ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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地吹雪のカチューシャと、ブリザードのノンナ……相手にとって不足なしだねByみほ        不足は無いわByエリカ      すべてをぶつけて行きましょう!By小梅


Panzer125『プラウダ戦開幕!~全力全壊です!~』

Side:みほ

 

 

いよいよ準決勝の日が迫って来たけど、やるべき事は全てやったから後は試合で結果を出すだけだね――豪雪地帯の試合は、誰がどう見てもプラウダ有利だけど、負ける心算は毛頭ないもん。

 

 

 

「その意気や良しって感じね。

 隊長のやる気が充分なら、これまで以上のジャイアントキリングも可能になるって感じだわ――特に、大洗の連中はアンツィオ以上にノリと勢いがあるからね。」

 

「みほさんと言う存在が、其れを最大限に生かしていると言った感じですから。」

 

「私だけじゃなく、副隊長の梓ちゃんもだよ。

 其れから、エリカさんと小梅さんもね。」

 

ともあれ、去年の準優勝校を破って決勝に駒を進めるとなれば、其れは皆にとって凄く自信になると思うから思い切りぶつかって行く心算だよ。

勿論、プラウダ絶対有利のフィールドだから色々作戦は考えてるけどね。

 

 

 

「まぁ、当然よね。

 其れとは別に……みほ、小梅、この間の生徒会からの呼び出し、ちょっと気にならない?」

 

「……はい、気になると言えば気になりますね?」

 

「何か重要な話があるのかと思ったけど、そうじゃなかったからね?――準決勝まで駒を進めた事に対する労いって事だと思うんだけど……」

 

「私もそう思ったけど、よくよく考えてみると其れもおかしな話じゃない?

 優勝したなら兎も角、準決勝前にって言うのは色々とタイミング的にもオカシイ……本当は、とても重要な事を話そうと思ったんだけど、切り出す事が出来なかったんじゃないかって思うのよ。」

 

「成程……確かに。」

 

でも、だとしたら一体何を話す心算だったんだろう?

……若しかして、大会の全国制覇に関する事だったりするのかな?――だとしたら、隠し事がある中で戦うってのはあまり気分が良くないよ。

 

 

 

「でしょう?だから、一計を案じてみない?――生徒会の連中が、何を隠しているのか話して貰うためにもね。」

 

「そうだね、ちょっとやってみようか。」

 

場合によっては、可成りのピンチを招く事になるかも知れないけど、其れを踏まえて作戦を立てて行けば何とかなるだろうしね――此の準決勝は、ちょっと荒れるかもだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer125

『プラウダ戦開幕!~全力全壊です!~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてと、準決勝の会場に到着した訳だけど……うん、予想以上に雪が積もってる。

見事なまでの白銀の雪景色だね此れは……冬服用のPコートを持ってくるように言ったのは間違いじゃなかったみたい。此れがあるだけでも結構寒さを凌げるからね。

 

 

 

「あの西住隊長、夏場に雪って、此処は本当に日本なんでしょうか?」

 

「一応、地図上及び国際的な領海線では日本領になってる場所だよ――ただし、日本本土からは遥かに南に位置してる場所だけどね。」

 

「な、なんでそんな場所が日本の領土になってるんですか!?」

 

 

 

さぁ、詳しい事は分からないけど、昔お母さんに聞いた話だと、この島は元々何処の国の物でもない雪深い孤島だったんだけど、20年位前にこの島の領有権を如何するかって話になって、何処でどうなったのか『面倒だから領有権欲しい国による戦車道の試合で決める』って事になったらしくて、その結果日本が勝利して手に入れたんだって。

 

 

 

「ねぇみほ、若しかしなくてもその時の日本の代表って……」

 

「明言はしてなかったけど、多分お母さんと島田の小母様だと思う――後は、若しかしたら優花里さんのお母さんも居たかもしれないね。」

 

まぁ、兎も角そんな訳で6月に雪とか、明らかに北半球の人間にケンカ売ってる様な天気だけど、此処は間違いなく日本だから。そう思えなくても日本だから。日本の領土だから日本だからね?

ご理解して頂けたかな梓ちゃん?其れから他の皆も。

 

 

 

「う~~、此処が日本なのは良く分かったけど、流石にジャケットにコートだけでは寒いぜよ……どてらも持って来るべきだったか……」

 

「甘いぞおりょうさん!此の位の寒さは気合と根性で何とかなる!!」

 

「そんなの貴女だけよ磯辺さん!この寒さ、校則違反レベルだわ……」

 

「そど子、意味が分からん。」

 

 

 

あはは……日本領だとは理解できても、確かにこの寒さは異常だからね?

スマホの天気アプリだと、此処は本日終日雪で、最高気温がマイナス10℃だからね……滅多に雪が降らない茨城の人にはキツイかもだよ。

まぁ、熊本だって雪は降っても此処まで寒くなる事は滅多にないけどさ。

取り敢えず使い捨てカイロを沢山用意して来たから其れを使うとして、優花里さん、会長さん、頼んでおいた物は?

 

 

 

「バッチリであります西住殿!

 野営セットに、温かいメニューのレーションを各種用意しているであります!仮に長期戦になった時でも、バッチリと暖を取る事が出来る準備は出来ていますよ!」

 

「こっちもさー、頼まれてたものは用意したよ?

 だけど西住ちゃん、焚き火用の薪は兎も角、此のハバネロソースとかは一体何に使う心算なんだい?」

 

「万が一の事態が起きた場合に、寒さによる昏睡に陥った人に其れ飲ませれば気付けになるかと思いまして。」

 

「否、気付けになるどころか辛さで気絶するんじゃないの?」

 

 

 

其れは大丈夫だよエリカさん、此のハバネロソースはあくまでも刺激的なボロネーゼソースを作る為の物だから、どこぞの激辛店の激辛メニューみたいに食べさせる心算が毛頭ない悪意のある辛さじゃないから。

 

其れと、そろそろ雑談もお終いの時間みたいだよ?――プラウダの隊長さんと副隊長さんがやって来たみたいだからね。

 

 

 

「ハァイ、お久しぶりねミホーシャ?エリーシャと、ウメーシャもお久しぶり。元気そうで安心したわ。」

 

「黒森峰から移籍しても、健在のようで安心しました。」

 

「はい、お久しぶりですカチューシャさん、ノンナさん。」

 

「そっちこそ元気そうで安心したわよカチューシャ――ノンナも、息災みたいね?」

 

「去年の大会以来ですね……また、こうして戦う事になるとは思っていませんでした。」

 

 

 

カチューシャさんとノンナが、態々大洗の陣営までやって来るとは思わなかったけど、こうして再会できたのは素直に嬉しいかな?――去年、黒森峰にお礼を言いに来て以降は会う事がなかったからね。

 

 

 

「マッタクもう、抽選会場で貴女を見た時には驚いたわよミホーシャ?

 ダージリンからミホーシャ達が戦車道のない学校に転校したらしいって事は聞いてたけど、まさかそこで戦車道を新たに始めるとは思ってなかったわ。

 しかも、殆ど素人同然の連中を率いて準決勝までやって来るとは、流石はミホーシャね?」

 

「ふふ、お褒めに預かり光栄です、カチューシャ隊長閣下。」

 

「ちょっとやめてよミホーシャ。隻腕の軍神に畏まれたらこっちが委縮しちゃうわ……そうね、私達は仲間なんだからもっとフランクに行きましょ。」

 

 

 

分かりましたカチューシャさん。

確かに、そっちの方が私達らしいですし、変に気を使わなくて済みますからね……まぁ、世の中には、気を使うのが馬鹿臭いって輩が何でか存在しちゃってるんですけどね。

 

 

 

「ホントにね……ってそんな事は如何でも良いのよ。

 ミホーシャ、此処まで勝ち上がって来た貴女の実力は本物だけど、カチューシャは副隊長の子も気に入ったわ――あの子、貴女の戦車道をなぞって居ながら、其処に独自のアレンジを加えて自分の物にしてるじゃない?

 あの子レベルの副官なら、ノンナと同レベルと認めてあげても良いわね。」

 

「だってさ、梓ちゃん。」

 

「この身に余る高評価ですね。」

 

 

 

ふふ、流石はカチューシャさん、梓ちゃんの力を見抜いて来たか。

だけどカチューシャさん、梓ちゃんは車長のレベルに限って言えばノンナさんを越えてます――車長と砲手を比べるのは間違ってるかもしれませんが、車長と砲手では、どちらが副隊長に向いているのかは言うに及ばずです。

 

何よりも梓ちゃんは、私が認めた弟子であり、『軍神を継ぐ者』って言われてますから警戒しておく事をお勧めします――私の才能による所が大きかった明光大の戦車道を体系化して明光大の基本戦術としたのは梓ちゃんだからね。

 

 

 

「矢張り只者じゃなかったわね?

 1回戦と2回戦でも活躍してたから、何者かと思ったけど、まさかミホーシャの弟子だとは思わなかったわ……ミホーシャの一番弟子の力が如何程か、見せて貰うわよミホーシャの弟子!」

 

「ご期待には応えて見せますよカチューシャさん――そして、西住隊長の弟子と言うだけでなく、私と言う戦車乗りの事を覚えて貰いますから!」

 

「フフ、良い副官を持ったわねミホーシャ?

 だけど、だからと言って私達プラウダに勝てるかと言うのは、また話が別よ――殆ど素人みたいな集団を纏め上げて準決勝まで来た手腕は見事と言えるけど、カチューシャはサンダースみたいに車輌数を合わせたり、アンツィオみたいに甘くはないわよ!」

 

「勿論、百も承知ですよカチューシャさん。」

 

『地吹雪のカチューシャ』――格下が相手であっても一切手加減をせずに戦い、時には勝利の可能性を完全に奪った上で降伏勧告を行う恐怖の隊長……お互いに手の内を曝したくないから黒森峰との練習試合こそ行ってないモノの、去年の隊長就任後からBC自由学園、ヴァイキング水産高校、知波単学園、アンツィオ高校の4校と練習試合を行い、全てアウェーでの試合であったにも拘らず全勝。

カチューシャさん率いるプラウダが、これまでで一番の強敵であるとは認識していますよ。

 

 

 

「へぇ?其処まで分かっていても、緊張も何もしてないだなんて、流石に隻腕の軍神は違うわね?」

 

「事前情報で驚いていたら勝負になりませんから。

 因みに、今言った事は可能な限り各校の隊長さんに聞いたモノですけど……アンチョビさんが、試合後の宴会でカチューシャさんの食べっぷりとノンナさんの世話焼きぶりが凄かったって……」

 

「だーーー!なに言ってんのよアンチョビの奴!!」

 

「ペパロニさんが、鉄板ナポリタンの味付けをケチャップ多めのお子様用にしてやったら喜んだとかなんとか……」

 

「アイツ等……今度会ったらしゅくせーしてやるわ!!」

 

 

 

アハハ……まぁ、其れだけカチューシャさんの残した印象が大きかったって言う事にしておきませんか?印象に残らない相手だったら、一々何を如何してたかなんて覚えてないですから。

つまり、其れだけ印象に残る人だったんですよカチューシャさんは。

 

 

 

「むぅ……なんか納得いかないけど、取り敢えずそう言う事にしておくわ。

 ――さてと、そろそろ時間ねミホーシャ。去年の借り、キッチリと返させて貰うから覚悟しとくのね!!」

 

「なら、敢えて言いましょう……『借りを倍にしてあげます』と。」

 

「言うじゃない?」

 

「試合前の舌戦もまた戦車道ですから♪」

 

「そうね……良い試合にしましょう、ミホーシャ!」

 

「はい、勿論ですカチューシャさん。」

 

ガッチリと握手をしてから、カチューシャさんとノンナさんは自分の陣営に戻って行ったか……2人とも、去年よりも確実に強くなってるのが良く分かった――一手間違ったら、速攻で負けちゃうだろうね此れは。

多分、単純に勝率を計算するなら大洗が勝つ確率は10%あれば良い方なんだろうけど、勝率が0でなければ充分だよ――勝率なんて、所詮確率に過ぎないんだから。

勝てば100%、負ければ0%なんだから――だったら、勝つ為に工夫を凝らせば良いだけだからね!!

 

 

 

――轟!!

 

 

 

「うわお、みぽりんの半径1m以内の雪が解けた。」

 

「軍神招来の熱量で雪溶かすんじゃないわよ……ってか、其れがあれば少なくともアンタの車輌内が寒くなる事は無いんじゃないの?」

 

 

 

如何だろう?其れは分からないよ、エリカさん。

ともあれ、兎に角そろそろ試合開始だから皆準備をして――此の準決勝は、これまで以上に厳しい戦いになると思うから、全員気を抜かない様にね!!

 

 

 

「「「「「「「了解!!」」」」」」」

 

 

 

良し、其れじゃあ始めようか!!――運命の準決勝を!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

一面の白銀の世界で準決勝を戦う大洗とプラウダの隊長と副隊長――みほと梓、カチューシャとノンナは審判長を務める蝶野亜美の前で再び対峙している。

先程と違う所と言えば、みほが防寒用のPコートを肩掛けにしている事位だろう。

 

 

「其れが噂に聞いた軍神モードねミホーシャ……流石に迫力があるわ。」

 

「そう言って貰えると光栄ですよカチューシャさん。」

 

 

みほとカチューシャは軽く言葉を交わすと、改めて背筋を伸ばす。

 

 

「其れでは、これより大洗女子学園と、プラウダ高校の試合を始める。お互いに、礼!」

 

 

「「「「よろしくお願いします!!」」」」

 

 

互いに試合前の挨拶をし、夫々の陣営へと戻っていく――ちなみに全く持って如何でも良い事かもしれないが、この極寒の試合会場で、何時も

通りに自衛隊の制服だけであった蝶野亜美は色々と凄いのかも知れない。

 

 

「あら~?寒いのなんて、酒飲んでればどうとでもなるわよ?

 そうね?一升瓶10本くらい空けて来れば、身体が良い具合に火照って、この程度の寒さなんて感じないモノよ。」

 

 

さいですか。ってか、地の文と会話せんで下さい――そもそもにして、一升瓶を10本空けて素面って、色々おかしい事この上ないですから。

……其れは兎も角として、先ずは両校のオーダーを見てみよう。

 

 

・大洗女子学園

 

パンターG型×1(隊長車)

Ⅲ号戦車J型×1(副隊長車兼フラッグ車)

ティーガーⅡ×1

Ⅳ号戦車D型改(F2仕様)

Ⅲ号突撃砲F型×1

クルセイダーMk.Ⅱ×1

38(t)B/C型×1

ルノーR35×1

 

 

 

・プラウダ高校

 

T-34/76×6

T-34/84×7

IS-2×1

KV-2×1

 

 

 

まず目につくのは、大洗のⅣ号が改造を施して長砲身のF2仕様になっている事だろう。

此れは偶然見つかった長砲身の75mmがⅣ号の物だったから可能になった改造だった――のだが、回転砲塔を改造するだけでなく、足回りとエンジンまで改造して、機動力も本来のF2と同じにしてしまう辺り、大洗女子学園の自動車整備部の技術力の高さが伺えると言うモノだろう。

それ以外では、新たにルノーR35が加わった以外に変わりはないが、小梅の乗るⅣ号が信頼できる火力を手にしたのは大きいと言っていい。

 

とは言え、プラウダは信頼性の高い中戦車であるT-34を合計で13輌も揃え、更には超火力を誇るIS-2とKV-2をも持って来てるので、数の上だけでなく、火力でも圧倒的に大洗を上回っている――真面にぶつかれば大洗に勝利はないだろう。

 

だが、普通に考えれば無名の大洗に此処までの布陣を引く必要はない――其れこそ、中戦車オンリーの布陣であってもう十分な筈だろう。

にも拘らず、超火力を誇る戦車を2輌投入して来たと言う事は、信頼できる中戦車だけでなく一撃必殺の攻撃力を持った重戦車が必要だからとカチューシャが考えたからだ。

 

其れだけ、みほを――否、みほが率いる大洗を警戒していたと言う事だろう。

 

カチューシャは、小柄で子供っぽい性格をしている事から誤解されがちだが、指揮官としての能力は相当に高い。

その能力が、みほ率いる大洗に対しては一切の油断をするな、中戦車だけでなく一撃必殺の破壊力を持つ重戦車も参加させろと言う結論に至って、このオーダーとなったのだ。

 

 

 

「カチューシャさん、手堅く来ましたね……でも、そう簡単にはやられませんよ。」

 

 

 

「ルノーR35は2回戦には居なかったわよね?

 と言う事は、準決勝の土壇場で加えて来たって言う事ね?……其れじゃあ、データの取りようもないわ――このタイミングで新車両を投入して来るとは、やってくれるじゃないミホーシャ!!」

 

 

 

電光掲示板に映し出されたオーダーを見ながら、みほ不敵な笑みを浮かべ、カチューシャは闘気を滾らせる。そして――

 

 

 

「其れでは、試合開始!!」

 

 

 

「Panzer Vor!!」

 

「「「「「「「Jawohl!!」」」」」」」

 

 

 

「Запуск танка!(戦車前進!)」

 

「「「「「「「「「「「「「「понимание!!(了解!!)」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

遂に戦いの火蓋が切って落とされた!

優勝候補であるプラウダに、今大会のダークホースである大洗が挑むと言う構図は非常に盛り上がるものであったらしく、観客席の戦車道関係の雑誌記者は、スクープを逃さんとして何時でもシャッターが切れるように準備をしている。

 

 

 

「ガッデーム!!

 プラウダがナンボのモンだ!!去年の準優勝校だか何だか知らねぇが、そんな事は如何でも良い!テメェ等は黙って大洗だけ見てりゃ良いんだオラァ!!」

 

 

 

そして、黒のカリスマ率いる大洗応援団『ons』の応援もあり、会場の盛り上がりは試合開始直後でもあるのに最高潮に達しようとしていた。

元黒森峰の遊撃隊を有する大洗とプラウダの、ある意味での因縁の対決が、此処に幕を上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:しほ

 

 

さて、いよいよ始まったわねみほの準決勝が。

既にまほは準決勝を制して決勝まで駒を進めているから、是非ともみほにも決勝戦へと駒を進めて欲しいものだわ――決勝戦が西住流の娘達の一騎打ちともなれば話題性は可成りなモノがあるでしょうからね。

 

戦力差を言うならプラウダが圧倒的に有利だけど、みほには戦力差を覆してしまう『戦略』があるから、戦車の数と性能差で勝敗を占う事は出来ないでしょうね……みほの前では2倍程度の戦力差は有ってない様なモノだもの――フラッグ戦であるのならば尚の事ね。

 

 

 

「ふん、こんな試合、見る前から勝負は決まっておるわ。

 運よく、準決勝まで駒を進めてきたようじゃが、其の強運も此処までよ――プラウダの圧倒的な実力の前では、無名の大洗などハナクソに過ぎんじゃろうて……此の試合の勝者はプラウダよ。」

 

「そう思うのでしたら、お母様も随分と耄碌したようですね?」

 

「なんじゃと?」

 

 

 

みほ率いる大洗が運よく勝ち進んで来たとは笑止千万!

戦車道にまぐれなし!あるのは実力のみ!!――確かに運の要素が絡まった事は否定しませんが、その運を手繰り寄せるのもまた実力!!

この圧倒的に不利な状況であっても、私は断言します……此の試合、勝つのはみほだと。

 

 

 

『ウガ!!』

 

『キュイーン♪』

 

 

 

試合が始まったから客席に来たのだろうけど、よく来たわねアンドリューにロンメル……折角だから此処で一緒に準決勝を観戦するとしましょうか――みほが略恒例となっていた『黒森峰vsプラウダ』の構図を壊す事になるかも知れないですからね。

 

何はともあれ、頑張れみほ。

貴女だったら、きっとプラウダを撃破して決勝にコマを進めると信じてるわ――だから、貴女は最後まで貴女らしさを貫いた戦車道をしなさい。

 

そして、お母様もこの戦いでみほの底知れぬ可能性を知るべきです。――あの子は、西住流の型に収まりきらない無限の可能性がある……それを西住流の枠組みで抑えよう等、無理な話でしょう?

 

 

 

「ふん、そんなモノは詭弁に過ぎん。

 この試合で其れが明らかになろう――みほの戦車道は、所詮自己満足の欺瞞に満ち、西住流とは到底相容れないモノであったと言う事が。」

 

「所詮自己満足の欺瞞は、果たして誰の事なのやら。」

 

その目の曇りは早々晴れるモノでは無いのでしょうが……此処まで来ると受勲レベルと言っても過言ではありませんね――この人は、何処で戦車道の道を誤ってしまったのか……其れは、あまり考えない方が良いかも知れないわね。

 

ともあれ、準決勝で負けてしまって元も子もないから全力で行きなさいみほ――貴女が、貴女の仲間達が力を合わせれば、プラウダが相手であっても、必ず勝てると信じているわ……隻腕の軍神、その名は伊達では無いのだから。

 

そして、お母様に、真の戦車道が如何言うモノを教えてあげて頂戴――西住の枠に収まりきらない貴女こそが今の高校戦車道界隈ではナンバー1だと私は思っているわ。

まほをも越えた其の力、じっくりと拝ませて貰うわ。

 

 

 

「因みに、録画用のDVDは可成りの数を用意しましたので、撮り逃しは有りませんよ奥様。」

 

「流石は菊代、抜かりがないわね。」

 

「お褒めに預かり、恐悦至極です奥様。」

 

 

 

本当に貴女は優秀ね菊代――さて、見届けさせて貰うわみほ、貴女が率いる大洗が、去年の準優勝校を相手にして勝ったとなれば世間の注目を浴びるでしょうから、貴女の実力を世に知らしめる事も出来るからね。――何にせよ此の準決勝は、只の試合で終わるとは思えないわね

 

さて、どんな試合になるのか、其れを見届けさせて貰います――其れが、私の西住流師範としての責務でしょうから……ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

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