ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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練習試合の相手は聖グロ……申し分ないね?Byみほ      上等じゃない?フルボッコにしてやるわ!Byエリカ     やる以上は徹底的にですからね♪By小梅


Panzer106『試合の相手は聖グロ?上等です!!』

Side:みほ

 

 

聖グロとの練習試合はいよいよ明日に迫って来たね?

此の何日かで皆の基礎体力が底上げされたのは間違い無いと思うんだけど、如何思うかな澤副隊長?

 

 

 

「間違いなく底上げされたと思います西住隊長。

 初日では死に掛けてたあゆみや武部先輩辺りも、息も絶え絶えとは言え、体験版を終えても死屍累々じゃなくなりましたし、超体験版をクリアした皆さんは、更に体力が付いてるのは間違いありませんし。」

 

「って言うか、体験版とは言え、僅か数日で此れを熟せるようになるとか、ちょっとオカシイんじゃないのコイツ等……私と小梅だって慣れるのには相当かかったわよ!?

 私等がやったのは行き成りフルバージョンであったとは言え、体験版でも相当でしょ此れは!」

 

「あはは……大洗は、私達の予想をはるかに超えた、掘り出し物の巣窟だったのかも知れませんねぇ?

 フィジカルアップは勿論ですが、戦車の動かし方も、大分スムーズになって来ましたし、砲撃も大体命中率が50%を超えてますから。」

 

 

 

あ、其れは言い得て妙だね小梅さん。

でも其れは其れで、嬉しい誤算だったって言えるんじゃないかな?――20年前に戦車道が廃止されて、戦車道の事なんか碌に知らない素人しか居ないと思ってたら、戦車道は素人でも、可成りの資質を持った人達が此れだけ居た訳だからね。

 

其れに、体力だけでなく戦車の事だって、教えれば教えただけモノになっていくんだから、これ程鍛え甲斐のある人達って言うのは、そうそういる物じゃないからね……此れなら、大会までには可成りの物になるかも知れないよ?

 

 

 

「まぁ、貴女がそう言うならそうなんだろうから、其処は安心してるわみほ。――で、何か用ですか会長さん?」

 

「いやぁ、そろそろ練習試合が近付いてっから、作戦なんかを聞きたいな~って思ってさ。

 か~しまの立案した作戦を、西住ちゃん達が真っ向からダメ出ししたのは良いんだけど、その代替案が出てないってのは、戦う側としては、ちょ~~~~っと、不安なんだよね?

 だから、作戦会議でもしないかね~~?」

 

「あ、そう言う事ですか。」

 

大丈夫です、今日はこの後で聖グロ戦の作戦を発表する心算でしたから――安心してください、車長経験者4人で、毎日頭付き合わせて考えに考え抜いた作戦を用意してますから♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer106

『試合の相手は聖グロ?上等です!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言う訳でフィジカルトレーニングを終えてから、温泉で汗を流した後で作戦会議――御老公の湯の宴会場で作戦会議って言うのも如何かと思うけど、会長さんが急遽貸し切りにしてくれたから問題はなさそうだね。

 

 

 

「其れで西住、どんな作戦を考えて来たんだ?

 ……私の立案した作戦を真っ向から否定してくれたのだから、さぞかし素晴らしい作戦なのだろうな?勝てるんだろうな、その作戦なら?」

 

「河嶋先輩、二等兵の分際で、一佐に、其れも隊長にそんな口を利くのは如何かと思うわよ?

 黒森峰だったら、不敬罪で即刻除隊されてるわ……戦車道に於いては、学年は関係ない――いえ、戦車道のみならず、あらゆる競技に於いて、優先されるのは実力でしょう?

 其れを理解しないで、上級生と言うだけで偉そうに振る舞うと、しっぺ返しじゃ済まない痛手を被るわよ、河嶋先輩。」

 

「ひぃ!?」

 

「か~しま~~……チキンハートのくせに、生徒会役員だからってだけで、尊大な態度取るのそろそろ止めような~~?

 こう言ったらアレだけど、西住ちゃん達にはそんなもん、全く意味為さねーからね……つーか、今のアタシ等は二等兵なんだから、隊長の言う事に異を唱える権利は有してねーからな?」

 

「会長ぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 

 

あはは……うん、そう言う事だから河嶋先輩は大人しくしていてください。

さて、其れで作戦ですが、先ずは私のAチームと、エリカさんのBチームで聖グロの部隊を強襲して、意識を此方に向かせた上で大洗の市街地まで誘導し、其処から市街地戦を仕掛けます。

戦車の総合性能は五分五分ですが、練度の面では聖グロの方が絶対的に上なので、此方は地の利を生かして行こうと思います。

大洗の事なら、皆さんの方が遥かに詳しいと思いますから、この作戦なら結構行けるんじゃないかと思いますが、如何でしょうか?

 

 

 

「良いんじゃな~い?

 ってかさ、西住ちゃん、隊長なんだから口調は普段通りで良いよ~~?アタシ等は3年つっても、階級は最下級の二等兵じゃん?大佐相当の人が、二等兵なんかに丁寧語で話したりしないっしょ?」

 

「……其れも、そうですね?

 なら、作戦の基本は此れで行こうと思うけど、如何思う?」

 

「うむ……地の利を生かした戦い方、悪くない――否、今の我々の力を考えた場合これ以上の作戦はない。

 歴史を紐解いても、戦力では劣っている軍勢が、地の利を最大に生かした結果、大軍を打ち負かしたと言う例は少なくないからな……私はこの作戦が現状では最もベターだと思うぞ西住隊長?」

 

「こっちのフィールドに引き込んでしまえば、後は根性で何とかなります!!」

 

「磯辺、アンタ其れ人として何かが間違ってるわよ?――まぁ、その気概は大事だとは思うけど。」

 

 

 

あはは……磯辺さんは、其れが取り柄だからね。

其れで、作戦に関して何か質問はあるかな?と言うか、有って然りだと思うから遠慮なくどんどん質問してくれて構わないよ?

 

 

 

「では、Fチーム車長のエルヴィンだが、何故敵部隊を強襲するのが、隊長と逸見なのだ?パンターは兎も角、ティーガーⅡは機動力に難のある重戦車だろう?

 其処は、機動力のある副隊長のⅢ号か、赤星のⅣ号、或いはEチームのクルセイダーを同行させるべきだと思うのだが……」

 

「うん、エルヴィンさんがそう思うのは当然だと思うけど、これにはちゃんと訳があるんだよ。」

 

まず、エリカさんのティーガーⅡは、レギュレーションギリギリの魔改造がされてるから、ティーガーⅡなのに最高時速が40km出るんだ――足が速くて攻守力も最強クラスなら、同伴させるには一番頼りになるからね。

そして最大の理由は此れ――エリカさん、お願い。

 

 

 

「そんな鈍足戦車で機動力勝負ぅ?流石、4強の隊長さんは言う事が違うわねぇ?」

 

「「「うわっ、スゲェムカつく。」」」

 

「流石はエリカさん、あからさまにムカつく挑発をさせたら天下一品ですね?……正直言ってちょっと殴りたくなりました。」

 

「敵だったら、間違いなく一発かましてますね。」

 

 

 

と、エリカさんの此の挑発力で、聖グロを――主に隊長を徹底的に挑発して市街地まで誘導する為にね?……まぁ、去年の大会で散々虚仮にされたから、ダージリンさんがメンタル面を鍛えてる可能性は大きいけど、其れでも挑発に乗せる位の事は出来る筈だから。

 

そして指揮官が冷静さを失えば、部隊の統率も崩れるから、市街地戦もやり易くなるしね。

 

 

 

「心理戦も視野に入れての布陣だった訳か~~?

 いやはや、隻腕の軍神の武勇は聞いてたけど、戦車戦での物理的なやり取りだけじゃなく、心理戦の方にも長けてるとは、猛将と知将の両方だね西住ちゃんは?

 ――で、勝率は?」

 

「大洗の現状の実力を考えると、良く見積もって五分って言う所かな?

 ギリギリでも勝てれば御の字、引き分けに持ち込む事が出来たら大健闘って言っても良い感じだから。」

 

「だよねぇ……でもさ、初戦は白星で飾りたいから、頑張って行こうじゃん?

 そうだねぇ、勝てたら豪華賞品プレゼントとか如何よ?」

 

「ちなみにその賞品は?」

 

「干し芋3日分!!」

 

 

 

……気持ちだけ受け取っておきます会長さん。

因みに、勝ったら賞品て言う事は、負けたら罰ゲームって事だよね……負ける気は無いけど、参考までに教えて頂けますか、会長さん?

 

 

 

「そうだねぇ?……丁度試合の日は、大洗でイベントがあるから、そのイベント会場で『あんこう踊り』でもやるとしようかねぇ?」

 

 

 

あんこう踊り?……何だかよく分からないけど、罰ゲームに選ばれる位だから、相当にアレな踊りだっていうのは想像できるけど、エルヴィンさんと磯辺さんの顔が青くなってる事を考えると、よっぽどなんだろうなぁ。

 

 

 

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と言う訳で、今度の聖グロ戦、負けたらあんこう踊りだって。これは会長の決定事項だから、変える事は出来ないみたい……

 

 

 

「あんこう踊りって、そんなの絶対やだーー!!

 若しも動画撮影されてて、其れがネットにアップされたら一生お嫁に行けなくなっちゃうよ~~!!――絶対勝とうよみぽりん、エリリン、梅りん!!勝てば罰ゲームは無いんだから!!」

 

「沙織さんが此処まで必死になるって、其処まで酷いのかな『あんこう踊り』って言うのは?」

 

「其れなんだけど、私も気になったからネットで調べてみたんだけど、これは確かに相当だわ。

 ぶっちゃけ、これを踊ってる動画がネットにアップされたら、ある意味で人生ピリオドって言えるんじゃない?……此れを見れば、私が言ってる事が理解出来る筈よ。」

 

 

 

其処まで?

取り敢えずエリカさんのスマホから送られて来た動画ファイルを確認して――って、これがあんこう踊り!?

ピンクの全身タイツにあんこうを模した帽子を被って、一心不乱に踊りまくる……此れは、確かに動画に撮られてたら、一生モノの恥になるって言うのは理解出来るかも。

 

衣装が普通の浴衣なら未だしも、身体の線がバッチリ出る全身タイツでのアノ動きは、セクハラ以外の何者でもないよ――此れは、是が非でも勝たないとね。

 

時に麻子さん、練習試合当日は可成りの早起きになるけど大丈夫かな?

 

 

 

「……西住流フィジカルトレーニングのおかげで、大分朝起きられるようにはなったが、其れでも早起きは苦手だ……当日は家まで起こしに来てくれるとありがたい。」

 

「いや、其れ私が日常的にやってるからね麻子?」

 

「うん、沙織には感謝してる。」

 

 

 

あはは……やっぱりまだ早朝起きは辛いんだ――でも、それならそれで、バッチリと目が覚める方法で起こしてあげるから、心配しないで。

何よりも、麻子さんが居ないと隊長車は動けないからね。

 

 

 

「うん、分かってる……西住さんが其の力を発揮出来るように、私は私の役割を果たすだけだ。

 しかし、戦車道と言うか、西住流フィジカルトレーニングとやらに低血圧改善の効果があるとはな……医者が知ったら、驚く事間違いないんじゃないか……?」

 

「うん、驚くと思う。まさかの効果と、世界中何処を探しても有り得ないようなハードトレーニングの内容に。」

 

今更だけど、アレを考案したのは一体誰なのか……?

出来たのは多分最近の事なんだろうけど、曾お祖母ちゃんやお祖母ちゃんが考えたとは思えないし、それ以前になると近代体育の科学的トレーニングの要素の説明が付かないから……あ、考えたのお母さんだ此れ。そして多分、菊代さんも開発に一役買ってるね。

うん、お母さんと菊代さんはとんでもない物を生み出してくれたね本当に――まぁ、そのお陰で大洗の皆は僅か数日で大幅にフィジカルアップ出来たんだから、有効性については疑いようもないけど。

 

さてと、其れじゃあ私達は帰るけど、アンドリューは今晩は麻子さんの所に泊ってね?

 

 

 

『ガウ。』

 

「……何だ、虎は残るのか?」

 

「うん、明日の目覚まし其の一としてね。

 後、麻子さんは1人暮らしだから、防犯上の事も考えてのボディガード。……まぁ、学園艦に不審者が侵入する事は先ず無いけど、犯罪者って言うのは何時何処に現れるか分からないから。」

 

「そうか、其れは有り難いが……コイツには何か?生肉でもやった方が良いのか……生憎冷蔵庫には未調理でも食べられるチーズと魚肉ソーセージ位しかないぞ?」

 

 

 

お構いなく。

此処に来るまでにちゃんとご飯は食べさせてきたし、アンドリューは好き嫌いしない良い子だから、基本的に何でも食べるからね。

 

 

 

「そうか。ならボディガード料と、目覚まし料と言う事で後で魚肉ソーセージを与えておこう……足りないだろうがな。」

 

『グルル……』

 

 

 

あはは……『お気遣いどうも』だって。

其れじゃあ麻子さん、また明日!

 

 

 

「あぁ、また明日な。」

 

「麻子、アンドリューちゃんに迷惑かけたらダメだからね?アンドリューちゃんも、麻子の事を甘やかさないでね?」

 

「沙織……うるさい。」

 

『ウガ?』

 

 

 

ふふ、沙織さんと麻子さんは、何でもストレートに言い合える間柄なんだね――普通は幼馴染だからこそ遠慮とかしちゃう部分が出て来そうなモノだけど、全然そうじゃないって言うのは普通に凄いかも。

――って、私とエリカさんと小梅さんも何でもストレートに言い合える間柄だったね。……つまり、戦車道の選手は仲間内に隠し事はしないでストレートな物言いで付き合えって言う事だね♪

 

 

 

「……大体あってるかしらね?」

 

「多分正解かと……」

 

「自分としては至言であると思います!!」

 

「今の一言は、対人関係における大事な事では無いのでしょうか?」

 

 

 

優花里さんも華さんも大袈裟だよ。まぁ、隠し事なしで付き合う事が出来るのが一番だって言うのは間違い無いと思うけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――と、言う訳で翌朝。只今AM5:30。

現在麻子さん以外のAチーム(操縦はエリカさんがしてくれてる。)とCチーム、そしてDチームは戦車に乗って麻子さんの家に向かってぱんつぁ~ふぉ~~!

 

と言うか梓ちゃんは何で此処に?

 

 

 

「副隊長として、矢張り隊長のお手伝いをすべきかなぁと思いまして、来ちゃいました。」

 

「其れは何とも、有り難いよ梓ちゃん。

 如何に中戦車とは言え、戦車3輌の空砲が鳴り響けば、幾ら麻子さんでも目を覚ますと思うからね――そう言う意味では、戦力の追加って言う事で良い判断だったよ梓ちゃん♪」

 

「中学時代、伊達に西住隊長の副官やってませんよ♪」

 

 

 

だよね?

さてと、麻子さん宅に到着……既にアンドリューがあの手この手で起こしにかかってるかもしれないけど――

 

 

 

『ゴワァァァァァァァァァァァァァ!!!』

 

 

 

……あの大音量の咆哮が出たって事は、麻子さんはまだ寝てると思うから、全車撃ち方用意!!

 

 

 

「空砲弾、装填完了であります!」

 

「隊長、準備OKです。」

 

「此方も何時でも行けますよ、みほさん?」

 

「うん、其れでは……フォイア!」

 

 

 

――ドン!ドンッ!!ドォォォォォン!!

 

 

 

「砲撃?」

 

「なんだなんだ?」

 

 

 

あ……関係ない人まで起こしちゃった。

朝早くからすみません、空砲です!

 

 

 

「パンターは新顔だけど、Ⅲ号とⅣ号が動いてるのは久しぶりに見たねぇ?そう言えば、戦車道を復活させたんだってねぇ?

 戦車道は乙女の嗜みって言われる乙女武術だ……鉄と火薬と油の臭いってのは、最初は慣れないけど、慣れてしまえば香りに変わるモンだから、青春を戦車道に捧げるのも悪くないモンだよ。」

 

「そうだ、試合やるんだろ?頑張れよ!!」

 

 

 

これは、予想外の応援?

はい、皆さんの応援に応えられるように頑張ります!!――時に、麻子さんは起きたのかな?

 

 

 

「う~~……何とか起きたぞ西住さん。

 流石に虎の至近距離での大音量『ほえる』と、戦車の空砲3連発は効いた……今のを録音した目覚まし時計を作ったら、爆発的大ヒットは間違いないと思うぞ?……近隣住民に迷惑だがな。」

 

 

 

うん、起きたみたいだね?とは言っても、未だパジャマのままで、半分アンドリューによりかかった状態ではあるけど。

でも、試合に向けてシャキッとして貰わないとだから、先ずは制服に着替えないと……ロンメル、神通力で麻子さんを着替えさせてあげて?

 

 

 

『コ~~ン♪』

 

「おぉ、一瞬で服が切り替わったぞ……」

 

 

 

フフフ、九尾の妖狐を舐めはいけないよ麻子さん。

さてと、これで服は良いから後は目を完全に覚まさないとだね?――先ずは歯を磨いて、そして冷水で顔を洗って、其れが終わったら此れを一気に飲み干して。確実に目が覚めるから。

 

 

 

「なんだこれは?変な臭いはしないが……取り敢えず目が覚めると言うのならば――

 ――!?むぐ、これは一体何だ西住さん!?飲んだ瞬間に目が覚めたと言うか、身体の底から力が漲って来るみたいだぞ?」

 

「リポビタンDにガラナとマタタビの粉末を混ぜて牛乳で割った特製ドリンク。

 お母さんが疲れた時によく飲んでたから、目覚めの一杯としても効果があるんじゃないかって思ったけど、効果があるどころか物凄く効いたみたいだね。」

 

これなら今日の試合、操縦の方は安心しても良いかな?

 

 

 

「任せておけ西住さん。

 今の私は、きっと最強だ……どんな無茶な指示でもちゃんとこなすから安心して命令してくれ……そして勝とう。……あんこう踊りをしてるのをおばあに見られたら何を言われるか分からないしな。」

 

 

 

……やっぱり麻子さんもあんこう踊りは避けたいんだね。

 

 

 

――ピンポンパンポーン!

 

 

『当学園艦は、これより大洗港に入港します。戦車道履修者の皆さんは、戦車を降ろす準備をしてください。

 繰り返します。当学園艦は、これより大洗港に入港します。戦車道履修者の皆さんは、戦車を降ろす準備をしてください。』

 

 

 

っと、如何やら大洗に着いたみたいだね?

着いたみたいだけど、大洗の学園艦のすぐ横には、更に巨大な学園艦が!――聖グロリアーナ女学院……もう入港してたんだね?って、甲板に誰か……アレは、ダージリンさん?

 

 

 

「………」(ニコリ)

 

 

 

ダージリンさんも私に気付いたみたいで、無言で笑顔を向けて来たか……きっと私の顔も笑ってただろうから、ダージリンさんにも分かってた筈だよね――だとしたら、この練習試合は只じゃ終わらない。

戦車道に於いて、互いに認めた相手と無言で笑顔を交すのは、『本気でやろう』の合図だからね。――手加減なしだよ、ダージリンさん!

 

 

 

――轟!!

 

 

 

「みぽりんが本気を出したーー!!」

 

「今日は『諸葛亮孔明』と『呂布奉先』……策士と鬼神が宿ったなら負けは無いわね。」

 

 

 

うん、勿論負ける心算は無いよ?

経験の差から言えば引き分ける事が出来れば御の字だけど、だからと言って勝利の可能性がない訳じゃない――特に経験者が搭乗してる戦車は性能面では勝ってるからね。

 

絶対に勝ちに行くよ、皆!!

 

 

 

「「「「「「「「「「「「「おーーーー!」」」」」」」」」」」」

 

「お~~~~………」

 

『グオォォォォォォォォォォォン!!』

 

『コーン♪』

 

 

 

うん、やる気は充分だね!

 

そして、陸に上がってみれば他のチームの皆もやる気は充分みたい――歴女チームのエルヴィンさんが、『隊長ならば其れらしい服装でなくてはな。』って、ドイツ軍の軍服一式を持って来たのは驚いたけどね。

 

でも、それ以上に驚いたのは、この練習試合で大洗の町が、まるでお祭りみたいに盛り上がってる事だよ。

学園艦が停泊した港のすぐそばにあるアウトレットには出店が幾つも出店してる上に、駐車道には観戦用の特設スタンドとパブリックビューイングまで設置されてるからね……此れは、事前に会長さんが大洗の商工会かなんかに練習試合の情報をリークしたかな?

そうじゃなかったら、これだけの物を当日に準備する事は出来ないからね。

 

だけど、これだけの人が見てる前で無様な試合は出来ないね……此れだけの人が、大洗の戦車道の復活を見に来てくれたんだから……!

大洗での初陣、私の戦車道で勝利を捥ぎ取って見せるよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

練習試合の予定時刻となり、両校の隊長と副隊長――大洗はみほと梓、聖グロはダージリンとアッサム――が大洗郊外の試合会場にて対峙していた。

 

 

「去年の全国大会以来ねみほさん?」

 

「えぇ、お久しぶりですダージリンさん。」

 

「貴女とエリカさん、そして小梅さんが黒森峰から去った事は聖グロ諜報部の調べで分かっていましたが、まさか20年も前に戦車道を廃止した学校に転校しているとは思いませんでしたわ。

 本来ならば、無名の弱小校からの練習試合などは突っぱねる所なのですけれど、貴女が隊長をやっていると言うのを聞いて気が変わりましたわ……楽しませてくれますわよねみほさん?」

 

「其れは、お約束しますよダージリンさん。」

 

 

そして、対峙した隊長同士は、既に静かに、しかし激しく火花を散らしていた。――何方も闘気は既にマキシマムオーバーと言う所だろう。

 

 

「それにしても、個性的な戦車ですわね?」

 

「カッコイイでしょ?特にゴールドの38(t)は?」

 

「金は確かに高貴な色ですけれど、其れを戦車に使われると悪趣味ですわ……尤もアイスブルーのパンター、ディープブラックのティーガーⅡに、スノーホワイトのⅢ号は良いカラーリングとは思いますわ。」

 

「その3輌のカラーリングを褒めてもらえるのは光栄で……「みほさーーん!!!」……ローズヒップさん!?」

 

 

だが、此処でみほに向かってローズヒップが突撃!

吹き飛ばされずに、僅かに後ろに飛んで衝撃を逃がしながら確りとロースヒップを受け止めたみほは流石と言うべきだろう――如何に衝撃を逃がしたとはいえ、ローズヒップの突進を止めて平然としてるみほが凄すぎだが。

 

 

「去年の大会ぶりでごぜーますわねみほさん!!今日の練習試合、勝たせて貰いますのよ!!」

 

「ふふ、相変わらずローズヒップさんは元気だね。

 だけど、今日の試合……勝つのは私達だよ――ルールは殲滅戦だけど、負ける気は更々無いからね……だから、ローズヒップさんも全力で来てくれると嬉しいかな?」

 

「モチのロンでございますわ!最初っから全力全壊ですのよ!!」

 

 

だが、其れでもみほとローズヒップは旧知の仲であり、中学時代の戦友と言う事も有って会話に花が咲く――それでも、自然と戦車道の試合の話になるのは、彼女達が真の戦車乙女だからだろう。

 

 

 

「其れでは、これより大洗女子学園対聖グロリアーナ女学院の試合を始める。互いに、礼!!」

 

「「「「よろしくお願いします!!」」」」

 

「よろしくお願いしますですわ!!」

 

 

そして此処で試合開始の時間となり、審判長である蝶野亜美が試合開始を告げ、みほと梓、そしてダージリンとアッサム、ローズヒップは互いに礼をし、夫々の陣地へと戻って行くが……

 

 

「So unschlagbar Darjeeling.(負けませんよ、ダージリンさん。)」

 

「Even I don't lose, Miho.(私だって負けませんわ、みほさん。)」

 

 

みほとダージリンは、互いにだけ聞こえる音量で呟き、絶対に負けないと言う意思を示す――練習試合とは言え、此の試合は無名の弱小校と強豪の戦いと言うモノでは終わらないだろう。

 

 

「ダージリンさん……楽しい試合にしようか!!」

 

 

「此の試合、楽しませて貰いますわ、みほさん!!」

 

 

両校の隊長が、全力でこの試合を楽しむ気でいるのだから。

 

何れにしてもこの瞬間に、大洗女子学園にとっては20年ぶりとなる戦車道の試合が始まったのだった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

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