ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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廃校を決定した馬鹿に、瞬獄殺をかましたいByみほ        気持ちは分かるけど自重して。ぶっちゃけ私でも耐える自信がないけどねByエリカ


Panzer146『まさかの廃校、アンタ舐めてる?です』

Side:みほ

 

 

会長さんの機転のおかげで、パンターとティーガーⅡ以外の戦車は、失くした事にしてサンダースに預かって貰える事にはなったんだけど、だからと言って、私達が学園艦から退去する事が変わった訳じゃない――明日には、大洗の学園艦を去らなきゃならなくなるんだよね。

なんて言うか、ほんの少しの時間だったけど、大洗の学園艦で経験した時間は濃密だったからか、やっぱり此処を去るって言うのは、もしかしたら、黒森峰から去る時よりも思うモノが有るかも……

 

 

「状況が違うのも大きいんじゃないでしょうか?

 黒森峰から去る時は、西住流を破門になったとは言え、出て行ったのは私達の意思でしたけれど、今回は私達の意思で学園艦を去る訳ではありませんから。

 戦車は何とか守れましたけど、だからと言って此のままでは……何か、大洗を救う手立てはないのでしょうか?」

 

「取り敢えず、今は待つのが上策でしょうね……今はまだ、逆転のカードを見つける事は出来ないけど、逆転のキーカードは必ず何処かにある筈だから、今は期を待つときよ。

 結局の所は、『諦めなければチャンスが来る』って事に帰結する訳なんだけど、逆転のキーカードは大体当たりが付いているんでしょう、みほ。」

 

「キーカード其の物じゃなくて、其れを持って来るであろう人はね。」

 

アノ会長さんが、大洗が廃校になるって言うのを、指を咥えて見てるとは思えないから。

そもそもにして、全国大会を制覇した学校を廃校にするっていう事が世間に知らされたら、『其れはおかしい』って世論は必ず巻き起こるだろうし、高戦連(高校戦車道連盟)黙ってないし、多分大洗の教官を務めてくれた蝶野さんだって黙ってる筈がない。

何よりも、大洗と戦った学校の皆が黙ってないよ――大洗が廃校になったら、冬に行われる優勝校の地元がホストになって開催される冬季大会や、来年の全国大会で大洗に雪辱戦をする事が出来なくなるんだし。

 

 

 

「聖グロ、マジノ、サンダース、アンツィオ、プラウダ、黒森峰――後は、エキシビションで組んだ知波単と継続も黙ってないでしょうね?」

 

「大洗の廃校撤廃を求める署名活動とかしちゃったりする可能性は有りますね……あくまでも可能性ですけれど。」

 

「あくまでも可能性だけど、仮にそんな状況が起きてくれたら僥倖以外の何物でもないよ。」

 

だから、あらゆる可能性を考慮して、総合的に考えた場合、私達はまだ此処で終わりじゃない――学園艦は奪われても、必ず取り戻す方法が有るって事なんだ。

だから、どんな方法であっても、大洗の廃校を撤廃させて学園艦を取り戻せるなら、その方法を選べばいいんだよ――選んだら、その方法を成功させるだけだから。

 

明日船を降りたら、暫くお別れになっちゃうけど私達は絶対に諦めない――必ず迎えに行くから、待っていてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer146

まさかの廃校、アンタ舐めてる?です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝――早朝から退艦作業は始まって、普段なら登校しているくらいの時間には、学園艦から大洗女子学園の生徒を含めた全ての住人が退去を完了してた。

此れで、一時的とは言えお別れなんだね……

 

 

 

「今まで住んでた所とお別れだなんて、こんなの彼氏と別れるよりも辛いよ!」

 

「沙織さん、別れた事有りましたっけ?」

 

「沙織には言うだけ無駄だぞ五十鈴さん。

 エア彼氏と破局した回数ならば既に3桁を越えているかもしれんがな。」

 

「ちょっと麻子!!」

 

「ったく、こんな時でも平常運転ね沙織は……貴女のそう言う所は、素直に尊敬に値すると言っておくわ――本気で大したモノだと思うわよ。」

 

「やだもー、エリリン褒めないでよ!!」

 

「武部殿、今の逸見殿の一言は、何方かと言うと嫌味や皮肉の類ではないかと……」

 

「……100%嫌味じゃないけどね。」

 

「おろ?意味深な発言でありますなぁ?」

 

 

 

でも、こんな時でも平常運転な沙織さんは、エリカさんの言う通り大したモノだと思うよ――多分無意識なんだろうけど、何時も通りに振る舞って見せる事で、場の空気が沈み切っちゃうのを防ごうとしてるんだから。

 

 

 

――ボォォォォォォォォォォ

 

 

 

だけど、学園艦の霧笛が鳴り響いて出港すると、流石に何時も通りとは行かないよね。

学園艦に向かって手を振る人、見納めとばかりにスマホのカメラでその姿を撮る人、涙が止まらなくなる人……色んな人が居たからね。

かく言う私も、自然と学園艦に向かって、ドイツ式の敬礼をしてたよ。

ううん、私だけじゃなくて黒森峰で同じ敬礼を習ったエリカさんと小梅さん、そして欧州史、特にドイツ史に詳しいエルヴィンさんもね。

 

 

 

「「「「「「「「「「元気でねーーーー!!」」」」」」」」」」

 

 

 

そして、梓ちゃんを除く1年生の子達は、港の縁ギリギリまで駆け寄って、大声で学園艦に向かって叫んでた……梓ちゃんだけがそうしなかったのは、戦車隊の副隊長として、1年生のリーダー的存在として、『自分まで感情的になったら、他の子が不安になる』って思ったからかな?

 

「梓ちゃん……我慢しなくても良いんだよ?」

 

「我慢をしてる訳じゃありませんよ西住隊長。

 勿論私だって思う所がなくはないですけど、私だって諦めてないんです――絶対に廃校を撤廃させて学園艦を取り戻す方法は有るって、そう信じてるので。」

 

「そっか、梓ちゃんもそうなんだね?」

 

「ふふ、弟子は師に似るんですよ?」

 

「そう来たかぁ……此れは一本取られたなぁ?」

 

でも、梓ちゃんもそう考えてるなら、ある意味で心強いよ――副隊長の思いが隊長と同じだって言うのは、隊長にとっては心強い事この上ない訳だからね。

 

そんなこんなで学園艦を見送った私達は、学園が用意したバスで移動って事になるんだけど、流石にパンターとティーガーⅡをバスに積み込むのは無理があるって言うか不可能だから、あんこうチームとライガーチームは戦車に乗り込んでバスの後をついてく事になるんだよね。

 

移動先は学科ごとに違うから、交差点でバスは夫々の方向に分かれて行く……なんて言うか、こう言うのも物悲しさを感じちゃうよ。

で、私達はローズヒップさんと追いかけっこをした道を通ってか……あ、KV-2の砲撃を受けたホテルは、早速工事が始まったみたいだね?連盟の迅速対応恐るべし。

 

 

 

「ホント、連盟の資金ってどうなってのか知りたいわ……本気で徳川の埋蔵金を発掘したんじゃないかと思うわね――序に言うと、其れとは別に油田か金山、炭鉱でも持ってんじゃないかしら?」

 

「エリカさん、其れは微妙に否定出来ないよ。」

 

「でしょ?

 そもそもにして、戦車道の試合で出た被害は連盟が一括して保証しますとか、ドンだけの資金が有るんだって話じゃない?……まぁ、其れは考えるだけ無駄かもしれないけれどね。

 時にみほ、これ食べる?」

 

「ほへ?」

 

エリカさんが投げて寄越したのはポテトチップ……如何したの此れ?

 

 

 

「アインが持って来てたのよ……何でも好物だから、沢山買い占めてたんですって。

 で、こっちでは移動中のおやつとして食べてるんだけど、全部食べ切るのは無理だからお裾分けよ――確か貴女、のり塩とフレンチビネガーとコンソメパンチが好きだったわよね?」

 

「うん、其れは好みだ、大好きだ。」

 

そして、私の好みを理解してくれていたエリカさん乙!此れ等のポテトチップはあんこうチームで美味しく頂く事にするよ。

 

 

 

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・・・

 

 

 

其れから走る事数分、辿り着いたのは高台にある廃校になった小学校……木造の校舎って事は、創立は相当古かったと思われるなぁ?昭和初期?其れとも大正かな?

此れから編入先が決まるまでの間、此処が私達の暮らす場所になるって言う事か……

 

 

 

「転校先が決まるまでの間、私達は此処で共同生活を送る事になる。

 旧式の木造校舎なのでエアコンは無いが、せめてもの処置として最新型の扇風機を全室分用意したので、暑さは其れを使って凌いでほしい。

 食事に関しては家庭科室にある調理器具が全て使えるが、入浴に関しては、すまないが町の銭湯を利用してもらうしかない。

 銭湯の利用料金に関しては、地元のご厚意で入浴、飲み物、全て半額で提供してくれるとの事だ。」

 

「ま、多少の不便はあるかもしんないけど、少しの間だから辛抱してね~~。」

 

 

 

あはは……この一団に生徒会の皆さんが居たのは、ある意味で良かったかも。

こういう時には、河嶋先輩の冷静沈着な態度と、会長さんの何処か余裕のあるケセラセラな感じって言うのは頼りになるって言うか、此れからの事で不安になってる生徒にはプラスに働くよね。

 

 

 

「会長は兎も角、河嶋先輩に関しては、本来の性格知ってるだけに、なんか一杯一杯な感じを受けるのよねどうしても。

 まぁ、根っこの性格が頭に『ウルトラバカ』の付く生真面目なのは間違いないんでしょうけど。」

 

「うわぁ、エリリンってば容赦ないね……」

 

「自分狂犬ですので。手加減とか容赦とか知らないんで。

 手加減と容赦って何?食べると旨いの?其れとも、新しい怪人の名前だったりする訳?まぁ~~ったく、私の知らない言葉だと断言するわ!」

 

「エリリン、流石って言うか何て言うか。

 それにしても、こんな廃校になった小学校が当面の生活拠点って酷くない?別のクラスの子達は、小学校の宿泊学習で使った施設だって言ってたのに!

 こんな場所じゃ、ベッドもないじゃん!!」

 

 

 

まぁまぁ、沙織さん、此れも経験だよ?

確かに今までの生活と比べれば不便な事も有るかも知れないけど、そんな生活を経験すればこそ、普段何気なく使っていた物への有難さを感じる事が出来る訳だし、物が無ければ無いなりに工夫するようになるから、結果として自分のスキルアップに繋がるでしょ?

其れに何より……

 

 

 

「な、何より?」

 

「此の木造校舎は味が有る!このレトロな雰囲気とか凄く良くない?」

 

「そう来るとは予想外だったよみぽりん!!」

 

「流石は西住殿、目の付け所が違いますなぁ?」

 

「うふふ、みほさんはわびさびの浪漫が分かる方だったのですね……流石は、華道と並ぶ乙女道である戦車道の一大流派の娘さんと言った所でしょうか?」

 

 

 

其れが関係あるかは分からないけど、此の木造校舎の良さは分かる心算だよ華さん。

ある程度の修復はされてるんだろうけど、其れでも建設当初の姿はそのまま残されてると思うし、廃校になっても建物が残ってるのは、此の校舎が地元の人達にとって大切な物だったからだろうしね。

大洗の人達が大切に守って来た場所で、少しの間であっても生活する事が出来るなんて、光栄だとも思うし♪

 

 

 

「成程、そう言う考え方も有ったか……前向きだな、西住さん。」

 

「後ろ向きな事を考えたって何にもならないから、こんな時こそ前向きポジティブシンキングだよ麻子さん。」

 

それはさておき、生活場所が決まったなら、サンダースに連絡を入れて戦車を届けて貰わないと……昨日の今日で、戦車持って来いってのは流石に難しいかも知れないけど、取り敢えず場所だけは伝えておかないとね。

そんな訳で、スマホの電話帳からケイさんの番号をポチっとな。

 

 

 

――何時だってWelcome~~!掛かって来ても良いんだよ!

 

 

 

……何だろうこの呼び出し音?もしかしなくても、ケイさんが歌ってる?――まさかの拘り呼び出し音だけど、此れは結構良いなぁ?

私も自分で歌ったのを呼び出し音に設定して……ううん、止めた方が良いかもね。そんな事をしたら、私の歌声を聞く為だけに、お姉ちゃんが不要な電話をかけてきそうだから。

 

 

 

『Hello!如何したのみほ?』

 

「あ、ケイさん。

 実は、今日学園艦を退去して、編入先が決まるまでの生活場所までやって来たので、其処に戦車を届けて欲しいんですけれど、良いですか?」

 

『No problem.問題ないわ。

 其れじゃあ、住所を教えてくれる?グー○ルマップで調べてから行くから。』

 

「え~っと、茨城県東茨城郡大洗町○○××××です。」

 

『OK、了解したわ。

 だけど、サンダースの学園艦は太平洋を航行中だから、そっちに着くのは夕方になっちゃうんだけど、良いかしら?勿論、全速力で行くけど。』

 

「全然大丈夫です。

 其れに、無理を言って戦車を預かって貰ったんですから、贅沢な事は言えませんよ。」

 

『そう言える貴女って、普通に凄いと思うわみほ。

 其れじゃあ、出来るだけ早くそっちに行けるようにするから、待っててね?』

 

「はい!!」

 

サンダースの、正確に言うならケイさんに連絡を入れて、預かって貰った戦車を持って来てくれるように頼んだから、此れで戦車もまた私達の元にだね。

手元に戦車が有れば動かす事も出来るから、少なくとも戦車を動かす感覚を失う事は無いから――大洗の皆は、短期間に凄く上達したけど、其れだけに、戦車と離れる時間が長ければ、失われるのもまた早いからね。

時間にして半日強程度で、預けた戦車が戻って来るって言うのは僥倖以外の何物でもなかったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

まさか、こんな木造校舎で暫く生活する事になるとは思わなかったけど、黒森峰で行われたサバイバル訓練と比べれば、遥かに良い環境での生活な訳だから贅沢を言う気はないわね。

沙織なんかは不満があったみたいだけど、みほの言った事を聞いて考えが変わったみたいだし。

まぁ、此れはちょっとしたキャンプみたいなものだって考えるのが良いかも知れないわ。――そう考えるのが最善なのかも知れないけど……

 

 

 

「食事の方は私にお任せ下さい!

 各種レーションを大量に持って来ているので、暫くは食べるには困らないであります!!」

 

「あ、あはは……」

 

「ゆかりん、スッゴク活き活きしてる。」

 

 

 

張り切ってるわね優花里?

まぁ、こう言う状況なら貴女のミリタリーサバイバル知識は大いに役に立つって言うのは間違い無いから、貴女が張り切るのはマッタク持ってOKなんだけど、私達が危機的状況に有るって言うのを忘れそうになるわね。

其れで優花里、今夜のメニューは何なの?

 

 

 

「そうでありますなぁ?

 ご飯は飯盒炊飯で炊いたお米で、おかずは野菜スープのレーションにソーセージを加えて、更にカレールーを加えたカレーであります!!

 矢張りこう言う状況でのメニューとしてカレーは外せませんので。」

 

「いや、それで良いよ優花里さん。

 カレーは単品で栄養のバランスが取れて上に、カレーのルーが有るなら後はご飯が有ればいくらでも行けるからね……だから、そのチョイスは最高だよ。其れがベスト!!」

 

「おぉ、西住殿に褒められるとは照れてしまうでありますぅ~~~。」

 

 

 

優花里……(汗)

まぁ、貴女にとって、みほは憧れの人だった訳だから、そんな人から褒められたら舞い上がっちゃうのは分からないじゃないけどね……私だってまほさんに褒められたら硬直しちゃうでしょうからね。

序に言うなら、みほにハグでもされたらカチンコチンだわ。

 

でも、こう言うのも悪くはないわね……大洗の廃校が決まって、編入先が決まるまでの生活場所だって言うのでなければね――ったく、マジでムカつくわ、あの銀髪モノクロ爺!!

みほが、私達が激闘の末に掴んだモノを無かった事にするとか、冗談じゃないわよ……校門であったその時に、ティーガーⅡの超長砲身88mmをブチかましてやりゃ良かったわ。

 

 

 

「エリカさん、生身の相手にティーガーⅡの88mmは駄目だよ?」

 

「分かってるわよみほ。其れを喰らわしたい位にムカついたって事よ。――貴女はムカつかなかった訳?」

 

「アハハ、馬鹿言っちゃいけないよエリカさん……滅茶苦茶ムカついたに決まってるでしょう?

 殺意の波動に目覚めて、オロチの暗黒パワーを取り込んで、更に秦の秘伝書の力も取り込んだ上で、八稚女→彩花のコンボを喰らわせたくなったから。」

 

「その衝動を、理性で押しとどめた貴女は凄いと思うわ……」

 

私だったら、その衝動のままに行動してたでしょうからね。

まぁ、其れは今は良いとして、待ちに待ったモノが来たみたいよ?……言った通り、夕方には到着したわ……流石はケイ、サンダースの隊長を務めるだけの事は有るわ。

 

スーパーギャラクシーの登場はこの場に集まった全員が感知する事になって、一同坂にかかった歩道橋に移動して……全員が移動し終わったところで、スーパーギャラクシーの後部ハッチが開いて、其処から大洗に戦車が次々とパラシュートに乗って投下されたわ。

何ともダイナミックな方法だけど、サンダースらしいと言えばサンダースらしいわね。

 

 

 

「あの、ありがとうございます!!」

 

『別に大した事じゃないわ……いずれ借りは返してもらうけどね。』

 

「借り?」

 

『その借りは、私達が貴女達に勝つ事で返させて貰うわ。

 だから、その為に貴女達の道を護りなさい……勝ち逃げは、絶対に許さないからね。』

 

「アリサさん……うん、約束するよ!!」

 

 

 

で、みほとアリサも通信で良い感じだったみたいだわ……って言うか、あのアリサがあんな事を言うとは思わなかったわ――勝つ為なら手段を選ばないアリサが成長したモノだわ。

だけど、此れで戦車も私達の元に戻って来たから、反逆の為の最低限の戦力は確保できたって事になるわ――戦車さえあれば、戦車乙女は何だって出来るんだからね。

この先に待ち受けてるのがどんな道なのかは分からないけど、みほなら……いいえ、違うわね――私達大洗女子学園なら、どんな道だって踏破出来ると信じてるからきっと何とかなるわ。

寧ろ大洗の廃校を決定した奴に教えてやろうじゃない……一体誰を敵に回してしまったのかと言う事をね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:ダージリン

 

 

廃校撤廃を目指して、大洗女子学園が全国大会優勝を目指しているのは知っていましたし、大洗女子学園が見事に優勝を果たしたのも、紛れもない事実ですが……如何やら、その栄光に水を刺す事態が起きてしまったようですわね。

GI6からの情報で、大洗が廃校になると言う事が知らされたのですから……全国制覇を成し遂げたと言うのに廃校になる等と言う事は、大凡認められる物ではありませんわ――如何考えても、普通は有り得ない事なのですから。

此れは、少しばかり考える必要がありそうですわね……アッサム。

 

 

 

「御意に……3日で調べ上げます。」

 

「そう、頼りにしてますわ。」

 

今は先ず、情報を集める事が先決ですわね――確固たる情報が得られてから行動を起こすのが上策なのだから。

フフ、こんな言葉を知っている?『機を見て、期を待ち、奇をもって戦う』って……此れは今まさに私達に求められているモノですわ……だからこそ其れを胸に持って行動しなくてはですわ。

 

何れにしても待っていてねみほさん……どんな手を使っても、貴女が見つけた貴女の戦車道を、潰す様な事だけはさせないから。

 

 

――ふふ、此処までの事をしてしまうなんて、私はホントに心の底から貴女の戦車道の虜になってしまったのかも知れませんわね、みほさん。

何にしても、私は私の出来る事を精一杯するだけですわ……其れがきっと、何れ意味のあるモノになると信じてね。

 

聖グロリアーナの隊長・ダージリンとして、大洗の廃校は絶対に阻止して見せますわ――みほさんが漸く見つけた自分の戦車道、其れを汚い大人のせいでなかった事にされると言うのは我慢なりませんモノ。

貴女ともう一度戦うために、私は諦めませんわ――だからどうか貴女も諦める事だけはしないでねみほさん……ふふ、隻腕の軍神に『諦めるなっ』て言っても、『諦めないのは当然』って返ってくるのでしょうけれどね。

 

何にしても、今回の事は見過ごす事は出来ないから、私達は私達のやるべき事をするだけですわ……尤も如何転ぶかは、大洗の生徒会が、もっと正確に言うならみほさん次第ですけれどね。

 

ともあれ、大洗の危機は見過ごす事が出来ないから、当面は情報収集に時間を掛けた方が良いかも知れないわね――だけどみほさん、私は信じていますわよ……貴女は、必ず此処から再起するとね。

今は危機的状況かもしれないけれど、必ず再起の道は残されているから、だからすべての準備が整ったが整ったその時にはまた戦って貰いますわよ?

貴女が再起するその時を、楽しみに待っていますわみほさん――否、大洗女子学園の皆さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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