ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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アンツィオ戦が始まったよ♪Byみほ      相手にとって不足は無いわ……全力で行くわよ!Byエリカ      大洗の底力、見せてやりましょう!By小梅


Panzer122『如何やらアンツィオ戦が始まったようです』

Side:カエサル

 

 

アンツィオ高校との2回戦……いよいよ試合開始と言う所だな。

ひなちゃんは何処かな?試合前に挨拶しておきたいんだけど……副隊長だって言ってたから試合には出る筈だけど――

 

 

 

「あ、たかちゃん!!」

 

「ひなちゃん!!やっと見つけた!」

 

姿が見えないから、今日の試合には出ないのかと思っちゃった……若しかして副隊長だから試合前のお仕事か何かあった?――2年生で副隊長だなんて凄いじゃん!!

 

 

 

「アンツィオの副隊長は、私の他にもう1人居るんだけどね。」

 

「へ、ひなちゃん以外にも副隊長が居るの?」

 

 

 

 

「いよーみほ、久しぶりだな!!」

 

「ヤッホー、久しぶりだねペパロニさん♪」

 

 

 

 

「今、大洗の隊長である西住さんに抱き付いた人がそう。

 中学時代は西住さんと同じ戦車に乗ってて、装填士として可成り活躍した人なの――聞いた話では、西住さんが中学で戦車道をする事が出来たのは、ペパロニさんが部員を集めたからだって聞いたわ。」

 

「そうなんだ……」

 

「で、たかちゃんはどの戦車に乗ってるの?」

 

「秘密ーー♪」

 

「だよね♪」

 

 

 

って、なんか視線を感じるぞ?……うおい、お前ら何をニヤニヤしてる!

 

 

 

「いやぁ、意外な一面を見てしまったと思ってな……」

 

「たーかちゃん♪」

 

「ひゅーひゅーぜよ。」

 

 

 

カエサルだ!!

クソ、迂闊だったな……まさか見られていたとは、此れはしばらくの間、此れをネタにからかわれる事を覚悟しておかねばだ――でも、其れは兎も角として、勝たせて貰うからねひなちゃん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer122

『如何やらアンツィオ戦が始まったようです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

ペパロニさんに飛び付かれたのには驚いたけど、まぁアレ位なら受け止められる事が出来るから無問題――なんだけど、其れを見たアンチョビさんは驚いてたみたいだけど、なんでだろう?

 

 

 

「いや、普通驚くだろ!?

 私だって思い切りペパロニに飛び付かれたらよろけるか、下手すりゃ倒れるのに、なんでお前は平然と受け止める事が出来るんだ!?

 其れも、言っちゃ悪いが右腕一本で!」

 

「右腕一本になったその日から、左腕が無くても何とかなるように鍛えて来ましたので此れ位は出来るようになってしまいました。

 左腕のないバランスの悪い身体ですが、其処は右のハサミだけが異常に発達したシオマネキみたいなモノだと思って下さい。」

 

「お前、その認識で良いのか!?」

 

「片腕だからと差別されるのは嫌ですけど、だからと言って其れを特別視されるのもあまり好きではありませんので。

 あ、でも『隻腕の軍神』の二つ名は、最初は『え~?』って思いましたけど、最近は結構気に入ってるので、その名前で呼ばれるのは嫌じゃないですよ?」

 

「はぁ……中学で初めて戦った時から、お前は間違い無く大物だと思っていたが、如何やらそれは間違いじゃなかった様だな――まぁ、其れ位でなくては面白くはないからな!

 中学時代と、去年のリベンジを果たさせて貰うぞ西住妹――否、みほ!!」

 

「アンチョビさん……はい、受けて立ちます!!」

 

時にアンチョビさん、ペパロニさんは、アンチョビさんが安斎千代美だって事に気付いてますか?……こう言ったらアレですけど恐らく、否絶対に気付いて無いですよね?

 

 

 

「あぁ、気付いてない。

 と言うか、多分雛菊以外は気付いてる奴いないぞ……まぁ、ドゥーチェとしての私と、安斎千代美ではあまりにも違うから仕方ないのかもな。」

 

「ギャップが大きいですからね――って、雛菊さんはロールプレイ用の名前ないんですか?」

 

「2年になった今も、なんかシックリくるモノが浮かばないそうなんだ……私がアンチョビで、青子がペパロニだからこの2つと合わさると美味しいリングィーネなんてどうかなと思ったんだが、駄目だったみたいだ。」

 

 

 

リングィーネ……スパゲッティの一種ですね。――うん、確かにアンチョビとペパロニのリングィーネはとっても美味しそう。……今度沙織さんにお願いして作って貰おうっと。

 

取り敢えず、試合前の挨拶――の前にオーロラビジョンに両校のオーダーが表示されてるね。

 

 

 

・大洗女子学園

 

パンターG型×1(隊長車)

Ⅲ号戦車J型×1(副隊長車)

Ⅳ号戦車D型×1(フラッグ車)

ティーガーⅡ×1

Ⅲ号突撃砲F型×1

クルセイダーMk.Ⅱ×1

38(t)B/C型×1

 

 

・アンツィオ高校

 

P-40×1(隊長車兼フラッグ車)

セモヴェンテ×3(うち1輌は副隊長車)

CV-33×6

 

 

 

ウチは現状であの7輌しかないから変えようがないんだけど、アンツィオは優花里さんが偵察して手に入れてくれた情報通り、P-40を投入してセモヴェンテを1輌削って来たか――CV-33を削らなかったのはあくまで機動力を確保したいからかな。

 

其れでも戦車の質では私達の方が上だけど、策は戦力を越えるってのはアンチョビさんが1回戦で示してくれたから油断は出来ない……P-40なしでマジノを撃破した訳なんだから、P-40が出てくるこの試合は、決して楽な物じゃない筈。

其れでも、負ける気は全く無いけどね。

 

 

 

「ふむ……意外だなみほ?――てっきり、圧倒的な攻防力を誇るティーガーⅡをフラッグにして、鉄板の陣営を敷いて来るんじゃないかって思ってたんだけどⅣ号がフラッグとは、少々意表を突かれたぞ?」

 

「確かにアンツィオの火力を考えたらティーガーⅡがフラッグ鉄板なんですけど、其れじゃあエリカさんの能力を生かせないじゃないですか?」

 

フラッグは他の戦車以上に撃破されない様に動く必要がある訳ですが、其れって逆に言うと思い切り全力全開で暴れまわる事は出来ないって言う事にもなりますよね?……制限がある状態では、エリカさんの真価は発揮できません。

逸見エリカと言う、私が知る限り尤も凶暴な戦車乗りは、通常の指揮系統に組み込むよりも、最低限の命令にだけ従うようにした上で自由に動いて貰った方が強いんです。

 

孤高の銀狼が操る黒い虎は、只管に戦場の敵を狩る方が絵になりますからね。

ですが、フラッグ車であるⅣ号の小梅さんも侮らない方が良ですよ?――小梅さんはエリカさん程の苛烈さは無い代わりに、物凄く観察眼が鋭くて、私が見落としてしまったモノにも気付きますので。

勿論、副隊長の梓ちゃんも舐めたらだめです。

 

 

 

「澤梓に関しては、中学から始めたって言うのに3年前の大会で此方の部隊を見事に足止めしてくれたから、今では相当な戦車乗りになっているだろう?……舐めたりはせんよ。

 しかしまぁ、アレだな?まほの奴はエリカと小梅を『巧く使っていた』が、エリカと小梅を『最大に生かしている』のはお前の方だなみほ。

 今年のお前は、明光大に居た頃のお前に近い――黒森峰の遊撃隊も強かったが、大洗はそれ以上だと思ってる。楽しい試合にしような!」

 

「はい、勿論です!!」

 

 

 

「其れでは此れより、大洗女子学園とアンツィオ高校の試合を始める。お互いに、礼!!」

 

「「よろしくお願いします!!」」

 

 

そんなこんなで、試合前の礼も終わって、いよいよ試合開始――無名の大洗と、弱小と言われてきたアンツィオ……誰もが1回戦敗退だと予想していたモノ同士の2回戦、観客が度肝を抜かれる様な試合をして盛り上げて行かないとだね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

『其れでは、試合開始!!』

 

 

「Panzer Vor!!」

 

「Avanti!!」

 

 

遂に始まった大洗女子学園vsアンツィオ高校の2回戦――下馬評を引っ繰り返して2回戦にコマを進めたダークホース同士の試合には、多くの観客が詰めかけている。

 

観客だけでなく、戦車道雑誌の取材陣も多数来ている事から、このダークホース同士の対決が如何に話題性があるかが分かると言うモノだ。

 

 

そんな大洗vsアンツィオの試合会場は岩場と森で構成されたフィールド――広い岩場で派手に戦車戦を行うもよし、森に身を隠しての待ち伏せやゲリラ戦を行うも良しと言う、毛色の違う2つの戦い方が可能になるフィールドだ。

 

スタート地点はアンツィオが森に近く、大洗は森から少し離れた場所と言った感じであり、森に攻め入る大洗と、森で待ち受けるアンツィオと言った形になりそうだ。

 

 

「フッフッフ、如何やらフィールドは少しだけ我々に有利になっているようだな?

 森が近いのならば即座にあの作戦を使う事が可能になるからな――各員、此れより『マカロニ作戦』を開始する!即準備にかかれ!!」

 

『『『『『『『『Comprensione!』』』』』』』』

 

 

アンツィオの方は、早速地の利を生かして、アンチョビの号令の下に作戦を開始。

6輌のCV-33が車体に何かを乗せて発進し、2輌のセモヴェンテも揃って移動を開始――如何やら、完全に森の中で大洗を迎え撃つ布陣であるようだ。

 

 

「しかしまぁ、よくもこんな作戦考え付くっすねドゥーチェ?まぁ、視界の悪い森の中だからこその作戦っすけど。

 取り敢えずアレっすね、試合結果に関わらず、美術科の連中には今度礼をしないとっすよね~~……予備も入れて全部で9枚ってのは結構大変だったみたいっすからね……」

 

「そうだな……だが、どうせなら勝って礼をしたいモノだ。

 しかし相手は、みほだからなぁ……正直通じるかどうかはフィフティー・フィフティーと言った所か。」

 

「みほっすからねぇ?

 でも、ドゥーチェの思考を完全にトレースするのは流石のみほでも無理じゃないっすか?……ぶっちゃけ、世界中何処を探しても、今回の作戦はウチ等が世界初披露だと思うんで。」

 

「まぁ、其れはそうなんだがな……」

 

 

やや不安はあるようだが、如何やらアンツィオが行う作戦は、戦車道史上未だ嘗て誰も見た事のない作戦であるらしい――そんな作戦を思いつくのは、中学時代に『猛将の西住、知将の安斎』と言われたアンチョビと言った所だろう。

 

 

『ドゥーチェ、設置完了しました。』

 

「うむ、分かった。

 では、森全体を包囲する陣形を取れ!逃げ場のない森で包囲して大洗を一気に叩く――我等アンツィオの底力を見せつけてやるとしよう!」

 

『『『『『『『Duce di riconoscimento!』』』』』』』』

 

「よし、行くぞ雛菊!」

 

「了解しましたドゥーチェ。」

 

 

程なく準備が完了した報告を聞いたアンチョビは、雛菊が車長兼装填士を務めているセモヴェンテと共に移動を開始――知将、アンチョビの策が大洗に、その牙を剥こうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の大洗は、Ⅲ号とクルセイダー以外の5輌が森から少し入った所にある、少し開けた場所で待機していた――森の中でアンツィオが何かしらの策を仕掛けてくるのではないかと考えたみほは、森の中でも小回りの利くⅢ号と、抜群の快足を誇るクルセイダーを偵察に出してたのだ。

 

そして、ただ待つだけでなく、フラッグ車であるⅣ号を他の戦車で囲んで防御する陣形を取っている辺りは抜け目がないと言っていいだろう。

 

 

「おい西住、なぜ偵察など出す必要がある?

 相手はノリと勢いだけが武器のアンツィオだぞ?此処は一気に戦車の性能差を以て畳み掛けるのが上策ではないのか!?」

 

「そう思うのは素人考えだよ河嶋さん。

 この間も言ったけど、アンチョビさんは中学時代に、当時中学最強と言われていたお姉ちゃんを――西住まほを倒した只唯一の戦車乗りだから、戦車の性能差は余り当てにならない。

 それどころか、下手に突っ込んだらカウンターを喰らって、其れこそアンツィオを波に乗せかねないからね。」

 

 

そんな中で、桃は一気に攻めるべきだと言うが、みほは其れは悪手だと言って諫める。

桃の言う通り、戦車のスペックでは圧倒的に有利なのだから一気に攻めるべきだと言うのも悪くない選択なのだが、小学校に上がった時から戦車に乗り、左腕を失ってからは車長専任免許を取得する為に古今東西ありとあらゆる戦車の知識を頭に叩き込み、幾多の戦いを潜り抜けて来たみほは、歴戦の戦車乗りのみが持つ勘で、攻め急ぐのは最大の悪手であると感じ取っていたのだ。

 

 

「期を待ち、機を見て、気を持って戦う――戦いの基本よ河嶋先輩?

 と言うか、三等兵風情が将官の隊長に向かって意見するなんて、身の程を知りなさい――そんな身の程を弁えない無礼、黒森峰なら即刻収容所送りになってる所よ?」

 

「不敬罪も追加されて、最低でも10日の収容所暮らしは免れませんね絶対に。」

 

「ひぃぃぃぃぃ!?」

 

「……か~しま、いい加減学べよお前……」

 

 

更に、エリカと小梅から追撃を喰らった桃はすっかり委縮してしまった様だ……如何やら、今まで生徒会の権力を盾にして強硬的に色々な事をを進めて来た時のクセが抜けないらしい。

 

兎も角、今は偵察からの報告を待つのが一番なのだ。

 

 

「時に西住隊長、なぜ我々を偵察に出さなかったんだ?

 Ⅲ突は知っての通り車高が極端に低いから待ち伏せだけでなく偵察にも向いている――特に、茂みの中に隠れてしまえばCV-33に発見される事だけは絶対にないぞ?」

 

「其れは私も考えたけど、大洗にとって貴重な火力であるⅢ突を偵察に出したら戦術が狭まっちゃうと思ってね――カバさんチームの皆には偵察をするよりも、その火力を持ってして暴れ回って欲しい所だからね。」

 

「そう言う事なら、任せるぜよ!!」

 

「左衛門佐を名乗った誇りにかけて、隊長の期待に応えてやる――任されたぞ隊長!」

 

「ふふ、期待してるよ♪」

 

 

其れでも、こんな雑談が出来るのは心に余裕がある証拠だろう。――まぁ、会話の内容に関しては此の試合の事ではあるのだが、この程度のやり取りで仲間の闘争心に火を点けるみほは、奇しくも試合前にアンチョビが言った『最大に生かしている』と言う事が出来る戦車長であり隊長なのだろう。

 

 

『ウサギよりあんこうへ。

 東C地点にて、CV-33を3輌、セモヴェンテを2輌発見しました――此方には、未だ気づいていないようですが、今すぐ動く気配も一切感じる事が出来ません。』

 

「流石は梓ちゃん、仕事が早いね。」

 

 

そして、此処で偵察に出掛けて行った梓からの連絡を受ける――其処からみほが自分ならどうするかと考えて導いた答えは、アンツィオが森の中に潜んでのゲリラ戦を展開しようとしてるのではないかと言う事だ。

 

森林を使ったゲリラ戦はみほも得意としているが、ゲリラ戦を仕掛ける事は有ってもゲリラ戦を仕掛けられた事は未だ嘗て1度もない故に、自分がゲリラ戦に遭遇した場合は少し考える時間が必要になって来るのだ。

 

 

「東C地点にカルロヴェローチェが3輌とセモヴェンテを2輌か……此方を包囲してから攻め立て、フラッグを孤立させた上でドカンって言う感じかな此れは?

 如何やらアンチョビさんは、確実に私達を倒しに来てるみたいだね……なら、其れには応えないとだよ!!

 アヒルチームからの報告があり次第、此方からも攻める――アンツィオ相手に防御重視は悪手以外の何者でもないからね!!」

 

 

だが、此の僅かな時間でみほの頭の中ではアンツィオの戦い方がシミュレートされ、今打てる最高の一手を考える――其れが導き出したのがアヒルチームからの報告を待つと言う事だった。

 

情報戦と言うのは馬鹿に出来るモノではなく、戦車道では更にその傾向が強い故に、情報と言うモノは可成り有効な物なのである。

みほも此れまでの経験から其れ知っているからこそ、梓からの報告だけでなくアヒルチームからの報告を待ったのだ――或は、2つの報告から相手の狙いをより正確に割り出そうとして居るのかも知れない――尤も、現状の状態ではもう少し時間が必要だが……

 

 

 

『隊長、此方アヒル!

 南C地区にてアンツィオの戦車を発見!――CV-33が3輌、セモヴェンテ2輌です!』

 

「お疲れ様です。」

 

 

程なくバレー部もまた、アンツィオの戦車を発見する。――が、此処でみほとエリカと小梅は今の報告を聞いて、即座に『オカシイ』と感じた。

恐らくこの場においては、此の3人以外には感じてない事かも知れないが、戦車道に長く携わって来たからこそ、ウサギチームとアヒルチームの報告から即座に違和感を感じたのだろう。

 

 

「うん?

 東地区に5輌で、南地区にも5輌?……しかもP-40は居なかった訳だから数が合わないよね?――そもそもにして、セモヴェンテは3輌の筈なのに、今の報告を聞く限りでは4輌のセモヴェンテが存在してる事になるし、其処にP-40を加えたらレギュレーション違反の11輌になっちゃう……どういう事なんだろう?」

 

「若しかして直前に増やしたとか?

 ……否、無理よね。試合に出る戦車の絶対数が、規定数未満の場合は相手の同意があれば試合直前に追加する事も出来るけど、アンツィオは10輌出てるし、私達同意してないし、そもそも聞いてないし。」

 

「審判団の目を欺いて、試合前に戦車に偽装工作をしてフィールドに隠していたとか……そんなのは、明らかに違反ですけど……」

 

「アンチョビさんに限って其れは無いと思うんだけど、でも調べてみる価値はあるかも知れないね――梓ちゃん、典子さん、カルロヴェローチェとCV-33に向かって機銃を撃ってくれるかな?

 それで、きっと謎が解けると思うから――行けるよね2人も!!

 

『了解です!!』

 

『根性で頑張ります!!』

 

 

その僅かな違和感を感じ取ったみほは、梓と典子に機銃での攻撃を命令し、2人は其れを忠実に行い、待ち伏せしているCV-33とセモヴェンテに向かって機銃を発射!

機銃では、CV-33もセモヴェンテも撃破する事は出来ないが――

 

 

 

――ババババババババババババババババ!!

 

――バリン!バリン!!バリン!!!

 

 

 

「板?」

 

「書き割り?」

 

「偽物だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

機銃を喰らったアンツィオの戦車は瞬く間に蜂の巣となって倒れ、後に残ったのは物言わぬ板切れと化した、戦車の張りぼてのみ。

戦車は簡単に砕け散りはしない。ウサギチームとアヒルチームが発見した戦車は、攻撃されたら木っ端微塵となるベニヤ板で作られていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

東C地区と南C地区のカルロヴェローチェとセモヴェンテは偽物だったか――如何やらアンツィオは、私が罠にかかった所を一網打尽にする心算だったみたいだね。

だけど、絡繰が分かれば恐れる物は何もないから、此処からは此方から攻めに回るのが上策だね。

 

「此処から一気に攻勢に打って出る!!

 坂東武者の心意気があるモノは私に続けぇ!!」

 

 

 

――轟!!

 

 

 

「本日の軍神招来は、源義経であったようでありますねぇ?まるで一の谷の逆落とし前の号令の様でした……取り敢えず、試合はまだ始まったばかりであります――必ず勝ちましょう西住殿!!」

 

「勿論、そのつもりだよ優花里さん。」

 

私が目指してるのは全国制覇只それだからね――だから此の2回戦も必ず勝って見せる!勿論この先に待っているであろう強者達も、此の試合を見てるだろうから手加減は厳密!!

 

だけど、私を此処まで燃えさせたのは貴女が初めてだよアンチョビさん――なら、そのお礼はたっぷりとしないとだね!!

 

 

ふふ、此処からが本当のアンツィオ戦って言う所かな?……なら、私も一切の手加減をしないでやらせて貰う!!――只、其れだけだよ!!

もう私のハートは、限界までバーニングしてるからもう誰にも止める事は出来ない!!

 

さぁ、会場の皆さんにも楽しんで貰おうとしようか?――ダークホース同士が織りなす、戦車道って言うモノをね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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