ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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130話まで来たみたいだね?Byみほ        ったく、続くわね?Byエリカ       下手したら決勝戦だけで140話まで行くかもですねBy小梅


Panzer130『決勝戦会場に逆巻く闘気です!』

Side:みほ

 

 

さてと、いよいよ決勝戦当日だね?――今更聞く事ない事かもしれないけど、敢えて聞かせて貰うよ……エリカさん、小梅さん、気合とやる気の貯蔵は充分かな?

 

 

 

「衛宮乙。

 まぁ、貴女に言われるまでもなく、気合とやる気は充実しているわ……此の決勝戦を制すれば大洗は廃校にならずに済むし、家元の言う西住流を全否定できるのだからね。」

 

「私とエリカさんだけでも此れだけの気合とやる気に満ちてるんです……大洗の皆さんはもっと凄いかも知れませんよ?特にバレー部は。」

 

「うん、其れは否定できないね小梅さん。」

 

バレー部は気合と根性があればどんな事も出来るって思ってる節があるからね……まぁ、あながち間違いとは言えないんだけどさ。

だけど、皆の気合とやる気が充実してるなら、相手がお姉ちゃん率いる黒森峰であっても勝つ事が出来る筈だよ――うぅん、勝てるよ絶対に!

 

 

 

「言いきったわねみほ……世界広しと言えど、まほさんに勝つと断言できるのは貴女位だと思うわよみほ?」

 

「あはは……其れはまぁ、否定しないよ。」

 

って言うか、大抵の人はお姉ちゃんの名前を聞いた途端に委縮しちゃってるからね……『西住』の名に屈するようじゃお姉ちゃんの相手にはならないよ。

でも、私には其れは無いからね……戦車の数と性能差は兎も角として、私はお姉ちゃんに対する恐れはない――まぁ、尊敬はしてるけどね。

私の為にも、大洗の為にも此の試合は絶対負けられないから勝たせて貰うよお姉ちゃん!!

私達も気合を入れよう!!『み』!!

 

 

 

「『エ』!」

 

「『こ』!」

 

 

 

ファイ!オォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!

 

 

決勝戦、私の持てる全てをぶつけて行くから、その心算でいてねお姉ちゃん――おばあちゃんの言う西住流、其れを完全に破壊してあげるからね!!

そして見せてあげるよお祖母ちゃん……隻腕の軍神が率いる大洗の力と言うモノを――私達の戦車道で、お祖母ちゃんの戦車道を叩き潰してあげるよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer130

『決勝戦会場に逆巻く闘気です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

到着した決勝戦の会場は、戦車道垂涎の聖地、富士の裾野だね……去年の会場が最悪のコンディションだっただけに、このフィールドはやろうと思えば市街地戦に引き込む事も出来るから、そうなれば数の利を潰す事が出来るかもだね。

 

まぁ、そう簡単に行く相手じゃないとは思うけどね。

 

 

 

「Heyみほ、応援に来たわよ!!」

 

「遂に決勝戦ね……必ず勝ちなさい。貴女達なら黒森峰に勝つ事が出来るって信じているわ。」

 

 

 

っと、ケイさんとナオミさん!!来てくれたんだ!!

 

 

 

「当然でしょう?嘗ての戦友の晴れの舞台に、エールを送らないなんて事を私がすると思うか?」

 

「あはは……応援メール位は入るかと思ってたんだけど、まさか直接とは思わなかったんだよナオミさん――しかも、ケイさんまで一緒に来るんだから、ちょっと驚いたよ。」

 

「Great!みほを驚かす事が出来たならSurprise成功ね♪

 とにかく応援してるから頑張ってね!私達だけじゃなく、応援団としてサンダースのチアリーダー部も連れて来てるから、目一杯応援させて貰うわよ♪」

 

 

 

サンダースのチア部って確かチアダンスの全国大会でも常に上位に食い込んでる強豪ですよね?

そんなチームが私達の応援に来てくれるだなんて、身に余る光栄ですケイさん!――その応援に応えられる試合を見せるって約束します!!

 

 

 

「OK!Excitingな試合を期待してるわよみほ♪」

 

「黒森峰の牙城、貴女達なら崩せると信じているわ。」

 

「えぇ、崩してやるから目ん玉かっぽじて見ときなさいよナオミ。」

 

 

 

エリカさん、目玉をかっぽじったら見る事は出来ないと思うんだけど……まぁ、『目をかっぽじって見よ』ってのは某アクションゲームのチュートリアルで若本ボイスの師匠が言った事なんだけどね。

 

 

 

「武人街は最高のクソゲーって評価もあるぜみほ?」

 

「ペパロニさん?其れに、カルパッチョさんも!来てくれたんだ?」

 

「おうよ、此の決勝戦は見逃す事は出来ねぇし、何よりも絶対王者黒森峰vs隻腕の軍神率いるダークホース大洗の決勝って事で、客席は超満員札止め状態だから、アンツィオとしても稼ぎ時だしな!!」

 

「ペパロニさん……まぁ、否定はしませんが。

 其れは其れとして、私達アンツィオ一同は、大洗の勝利を願って居ます……必ず勝って下さい――大洗が優勝したとなれば、アンツィオの皆にとっても良い刺激になると思いますので。」

 

「其れは確かにかもだね。」

 

無名の大洗が、絶対王者黒森峰を倒して優勝したなんて事になれば、其れは逆に言うなら戦い方次第では弱小校でも強豪校に勝てる可能性を示した事になる訳だからね。

いや、アンツィオが弱いって訳じゃないけど、戦車の性能差は知恵と工夫で補えるという事で……

 

 

 

「わーってるって。

 取り敢えず腹が減ってちゃ戦は出来ねぇからな、此れでも食って力付けとけよ?」

 

「ペパロニさん……うん、ありがとう!!」

 

ペパロニさんがくれたのは、大洗の戦車隊全員分の鉄板ナポリタンのパニーニサンド!此れを食べたら、皆の能力は3倍になるかもだよね♪

 

 

 

「否定できないわね……で、一般隊員が3倍なら、貴女は何倍になって戦車力はドレ位になる訳?」

 

「10倍以上の6000万です。――まぁ、其れでもまだ半分程度だけどね。」

 

「つまりみほさんの最大戦車力は1億2000万……フリーザ様の100%フルパワー状態と同じだとは驚きました。

 若しかしたら、何時の日かみほさんが宇宙を支配する日が来るのかも知れませんねぇ……まぁ、そうなれば地球は安泰かもですけれど。」

 

「小梅さん……私にそんな野望は無いからね?」

 

「うふふ、モノの例えですよみほさん♪」

 

 

 

ぐ……小梅さんて、大人しそうな顔してる割に、要所要所で結構ぶっこんでくるから実は油断が出来ないんだよねぇ……まぁ、其れもまた小梅さんの魅力なのかも知れないけどね。

 

 

 

「ハイ、ミホーシャ!応援に来たわよ♪」

 

「私達を下しての決勝戦出場、おめでとうございます。優勝まではあと1勝ですね。」

 

「カチューシャさん!其れにノンナさんも!!」

 

来てくれたんですか?……感激です!!

 

 

 

「来るのは当然よミホーシャ。

 貴女は既に私の同志なんだから、応援しないなんて選択肢は有り得ないでしょ?――兎に角、決勝戦も必ず勝ちなさいよ?こんな言い方をするのは如何かと思うけど、黒森峰なんてケッチョンケチョンにしてやりなさい!!」

 

「あはは……まぁ、頑張ります。」

 

実際に黒森峰をフルボッコにする心算ではありましたから――まぁ、黒森峰と言うよりもお祖母ちゃんの言う西住流をフルボッコにして再起不能にする心算だったんですけどね。

見ていて下さいカチューシャさん、ノンナさん……戦車道の歴史が変わるその瞬間を!

 

 

 

「歴史が変わるとは大きく出たわね?……なら、楽しみにしてるわミホーシャ!エリーシャ達も頑張るのよ!!」

 

「その瞬間を見届けさせていただきます。

 必ずや優勝してください。月並みですが、我等プラウダを下した大洗には、是非とも優勝していただかなくては、我々としても立つ瀬がありませんので……」

 

「勿論です。ねぇ、みほさん?」

 

「うん、元より優勝しか見据えてませんでしたから♪」

 

「言うじゃない?

 まぁ、それでこそミホーシャよね!それじゃあ私達は、そろそろ行くわね!Увидимся позже!(またね!)」

 

 

 

あはは……行っちゃった。

奇しくも、戦った順番で試合前のエールを貰う事になっちゃったね?偶然とは言え、ちょっと縁起がいいかも知れないよ此れは――でも、確実に来そうな人はまだ来て……

 

 

 

「みほさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 

「噂をしたら影だったみたいよみほ?」

 

「相変わらず聖グロ生っぽくないと言いますか……」

 

「まぁ、ローズヒップさんだからね。身も蓋も無いけど。」

 

はい、土煙が後ろに発生する程の猛ダッシュは自分自身も周りの人にも危険だから、人が集まる場所では自重しましょう、ね!!

 

 

 

――ガッ!!

 

 

 

「す、進めねぇですわ……」

 

「ローズヒップのリミッター解除捨て身タックル、推定衝撃500kgを右腕一本で止めるとは、おやりになりますわねみほさん?」

 

「ダージリン様、失礼ですが彼女は聖グロ生らしくないのでは?……OG会が煩いのではありませんか?」

 

「エクレールさん、こんな言葉をご存知?『伝統とは守るモノではなく創るモノである。』」

 

「良く存じていますよ。私も、その思いを胸にマジノの改革を行ったのですから。」

 

 

 

ローズヒップさんの後からやって来たのは聖グロの隊長であるダージリンさんと、マジノの隊長であるエクレールさん――大会で戦った皆の後で現れたのは練習試合で戦った人達だったね。

お久しぶりです、ダージリンさん、エクレールさん。其れと、ローズヒップさんも。

 

 

 

「お久しぶりでごぜーますわ、みほさん!それからエリカさんと小梅さんも!!」

 

「ローズヒップ……あんた、いい加減その珍妙なお嬢様語は何とかならない訳?……もうちょっと教育した方が良いんじゃない田尻隊長?」

 

「逸見さん……まだ言いますの?」

 

「あは、ゴメンゴメン。

 姉さんから『ダージリンをからかうと面白い』って聞いてたから、ついね?」

 

「アールグレイ様ーーーーーーー!!!!!」

 

 

 

何と言うか、エリカさんとダージリンさんは相変わらずだねぇ?

って言うかエリカさんのお姉さんであるアールグレイさんもダージリンさんをからかってとは……もしかして、生真面目な人をからかいたくなるのは逸見の遺伝子なのかも知れないね。

 

「エリカさん、その辺で。

 ダージリンさん、エクレールさん、ローズヒップさん……来てくれたんですか?」

 

「もっちろんでごぜーますわ!嘗ての戦友として、そして今のライバルとして決勝戦前にエールを送らないなんて不義理はまかり通りませんでございますわ!!」

 

「ローズヒップさん……いえ、此れはもう突っ込むだけ無駄と言うモノですね。

 みほさん、私を初め、マジノ学園は大洗女子学園を応援しています――悔いの残らない試合に、いえ、必ずや優勝してください。」

 

「エクレールさん……はい、勿論です。」

 

「ふふ、私も其れを願っているのよみほさん。

 でも、貴女はとても不思議な人ね?――貴女と戦った人達は、例外なく貴女の味方になってしまった……そうね、貴女の独創的な戦車道に魅了されたと言えばいいのかしら?

 尤も、かく言う私もその一人な訳だけれど。

 貴女と戦った全ての人が、貴女が率いる大洗女子学園の勝利を願って居るわ――唯一貴女の所に来なかった、アンツィオの隊長が如何思って居るかは分からないけれど。」

 

 

 

アンチョビさんは仕方ないですよ……だって、ずっとお姉ちゃんと切磋琢磨して来たライバルにして親友なんですから。

中学と高校で1回ずつ戦った私よりも、己の戦車道の絶対的ライバルだったお姉ちゃんの方に気が向くのは当然だと思います――と言うか、この状況だと、アンチョビさんが居ないとお姉ちゃんは……

 

 

 

「これは失礼……少々配慮に欠けた発言だったわね。

 まぁ、私が何を言いたいのかと言うと、私達は大洗の味方だと言う事よ……みほさん、先程エクレールさんにも言った事だけれど、『伝統とは守るモノではなく創るモノである』わ。

 元より、伝統とは時代に合わせて変化していくモノ……旧来の陋習に捕らわれていては、何時かは朽ちてしまうモノなのだから。

 だからきっと、今日この日に、戦車道の新たな伝統が生まれるのではないかと思っているのよ私は……貴女達なら、其れが出来ると言う確信もあるのだけれどね。」

 

「ダージリン様、其れは少々プレッシャーを掛けているのでは?」

 

「うぅん、大丈夫だよエクレールさん。

 此れ位の事はプレッシャーにもならない……寧ろ、私の闘気と言う名の炎にガソリンを、寧ろニトロを打ち込んだようなものだからね!!」

 

「いや、其れ爆発するわよみほ!」

 

「爆発して更に燃え上がる……つまりそう言う事ですね!」

 

「うん、そう言う事だよ小梅さん。」

 

お礼を言いますダージリンさん。

ダージリンさんの言葉で、私の闘気はマックスを越えたメガマックス状態になりましたので、こうなった以上は誰が相手であっても負ける気がしません――ぶっちゃけ、お母さんが相手でも10回やったら10回とも私が勝つ勢いですから。

 

 

 

「西住流師範に対して勝率100%……其れは、凄いわね――そんな貴女にこの言葉を送るわ。

 『強者だから勝つのではない、勝った者が強者なのだ。』……ふふ、記憶には残っているのだけれど、誰の言葉かは忘れてしまったわ。」

 

 

 

ふふ、確かに言い得て妙な言葉ですね。

強いから勝つんじゃなくて、勝ったから強いんだ、か――ある意味で、大洗を端的に表した言葉かも知れないね此れは?

誰もが無名の弱小校だと思ってた筈だけど、蓋を開けてみれば格上の相手にジャイアントキリングを連発して決勝戦まで駒を進めて、これから絶対王者の黒森峰相手に挑もうとしてるんだから。

『大洗って強かったんだ』って思ってる人はきっと少なくない筈だからね。

 

 

 

「ガッデーム!大洗は強いに決まってんだろオラァ!!

 アイアム、蝶野!黒森峰だぁ?寝言言ってんじゃねぇ、大洗だけ見てりゃいいんだ!!ガッデメファッキンオラァ!!」

 

 

 

って、行き成りですね黒いカリスマ!?

えっと、聞くまでも無いと思うんですけど、応援に来てくれたんですよね?

 

 

 

「その通りだぜみぽりん!

 onsの面子だけじゃなく、レスラー仲間に知り合いの芸能人と、大洗町長と茨城県知事まで総動員してやったぜ!

 此処まで来たんだ、パンツァークライマックスを制して、極めようぜ、戦車の頂点!!」

 

「あはは……凄い大所帯ですね?

 でも、言われるまでもなく極める心算ですよ、戦車の頂点をね――そして、私達大洗女子学園が終わらせるんです、黒森峰一強状態の高校戦車道の現状を!!」

 

「オッシャー!!よく言ったぜ!其れでこそだ!!

 1回戦の時は、みぽりんに戦車道における何時ものやつをやって貰ったが、今回は俺達がプロレス流の何時ものやつをやらせて貰うぜ!

 行くぜ!1、2、3!!」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「だーーーーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

――轟!!

 

 

 

此れは、物凄い迫力だね?

うん、此れだけのパワーを貰ったら絶対に負けないね!――私達が受け取ったパワーは、大洗の皆に伝える事も出来るからね。

 

この会場のどこかで見ているであろうお祖母ちゃん……お祖母ちゃんの言う西住流は今日終わる――今大会、お祖母ちゃんの提唱する西住流を徹底して来たお姉ちゃんを、黒森峰を私達が倒す事で終わらせる。

 

己の考えが、ドレだけ戦車道にとってマイナスな事だったのかをその目に焼き付けると良いよ……大洗が黒森峰に勝つっていう事でね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:アンチョビ

 

 

はぁ、今年の黒森峰の戦い方から予想はしていたが、マッタク持って欠片程の応援も無いみたいだな西住?……こんな事を言ったらアレかも知れないが、今年のお前は完全に悪役だな?

 

 

 

「そうなるように戦ったからな。」

 

「やっぱり狙ってたのか。

 だが、今年は一体どうしたんだ西住?今年のお前は、何と言うかお前らしくない――圧倒的な火力で殲滅するのはお前の得意なやり方ではあるけど、今年の其れはちょっとやり過ぎだ……何だって、態々嫌われるような事をしてるんだ?

 フラッグ戦に於いて、明らかに格下の相手に対しての全機殲滅は批判の対象になる事位、お前だって分かっているだろう?」

 

「あぁ、分かっている。

 だが、今年に限っては此れで良いんだ――私が悪役になる事で……お祖母様の提唱する西住流を悪役に仕立て上げる事で、私とみほとお母様は世論を味方に付ける事が出来るからな。」

 

 

 

んん?如何言う事だ西住?

 

 

 

「お祖母様の提唱する西住流は、『勝利は命よりも重い』と考えている……其れにハッキリとノーを突きつける為にも、私は悪役になる必要があったのさ。

 私がヒールになって決勝戦まで駒を進め、みほがベビーフェイスで決勝戦まで駒を進めて来れば、恐らくは多くの観戦者が、20年ぶりの出場ながら決勝まで来た大洗を応援する筈だ。

 そんな状況で、悪しき西住流を体現した黒森峰が大洗に屈したとなればどうなるだろうだろうな安斎?」

 

「悪しき西住流は叩かれ、その正当性を言う事は出来なくなる……か?」

 

「正解だ。」

 

 

 

と言う事は何か?お前は、お前の婆ちゃんの言う西住流を否定する為に敢えてヒールになる道を選んだって言うのか!?……よくもまぁ、そんな茨の道を選べたな西住!!?

私では絶対に無理だぞオイ!!

 

 

 

「みほの為だ。

 あの子は私を遥かに凌ぐ才能がある……其れが、お祖母様の言う歪んだ西住流のせいで埋もれてしまうと言うのは、戦車道に於いて大きな損失なのでな……みほを守る為なら、私は悪魔にだってなるさ。」

 

「西住……!!」

 

其れがお前の覚悟か……本気で良いお姉ちゃんだなお前!!――あぁ、もう涙が出て来たじゃないか!!……お前の覚悟は良く分かったよ西住!!

だが、絶対に後悔しない様に戦えよ?

 

 

 

「あぁ、勿論だ。

 ……お前が来てくれて嬉しかったよ安斎。」

 

「ふ、水臭い事を言うな、友ならば当然だろう?」

 

「ふふ、お前はそう言う奴だったな。」

 

 

 

漸く思い出したのか?――そうだよ、私は友を放っておける性質じゃないんだ!

例え嫌われようとも、ダチ公が悩んでたり困ったりしてる時は徹底的に関わって、解決の糸口を見つけようとするのが私のやり方だからな!!

 

頑張れよ、西住!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

決勝戦前の最後のミーティングも終わって、後は試合が始まるのを待つだけだね――黒森峰がやって来るであろう作戦は全て考えた上でこっちの作戦を考えたから、如何仕掛けて来たとしても対処は出来る……って言うか、対処出来なかったら速攻で負けだからね。

 

 

 

「いやー、いよいよだねぇ?

 勝っても負けても此れがラスト……そんな訳で、試合前に隊長から一言もらえっかね?――西住ちゃん、頼むよ♪」

 

「会長さん……」

 

まさか、こう来ましたか……って言うか、此れは暗に『試合前に士気を上げろ』って言う事だよね――普通に考えれば無茶振り以外の何物でもなんだけど、此れは私の得意分野だよ!!

 

ふぅ……私達は、漸く此処まで辿り着きました。

決勝戦の相手は絶対王者の黒森峰ですが、私達だって1回戦でサンダース、2回戦でアンツィオ、準決勝でプラウダを倒して決勝戦まで駒を進めて来たんですから、実力で黒森峰に劣っているという事は無いと思っています。

 

だから、勝とう!勝って大洗を護ろう!!――全力で廃校を阻止だよ!!

 

 

 

「勿論です、西住隊長!!」

 

「廃校なんて、気合と根性でなかった事にする!!」

 

「いや、其れは無理だと思うわ磯辺……その気概は大事だと思うけどね。」

 

「大洗を廃校にはさせん……そうだろう西住隊長!!」

 

 

 

うん、優勝して絶対に廃校を阻止する!

そして、お祖母ちゃんの言う西住流を真っ向から否定する――って、こっちは完全に私の私的な目的なんだけどね。……だけど、利害は一致してるから、問題は無い。

 

私の戦車道が、お祖母ちゃんの西住流を粉砕する!!

 

 

 

「おぉ、気合十分だね西住ちゃん?……そんじゃ、何時もの行ってみようか?アレは士気が上がるからね♪」

 

「何時ものですか……了解です会長さん。」

 

其れじゃあ行くよ?泣いても笑っても此れが最後!

でも、どうせなら勝って終わらせたいから、勝って優勝を捥ぎ取ろう?――大丈夫、私達なら出来るから!!

大会制覇!優勝に向かってPanzer……

 

 

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「Vor!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

うん、気合は充実!!……此れは、負ける気がしないね!!

そして、覚悟は出来てるかなお祖母ちゃん?――歪んだ西住流が終焉を迎える覚悟が!!……尤も覚悟があろうとなかろうと、お祖母ちゃんの言う西住流は此処で叩き潰すけどね!

 

此の決勝戦は大洗の存亡を掛けたモノであると同時に、お祖母ちゃんの西住流の終わりの始まりだよ……歪んだ流派の終焉を、精々その目に焼き付けると良いよ!

 

お祖母ちゃん……私の戦車道が、貴女の戦車道を深淵の闇に叩き落してあげるから、楽しみにしているんだね!!

 

そして見せてあげるよ……西住みほの戦車道を――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 


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