ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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そろそろアンツィオ戦だねByみほ      あそこはノリと勢いだけは凄いからねぇByエリカ      波に乗ると怖い相手ですねBy小梅


Panzer121『そろそろアンツィオ戦が差し迫ってます』

Side:アンチョビ

 

 

2回戦の相手は大洗女子学園……今年から参戦して来た新参校だが、隊長があの西住妹だと言う事を考えると油断は出来ん――西住妹だけでなく、澤梓に逸見エリカ、赤星小梅まで居る訳だからな。

此の4人は、現在の高校戦車道の車長でも10本指に入るくらいの実力者だから、新参校だって舐めてかかったら、手痛い竹箆返しを喰らってしまうだろうからな……此処は気を引き締めて行かないとだ!!

 

だが、我がアンツィオのノリと勢いは相当な物が有る!!――其れを駆使して我等は、あのマジノ学園を破ったのだからな!!

 

恐らくは大洗も、我等のノリと勢いは最大級に警戒している事だろう。

 

 

 

「其れって、強いって思われてるって事ですか?」

 

「スゲーじゃん、アタシ等。」

 

 

 

だが、同時に『所詮はノリと勢いだけ、波に乗れなければ総崩れ』とも考えてるかもしれない――西住妹に限って其れは無いだろうが、並の相手ならそう考えるだろうさ。

 

 

 

「はぁ?其れってバカにしてるって事ですか!?」

 

「カチコミブチかましましょう!!」

 

 

「ノリと勢いは大事だが、取り敢えず落ち着きやがれ馬鹿共!!

 直接言われた訳じゃねぇ――ドゥーチェによる、冷静な分析の結果だ。……要は比喩ってやつだな。――なに、アタシ等には大洗も知らない秘密兵器があるから、何とかなる絶対に!!」

 

 

 

うむ、見事だペパロニ。

一喝した後に、諭すと言うのは難しい物なんだが……其れを平然とやってしまう辺りがペパロニなんだろうな――何にしても優勝するには、此処で止まって居る事は出来ないからな。

絶対にトーナメントを勝ち抜き、頂点を極めてやる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer121

『そろそろアンツィオ戦が差し迫ってます』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

さてと、次はいよいよ2回戦――相手は、中学時代にお姉ちゃんを倒して全国制覇を成し遂げた『安斎千代美さん』が率いてるアンツィオ高校。

圧倒的に劣る戦力でありながらマジノを倒したって言うのは、低い戦力を補って有り余る作戦があったって言う事だから、単純な戦車の性能差だけで考えてたら足元を掬われかねないね。

 

 

 

「加えてあそこはノリと勢いはハンパねーからね?序盤で調子に乗られると、結構面倒っぽいんじゃないのかい西住ちゃん?」

 

「実際に調子に乗ると厄介かも知れませんね?

 マジノ戦も、CV-33の機動力を使ってマジノの部隊を撹乱しつつフラッグ車の護衛を手薄にした所をセモヴェンテが背後からドカン!ですから。

 何よりも隊長の安斎さんは部隊全体を波に乗せるのが物凄く上手い人で、試合の流れを自軍に傾ける能力に長けていますからね――ペパロニさんなんかとはとっても相性がいいかもですから、一度波に乗ると可成りの強敵と化す可能性があります。」

 

此方の唯一のアドバンテージは戦車の性能だけだと思っていた方が良いかも知れません……安斎さんは、中学時代のお姉ちゃんに唯一黒星を与えた人として、有名ですから――尤も、今の安斎さんと中学時代の安斎さんを同一人物と思う人は少ないでしょうけど。

 

 

 

「現黒森峰の隊長に勝っているだと……!?き、聞いてないぞそんな事!!」

 

「でしょうねぇ?生徒会の皆さんには今初めて言いましたから。」

 

「でもでも、その安斎さんに中学時代のみぽりんは勝ってるんだよね?

 アレ?って事は、みぽりんのお姉さんに勝った安斎さんを倒したみぽりんが実は最強って事になるじゃん!此れは、全国制覇も夢じゃない!」

 

「……沙織、アンタのその脳天が時々とっても羨ましくなるわ。何なのよ、その単純すぎる理論は……」

 

「ふわぁ~~あ……其れが沙織だからな。」

 

「あら、でもこういう楽観的な所は、勝負事には時に必要な事になるのではないでしょうか?」

 

 

「おぉ、そう言う考えもあるか!確かに其れならば全国制覇も可能と言うモノだ!

 四肢の一部が欠損している武人は、数々の武勇を持つ名将と言うが、西住もその御多分には漏れなかったと言う訳か……此れは勝てる!」

 

「こっちはこっちで沙織さんの言った事聞いて無駄に期待してるし……と言うか、態度がコロコロ変わりますね河嶋先輩は……」

 

 

 

あはは……前向きだって言う事にしておこうよエリカさん、小梅さん。『西住まほに勝った事がある相手じゃ勝てない』って思っちゃうよりは遥かに良い訳なんだから。

其れよりも、2回戦のアンツィオがどんな感じで来るのかを考えて、こっちも作戦を考えないとだよ。

私は基本的には、1回戦と同様に機動力で此方を撹乱しつつフラッグ車の護衛を手薄にするか、フラッグ車を孤立させてくると思うんだけど、副隊長は如何考えるかな梓ちゃん?

 

 

 

「基本的はそうだと思います。

 こんな事を言ったら失礼ですが、アンツィオの保有戦力を考えれば其れを基本にした戦術バリエーションを増やす以外に勝利の道筋は無いと思いますので。」

 

「ま、そうなるわよね。

 でもみほ、今年のアンツィオは去年よりも可成り『勝ち』に来てる感じがするわ、マジノ戦の映像を見る限りではね。」

 

「其れを考えると、若しかしたら秘密兵器的な何かを隠してる可能性は充分にありますが――アンツィオが大会に出てくるようになったのは去年からで、去年は瞬殺しちゃいましたから殆どデータがないんですよねぇ……」

 

「去年は遊撃隊でアンツィオの部隊を掻き乱して、その上でお姉ちゃんと遣り合ってたフラッグ車を理子さんがドカンだったからね。」

 

でも、情報が足りないって言うなら、情報を持って来ればいいだけの事でしょ?

1回戦の時とは違って、今度は私が直々に隊長命令として行って貰ったからきっといい仕事してくれるだろうし、時間的な事を考えればソロソロ戻って来るだろうからね。

 

 

 

「そう言えば、最近姿が見えなかったわね優花里の奴……」

 

「行っちゃいましたか、アンツィオに……まぁ、アンツィオと知波単は最も安全に試合前の偵察が出来ると言われてますから捕まる事は無いと思いますけど。」

 

「サンダースから逃げ切った優花里さんなら大丈夫だよ。」

 

 

 

――コンコン!

 

 

 

其れに、噂をすれば影だったみたいだしね。はい、どうぞ。

 

 

 

「西住殿!不肖、秋山優花里ただいま戻りました!!」

 

「お疲れ様、優花里さん。どうだった?」

 

「バッチリであります西住殿!」

 

 

 

自信満々に差し出された8Gのメモリーカード……此れにアンツィオの事がバッチリ収まってるって言う事だね?

――お疲れ様、優花里さん。早速このデータを見させて貰う事にするよ。若しかしたら、物凄い極秘情報があるかも知れないし、巧く行けばどんな作戦で来るのかを知る事が出来るかも知れないから。

 

 

 

「内容に関しては、ちゃんと編集してありますのでご安心を!

 未編集だったこの間のサンダースとは違って、今回は帰りの連絡船の中でじっくり編集出来たので、渾身の作品になっているであります!」

 

「其れは、期待大だね。」

 

其れじゃあ早速メモリーカードをエリカさんのタブレットにスロットインして再生っと。――うん、今回の映像はタイトルからして気合の入った編集がされてるみたいだね。

サンダースの時と同様に、アンツィオへの転校生を装っての諜報活動って所かな此れは。

 

 

 

『何やら賑やかですが、何かのイベントですか?』

 

『いや、何時もの光景だよ。うちって貧乏だから、屋台とか出して少しでも資金稼いでるんだよね。』

 

 

 

――ドンガラガッシャーン!!

 

 

 

で、予想以上の貧乏っぷりに思わずその場にいた全員がズッコケちゃったよ……資金集めの為に屋台出して、生徒が其れを買うって……他校に出張屋台でも出した方が儲かるんじゃないかな?

多分サンダース辺りに屋台出したら、アンツィオで売ってる倍の値段で売っても買う人は多いと思うんだよね。

 

 

 

「サンダースの連中なら3倍でも買うわよ……サンダースの学食は、量がアメリカンサイズなだけじゃなくて、味もアメリカンらしいから。」

 

「大きいだけで、大味って事だね……なら、アンツィオの絶品屋台は大繁盛間違いなしだね。」

 

で、映像は進んで優花里さんが戦車の看板の屋台に行ってみると、その屋台を切り盛りしてたのは何とペパロニさん!

得意の鉄板ナポリタンを手早く作って……うぅ、映像見てたら食べたくなってきた――今度、個人的にアンツィオに遊びに行って食べて来ようかなぁ?アレは病み付きになる味なんだよね。

 

 

 

「其れは分かるであります西住殿!こう言っては何ですが、お母さんのナポリタンよりも美味しいナポリタンは初めて食べました!

 あの味と量で300円は安すぎますって!アレだったら1000円超える値段でも人は頼みますよ!!」

 

「おぉ、分かってるね優花里さん!」

 

映像の中でも鉄板ナポリタンを堪能してるみたいだし。

で、鉄板ナポリタンを食べつつ、雑談の中から結構重要な事を聞きだしてくれたみたいだね?――ペパロニさんの無警戒がちょっと心配なんだけど、重戦車を手に入れた、か。

レギュレーションで使う事の出来るイタリアの重戦車だとP-40……セモヴェンテ以上の火力を誇る、大戦期のイタリアの最強戦車を買ったって言うなら、火力面で大きく強化されたのは間違いないと考えた方が良いかな。

 

P-40の資料は持ってないなぁ……優花里さんは持ってる?

 

 

 

「はい、持っています。

 但し、日本語に訳されたモノではなく、全部イタリア語とラテン語で記された資料ですが……」

 

「……何で、そんな物持ってるの?」

 

「ネットオークションで、誰も買う人が居なかったので1000円で落札しました。」

 

 

 

誰がそんな物を出品したのか気になるところではあるけど、資料が有るって言うのは有り難い事だよ――イタリア語とラテン語は訳しながら読んで行けば良いだけだしね。

其れに、歴女チームのエルヴィンさんは、欧州の近代史に長けてるから、若しかしたらP-40の事だってよく知ってるかもしれないし。

明日辺りにでも、歴女チームの家に行って聞いてみる事にするよ。

 

 

 

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と言う訳で翌日。生徒名簿で調べた学園艦の住所をネット検索して詳細を調べて、そして割り出された歴女チームの女子寮――と言うよりもシェアハウスって言った方が正しいかな此れは。

 

「ネームプレートもソウルネームなんだ。」

 

「もんざとおりょうは兎も角、エルヴィンはドイツ語で、カエサルはイタリア語で書いてる辺りに、並々ならぬ拘りって言うモノを感じてしまうわね。」

 

「まぁ、実際に拘ってるでしょうからねぇ。」

 

 

 

取り敢えず大勢で押しかけてもなんだから、私とエリカさんと小梅さんだけで歴女チームの家に。

梓ちゃんには別件で、練習用のある物を戦車ショップに取りに行って貰ってるから別行動で――まさか相談したら、大洗の戦車ショップに既に届けてあるとは、お母さん流石過ぎだよ。

 

取り敢えず、ピンポーンっとな。

 

 

 

「はーい、待ってたよ隊長!逸見と赤星も、御苦労さん。」

 

 

 

出迎えてくれたのはエルヴィンさんとおりょうさんと左衛門佐さん。――アレ、カエサルさんは?

 

 

 

「カエサルは、庭で装填の練習をしていた筈だが……おーい、カエサル!西住隊長達来たぞーーーー!!」

 

 

「あぁ、分かった直ぐに行く!」

 

 

 

装填の練習してたんだ。うん、学校以外でも自主トレーニングしてるって言うのはとっても感心だね!

日々の努力に勝るものなし、努力は才能を凌駕するとはよく言うモノだからね――まぁ、だからと言ってやりすぎって言うのは良くないけど、その辺はちゃんと分ってるだろうから大丈夫だろうけどね。

 

 

で、居間に案内されて早速P‐40の詳細をなんだけど……カエサルさん、普通にイタリア語とラテン語の資料を読んで訳してくれてるし――伊和辞典を使わずに訳す事が出来るなんて凄いと思うよ?

 

 

 

「イタリア語、ラテン語は読めて常識だろう?

 それにしてもアンツィオか……幼馴染の子がアンツィオに居るんだけど、まさか戦う事になるとは思わなかったな。」

 

「はぁ?初耳ぜよそれは。」

 

「何でもっと早く言わなかったんだ?其の子から色々聞けたかもしれないのに。友達なら、聞きやすいだろ。」

 

「友達だからこそ、正々堂々と戦いたいと思うんだよ私は。」

 

 

 

其れは一理あるねカエサルさん。

所で、アンツィオに居る幼馴染の人ってどんな人なの?――アンツィオに行く位だから、物凄い豪傑女子高生だったりとかじゃないとは思うんだけど……

 

 

 

「ん?多分西住隊長は知ってると思うぞ?

 湖城雛菊って言う子なんだけど、中学時代に隊長と戦った事があると言っていたからな。」

 

「あ、雛菊さん!」

 

あの人か~~!

大人しそうな見た目だったけど、火力上等の超攻撃的戦術で攻めて来たあの人か~~!……見た目と反して、中身は意外とイケイケな人っぽかったから、アンツィオに行ってても不思議じゃないかな。

人の縁は、何処で繋がってるか分からないね。

 

 

 

「まぁ、幼馴染で友達だからって、勝負は真剣勝負だよ。

 ラインでも2回戦は全力で戦おうって約束したからな――今度の試合では、ライバルって所かな?」

 

「じゃあ、坂本龍馬と武市半平太。」

 

「ロンメルとモントゴメリー。」

 

「武田信玄と上杉謙信。」

 

「ミハエル・ヴィットマンとジョー・エイキンス。」

 

「うんうん、うんうん。確かに。」

 

「「「それだぁ!」」って、誰ぜよ?」

 

「いや、知らないのに言うんじゃないわよアンタ……」

 

「エルヴィンさんは、流石に分かってるみたいですけどね♪」

 

 

 

うんうん、近代欧州の歴史に詳しいエルヴィンさんは流石に分かってるね。それと、其処はまぁ、ノリって奴だよエリカさん。

ともあれカエサルさんのおかげでP‐40のスペックも大体分かったから此れで対策もしやすくなったかな――後は、仮想敵を相手に実践訓練あるのみだね。

 

 

 

「お役に立てたのなら幸いだよ西住隊長――次の2回戦も、サクッと突破して頂点まで上り詰めようじゃないか。」

 

「勿論、その心算ですよ――2回戦に向けてパンツァー……」

 

「「「「「「フォー!!」」」」」」

 

 

 

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で、翌日――無事に受領できたみたいだね梓ちゃん?

 

 

 

「はい、無事に――でも、戦車の引き取りなら事前にそうだって言って下さいよ西住隊長。

 クロエと一緒に行ったから大丈夫でしたけど、1人で行ってたら大変でしたよ……車長としては西住隊長に鍛えられましたけど、車長以外は多少装填が出来る位でからっきしなんですから。」

 

「アハハ、ごめんごめん。」

 

梓ちゃんに取って来て貰ったのは、実家から送って貰ったⅡ号戦車。

戦車砲がない軽戦車って言う構造は、アンツィオのCV-33の仮想敵としては理想だから、急遽送って貰ったんだよね――P‐40の攻守のスペックはⅣ号と同レベルだから、Ⅱ号とⅣ号の組み合わせで仮想アンツィオフラッグ車部隊を作る事が出来るから。

 

取り敢えずパンターとティーガーⅡとⅢ突なら、P‐40の射程外からでも正面装甲を抜く事が出来るから、あんこう、ライガー、カバは1500mの距離から相手に当てる練習だね。

 

 

 

「1500って……具体的にドレくらいなんだ?」

 

「其れは実際に見て貰う方が早いかな?小梅さん、お願い。」

 

「了解しました。」

 

 

 

で、小梅さんのⅣ号は見る見るうちに此処から離れて遥か遠くに……『何処まで行くんだ?』って声も聞こえるけど、何処までと言われたらあそこまでだね。

起伏があるから走行距離は1500mよりもあるけど、直線距離では大体あれが1500m先の相手だね。

 

 

 

「ちっちゃ!!」

 

「アレに当てるのは、流石に停車しないと無理ですねぇ……」

 

「お、赤星がキューポラから出て来たぞ?」

 

「この距離で見えるって、アンタどんな視力してんのよアイン……視力5とか言わないわよね?」

 

 

 

……えっと、だから停車状態でアレに当たるように頑張って。

でも、砲撃すると此方の位置をばらす事にもなるので、攻撃後は速やかに移動して、次の攻撃は別の場所から行う事、其れだけは徹底する様にしてね。

 

 

 

「「「了解!!」」」

 

 

 

其れじゃあ練習開始で。

 

さてと、其れで会長さん、戦車の搭乗員の方は何とかなりますか――ルノーR35を3人乗りに改造するんだとしたら、更に人員が必要になってくるんじゃないかと思うんですが。

 

 

 

「其れに関知れは大丈夫だよ西住ちゃん。

 風紀委員3人をこっちに引き込んだし、自動車部の面々も例の88mm搭載型を修理したら自分達が乗るって言ってたからね。――因みに88mm搭載型は、可成りマニアックな車輌みたいだよ。」

 

「88mm搭載のマニアックな車輌って聞くと一抹の不安が残りますね……」

 

88mm搭載の戦車と言えばティーガーⅠとティーガーⅡが代表格だから、その2輌だったら『マニアック』なんて言い方はしないだろうから、多分違う筈。

となると消去法で、ある戦車が思い当たるんだけど……まさかね。

確かにスペックはティーガーⅠと同等クラスだけど、ハッキリ言って失敗兵器としか言いようがないアレを使用していたとは思えない――もしも使ってたとしたら、其れはとっても凄い事だよ……其れだけ、大洗は人材も優秀だったって言う事なのかも知れないけどね。

 

でも、これで2輌分の人員は確保出来たから、残るは戦車1台と、其れの搭乗員だね。

 

 

 

「其れから、もう一個朗報があってね。

 生徒から『戦車のパーツっぽい物が有る』って知らせがあって、取りに行ってみたら、なんとⅣ号用の75mm長砲身だったんだよ!」

 

「Ⅳ号用の長砲身75mmですか……口径は?」

 

「えっと、確か43口径だったかな?」

 

「となると、F2の砲身ですね。」

 

Ⅳ号を強化できるパーツが見つかるとは、嬉しい誤算って言えばいいのかな?

アンツィオ戦には間に合わないだろうけど、準決勝までにはⅣ号をF2に換装する事は可能だろうから火力の底上げが出来る――プラウダや黒森峰と戦う事を考えたら、少しでも火力は上げておきたい所だからね。

まぁ、その前に目の前の2回戦を突破しないとだけど。

 

 

 

「まぁ、大丈夫っしょ?……にしても、アタシが乗ってねーから仕方ないとは言え、カメの砲撃は全然Ⅱ号に当たらないね……」

 

「あそこまでのノーコンは、逆に才能なんじゃないかって思いますね。」

 

そんなこんなで練習をして、練習が終わった後は沙織さんの提案で、沙織さんの部屋でイタリアンな晩御飯。

3種のスパゲッティにラザニア、そしてカルパッチョ……皆で一緒に作ったって言うのもあるかも知れないけど、何て言うか格別の美味しさって言う感じがするね♪

 

 

 

「本当に美味しいであります!将来武部殿と結婚する男性は、最高のお嫁さんをゲットできるかもしれませんよ!!」

 

「やだも~、変な事言わないでよゆかりん!」

 

 

 

あはは……でも、確かにそうかも知れないね。

沙織さんは家事能力のスペックが可成り高いから、きっといいお嫁さんになれるかもだよ――まぁ、前提条件として先ずは恋人を作るところからなんだけど……誰かいい人いないの?

 

 

 

「居ればとっくに付き合ってるって……」

 

「だよね。」

 

まぁ、其れは兎も角、この食事で英気を養えたのは間違いないから沙織さんに感謝だね――次の2回戦、アンツィオ戦最高のコンディションで挑む事が出来そうだよ!!

 

次の2回戦も突破して、一気に頂点を目指す心算だからね!!

 

 

 

 

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そんなわけで試合当日!

雲一つない正に快晴って所だよ!天候にも恵まれて絶好の戦車道日和だね!!――この2回戦も必ず突破させて貰うよ!!

良い試合にしましょうね安斎さん!!!

 

 

 

「安斎じゃなくてアンチョビ。

 でもまぁ、最高の試合ってのには同感だ西住妹――ともに1回戦突破が難しいと言われていた学校同士であるにも拘らず、下馬評を引っ繰り返して2回戦に進んだ身だ……故に観客は何方が駒を進めるのかが気になるからな――その期待に応える試合をしようじゃないか!!」

 

「勿論、その心算です――でも、其れは其れとして、勝たせて貰いますよアンチョビさん?」

 

「ふん、其れは此方のセリフだ西住妹。

 勝つのは我等アンツィオだ!――我等の底力、其の身をもって知るが良い!アンツィオは弱くない!否強い!!――勝たせて貰うから、その心算で居ろよ!!」

 

 

 

其れは無理です、勝つのは私達ですから。

 

 

まぁ、簡単に勝てるだなんて事は微塵も思ってないけど、だからこそ白熱した試合になるって言うのが否定できないから、これは予想以上に激しい試合になるかもだね。

 

正直、どっちが勝つなんてのは言えないのかも知れないけど、だからこそ言わせて貰います……アンチョビさん、炎がお前を呼んでるぜ!!!

 

 

 

「ならば燃え尽きるが良い……潔くな。」

 

「行きます!!」

 

まさか、乗ってくれるとは思わなかったけど、少なくとも観客には『因縁の対決』っぽい物を印象付ける事が出来たかもだね――やっぱり、試合って言うのは盛り上げてナンボだからね。

 

其れじゃあ大会2回戦、始めるとしようか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 




キャラクター補足



・アンチョビ

本名安斎千代美。中学の頃のまほに唯一黒星を付けた戦車乗り。
正面から攻めるよりも、策を巡らせた戦い方を得意とし、格上の相手とも互角の試合をする事が出来る。
アンツィオ高校にスカウトされて戦車道の立て直しを行い、僅か1年で全国大会に出場できるレベルにまでチームを強化した。
尚、中学時代とはガラリと印象が変わってしまった為に、彼女が西住まほを倒した安斎千代美だと言う事を知るアンツィオ生徒は現状一人も存在していない……(其れで良いのかアンツィオ高校。)


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