れは私もそう思うよエリカさん。」

 

取り敢えず戦車道履修者には、米食を基本にするように――って、アレ?前方に何か見える……大洗の制服着てるから、大洗の生徒だと思うけど、なんかフラフラしてる?

ちょ、大丈夫!?

 

 

 

「つらい……何故朝は来るのだろう……」

 

「フラフラの割に、妙に哲学的な事を言うわね……」

 

「地球は回っているからだ!って言っても、其れで済む話じゃないんでしょうねぇ、きっと。」

 

「朝など来なければいいのに……」

 

「其れは無理だと思うよ?時が止まらない限りは。」

 

「分かってはいるが、毎日毎日そう思わざるを得ない……」

 

 

 

……この異常なまでのフラフラ感は、間違いなく極度の低血圧だよね?

確かに低血圧だと、朝は可成りきついらしいからね~~……戦車道の訓練を始める前のお姉ちゃんも低血圧で、毎朝起きるのに苦労してたからね?……だからと言って、お姉ちゃんごと布団を引っ繰り返す菊代さんも如何かと思うけど。――尤も、『此れが嫌なら御自分で起きられるようになって下さい、まほお嬢様♪』の一言のおかげで、お姉ちゃんは低血圧を克服したんだけど。

 

其れはまぁ今は良いとして、幾ら何でも放っておけないよね此れは?って言うか、このペースで行ったら遅刻所か1限目に間に合うかすら怪しいからね……よし、エリカさん、小梅さん、その人をアンドリューの背中に乗せて!

此れより『とらとら作戦』を開始します!

 

 

 

「了解よ隊長!」

 

「よいしょっと……落とされないように、捕まっていてくださいね?」

 

「なんだ?何が始まるんだ……?」

 

「ふっふっふ……其れは此れから分かるんだよ。」

 

捕まっててとは言っても、この状態の人に其れを求めるのは酷だから、私もアンドリューの背中に乗って落ちないようにサポートをね。片腕でも、人一人落ちないようにする位なら難しくはないし。

 

では、準備が出来たので……アンドリュー、学校に向かって猛ダッシュ!!

 

 

 

『ガオォォォォン!!!』

 

 

 

「うわぁ!?何だ!?速い、速いぞ!!?」

 

「虎はネコ科最大の動物で、パワーは有るけど動きは遅いって思われがちだけど、処がどっこい、獲物に飛びかかる際の最大瞬間速度は40kmにも達するんだよ♪

 普通の虎は、其れを長時間維持する事は出来ないけど、私のアンドリューは、特殊な訓練を経て、其の力を連続10分間持続できるようになってるから、10分間だけは乗用車に乗ってるのと同じだよ。」

 

「ホント凄いわよねアンドリューって。」

 

「其れを飼いならしてるみほさんも相当ですけれどね?」

 

『♪』

 

 

 

其れは否定しないけど、ロンメルの妖術で身体強化をした上でアンドリューと生身で並走してるエリカさんと小梅さんも大概だよね?って言うか、漫画の猛ダッシュみたいな土煙がリアルに上がってるからね。

 

でも、これなら遅刻する事だけは無いかな?

 

良し、校門が見えた!アンドリュー、ラストスパート!!

 

 

 

『ガァァァァァァァァァ!!!』

 

「はい、到着。」

 

「ゴールイン!」

 

「フィニッシュです♪」

 

 

「アンドリューさんに乗って登校とは、今日は一段と派手な登校ね西住さん。……アンドリューさんの猛ダッシュについて来た逸見さんと赤星さんも、朝からお疲れ様だわ。

 だけど、アンドリューさんの背に乗ってるのは……冷泉さん!今日はギリギリ間に合ったけど、貴女ドレだけ遅刻してるのよ!

 少しは定時登校って言う事が出来ないの!?」

 

「無理を言うな……朝は起きるだけでも辛いんだ……うぅ、眠い……」

 

「もう!!

 西住さん達も、これから冷泉さんを見ても甘やかしたら駄目よ!」

 

 

 

あはは……この人、遅刻常習犯だったんね……まぁ、超低血圧なら仕方ないのかも知れないけど、其れだけ遅刻してるって言う事は、学園艦で一人暮らしなのかな?

家族が一緒なら、遅刻する程寝てるなんて事は無い筈だしね。……まぁ、深くは聞かないけどさ。

 

 

 

「そど子め……」

 

「何よ!?」

 

「何でもない。

 済まない、助かったぞ……この借りは必ず返すぞ……」

 

 

 

借りは返すって、義理堅い人なんだね冷泉さんは。(風紀委員の人(そど子さん?)がそう呼んでたから、冷泉って言うのは間違い無い筈。)

何にせよ、無事に登校できたから、今日も一日頑張らないとね!

 

アンドリューとロンメルも、お仕事頑張ってね?

 

 

 

『ガウ。』

 

『♪』

 

 

 

其れじゃあ今日も、張り切って行こうか!!

戦車道の時間は勿論楽しみだけど、それ以外の科目も疎かには出来ないからね……今日も一日頑張るぞーーー!!!

 

 

 

「「おーーー!!」」

 

「おー……」

 

 

 

あ、まだ居たんだ冷泉さん……此処まで気合の入ってない『おー』を聞いたのは、人生で初めてかもしれないよ――可成りのレア体験だね。

 

 

 

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・・・

 

 

 

と、言う訳でやって来ました戦車道の時間!!

その前に今日あった事をザックリと話すと、英語の時間はエリカさん無双でした。古文では小梅さんと華さんが無双で、体育では私が片手一本指倒立を披露して拍手喝采浴びました!

そして、今日のお昼ご飯も華さんは安定の大盛りでした!……大盛りのカレーラスに、とんかつ定食とから揚げ定食のおかずだけを組み合わせるとは、グレイトすぎるよ流石にね。

まぁ、美味しそうに残さず食べきったから、私がとやかく言う事でもないけどさ。

 

「時に、今日来る教官って言うのは誰なんだろうね?」

 

「さてね?……其れよりもみほ、貴女その格好は一体何なのよ?」

 

 

 

此れ?此れはねぇ、中学校の時に部活勧誘で使った衣装なんだけど、結構気に入ってるから仕立て直して貰って、其れで大洗女子学園の戦車道が復活する記念の日だから、良い機会だから着て来たんだよ。結構似合ってるでしょ?

 

 

 

「はい、とっても良く似合ってます!!」

 

「ありがとう小梅さん。

 本当は帽子もあるんだけど、其れは中学校の時に梓ちゃんにあげちゃったからね。」

 

「あの帽子は今でも大事にしてます、西住隊長!」

 

「其れは、嬉しいかな♪」

 

ヤッパリあげたモノを大切にして貰てるって言うのは、あげた側としても甲斐があったって言うモノだからね。

 

 

 

「いやはやしかし、此れは相当にインパクトがあるぞ隊長?

 此れでサングラスでも掛ければ、相手の戦意が喪失するのは間違い無いんじゃないか?」

 

「いや、戦意喪失までは行かないでしょ松本?

 確かに迫力は有るけど、このみほを見て戦意を喪失するような柔な精神力じゃ、戦車乗りなんてやってられないわよ。」

 

「むぅ……そう言うモノか?それと、私の事はエルヴィンと呼んでくれ逸見さん!ソウルネームを名乗っている相手を本名で呼ぶのはNGだ。」

 

「ソウルネームって……姉さんのアールグレイみたいな物かしら?」

 

「多分そうだと思うよ?」

 

プラウダや聖グロの生徒が本名とは違う名を名乗って選手登録してるみたいに、エルヴィンさん達もソウルネームで通してるんだよきっと。

そう言う事なら、ソウルネームで呼ぶのがマナーだね。

 

 

 

「……そう言えば、ダージリンも田尻凜って呼んだらブチ切れてたわね。」

 

「アレはエリカさんが散々ぱら挑発しまくったからだと思うけどね。」

 

さてと、そろそろ始まる時間だけど、件の教官は何処かな?

学園艦に来るんだから、恐らくは飛行機かヘリで来るんだろうけど、少なくとも授業中には見かけてないから、此れから来るって言う事なのかなぁ?……教官が遅刻って言うのは無いと思うけど。

 

 

 

「も~~、まだかな~~?焦らすなんて大人のテクニックだよ!」

 

「あはは……やる気満々だね沙織さんは。」

 

昨日会長さんから『イケメンの教官が来る』って言う事を聞いて、凄くテンションが上がってたからね?……でも、沙織さんには悪いけど、戦車道の教官である以上は、来る人は絶対に女性だからね?

イケメンて言う事だから、美人なのは間違い無いけど――って言うか、戦車道関係者って美人さん多くないかな?お母さん然り、お姉ちゃん然り、各校の隊長は言うに及ばずだからね?

……沙織さん、戦車道をやってると美人になれるかもしれないよ。

 

 

 

「みぽりん其れホント!?そしたらモテモテになっちゃうよ!やだも~~~!」

 

「沙織さん、落ち着いて?」

 

「あはは……予想以上に効果覿面だったね。」

 

 

 

――ゴォォォォォォォォォォォォォ!!

 

 

 

っと、この音は……飛行機。しかも只の飛行機じゃなくて輸送機だよね?

其れが学園艦の上空に現れて、駐車場のギリギリまで降下して来て、ハッチから何かがパラシュートを開いて飛び出して来た……って、アレって戦車だよね!?

 

 

 

「自衛隊のC-2改輸送機に、陸上自衛隊の最新戦車である10式です!!」

 

「流石、詳しいね優花里さん?」

 

 

 

――グシャ!

 

 

 

って、駐車場のに止めてある車の上に着地して、車1台をスクラップにしちゃったよ……大丈夫なのかなアレって?……弁償は自衛隊がしてくれるのかも知れないけど……

 

 

 

「あっちゃ~~……あれ学園長の車だわ~~……」

 

「ポ、ポテチ……」

 

 

 

其れって可成りヤバいですよね会長さん。あと意味が分かりません河嶋先輩。

だけど、此れだけのことを平然とやってのける様な女性自衛官って……まさかとは思うけどあの人かな?そうだとしたら去年の決勝戦以来になるかな?あの人は、大会の審判長も務めてるからね。

 

 

 

「初めまして諸君!私がこの度、大洗女子学園の戦車道の教官として招かれた蝶野亜美よ!!」

 

「お、女の人?だ、騙された……」

 

 

 

沙織さん、そんなあからさまにガッカリしなくても……其れに騙してはいないと思うよ?イケメンなのは間違いない訳だしね。

其れよりも、お久しぶりです蝶野さん。去年の全国大会の決勝戦ぶりですね?

 

 

 

「あらみほちゃん!其れにエリカちゃんと小梅ちゃんも!よくよく見れば、みほちゃんの一番弟子の梓ちゃんまで居るじゃないの?

 師範から転校したって言う事は聞いてたけど、まさか大洗に来てたとはね?……此れは、思った以上に楽しい事になりそうだわ――みほちゃんてば鍛え甲斐があるし、ざっと見ただけでも結構素質のある子が居るみたいだしね。」

 

「はい、今回も宜しくお願いします蝶野教官!!」

 

「あの教官!戦車道やってるとモテるって本当ですか!?」

 

「ん?そうねぇ……モテるかどうかは分からないけど、狙った獲物を逃した事は無いわ!撃破率は120%よ!!」

 

 

 

沙織さん、此処で其れを聞く?そして蝶野教官、其れって好みの男性を落としたって意味じゃない上に、戦車道での撃破率でもなく、飲み比べを挑んで来た相手を酔い潰した確立ですよね?

殆どザルに近いお母さんですら負けたって言うんだから、相当な蟒蛇だよ……お母さんが『亜美は瓶ごとがデフォ』って言うのも、案外吹かしじゃないのかも知れないね。

 

時に蝶野教官、今日は何をやるんですか?

 

 

 

「そうねぇ?

 細かい事は面倒だし、大会までの事を考えたらゆっくりと基礎固めをしてる時間なんて無いから、行き成りだとは思うけど、実戦形式の試合をやって、その中で身体で色々覚えて貰いましょうか?」

 

「ちょ、其れは幾ら何でも無茶苦茶じゃない!?

 私やみほみたいな経験者なら兎も角、戦車に初めて乗る素人軍団に、行き成り戦車動かせって言っても無理があると思うわよ!?」

 

 

 

うん、マッタク持ってその通りなんだけど、蝶野教官には其れは言うだけ無駄だよ。

私も車長専任免許を取る為に指導して貰った事があるけど、結構無茶振りな課題を出して来たからね――でも、無茶振りと思える課題でも、其れはクリアできるモノだったから、行き成りの実戦でも多分何とかなるんだと思う。

 

 

 

「大丈夫よ!戦車なんて、バーンと動かしてドーンと撃てばいいんだから!!」

 

「アハハ……アバウトっすね教官?」

 

「会長に、其れは言われたくないと思いますよ?」

 

 

 

そしてこのアバウトさだから……だけど、過去に指導して貰った経験から、大体言わんとしてる事が分かっちゃう自分にちょっと複雑な感じ。

だけど、実戦形式って言うのは悪くないかも――習うよりも慣れろって言う言葉があるように、実際に体験した方が早く身に付くって言う事は確かにあるからね。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

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・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

と言う訳で、くじ引きで決めたスタート位置に戦車を配置して、後は試合開始の合図を待つだけ。……訓練とは言え、実戦形式は燃えるね!

約2年ぶりの実戦だけど、頼りにしてるよ相棒!

 

 

 

「まさか西住殿と一緒に、このアイスブルーのパンターに乗る日が来るとは夢にも思っていませんでした!

 其れで、それぞれの役割は如何しましょうか?コマンダーは勿論西住殿ですよね?」

 

「そうだね。って言うか、私は其れしか出来ないからね。」

 

となると、残るポジションは操縦士、装填士、砲手の3つ……さて、どう分配したモノかな?

華さんは華道をやってるって言う事だったから、きっと集中力には物凄い物が有ると思うから、砲手が良いと思うんだけど……優花里さんと沙織さんは如何しようかな?

ちょいと失礼。

 

 

 

「西住殿!?」

 

「ちょ、みぽりん!行き成り腕握って如何したの!?」

 

「ん~~……太さはあんまり変わらないけど、優花里さんの方が沙織さんよりも筋肉があるし、鍛えてるみたいだね。」

 

「ふえ?わ、分かるのでありますか!?……実は、何時か戦車に乗る事が出来たらと思って、基礎的な筋トレだけはしていたんですよぉ。」

 

 

 

そうだったんだ……なら、優花里さんは力仕事の装填士、沙織さんは操縦士をお願いするよ。

 

 

 

「了解であります西住殿!!」

 

「巧く出来るかどうか分からないけど、やってみるよみぽりん!」

 

「私が砲手……頑張りますわ、みほさん。」

 

「うん、その意気だよ!それじゃあ行こうか!Panzer Vor!!」

 

「え、パンツのアホ!?」

 

 

 

――ドンガラガッシャーン!!

 

 

 

さ、沙織さん其れは無いよ……そう聞こえるかもしれないけど。

私だけじゃなくて優花里さんもひっくり返ったって言う事は、優花里さんは意味を分かってたみたいだけど……沙織さん、パンツアホじゃなくてPanzer Vor。戦車前進って意味だよ。

 

 

 

「あ、そうだったんだ!それじゃあ、張り切って行くよ!!」

 

 

 

――ドルゥゥン!!

 

 

 

動いた!……まさか、此の子に認められるとは、皆戦車乗りとしての秘めた才能があるのかもね。

 

 

 

「ひゃっほー!最高だぜぇぇ!!!!」

 

「そしてまさかのパンツァーハイ!?……優花里さん、気持ちは分かるけど、少し落ち着いてね?――でも、今のテンションは試合ではプラスに働くと思うから、そのテンションをコントロールできるようにしておくと良いよ。」

 

「はい!精進します西住殿!!」

 

 

 

さてと、其れじゃあ行くとしようかな?

バトルロイヤル形式の模擬戦は、私の十八番だからね……未経験者の皆に、味わって貰おうかな――隻腕の軍神の実力と、経験者と未経験者の差って言うモノをね。

その差を知って初めて、頑張ろうっていう気持ちになる事が出来るからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

まさかのバトルロイヤル形式の実戦となったけど……此れは、普通に考えたらみほのチームが勝つのは間違い無いでしょうね。

幾らみほ以外が素人だとは言っても、みほはその素人を短時間で自分の戦車道に最適化してしまう能力がある……つまるところ、バトルロイヤルに於いては真っ先に撃破しなくちゃならない相手だわ。

 

そういう訳だから、みほを撃破するまでは共闘する事にしない小梅、澤?

 

 

 

「其れが上策ですね……。

 みほさんだったら、何れか1輌でも撃破したら、其処で能力を見極めて、雲隠れした後に、最適化をしてしまうでしょうから、先ずは最優先で撃破しないと勝てませんよ。」

 

「其れでも、確実に勝てるかどうかは分かりませんけどね……」

 

 

 

其れがみほだからね。先ずは、みほ達のパンターを探し出して――

 

 

 

『38(t)行動不能!』

 

 

 

って思ってた矢先に生徒会チームが撃破されたですって!?

歴女チームとバレー部が撃破した可能性が無くは無いけど、試合が始まった直後の撃破って言う事を考えると、38(t)を撃破したのは間違いなくみほ達のパンター!

 

素人集団を率いて、行き成り試合初の撃破を成し遂げるとは、流石みほだわ……坂口、全力で行くからその心算でいなさい!無茶な要求でもやって貰うわよ!!

 

 

 

「あ、あいーーーー!!」

 

 

 

眠れる本能が覚醒した軍神を相手にするには、こっちも持てる能力の全てを注ぎ込んだ以上の力を発揮しないと、勝つのは難しいからね!

負けないわよみほ!!

 

 

 

――パリィィィン!!

 

 

 

「逸見、瞳からハイライトが消えたって……」

 

「ふ、発動したのよ八神……私とみほだけが至った『超集中状態』をね。」

 

こうなった以上、貴女が超集中状態にならない限り負けは無いわ……楽しませて貰うわよみほ!!

 

 

 

――尚、この直後、何時の間にか小梅と澤も『超集中状態』と会得していた事が判明して、ちょっとがっくり来たけど、大洗女子学園の現状を考えるなら、小梅と澤が此れに覚醒したのは喜ぶべき事よね。

 

取り敢えず、討たせて貰うわよみほ!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

『生徒会に騙されたから、真っ先に生徒会を撃破する!』って言う沙織さんの意見を採用して、先ずは生徒会の38(t)を撃破する事に成功。

まぁ、ファースト撃破は私も考えていた事だから、相手は誰でも良かったんだけど、此れで皆のレベルがドレ位かを把握する事は出来た。

後は、如何カスタマイズするかなんだけど……

 

 

 

「ちょ、5輌で1輌を狙うなんて反則だよ~~!!」

 

「いえ、バトルロイヤルなので反則ではないのでしょうか?」

 

 

 

そんな事を考える暇もないまま、ただいま絶賛他チームからの集中砲火を浴びてます!!

エリカさんと小梅さんと梓ちゃんが手を組む事は予想してたけど、まさか歴女チームとバレー部チームが共闘するとは思ってなかったよ……奇しくも、その結果私達は5輌の戦車を相手にする事になった訳だからね。

黒森峰の時のチームだったら、此処から無双できるんだけど、其れを優花里さん達に求めるのは酷だから……此処は、西住みほの必殺技を使って切り抜ける!!

 

喰らえスモークボンバー!!

 

 

 

――ブッシュゥゥゥゥゥゥ!!

 

 

 

「此れは発煙筒!!…視界潰し、貴女の得意技だったわねみほ……」

 

「其れを的確に使ってくるとは、お見事です……」

 

「閃光弾を使ってない辺りに、未だ手加減を感じますけれど……閃光弾まで使われたらどうしようもないですからね。」

 

 

 

そう言う事だよ。

そんな訳で、私達は此処から戦略的撤退をします!!あ~ばよ、トッつぁん!!

 

 

 

「待ちなさいみほ!!」

 

「待てと言われて待つバカは居ないよエリカさん!!また後でね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

と言う訳で私達を狙う一団から逃げ切って、今は小規模の林が続く草原を走ってる真最中なんだけど、まさかバレー部チームや歴女チームまでが私達を集中的に狙ってくる事なんて言う事は予想してなかったよ。

経験者を真っ先に潰してくるだろうとは思ってたけどさ。

 

 

 

「西住殿は別格でありますからなぁ……逸見殿達も、西住殿を警戒したのでしょうね……」

 

「やっぱりそうだよねぇ……」

 

だけど、そう言う事なら相手になるよ……売られた喧嘩は買ったうえで勝つのが西住流だからね!!――次に会ったその時が決着の時だと言っても過言じゃないよ!!

体勢を立て直したら此方から攻める――って、な~んか見えるぞ?……アレは人?沙織さんストップ!!

 

 

 

「り、了解!!」

 

 

 

緊急停止したから轢く事はなかったけど、結構ギリギリだった……ブレーキのタイミングが、コンマ5秒遅かったら、間違いなく轢き殺してたと思うよ此れは!!

大丈夫だった!?

 

 

 

「ん?あぁ、大丈夫だ……また会ったな西住さん。」

 

「ほえ、冷泉さん?」

 

人影の正体は、今朝アンドリューに乗せて登校させた生徒……冷泉さんだった――まさか、こんな所で再会するとは思ってなかったよ。

 

或いは、此の再会は運命だったのかも知れないね――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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