ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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燃える心とは逆に、私の精神は穏やかだよByみほ        熱さとクールさを同居させたと言うの?Byエリカ     其れはつまり、クリアマインド……!By小梅


Panzer143『エキシビジョンだからこそ燃えろ!です』

Side:エリカ

 

エキシビジョンも佳境に入ってきた感じだけど、其れは其れとして、此れは予想外の事だったわね。

 

 

 

「エリカさん、4時の方向に敵影だ。」

 

「上等、ぶちのめしてやるわ!!」

 

まさか、私とミカが此処まで相性がいいとは思わなかったわ――みほとは違うけれど、ミカもまた感覚派だから、私って言う戦車乗りをどう使えば良いのかを理解してるからね。

お蔭さんで、私は持ち前の凶暴性を如何なく発揮出来る訳なんだけどさ。

取り敢えず、アンタ達は沈んでなさい……T-34は確かに可成り強い中戦車だけど、みほの乗るパンターと比べたら、性能差は月と鼈だから、逆立ちしたってみほに勝つ事は出来ないわ。

 

 

 

「君の言う事は尤もだけれど、如何やら最大の敵が現れてしまったようだね。」

 

「如何やらその様ねミカ……受け入れたくないって言うのはこう言うのを言うのかも知れないわ。」

 

もうすぐ制圧できると思ってた私達の前に現れたのは、T-34/86と、IS-2……ソ連戦車って言う事はプラウダの生徒、それも副官のノンナと今回のエキシビジョンの直前にロシアから来たって言うクラーラとは、上等じゃない、相手にとって不足はないわ!!

寧ろ最高の部類ってやつよ!!

 

だけど、私達は其れを更に超えさせて貰うわ――たっぷり味わって貰おうじゃない、風来坊の奏でるカンテレの音色で凶暴さを増した狂犬の牙ってモノを!

 

まぁ、其れは其れとして、此のエキシビションは勝たせて貰うわ――軍神に敗北は似合わないもの。

ノンナとクラーラには、出て来て早々で悪いけど退場して貰うわ。精々、狂犬の牙に喉元を喰いちぎられないように注意するのね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer143

『エキシビジョンだからこそ燃えろ!です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

みほの十八番である市街地戦に持ち込んだ事で、知波単が無謀な特攻をした事で発生してしまったディスアドバンテージはゼロになったと言っても過言ではない状況となって来ていた。

市街地に入ってからは、大洗の戦車は1輌も撃破されていないにもかかわらず、聖グロ・プラウダ連合は既にマチルダ2輌、T-34が2輌撃破され、残存車輌数も略五分となり、益々試合展開から目が離せなくなったと言えるだろう。

 

そんな中、エリカとミカのチームは、大洗駅前でノンナとクラーラのプラウダコンビとの戦車戦に入っていた。

戦力的な事だけを言うのならば、ミカの乗るBT-42が本来戦車戦に向かない車輌である為にプラウダコンビの方に分があるように見えるが、車の性能差は工夫で補う事が出来ると言うのは、今年の大会でみほが此れでもかと証明した事でもあるので、戦力差は度外視した方が良いだろう。

 

 

「Тоска не простой партнер, верно?(此れは、簡単な相手ではありませんね?)」

 

「Это на самом деле сильный враг.(実際に強敵です。)

 Особенно Эсуми Эрика Внимание к Кларе.(特に逸見エリカには注意です、クラーラ。)

 Гунджин, Гинкаку, который, как говорят, является левой рукой запада

 Запада ... Потому что противник, которого считают врагом, всегда ест

 и убивает его.(軍神・西住みほの片腕たる銀狼は、敵とみなした相手を必ず食い殺しますから。)」

 

「Мой страх ужасен.(それは恐ろしい。)」

 

 

実際に其れを大会で味わったノンナは、クラーラに対しても注意するように言っていた……ただし、ノンナとクラーラはロシア語で会話してるので、他のプラウダ生徒にはチンプンカンプンなのだが。

ともあれ、指揮官の権限を持っていないエリカが驚異の存在である事は間違いない――中学時代には最高学年時に隊長を務めたエリカだが、その本領が発揮されたのは決勝戦でみほとのタイマンになった時……自分以外の全ての戦車が撃破され、最早指揮官でいる必要がなくなってからだったのだ。

持ち前の凶暴さを全開にしたエリカは、みほの弄する策と互角に渡り合い、引き分けにまで持ち込んでしまったのだ……みほの策と互角に渡りあってしまう凶暴性と言うのは確かに脅威でしかないのだ。

 

 

「エリカさん、如何やら彼女達はロシア語で意思疎通をしているみたいだね?……私達もやってみようか?」

 

「ドイツ語とフィンランド語で会話しようっての……冗談じゃないわ、お互いに何言ってるのか分からなくなるのがオチよ。」

 

「其れは、確かにそうかも知れないね……さてと、お喋りは此処までにしてプラウダの副官と、新規参戦したエース級を倒すとしようか?

 エリカさん、何かリクエストはあるかい?」

 

「そうね……なら、私の凶暴性を完全に開放してくれそうなやつを頼むわ。」

 

 

一方でエリカとミカも何かやってたが、ミカがカンテレを見せてリクエストを聞くと、エリカは己の凶暴性を完全開放してくれてとリクエスト――なんとも凄まじいリクエストだが、ミカは其れに微笑で応えると、カンテレの弦を指で弾き、即興の曲を演奏開始。

戦場には似つかわしくない軽快なリズムが鳴り響き……

 

 

「ミホォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

直後に逸見エリカ野生開放!

この瞬間に、逸見エリカは『ナツノソラセンシャノコドウニクルフエリカ』、通称『暴走エリカ』へとバージョンアップしたのだ――なんだか微妙に意味が分からないが、兎に角エリカは強くなったのだ。

 

 

「滅殺!」

 

 

オロチなのか、殺意の波動なのかハッキリしやがれだが、ミカのカンテレのリズムに触発されて凶暴性を解放したエリカは、先ずは高い攻撃力を誇るIS-2を標的に選び、戦車戦を仕掛ける。……如何やらミカは猛獣使いであった様だ。

攻撃力で言うのならばIS-2の方がティーガーⅡよりも上だが、IS-2はその装填の複雑さから次弾を撃つまでにやや時間がかかる弱点がある。

逆に、攻撃力では劣るが、ティーガーⅡの方は装填士の能力次第では連射に近い攻撃をする事が出来るので、何にしても勝負の決め手となるのは砲手と操縦士の腕前になるだろう。

経験と言う事で言うのならば、其れはIS-2の方に分があるだろうが、ティーガーⅡのクルーは、戦車に乗ってから僅か3ヶ月足らずであるにも関わらず、絶対王者黒森峰を打倒した大洗のメンバーなのだ――経験の差なんてモノすら簡単に飛び越えてしまう大洗の生徒に一般的な戦車道の常識なんぞ当て嵌まらないのだ。

 

 

「坂口ぃ、右に回避した後に、左にフェイント入れてから突っ込みなさい!!」

 

「あいあいあいーーー!!!」

 

 

そして何より、大洗の生徒は得てして波に乗るのが巧い――今だって、凶暴性が全開になったエリカのイケイケ戦術に乗っかる形で、桂利奈はティーガーⅡを動かし、IS-2と見事な戦車戦を行っているのだ。

しかも、その機動はみほが行った回避訓練で身に付けた『変態機動』を応用したモノであり、其れを完全に捉えるのは一流の砲手であっても困難だろう。

そもそもにしてこのティーガーⅡは東雲整備工場で魔改造が施されただけではなく、大洗に来てからは、本当に女子高生なのか疑わしくなる技術力を誇る自動車部によって更なる魔改造が施され、装甲厚をオリジナルと略同じにして鉄壁の防御力を取り戻しただけでなく、エンジンの出力と馬力を理論値の限界まで引き上げる事で機動力をも手にしている。

勿論、足回りだってルールで許されているギリギリまで強化しているので、エリカのティーガーⅡは名実ともに現在の戦車道で使用されている戦車の中では最強なのである。

 

だが、其れよりも凄いのはある意味でBT-42だ。

車長であるミカのカンテレ演奏は激しさを増し、カンテレを奏でているとは思えないリズムとビートを刻んで行く!……手にした其れは、本当にカンテレなのか疑わしくなってくる。

其れだけなら未だしも、戦車の軌道がカンテレのリズムに乗ってるとはどういう事なのか。操縦士のミッコに聞きたい、『お前何モンだ』と。

 

 

「此れが本当にカンテレなのか、そしてミッコが何者であるのか……其れを問う事に意味があるとは思えないね。」

 

「ミカ、何を言ってるの?」

 

「ふふ、風と会話していただけだよアキ。

 其れよりも、エリカさんが大立ち回りしているようだから、私達はクラーラさんの方を何とかしようか。」

 

 

地の文に突っ込みを入れると言う器用な事をしながらも、ミカはクラーラの駆るT-34/85と戦車戦の真最中なのだ――性能では圧倒的に劣っているにも拘らず、互角の勝負が出来ている辺り、ミカの実力の高さが伺える。

実家を飛び出した風来坊とは言え、戦車道の天下を西住流と二分にする島田流の娘、格上の性能の戦車であっても『勝てずとも負けない戦い』をするのは得意であるらしい。

 

 

「Звук кантеле тонко беспокоит тоска……(カンテレの音が、微妙に癇に障りますね……)」

 

 

ミカがクラーラ相手に互角の戦いを見せているもう1つの要因が、自らが奏でるカンテレの音だ。

エリカにとっては士気を高める音楽であったが、相手からすれば気になる音であり、そもそもにして『何だって試合中にカンテレ弾いてやがんだ』とイラっとさせるモノでもある――クラーラも無意識下でイラっと来ており、そのせいで本来の実力が発揮出来ていないのだ。

 

同時に、本来の実力を発揮出来ていないのはノンナも同様だった。

 

 

「何と言う凶暴性……正に、純粋な暴力の権化とも言うべき存在ですね此れは……」

 

 

常に冷静に、ともすれば冷酷に戦場を見ているノンナだが、そんな彼女だからこそ理性と言う枷を取り払って、己の闘争本能に身を任せて戦車を駆るエリカは驚異の存在だった。

相手が考えて行動するからこそ、ノンナの砲手としての勘はその考えを予測して如何避けるかを読んだ上で攻撃が出来る――だが其れは、逆に言うのなら理性的な思考をしていない相手に其れは通じないとも言える。

故に、ノンナはエリカを捉えきれていない――ブリザードのノンナであっても、野生の凶暴性を解放したエリカを凍らせる事は出来ないようだ。

 

 

「そろそろ決めるわよ!ブチかませアインス!!!」

 

「Jawohl,Erica!!(了解だ、エリカ!!)」

 

 

「此れで決めようか……Tulta!(撃て!)」

 

「任せて!」

 

 

 

――ドガァァァァァァァァァァァァン!!

 

――バガァァァァァァァァァァァァン!!

 

――キュポン×2

 

『聖グロ・プラウダ連合、IS-2、T-34/85、行動不能。』

 

 

そして、継続の風来坊と大洗の狂犬は、夫々の獲物を見事狩り取り取って見せた――ノンナとクラーラと言う、聖グロ・プラウダ連合の大戦力を此処で撃破出来たと言うのはとても大きい事だろう。

 

 

 

『大洗・継続・知波単連合、クルセイダー、九五式行動不能。』

 

 

 

しかし此処で、市街地に散らばっていた聖グロ・プラウダ連合の戦車の各個撃破を行っていた大洗のアヒルチームと、知波単の福田が撃破されたアナウンスが。

共に行動していた西とレオポンチームは無事なようだが、紙装甲のクルセイダーと、性能的に底辺の九五式では聖グロ・プラウダ連合の強力な戦車が相手では分が悪かったのだろう――寧ろ、性能差がありながらも砲撃禁止地区を利用して相手の戦車を撃破したのだから褒章ものと言えるだろう。

 

 

「ふふ、敵もさるもの引っ掻く者かな?……エリカさん、みほさん達と合流しよう。

 これ以上市街地で敵戦力を潰しても恐らくは無意味だ……フラッグ戦である以上、フラッグ車を仕留めなければ意味が無いからね。」

 

「其れはそうね……まぁ、これ以上此処に居る事も無いから良いでしょ?

 IS-2を撃破した以上、相手の残る最大戦力はKV-2のみ……其れだって、パンターかティーガーⅡの火力なら簡単に倒す事が出来るからね。

 やはり勝利はみほと一緒にじゃないとね……行くわよ!!」

 

 

其れを聞いたミカとエリカは、聖グロ・プラウダ連合のフラッグ車を仕留めるべく、みほと合流しようと動き出した――梓と小梅が居る時点で可成り戦力的には凄いみほの部隊に、エリカとミカの2人が追加されたら、其れはもう最強なのは間違いないだろう。

……そど子達は忘れた訳では無い、未だ実力的は及ばないので意図的に除外しただけだ。

ともあれ、此の2人がみほとの合流を決めた事で大洗の勝率が大きく上昇したのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、追いかけっこをしていたみほの部隊とローズヒップ率いるクルセイダー部隊は、スーパーマーケット『セイブセンセン』の前を通り抜け、其処から細い路地に入ってシーサイドステーションへと続く大通りに出たかと思うと、シーサイドステーション直前で左折して、『大洗永町商店街』の中を絶賛激走中であった。

 

 

「逃がさねーですわよみほさん!!

 もっとスピードを出しなさいませ!こんな事では、ダージリン様のおっこーちゃが冷めてしまいますわ!!」

 

 

「ローズヒップさんの珍妙なお嬢様言葉には、何て言うか突っ込んだら負けな気がするんだけど、其れについてどう思う梓ちゃん、小梅さん?」

 

「副隊長としては、突っ込むだけ徒労かなと。」

 

「黒森峰時代からの戦友としては、突っ込んだら負けかなと。」

 

「だよね。

 (追いかけて来てるのはローズヒップさんのクルセイダー部隊だけ……ダージリンさんとカチューシャさんは追いかけて来てない?……エリカさんに、アレだけ煽って貰ったから、逆上して私達を追いかけて来るモノだと思ったんだけど……)」

 

 

ローズヒップの珍妙なお嬢様語に適当な突込みを入れつつ、みほは追手にダージリンとカチューシャが居ない事を不審に思っていた――ダージリンもカチューシャも、挑発への耐性が高くない(ってか、カチューシャは多分高校戦車道界隈で最低レベル)ので、エリカの煽りで冷静さを失い、自分達を追いかけてくると思っていたのだが、そうではないのだ。

 

 

「(此れは、ダージリンさんが冷静さを取り戻して、私の作戦を読んだって事かもしれないね……だとしたら最高だよ。

  お姉ちゃんが自身のライバルとして2位に上げたダージリンさんが、その本来の力を発揮してくれたって言う事だからね……冷静さを失ってくれたままなら撃破は容易だったけど、本来の冷静な思考のダージリンさんを倒してこそ、此のエキシビションは盛り上がるからね。)

 麻子さん、最大スピードを出して。梓ちゃんと小梅さん、そど子さんはスリップストリームで付いて来て!」

 

「おうよ、任せろ西住さん。」

 

「了解しました西住隊長!」

 

「スリップストリームで……最大のクロスフィールをかましてあげましょうみほさん!」

 

「分かったわ西住隊長!風紀委員を舐めないでよね!!」

 

 

其れが何を意味するのかを考えた上で、みほは麻子と梓と小梅、そど子に指示を出し永町商店街を全速力で爆走!Ⅲ号とⅣ号、ルノーR35改は、速度を上げたパンターの後に並んで其の後に続く。

先頭車両を風の抵抗避けにしたスリップストリームは戦車であっても高い効果を生むらしい――結果として、此の4輌は一気に加速してクルセイダー部隊を引き剥がそうとする。

 

が、其れを良しとするローズヒップではない。

 

 

「お~っほっほ!!聖グロ一の俊足からは逃れられませんのよ!!」

 

 

全速全開でみほ達を追うが、其れこそがみほの狙いだったとは、中学3年間みほと同じチームだったローズヒップでも予想してなかっただろう。

 

 

「トラップ発動『全弾発射』!」

 

「此れで!!」

 

「貴女達の道は断絶されます!!」

 

 

旅館前のカーブを曲がり切る直前で、梓のⅢ号と小梅のⅣ号の主砲が火を噴き、追ってくるクルセイダー部隊に向かって、電信柱が粉砕!玉砕!!大喝采!!!

当然、降り注ぐ電柱を避けようと、クルセイダー部隊は回避を試みるが……

 

 

「おにょにょにょ~~~~~~!?」

 

 

高速移動をしていた戦車での高速回避は無理があったらしく、落下物は避けたモノの、コーナーを曲がり切れずに旅館にダイレクトアタックをブチかまし、旅館は崩落!!

聖グロとの練習試合の時に続いて、又してもこの旅館は戦車の突撃によって崩壊したのだ。

 

 

「いよっしゃー!!」

 

「またかよ。」

 

「お前ばかり、羨ましい。」

 

 

だがしかし、客席では旅館の店主と思われる男性が歓喜の声を上げ、その仲間が『羨ましい』とまで言う始末――ぶっちゃけて言うと、戦車道の試合で壊れたモノに関しては、戦車道連盟が100%保証してくれるので、戦車道で店が壊されるのは実質的に0円リフォームが出来るのと同義なので、店主としては戦車道様様なのである。

 

場内のアナウンスがない以上、クルセイダー部隊を壊滅させたとは言えないが、旅館1軒を崩落させた瓦礫から這い出るのは決して簡単な事では無いので、取り敢えずの時間は稼げたと考えて良いだろう。

少なくとも、みほが最終決戦地として選んだ『大洗水族館 大洗アクアワールド』に到着するまでは追ってくる事が出来ない筈だ。

この時点で、みほには勝利へのヴィジョンが構築されていたのだが……

 

 

『大洗・継続・知波単連合、ヘッツァー、Ⅲ突、行動不能!!』

 

 

此処でヘッツァーとⅢ突が白旗になったアナウンスが!!

Ⅲ突もヘッツァーも果敢に戦っていたのだが、回転砲塔がない事が仇となり、追いかけっこの末に後ろの回られて撃破されてしまった――Ⅲ突は、アンツィオのカルパッチョ直伝の『CV-33ターン』、通称『ナポリターン』(ナポリタンに非ず)を使ったが、その脇を抜けられて敢え無く撃破されてしまったのだ。

 

『いっやー、悪いね西住ちゃん、撃破されちゃったよ。』

 

『く、すまぬ西住隊長!!』

 

「気にしないで下さい会長さん、カエサルさん……御2人の仇は、必ず討ちますので。」

 

 

だが、そうであっても西住みほは怯みもせずに、怯むどころか戦車乗りとしての闘気をリミッター解除!!

タダでさえ凄まじい軍神の闘気が完全開放されたとなれば、最早この世に敵は居ないと言っても良いだろう――みほがこの状態になるのは、極稀ではあるが、こうなった以上はまほですら赤子の如くあしらわれてしまうのだから、其の力は追って知れだ。

 

 

「敢えて私の考えてた最終決戦の地で待っているとは、やってくれるよ――ふふ、ならばお望み通りに其処で決めてあげるとしようじゃない。

 ダージリンさん、カチューシャさん……覚悟して貰いますよ!」

 

 

その上で、ダージリン達は大洗アクアワールドに居ると予測して進軍開始!!――隻腕の軍神の直感は、超人的に冴えわたっていたと言う事を証明する事になるのだった。

金色の戦車力を纏ったみほは、ゴールに要るであろう相手を目指して邁進!!

その途中で、聖グロ・プラウダ連合の切り札とも言えるKV-2が海中から現れて砲撃するも、其れはマッタク持って見当違いの方向に飛んで行って、大洗シーサイドホテルの1フロアを撃滅!滅殺!!瞬獄殺!!

 

そして次弾装填の隙を突いて、パンターが肉薄して、ゼロ距離砲撃を行ってKV-2を撃滅!!

出オチと言われそうな扱いではあるが、KV-2の性能と、搭乗クルーのレベルを考えると、此れ位の扱いが妥当ではないのかと作者は考えているらしい……言っておくが、プラウダが嫌いな訳じゃないからね?

 

其れは兎も角として、みほ達は大洗のビーチ、ダージリン達はアクアワールドの駐車場と言う違いはあるが、最終決戦の地にて、両チームの隊長は、互いに睨み合い、冗談ではなく、視線が交錯する場所では電撃がスパークしている。

 

 

「ふふ、待っていましたわみほさん……さぁ、最高の輪舞を奏でましょう。」

 

「生憎だけど、ダンスは苦手だよ。」

 

 

みほもダージリンも、互いに不敵な笑みを浮かべ、其れをゴングに最終決戦開始!!――エキシビジョンは、大会の決勝戦以上の盛り上がりを見せていると言っても過言ではないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

此処で待っていたとは、ダージリンさんは私の策を読んでたって事か……前にお姉ちゃんが言ってた『みほは私に勝ち、私はダージリンに勝ち、ダージリンはみほに勝つ』の意味がやっと分かったよ。

ダージリンさんは広い視野を持つ故に、本来だったら私が弄した策は全て見通されてしまう――其れがそうならなかったのは、エリカさんの挑発で冷静な思考を奪われたからだよ。

つまり、今私の目の前にいるダージリンさんは、私の天敵も言うべき相手……であるにも拘らず、笑みが浮かんでくるのは、私が戦車乗りであるからかも知れないね。

だって、強くなった相手と戦いたいって思うのは当然の事だから……上等だよダージリンさん!!

 

 

 

「此処まで来ましたわねみほさん……ですが、勝てますか私達に?」

 

「勝てるかどうかじゃなくて勝つんだよ!!」

 

「至言ですわね……そんな貴方にこの言葉を送りましょう――『勝利を確信した時、そいつは既に敗北している』ってね。」

 

 

 

言ってくれるね?

だけど、最後に勝つのは私達だよ!

此処が最終決戦――覚悟して貰いますよダージリンさん、カチューシャさん!!!

 

そして、隻腕の軍神と、その仲間と弟子の実力、其の身でもってして味わってもらいます――魅せてやる、西住の戦車道を!!

 

 

 

「魅せて頂きますわよ、みほさん。」

 

「上等です、ダージリンさん!!」

 

エキシビジョン最後の攻防……負ける訳には行かないね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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