ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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110話まで来たぞーーー!Byみほ      良く続くわね此れも……Byエリカ     此処まで続いたのは、作者の愛ですねぇ♪By小梅


Panzer110『束の間の休息~次はマジノ戦です~』

Side:みほ

 

 

聖グロとの練習試合は、引き分けって言う結果だったけど、4強の一角である聖グロと引き分けたって言うのは、ある意味で最高の結果だと言えるかもしれないね?

勝ってたら有頂天になって、以降の試合で思わぬミスをするかもしれないし、逆に負けたら負けたで意気消沈して、本来の実力を発揮出来なくなってたかもだから。

 

 

 

「諸手を挙げて賛成!とは行かないけど、確かにその可能性が無くは無いから、ドローゲームって言う結果は、大洗の連中に自信と課題の両方を知らせるいい結果だったのかも知れないわね。」

 

「ですね。

 何にしても、聖グロとの練習試合で得たモノは大きいと思います――と言うか、そうじゃないとあんこう踊りをやった私とエリカさんが悲しすぎますから!!」

 

「梅りん、エリリン、君達は頑張った!!

 大洗町の群集の視線にさらされながらも、よくぞあんこう踊りを踊り切った!!羞恥に耐えてよく頑張った!感動した!!」

 

 

 

其れはちょっと大げさじゃないかな沙織さん?……まぁ、エリカさんも小梅さんも良くやったと思うけどね。

でも、あの踊りは極限状態に陥った場合に、チームの士気を高める事に使えるかも知れないね?……片腕じゃあ、出来ない振りつけが幾つかあるけど、其処は工夫で補う事も出来るだろうからね。

 

百芸は身を助けるって言うから、取り敢えず覚えていても損は無いだろうと思うし。

 

 

 

「みほ……貴女本気?」

 

「本気と書いてマジだよエリカさん。」

 

何よりも、あれを隊長が覚えてないって言うのはよくないしね……全身全霊を持ってして、あんこう踊りをマスターして、何時何処でも踊れるようにしておかないとね!!

 

 

 

「みほ、其れだけは止めて!お願いだから!!」

 

「エリカさん……だが断る!!」

 

私の勘が、あんこう踊りをマスターしろって言ってる以上、其れを会得するのは絶対だし、これは間違い無く戦車道でも必要になるからね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer110

『束の間の休息~次はマジノ戦です~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、何時も通り登校した訳なんだけど、正門付近が何やら賑わってるね?――一体何があったんだろう?

 

 

 

「号外!号外!

 20年ぶりに戦車道を復活させた我が大洗女子学園が、高校戦車道の4強の一角である聖グロリアーナ女学院を相手に回して、押し気味の引き分けで初陣を飾ったよ~~!

 しかも、我が校の戦車隊は、全国大会への出場も決めている――これはジャイアントキリングが期待出来るかもーーー!!」

 

 

 

「……如何やら、聖グロとの練習試合の結果を、号外って言う形で配布してるみたいね……結果は引き分けだったけど、強豪校と引き分けたって言うのは、新聞部的には報道する価値があった訳か。」

 

「勝利以上の価値がある引き分けでしたからね。――まぁ、小沢さんは新聞部でもあるので、絶対に記事にしたかったのかも知れません。」

 

 

 

そう言えば、彼女はⅣ号の通信士だったね。――と言う事は、試合に参加した選手としての、生の感想が其のまま記事になってるのかな?

『百聞は一見に如かず』って言うように、実際に試合に出てた選手の感想って言うのは、試合を観戦してた観客の感想よりも説得力があるからね?……其れを考えると、新聞部は戦車道に関しては最高の記者を手に入れたって言えるね。

 

「取り敢えず、その号外1部貰えるかな?」

 

「あ!此れは西住隊長!はい、どうぞ!

 いやぁ、小沢の奴から試合の事を聞いたんですけど、次から次へと話が飛び出してくるんで、其れを纏めて今日の号外に間に合わせるのが大変でした♪

 今年の大洗は戦車道に力を入れてるみたいだから、全国大会でも活躍を期待してますよ!」

 

「うん、ありがとう。期待に応えられるように頑張るよ。」

 

さてさて、号外には如何書かれてるのかな?

 

 

 

『大洗女子学園が20年ぶりに戦車道を復活させたのは既にご存知かと思うが、大洗女子学園戦車隊(以下大洗)は、その初陣として高校戦車道の4強の一角である聖グロリアーナ女学院(以下聖グロ)との練習試合を行った。

 普通に考えれば、今年から復活させ、更には戦車道経験者が5人しかいない戦車隊では聖グロに勝つ事はおろか、1輌も撃破出来ないのではないかと思っていたのだが、結果は違った。

 序盤に生徒会チームの間抜けな独断専行によるファーストアタックこそ喰らったモノの、以降は大洗の市街地を利用しての市街地戦を徹底し、練度の差を知恵と工夫とフィールドアドバンテージで補って、試合を動かし、最終的には引き分けにまで持ち込む事が出来た。

 引き分けと言う結果だけを見れば大した事が無いかも知れないが、現在の大洗の戦力を考えれば、聖グロ相手に引き分けたのは大金星と言っても良いだろう。

 また、聖グロの隊長であるダージリン女史が、試合後に我が校の隊長である西住みほ隊長に『好敵手の証』であるティーセットを渡したと言う事からも、少なくとも大洗は聖グロに認められたと言っても言い過ぎではない筈だ。

 4強の一角である聖グロから好敵手認定された、我が校の戦車隊の活躍を、期待せざるを得ないだろう。』

 

 

 

ふむふむ、これは中々よく書けてると思うなぁ?

よし恵ちゃんへのインタビューを元にして記事を書いてるから試合の臨場感が伝わって来るし、文章の所々によし恵ちゃんが言ったんだろうと思われる言葉が見受けられて、其れが更にリアリティを増してるからね。

 

 

 

「生徒会の間抜けな独断専行……此れは否定できないでありますなぁ……」

 

「寧ろ否定不可能よ優花里。

 アレが無かったら、こっちが残存車輌1で勝ってたかもしれないんだからね――まぁ、そうなったらそうなったで、会長さんとポンコツモノクルが増長してたかもしれないから、アレで良かったのかも知れないけど。」

 

「うんうん、其れに関しては同感だよエリリン!

 自分達が生き残ったとなったら、会長は兎も角、河嶋先輩は絶対に増長してみぽりんに対して偉そうな態度を取ってたと思うからね?そう言う意味では、アレで良かったんだよ!

 結果として、あの2人はみぽりんに逆らう事が出来なくなった訳なんだから。」

 

「だな。

 隊長モードの西住さんに逆らおうものなら……想像しただけで恐ろしい事になりそうだからな?……お前のご主人は、何かと凄い人みたいだからな、アンドリュー。」

 

『ガウ♪』

 

 

 

あはは……生徒会チームには容赦ないね皆?

まぁ、確かに命令無視の独断専行の挙げ句に撃破されたって言うのは、普通なら即二軍落ちは間違い無い所業だからね――副隊長である梓ちゃんも、『会長と河嶋先輩をリストラしましょう!代わりの人材探しましょう!』って言う位だったから。

でも、代わりの人材が見つかる可能性は可成り低いから、会長さんと河嶋先輩には続投して貰ってるけどね。

 

……時に麻子さん、随分とアンドリューと仲良くなったんだね?

 

 

 

「練習試合前に一緒に寝た時にな。

 コイツ、私が安心して眠れるように態々布団の横に身体を横たえて来たんだ……普通なら信じられん事だぞ、虎がそんな事をするなんて。

 しかも其れだけじゃなく、私が不安にならないように前足で私を抱きしめて来たんだ……幾ら何でも驚いたぞあれは。」

 

「あはは……アンドリューは特別賢い虎だから。

 黄色ではない、黄金の毛並みの虎は伊達じゃないんだよ麻子さん。」

 

「そうか、そう言われると納得だ。」

 

 

 

因みに、ロンメルの毛並みは純白じゃなくて白銀ね。

其れじゃあ、ロンメルとアンドリューは此処までだね?今日もお仕事頑張ってね?――其れと、今日の晩御飯は2人の日頃の頑張りを評価して、2人の大好物の『骨付き鳥肉と里芋のミルクシチュー』だから期待しててくれて良いよ♪

 

 

 

『ガウゥ♪」

 

『こーん♪』

 

 

 

「……アンドリューは、これでもかって言う位に尻尾をピンと立たせて、ロンメルは9本の尻尾がぶっちぎれんばかりに振ってるわ――あの子達にとって、そのメニューは相当に嬉しかったみたいね。」

 

「なら、腕によりをかけて作らないとですね♪」

 

 

 

うん、そうだね小梅さん。

でも、其れは其れとして、先ずは今日の学校を確りバッチリ過ごしましょう!それじゃ、行くよ~~?ぱんつぁーふぉーー!

 

 

 

「「「「「「Jawohl.」」」」」」

 

 

 

今日も、楽しい一日を始めようかな♪

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

激戦の練習試合があったからと言って、次の日の授業がなくなる訳じゃなく、今日も今日とて退屈な午前中を過ごす事になったわ。――学校ごとのカリキュラムがあるから、授業の進み具合は違うって言うのは知ってたけど、英語の授業は黒森峰でとっくにやった範囲だから復習してる感じよマッタク。

 

まぁ、そのせいで私に授業の事で色々聞いてくる奴が居るけど、頼られるってのは悪い気分じゃないから、懇切丁寧に教えてるけどね。

 

そんなこんなで午前中の授業を終えて、今はみほのチームの面々+私と小梅って言う面子で食堂でランチの真最中。

因みにメニューは、みほがアクアバーガー(サメ肉のナゲットを挟んだハンバーガー)とポテトのセット、私がハンバーグハヤシライス、小梅がつくね親子丼、優花里がから揚げ定食、麻子はハムカツサンドで沙織がカレーライスと納豆、そして華がご飯大盛りの生姜焼き定食に大盛りラーメンのセット……今更だけど、華の胃袋がどうなってるか知りたいわね。

 

 

 

「気にするだけ徒労だよエリリン。華の胃袋はブラックホールだから♪」

 

「にしたって食い過ぎでしょ……体育会系の男子だって此処まで食べないでしょうに――それでいて、全く太らないって言うんだから理不尽な身体してるわよね。」

 

「どうにも燃費の悪い身体のようでして♪」

 

 

 

燃費が悪いって、実は意外と筋肉量が多いのかしら華は?

でも、その理屈で言ったら私やみほ、もっと言うなら小梅に澤に武藤だって大食いじゃないと説明が付かないわよね?……考えるの止めときましょう。別に華の大食いで誰かが迷惑を被る訳じゃないからね。

 

 

 

「ねぇ沙織さん、なんでカレーなのに納豆なの?納豆ってご飯にかけて食べるのが普通だよね?」

 

「其れは、私も気になってました。」

 

「え?此れはね、こうやって食べるんだよ。」

 

「「「!!?」」」

 

 

って、ちょっと待ちなさい沙織!

アンタ今何をした!?納豆を混ぜて糸引かせてからカレーにぶっ掛けるって、何その暴挙!?普通そんな事する!?アンタ頭大丈夫!!?

 

 

 

「あ~~……やっぱり馴染みないよね?

 驚くかもしれないけど、これぞ茨城のソウルフード『納豆カレー』だよ!意外に思うかもしれないけど、此れ結構いけるんだよ?」

 

「マジで!?」

 

「大マジでありますよ逸見殿。

 カレーのC○C○壱も、茨城の店舗では納豆カレーを普通に販売していますから。私も、陸に上がった時とかに偶に食べますからね。

 もっと言うのであれば、レトルトにもなっていて道の駅やお土産屋さんでも売っています。シーサイドステーションの『まいわい市場』でも販売しているであります!」

 

「ほ、本当に茨城のソウルフードなんだ……」

 

「だからと言って、学校の学食で態々別途に納豆を注文して自作するのは沙織位だがな。」

 

 

 

沙織、アンタ其処までして納豆カレーを食いたい訳?

 

 

 

「だって美味しいんだもん!エリリンだって一度食べたら絶対ハマるからね!納豆にカレーのスパイシーさが最高なんだから!」

 

「でありますなぁ。

 因みに、納豆カレー以外にも茨城にはご当地カレーがあってレトルトにもなってるんですよ。鉾田のメロンカレーに、土浦のレンコンカレー、茨城町の涸沼しじみカレー、笠間の栗カレー、北茨城のあんこうカレー、そして我が大洗はサメカレーです!」

 

「大洗のインパクトがハンパないね、エリカさん、小梅さん。」

 

「ですね……サメカレーって……」

 

「まぁ、今みほが食べてるのもサメ肉だけどね。」

 

そう言えば大洗アクアワールドは、サメの飼育数と飼育種類が日本一だって事だったけど、其れを考えると大洗では漁の際に、サメが網に掛かる事が多いのかも知れないわね。

その全部を水族館で飼育する訳には行かないから、こうやって何らかの形で加工して市場に出してる訳か。

 

所で華、貴女が頼んだのって醤油ラーメンじゃなかったかしら?私には、今貴女が食べてるのって味噌ラーメンに見えるんだけど?

 

 

 

「足りなかったのでおかわりしちゃいました♪」

 

「胃袋が甘いぜ!お留守だぜ!!がら空きだぜ!!!」

 

「しかもおかわりまで大盛りって……凄いね華さん!?」

 

「華さんを連れて行ったら、絶対に食べ放題は元を取れる気がします……」

 

「食べ放題で元を取るって、ドンだけでありますか五十鈴殿!?」

 

「お~~!今日は絶好調だね華♪」

 

「沙織……うるさい。」

 

 

 

華の大食いは誰かに迷惑を掛けないって言ったけど前言撤回!

華の大食いは間違い無く厨房に多大なる迷惑をかけてるわ!否、其れが稼ぎになってる訳だから迷惑じゃないのかも知れないけど、華のせいで忙しさが増すのは間違い無いわ絶対!

貴女、チャレンジメニューがある店に行ったら其れ頼みなさいよ?そうじゃないと次々と追加注文が入って厨房が大変だから!

 

 

 

「あ、エリリン其れ無理。

 華ってば1年生の時に学園艦はおろか、大洗の町でも軒並みチャレンジメニュー制覇しちゃってるから挑戦不可なんだよ。――まぁ、その代わりにチャレンジメニューをアレンジした華用の『華さん盛り』が実装されてるけど。」

 

「特別メニューが存在してるとは恐れ入ったわ……」

 

華は大人しそうなイメージだったけど、色々と規格外が揃ってる大洗の中でも特に凄いのかも知れないわね?

そして、そんなのがみほの指揮する戦車の砲手……うん、これは間違い無く全国大会までに華は命中率100%で撃破率80%オーバーって言う、サンダースのナオミやプラウダのノンナに匹敵する砲手になるわ。

 

 

 

「すみません、ラーメンおかわりお願いします。今度はトンコツで。」

 

 

 

……だけど、そろそろその辺にしときなさいよ?

貴女が一人で学食を食い尽くしたとか、本気で洒落にならないからね。――結局華は、この日学食のラーメンをフルコンプリートして見せてくれたわ……本気で驚いたわね此れは。

 

まぁ、其れは其れとして、午後の授業も頑張りますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

午後の授業も無事に終わり、今日も戦車道の時間――なんだけど、これは一体如何したんだろう?

私のパンターとエリカさんのティーガーⅡ、梓ちゃんのⅢ号以外は可成り個性的なカラーになってた筈なんだけど、今は其れを塗り直してる最中?――ねぇ、如何して戦車を塗り直してるの梓ちゃん?

 

 

 

「西住隊長。

 如何やら、聖グロ戦を経て心境の変化があったみたいです――夫々好きな色に塗ってましたけど、其れじゃあダメだって思ったみたいで。

 聖グロ戦が引き分けだったって言うのも大きいかも知れないですね……試合其の物は楽しめたみたいですけど、やっぱり勝ちたかったみたいですので。」

 

「そっか。うん、そうだよね。」

 

楽しむが第一だけど、試合である以上は勝ちたいって思うのが当然だからね――まぁ、だからと言って勝利至上主義になったらダメだけど。

其れが、戦車を塗り直すきっかけになった訳か……でも、塗り直しのカラーは良い感じかな?

Ⅳ号はジャーマングレー、Ⅲ突はニュートラルグレー、クルセイダーはオリーブグリーン、38(t)はミッドナイトブルーと、戦車らしいカラーリングになってるからね。

 

 

 

「なら良かったよ西住ちゃん。

 やっぱり金ぴかってのは駄目だわ~~。光ってれば砲弾を弾けるかもって思ったけど、色だけじゃ駄目だねヤッパリ。」

 

「当然ですよ会長さん。」

 

時に河嶋先輩は如何してます?

号外で生徒会が叩かれてたので、若しかしたらよし恵ちゃんに詰め寄ってるんじゃないかって思ってたんですけど……姿が見えませんね?

 

 

 

「あぁ、か~しまだったらアタシが黙らせた。

 西住ちゃんの言う通り、小沢ちゃんに掴みかからんばかりの勢いだったんだけど、『下手な因縁つけたら西住ちゃんに言いつけるぞ?』って言ったら、顔青くしてガクブルだったからね~~?

 聖グロ戦後の西住ちゃんが余程怖かったと見えるよか~しまは。……か~しまも悪い奴じゃないんだけど、自分に自信が無いのか、自分を偉そうに見せようとするところがあるから、ちょっと困りモノだよね。」

 

「其れは確かにそうですね。」

 

自分に自信が無いから虚勢を張って自分を凄く見せようとするか……悲しいですよね、そんなのって。

河嶋先輩は砲手は駄目でも、砲手と装填士を兼任して状態でも結構な速さでの装填が出来てたみたいだから、装填士に専念して成果を出して自信をつけて貰いたいかな。

 

 

 

「まぁ、それはか~しま次第さね。

 其れでさ西住ちゃん、もとい隊長殿。三等兵の立場でありながら差し出がましいとは思いますが、夫々のチームに『チーム名』ってモノを付けるのは如何でしょう?

 AチームとかBチームとかで言うよりも、分かり易くて愛着がわくと思うんですけどねぇ?」

 

「チーム名……確かに。」

 

此れまで戦車道をやって来て、Aチームとか簡単な名前で呼んでたけど、明確なチーム名を決めておくって言うのは確かに良いかも知れないね……会長さんの言うように愛着がわくかもしれないから。

 

でも、いざチーム名って言われると悩むなぁ?ドイツ語の数字は分かり辛いし、だからと言って凝り過ぎると其れは其れで意味不明になっちゃうし、さて如何した物か――って、梓ちゃんのⅢ号に描かれてる其れは何?ピンクのウサギさん?

 

 

 

「あぁ、これですか?

 あやのストラップコレクションの1つをモデルにして、戦車のエンブレムにしてみたんです。Ⅲ突も、カエサルさんのラインのスタンプをエンブレムにしてるみたいですから、良いかなって。」

 

「Ⅲ号がウサギで、Ⅲ突がカバ……よし、それで行こう!」

 

「へ?何がよみほ?」

 

 

 

チーム名だよエリカさん!大洗の戦車隊のコールネームは動物で行こう!

Ⅲ号はウサギで、Ⅲ突はカバ、38(t)は何となくカメっぽいからカメで、クルセイダーは整地での移動力が高いから、水面での移動能力の高いアヒルだね。

残るは、私のパンターとエリカさんのティーガーⅡ、小梅さんのⅣ号だけど……さて如何しようかな?

ティーガーⅡとⅣ号は、エリカさんと小梅さんの二つ名から『オオカミチーム』と『ハヤブサチーム』でも良いかも知れないけど、其れだとちょっと安直な気がするからね……もう少し捻って――よし、ティーガーⅡはライガー、Ⅳ号はオオワシで行こう!

 

 

 

「ライガー……ライオンと虎のハイブリットの名を与えられるとは、その名に恥じないように頑張らないとね。」

 

「私はオオワシですか……名前負けしないようにしないとですね――で、みほさん達は?」

 

「私達のチームは……ずばり『あんこうチーム』!

 あんこうは生シラスと並ぶ大洗の特産品みたいだから、其れをチーム名にしない手は無いし、ネームインパクトも可成り高いと思うから♪」

 

「確かに、そいつはインパクトハンパねーよ西住ちゃん。」

 

 

 

でしょう、会長さん?なので、全車車体に夫々のチーム名となった動物のエンブレムを入れておいてね?

恐らく、戦車に動物のエンブレムを入れてるなんて言うのは大洗だけだろうから、可成りのインパクトを与える事が出来る筈――お姉ちゃんあたりが見たら、ショックで目を丸くするかもしれないからね。

 

其れに、次の練習試合の相手であるマジノにだってインパクトを与えて先制パンチをかませる可能性が高くなるだろうし、そうなったら此方に流れを持って来るのも楽になるだろうからね。

 

 

 

「マジノ戦は、勝つ心算ねみほ?」

 

「当然、勝ちに行くよエリカさん。」

 

聖グロと引き分けた事で、課題が浮き彫りになったとは言え、恐らくその課題はマジノとの練習試合までには可成り消化されて己の力になってるだろうから、今度は行けると思う。

何よりも、マジノに勝つ事が出来れば、皆の自信になると思うからね――悪いけど、練習試合は勝たせて貰うよエクレールさん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エクレール

 

 

其れは私のセリフですわみほさん――って、私は一体何を言っているのやら……如何やら、大洗との練習試合が近づいていて、無意識の内に昂っているのかも知れませんわ。

まさか、みほさんの幻聴を聞くとは思わなかったもの。――其れだけ、私がみほさんが率いる大洗女子学園との練習試合を楽しみにしていると言う事ですわね。

 

去年の黒森峰との練習試合が終わった後で受けたみほさんの助言がなかったら、マジノを変える事は出来ませんでした……本当に、みほさんには感謝感激雨霰ですわ。

 

ですが、如何に恩義があろうとも、試合で手加減する理由は何処にもありませんから、生まれ変わったマジノの力を、其の身をもって体感して頂きますわみほさん。

 

 

全国大会の前哨戦とも取れる、此度の練習試合……何としても、勝利して大会への弾みをつけたい所ですわ。

 

マジノは古豪ではなく、強豪であると言う事を、此の試合で勝って証明してみせる……戦場で会うその時を、楽しみにしていますわ、西住みほさん――私が認めた最強の戦車乗りよ!!

 

 

 

「燃えるのは構わないですけど、燃え過ぎて試合前に燃え尽きないで下さいよ?」

 

「其処ら辺は考えてやってるから大丈夫よ。」

 

 

ですが、今度の練習試合の相手の大洗女子学園は、あの聖グロリアーナと引き分けた程の相手――一筋縄では行かない方々が相手と言うのは、此方にしても楽しみですもの。

練習試合、堪能させて頂くとするわ。

 

期待してますわよみほさん――貴女の力は、きっと大洗のように決まった戦車道の型が無い場所でこそ其の真価を発揮するモノだと思っていますから。

黒森峰の遊撃隊の時とは違う、貴女の真の力、見せて頂きますわよ?

 

 

そして、其れと同時に、新生マジノ女学園の実力、たっぷりと大洗女子学園に皆様に堪能していただきますわ――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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