ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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まさかこの人が来るとは思わなかったよ?Byみほ      作者はプロレス好きだから、私は予想していたわByエリカ      黒のカリスマは、有名ですしね~By小梅


Panzer116『1回戦開幕!まさかの応援団です!』

Side:みほ

 

 

私の選手宣誓が何かと話題になった開会式が終わって、其のまま大会1日目の試合がスタートして、その第1試合であるヴァイキング水産高校とコアラの森学園の試合は、中々見応えがあるね?

 

高火力で攻めるヴァイキングに対して、機動力で翻弄するコアラの森……此れは、どっらが勝ってもおかしくない試合――実力が拮抗してるからこその接戦だしね?

この組み合わせは、観戦する側からしたら好試合を展開してくれる良組み合わせだったんだね?――否、これだけの接戦だと、試合をしてる選手たちも楽しいモノだけどね。

 

開幕戦から手に汗握る試合展開になってるって言うのは、大会としても最高かも知れないよ♪

 

 

で、行き成りの好試合が行われてる事はとても良い事だと思うんだけど、お客さんが去年よりも多くないかな?

私の記憶が確かなら、去年の大会1回戦を会場で観戦してたのは、今年の半分程度だったからね?

まぁ、その原因はプラウダ以外の4強がトーナメントの片側に偏っちゃったからなんだけど……今年は4強が適当にばらけたのが原因で、なにお客さんが多いのかな?其れとも他の理由があるのかな?

 

 

 

「一番の原因は、週刊戦車道の最新刊の記事ね。で、貴女の選手宣誓がネットに流れてるみたいだから、これからもっと増えるわよ客は。」

 

「私の選手宣誓が速攻でネットに上がったのは良いとして、週刊戦車道には何が書かれてたのエリカさん?」

 

「其れは、自分で確かめた方が良いと思うわよみほ。」

 

「確かにそうですね。」

 

で、受け取った雑誌を手にして、其れらしい記事を探したんだけど……見つけた記事は、何て言うかとっても凄まじかったかな?……エリカさんと小梅さんと梓ちゃんも一応評価されてるとは言え、この内容はちょっと……

 

なんか、可成り煽られてる気がしなくもない記事だから、これは1回戦負けは恥ずかしいかな――ってな事を考えてる間に試合は終了!!

勝者はヴァイキング水産高校だった……最高に良い試合だったから、次は私達がこれ以上の試合をしないとだね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer116

『1回戦開幕!まさかの応援団です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、件の週刊戦車道に載ってたのがどんな記事かと言うと……

 

 

 

『西住みほが、全国大会の抽選会に県立大洗女子学園の隊長として出場!

 全く無名の大洗は、1回戦は強豪サンダースとの対戦になったが、これは大番狂わせが起きる組み合わせかも知れないと言えるだろう。

 大洗女子の隊長は、あの西住みほだが、会場には同じ大洗の隊員として、逸見エリカと赤星小梅、中学時代は西住みほの片腕として活躍した澤梓の姿があったからだ。

 ――黒森峰の10連覇に貢献した隻腕の軍神が率いていた遊撃隊のナンバー2とナンバー3に加え、軍神の一番弟子が居る大洗の実力は未知数であり、如何に無名とは言え侮る事は出来ないと言えるのである。

 また、トーナメントの組み合わせも、大洗が勝ち進んで行った場合は準決勝でプラウダとの戦いになるのは必至……因縁の相手――と言うのは少し違うかもしれないが、去年の決勝戦の事を考えると、何とも注目の試合となるのは間違い無い。

 そして一番の注目は、黒森峰の11連覇を止めるのかどうかと言っても決して過言ではないだろう――果たして無名の大洗が、初出場で優勝の栄光を手にするのか、それとも、絶対王者黒森峰が11連覇を成し遂げるのか?

 何れにしても今大会は、大洗女子学園が一番の注目であり、台風の目か、ダークホース的な存在になるのではないかと考えている。』

 

 

こんな記事……なんとまぁ、よく書いたものだね此れは?

可成り好き勝手に書いてるって言うか、私の事を持ち上げ過ぎと言うか……何だか『西住みほが居るから、大洗は凄いぞ!』と言ってるような書き方は如何かなぁ?

一応エリカさんと小梅さんと梓ちゃんについても書いてはいるけど、其れも私ありきみたいな書き方だし――何よりも、私達以外の大洗の選手の事に一切触れてないって事は、この記事書いた人は聖グロやマジノとの練習試合は見に来てないって事だよね?

あの試合を見たら、大洗の皆の凄さが分かるのに……って言うか、大会直前号で此れだけの事を書くなら、先ずは無名の大洗が練習試合とは言え、4強の一角である聖グロと引き分け、古豪って言われてたマジノに勝ったって言うのを記事にすべきだと思うんだけど如何かな?

 

 

 

「ガッデメファッキン!マッタク持ってその通りだぜ!

 此れを書いた奴は、大洗の事をマルで分かっちゃいねぇんだオラァ!確かに、西住隊長はスゲェ戦車乗りだがな、逸見も赤星も澤もスゲェし他の大洗の生徒だって、今年から始めたのが信じられねぇくらいの奴等ばっかりだろうが!

 其れなのに、何だこの記事は!其の事がマルで書かれてねぇ!知ったかぶりで、記事書いてんじゃねぇぞオラ!!」

 

「やっぱりそう思うよね!……って言うか誰ですか?」

 

私の言った事に同意してくれたからと思ったけど、明らかに今の声は男の人だった……後ろから聞こえたから、振り返って――

 

 

 

「グァッデーム!!」

 

 

 

其処に居たのは、グラサンを掛けて、髭を生やして、黒いズボンに黒いシャツに黒いコートって言う全身を黒尽くめにした何だか怖そうなオジサン……えっと、どっかのマフィアの人かな?

 

 

 

「何と!このお方は大洗観光大使を務めていらっしゃる、プロレスラーの蝶野正洋さんでありますよぉ!

 人呼んで黒のカリスマ!まさか、試合会場に足を運んでくれてたとは感激であります!――しかも今の言い方だと、練習試合も観戦して下さってたんですよね……嬉しい事でありますよ!」

 

 

 

こ、この人が大洗の観光大使!?

言っちゃ悪いけど普通にヤクザにしか見えないって言うか……プロレスラーって言ってたけど、絶対にヒールだよねこの人?――しかも『蝶野』って、まさか蝶野亜美教官となんか関係が?

 

 

 

「蝶野亜美?……あぁ、従兄妹だ。」

 

「嘘でしょ!?」

 

「あ、でもちょっと納得できるかもですよエリカさん!」

 

「あのぶっ飛びっぷりは、確かに黒のカリスマの打っ飛びっぷりに通じるところが無いとは言えませんからね?」

 

「まさか、従兄妹だったとは驚きと言うか何と言うか……」

 

でも、驚いてるのは茨城出身じゃない私とエリカさんと小梅さんだけで、茨城出身の皆は驚いてないみたい――クロエちゃんも驚いてないみたいだけど、梓ちゃんから聞いてたのかも知れないね。

 

其れで、蝶野さん……えっと、若しかして応援に来てくれたんですか?

 

 

 

「その通りだぜ西住隊長!

 大洗観光大使として、戦車道の全国大会に出場する大洗女子学園の応援をしないって言う選択肢はねぇからな!全力で応援するだけだ!

 其れにな、この会場に居る奴等の殆どは、サンダースが勝つって思って居やがるから、そいつ等の予想をぶっ壊してやってくれ!!

 サンダースが勝つとか寝言言ってんじゃねぇぞ!大洗だけ見てりゃいいんだオラァ!!」

 

「あはは……でも、確かに大洗が負けるって思ってる人達には、その考えが間違いだったって言う事を教えてあげないとですよね?」

 

サンダースは聖グロ以上の強敵だから、簡単に勝てる相手じゃないけど、サンダース1の撃墜王であるナオミさんの事なら、私はケイさんよりも知ってる自信があるし、ケイさんならどんな戦い方をしてくるか大体の予想は付くから、フラッグ戦なら充分勝てる可能性はあるからね。

 

任せて下さい蝶野さん、大洗がジャイアントキリングブチかまして、会場を湧かせて見せますよ!!

 

 

 

「よく言ったぜ、そう来なくっちゃな!!

 サンダースのフラッグ車に、7.5cm砲の喧嘩キックをブチかましてやれ!!」

 

「その心算です――若しかしたら、8.8cm砲の喧嘩キックになるかも知れませんけどね。」

 

「それならそれで問題ねぇ!

 おーし!それじゃあ最後に景気づけに何時ものヤツ行こうじゃねぇか!号令頼むぜ、西住隊長!!」

 

 

 

何時ものヤツって……アレだよね?

戦車乗りには欠かす事の出来ない号令……其れじゃあ行くよ?1回戦突破を目指して、パンツァー……

 

 

 

「「「「「「「「「「フォー!!」」」」」」」」」」(チーム全員+黒のカリスマなので鍵カッコ省略で。)

 

 

 

まさかの人との出会いだったけど、其れが逆に気合が入ったよ――大洗観光大使が観戦してくれてる試合で、無様な試合は出来ないし、何よりも、大洗から応援に来てくれてる人達の期待には応えないとだからね。

 

でも、其れは其れとして、客席にnwoならぬ、ons(O-arai New Senshado)の旗を掲げた一団にはちょっと驚いたよ――率いてたのが蝶野さんだったから余計にね。

 

 

 

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客席付近で、思わぬ人との出会いがあったけど、其れは其れとして大洗の面々は試合会場に入って、試合前の最後のブリーフィングを終えた所だね……1回戦のフィールドは、アップダウンのある草原に林が点在してる地形だから、地の利を得辛い――そのせいでブリーフィングが少し長引いたけど、結果的には作戦が出来上がったから良かったけどね。

 

それで、何か用かなナオミさん、アリサさん?

 

 

 

「何って、試合前に大洗の皆を招待しろと、ケイの通達でな。

 試合前にサンダースのオープンパーティと言うか、バーベキューパーティを楽しんで欲しいと言う事みたいだ……ある意味では、アンツィオ以上の事をしてる気がするけど。」

 

「そうなんだ……じゃあ有難く御呼ばれしようかな?サンダースの皆さんと親睦を深めるいい機会だし。

 で、アリサさんは何で小梅さんの事をあんなに睨み付けてるの?……こう言っちゃなんだけど、少し怖い。」

 

「あぁ、アレな?……去年の準決勝で、小梅に散々挑発されまくった挙げ句に、直下に撃破されたから個人的な恨みがあるらしい。」

 

「逆恨みも良い所だと思うなぁ其れは……」

 

挑発は、されて乗っかる方が悪いと言うか何と言うか、それ以前に小梅さんの挑発に乗せられるって、エリカさんの思いっきり人の神経逆撫でする挑発喰らったらどうなるんだろう?

……検証の為に、試合でやってみても良いかもね。

 

 

 

「何やら企んでるみたいだけど、下手にアリサを煽るのだけは止めてくれよ?

 アイツは、一度火が点くと中々鎮火しない上に、暫くそれが尾を引いて中々に面倒だからな……最終的には、ケイが一喝してなんとかするんだけどさ。」

 

「いやはや、其れは本当に面倒くさいねぇ……」

 

「まぁ、作戦参謀としての能力は高いから、其れを買われて今はサンダースの副隊長なんだが……もう少し精神修業をしないとかもだ。

 そして同じチームになって思った。中々の作戦立案能力を持ってるのに、何だって中学の頃までは、どっちかと言えばアウトなグレーゾーンを普通に使う奴だったのかと……」

 

「其れはアレよナオミ、安易な勝ちを求めた結果ってやつよ。」

 

「身も蓋もないが、何となくそう言われると納得だなエリカ。」

 

 

 

安易な勝ちを求めるあまり、勝つ方法を選ばないか……まるで、お婆ちゃんの言う『西住流』みたいだね其れは?――勝利を得る為に、手段を選ばなくなったら、其れはもう競技じゃなくて戦争だからね。

私も閃光弾とか発煙筒での視界潰しはやるけど、閃光弾や発煙筒はルールで、非常時の時の連絡手段として搭載が義務付けられてるモノだから、其れを試合に使うのは全然問題ない事だもん。

ルールでは禁止されてないけど認められても居ない物を使うって言うのは、幾らなんでも無しだし、まして勝利>人命になったらお終いだからね……まぁ、其れは其れとして、去年の大会では中学の時みたいな事をしなかったから、アリサさんも気付いてくれたのかな?

 

だとしたら、中学の時に思いっきり叩き潰した甲斐があったってモノだよ。

 

 

 

「あの試合と、去年の試合で、アリサはすっかりお前がトラウマになってるみたいだ。

 同時にリベンジも誓ってるみたいだけどな……何度、寝言で『西住妹ぶっ倒す』って言ってた事か。」

 

「うわぁ……なんだかとっても愛されてるね私?」

 

「みぽりん、其れちょっと違うんじゃない!?」

 

 

 

あはは……まぁそう思うかもしれないけど、この場合の『愛されてる』って言うのは、戦車乗りの間で使われるちょっとしたスラングと言うか、言葉ズバリの意味じゃないんだよ沙織さん。

『愛されてる』って言うのは、一方的にライバル視されてる、最優先撃破対象にされてるって言った感じの時に使うモノなの。

其れってつまりは強敵として見られてるって事だから、戦車乗りにとって『愛されてる』のはある意味で光栄な事であり、一種のステータスでもあるんだよ。

 

「因みに、中学時代に私を最も愛してたのはエリカさん。

 小梅さんからも大分愛されてたけど、エリカさんの愛の方が激しかった……まぁ、私もエリカさんと小梅さんの事を愛してたけどね?」

 

「な、なんか言葉面だけを聞くといけない世界を想像しちゃいそうだよみぽりん……」

 

 

 

……戦車道は女子の世界だから、百合カップルは珍しくないんだけど、其れは言わない方が良いよね絶対に。

と言うか、お姉ちゃんも近坂先輩か安斎さんと良い感じっぽいのは否定出来ないし……かく言う私も、最近エリカさんや小梅さんとの関係が友情を越え始めた気がするしね。

 

まぁ、そんな雑談をしてる間にサンダースの陣営に到着……したと同時に鼻腔をくすぐる良い匂い。

炭火で焼かれた肉の脂が溶けて、そして炭火で焦げる此の匂いは、豚や鶏では出せない香ばしさ……此れは、牛のサーロインかカルビを焼いてる匂いだね!

 

 

 

「正解!カルビの串焼きと、サーロインステーキはバーベキューには欠かせないでしょ?」

 

「あ、ケイさん!この度は、御招待いただきありがとうございます。」

 

「気にしない気にしない!

 試合前の英気を養うのは大事な事だし、やっぱり最高のコンディションの相手と戦いたいじゃない?――そう言った理由から、私が隊長になってから、こうして試合前に相手チームをサンダース恒例の『試合前バーベキューパーティ』に誘う事にしたのよ。

 相手チームにも元気になって貰って、更に親睦を深めた上で試合が出来たら最高でしょ?」

 

「そうですね……確かに、一理あるかも知れません。」

 

「Yes!みほなら分かってくれると思ったわ!」

 

 

 

そうですか……其れは良いとして、なんで抱き付いてるんですかケイさん?

そして、更にどうしてケイさんごと私をハグしてるのかなナオミさん?……此れもアメリカ風のサンダース的スキンシップって言う所なのかなぁ?

 

 

 

「「ミホニウムの補給。」よ。」

 

「何、その新種の謎元素……」

 

そう言えばお姉ちゃんも時々『ミホニウムが足りない』とか訳の分からない事言って、私をハグして来たけど、其れと似たような物なのかなぁ?

其れで、ミホニウムとやらは補充出来ましたか?

 

 

 

「確りと補充させて貰ったわ。」

 

「私もね♪――其れじゃあ、思い切り楽しんで行ってね?

 其れから、オッドボール、またいつでも遊びに来てね?ウチは何時でもオープンだから!」

 

 

 

で、私から離れたケイさんは、楽しんで行ってと言うと、今度は優花里さんに向かって何時でも遊びに来てねって……偵察行為をした相手に向かってこんな事を言うのは、多分ケイさんだけだろうね。

心が広いと言うか何と言うか……ホントに、ケイさんはサンダースの隊長としてこれ以上ない人なのかも知れないよ。――そう言われて、優花里さんも驚きながらも満更じゃなかったみたいだし。

 

 

 

「大洗の人だね?特上のサーロインがあるんだけど如何?」

 

「あら、其れでは500をレアでお願いします。」

 

「ご、500って行くねぇ?……OK、その豪快さ気に入った!最高に美味しいステーキをご馳走するよ!!」

 

 

 

そして、ケイさんに言われるまでもなく、大洗の面々はバーベキューパーティを満喫してると言うか……華さん、幾らタダだからって特上サーロインを500gって言うのは食べ過ぎ――じゃなくて、華さん的には普通だったね。

500gをペロリと平らげただけじゃなく、付け合わせの炭火焼きのジャガイモや玉ねぎも完食して、更におかわりまで要求するんだから、本気で華さんの胃袋はブラックホールだよ。

 

まぁ、かく言う私もカルビ串とジャンボフランクフルトと炭焼きステーキサンドを完食して、アメリカンサイズのコーラを一滴残らず飲み干した訳だから華さんの事は言えないんだけどね。

 

だけど、試合前の此れで、大洗の皆の英気が養われたのは間違い無いかな?……此れなら、最高のパフォーマンスを発揮出来る筈だよ。

お招きいただいておいてこんな事を言うのは如何かと思うけど、今の大洗は可成り強いですから、例え相手がサンダースであっても負ける気がしません――ジャイアントキリングをさせて貰います、ケイさん!

 

 

 

「いい覇気じゃないみほ?やっぱりそう来なくっちゃね!

 其れに、ジャイアントキリングなんて簡単にはさせないわよ?……戦車道は楽しむのが最優先だけど、でもやっぱり勝ちたいからね――私のサンダースの力、見せてあげるわみほ。」

 

「ふ、去年の隊長とは違う戦い、楽しみにしてますよケイさん。」

 

でも、其れでも私達は勝つのは私達『大洗女子学園』だよケイさん――練習試合で聖グロと引き分け、マジノに勝った、大洗女子学園の力はサンダースにも負けないレベルだからね。

 

第1試合のヴァイキングvsコアラの森をも上回る試合にしましょう、ケイさん!って言うか、其れ位の試合じゃないと満足できませんからね!!

 

 

 

「勿論よ、みほ!戦車道の歴史に残るような試合にしましょう――ExcitingなGameで、私をEcstasyさせてくれるわよね?」

 

「其れは勿論……約束しますよケイさん。」

 

「OK!」

 

 

 

行き成りサンダースって言うのは、大洗女子からしたらキツイ相手なのかも知れないけど、だからこそ勝った時に得られる自信って言うのは練習試合でマジノに勝った時の比じゃないと思うからね。

 

そういう意味でも、此の1回戦は絶対に譲れない戦いだよ――勝たせて貰いますから、覚悟してくださいねケイさん!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

試合前の一時を過ごした大洗だったが、試合開始の30分前には自陣営に戻って最後の作戦会議を行い、そして試合前の挨拶に来ていた。

大洗は隊長のみほと副隊長の梓、サンダースは隊長のケイと、副隊長のナオミとアリサ――如何やら、サンダースでは副隊長2人制を採用しているようだ――が審判団の前で整列している。

 

 

「此れより、大洗女子学園とサンダース大学付属高等学校の試合を始める。お互いに、礼!」

 

「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」

 

 

先ずは、試合前の礼。――全ての武道がそうであるように、戦車道もまた礼に始まり礼に終わるモノであり、一部の戦車道評論家は、試合前後の礼の姿を見るだけで、ドレだけ強いのかが分かると言う位に礼は大事な物なのだ。

 

 

「貴女と大会の1回戦で当たるのは勿体ない気もするけど、ある意味では最高の1回戦とも言えるから、改めて本気で行かせて貰うわみほ。」

 

「本気で来てください――手加減をされたなんて言うのは、興醒めですからね?」

 

「OK!全力全開で行くわ!!」

 

 

そして、あいさつの後は、両校の隊長が握手を交わして、簡単に2~3口を交わす――此れもまた、戦車道だからこその光景なのかも知れないのだろう。

 

 

尚、両校の戦車編成は……

 

 

・大洗女子学園

 

パンターG型×1(隊長車)

ティーガーⅡ×1

Ⅳ号戦車D型×1(フラッグ車)

Ⅲ号戦車J型×1(副隊長車)

Ⅲ号突撃砲F型×1

クルセイダーMk.Ⅱ×1

38(t)戦車B/C型×1

 

 

 

・サンダース大学付属高等学校

 

M4シャーマン75mm砲搭載型×8(うち1輌は隊長車)

M4シャーマン76mm砲搭載型×1(副隊長車兼フラッグ車)

シャーマン・ファイアフライ×1(副隊長車)

 

 

 

と、この様な編成。

大洗は戦車の絶対数が不足しているので、新たな戦車が見つからない限りはこの編成だろうが、サンダースは手堅い編成をして来た感じだ。

75mm砲搭載型のシャーマンは、もっともクセが無く扱い易い上に、シャーマンの中では攻守速のバランスがとれており、特に正面装甲に関しては76mm砲搭載型が64mmなのに対し、75mm砲搭載型は76mmと12mmも分厚い上に、装甲の傾斜格が76mm砲搭載型よりも鈍角である為に事実上の装甲厚は90mm超えている。

大洗の戦車で90mm超の装甲を貫通できるのは、パンターとティーガーⅡとⅢ突だけなので、其れを考えると、手堅く来たケイの選択は、間違いではなかったと言えるだろう。

 

加えて数の上でもサンダースの方が有利となれば、誰もがサンダースの勝利を確信するだろう。

 

だが、そう思わない者達も当然いる訳で――

 

 

 

「ケイさん、手堅く来ましたわね?……ですが、その位の事は、みほさんならば軽く超えてきますわよ?」

 

「そうですわね……みほさんならば、不利な状況でも覆す筈ですわ――そうでしょう、聖グロリアーナ隊長ダージリン様?」

 

「えぇ、その通りよ。マジノ学園隊長エクレールさん。」

 

 

 

大会前の練習試合で、大洗と戦った聖グロの隊長であるダージリンと、マジノの隊長であるエクレールはサンダースが絶対的に勝つとは思って居なかった。

直にみほの凄さを体感した2人にとっては、みほならば勝ってしまうだろうと言う考えがあったからだ。

 

そして、そう思っているのは此の2人だけではない。

 

 

 

「優花里ー、頑張れよーーー!!」

 

「みほちゃん達も応援してるわよ~~!!」

 

「お嬢様、菊代はお嬢様が勝利すると確信しています。御武運を……」

 

「やっちゃいなさいミホーシャ!

 私の同志として、1回戦で負けるなんて言う事は許さないわ!サンダースなんて、けっちょんけちょんにしてやりなさい!!」

 

「誤解なき用に言っておきますと、米ロの関係とは違い、サンダースとプラウダの関係は悪くありませんので悪しからず。」

 

「ノンナ、何の事?」

 

「さて、何でしょうか?自分でも謎です。――妙な電波を受信したのかも知れません。」

 

 

 

大洗からやって来た応援団だけでなく、試合を観戦してる他校からも大洗を応援する声が飛び交っている――特に、みほとエリカと小梅によって隊員の命を救われたプラウダは大洗を応援する声が大きい様だ。

加えて、にわか戦車道ファンは、ジャイアントキリングを期待して大洗の応援に回っているので、会場全体としては大洗を応援する声の方が少しだけ多くなっているのだ。

 

 

 

「グァッデーム!大洗の戦い、よく見とけオラ!」

 

「試合の美味しい所、全部大洗が頂きます!Year!」

 

 

 

……黒のカリスマが盟友である天才レスラーを引き連れて結成した大洗応援団は、取り敢えず可成りの迫力を醸し出していたが、その迫力のせいで、周囲に人が居なくなっていた。

 

ともあれ会場の熱気は最高潮に達し、今か今かと試合開始の合図を待っている状態だ。

 

 

 

『其れでは、1回戦第2試合、大洗女子学園対サンダース大学付属高等学校、試合開始!!』

 

 

 

「Panzer Vor!」

 

 

「Go A head!!」

 

 

 

そしてここで試合開始!

後に『伝説の序章』と称される事になる試合の火蓋が、斬って落とされた瞬間だった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 




キャラクター補足


・蝶野正洋

言わずと知れた『黒のカリスマ』。プロレスラーにして大洗観光大使で、戦車道の大ファン。
陸上自衛隊の自衛官である蝶野亜美の従兄妹。
実はみほの大ファンで、機会があったらサインを貰う心算だったのだが、1回戦では其の機を逃してしまい、サインゲットは出来ていない。
盟友のレスラー仲間を次々と戦車道ファンに引き入れており、黒の大洗応援軍団『ons』(大洗ニュー戦車道)は応援団の一大勢力となっている模様。
『有象無象蹴散らそう、大洗だけ見てりゃいいんだ!』との事である。

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