ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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相手は大学選抜……相手にとって不足は無いよ!Byみほ        見せてやろうじゃない、私達の戦車道を!Byエリカ      これが、西住みほの戦車道、ですねBy小梅


Panzer152『Es gibt nur Fortschrittです!』

Side:みほ

 

 

会長さんが廃校撤廃の為に捥ぎ取って来たのは、大学選抜チームとの試合で勝利すると言う条件……決して簡単な事じゃないってのは、分かるけど、その試合に勝てれば大洗が戻って来るのなら、無理を通して道理を蹴り飛ばすだけだよ!

其れに、やる前から勝負を投げてたら話にならないからね。

 

 

 

「そうは言ってもみぽりん。相手はプロのチームに勝っちゃう上に、保有戦車もめっちゃ多いんだよ?……大学戦車道で使われてる戦車って30輌なんでしょ?

 ……ぶっちゃけ、3倍の戦力差とか――ゴメン、みぽりんなら何とかしちゃうよね其れ位。」

 

「な、なんとしちゃうはずがないだろう流石に!30対10での試合だぞ、常識で考えろ!!

 そんな、絶対に勝てるはずがない……西住、大人しく降参した方が良いと思うんだが……」

 

「河嶋先輩……其れ本気で言っています?」

 

「戦力差3倍だぞ3倍!

 黒森峰との試合よりも戦力差が大きい上に、相手はプロチームに勝つ大学選抜……実力は黒森峰よりもずっと上だろう!如何考えても勝てる要素が見当たらない!

 分かり切ってる負け戦をして廃校が覆らないとか、ハッキリ言って悲しいにも程があるぞ!!」

 

 

 

――バッチィィィィィィィン!!

 

 

 

「ぶぺ!何をするか西住ーーーー!!」

 

「試合をやる前から負ける事を考える人がありますか!!試合前に気持ちで負けてたら勝てる試合も勝てなくなっちゃうんです!!

 戦車道に限らず、どんな事だって諦めたその時に試合終了なんですよ?河嶋先輩は其れを分かって言ってるんですか?……もし、分かって言ってるんだとしたら、即刻この場から立ち去って下さい!!」

 

河嶋先輩の余りにも弱腰な態度に、思わず頭にきて平手打ちをかましちゃったけど、私は間違った事はしてないって、其れは自信を持って言えるよ。

高々3倍の戦力差にビビって降伏を提案するなんて言うのは言語道断です河嶋先輩!!

何よりも会長さんが身を粉にして作ってくれたチャンスを高々3倍程度の戦力差を理由に諦める事なんて私には絶対に出来ませんから!!

どんなに困難な道だって、戦車に進めない道はありません――戦車は溶岩の中だって進むんです!

 

 

 

「ま、今のは誰がどう見てもか~しまが悪いわな……」

 

「会長!?」

 

「いや、試合に向けてこれから頑張ろうって時に、やる前から諦めたか~しまが悪いだろ絶対。

 いいか、か~しま、試合におけるチームの士気ってのは大切なもんだぞ?今のお前の発言は、チームの士気を著しく低下させるモノでしかね~訳、分かる?

 今の西住ちゃんのビンタは其れに対する制裁であると同時に、情けないお前に対する闘魂注入って事だ。」

 

 

 

そして、お見事です会長。

後輩の私ならいざ知らず、同輩で、しかも生徒会の会長様に言われたら河嶋先輩は何も言えませんからね……取り敢えず、此れで話を先に進められそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer152

『Es gibt nur Fortschrittです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず大学選抜チームは社会人のプロチームにも勝てる猛者の集まりだって事だけど、先ずは使用してる戦車が何であるのか、隊長、副隊長は誰なのか、隊員で要注意なのは誰なのかを調べないとだね。

優花里さん、猫田さん、如何かな?

 

 

 

「いやはや、猫田殿のパソコン捌きには感嘆の声しか出ないでありますよ西住殿!

 大学選抜チームの戦車のデータから、選手のデータまで驚くほどのスピードで調べ上げているでありますよ!」

 

「いやいや、秋山さんが居てくれたからこそだよ。

 僕1人じゃ、大学選抜チームの選手の名前とか分からなかったからね……取り敢えず、調べたデータをマルチ送信で皆の携帯やスマホに送るのにゃ。」

 

「うん、お願い。」

 

優花里さんの戦車知識と、猫田さんのデジタル知識と能力が合わされば、大学選抜チームのデータは苦労せずに得る事が出来るんじゃないかと思ったけど、ビンゴだったね。

即座に調べたデータがスマホに送られて来たんだけど……流石は大学選抜、良い戦車使ってるね?

 

 

 

「隊員が使ってるのは対ティーガー用に作られた重戦車のパーシングに、軽戦車としては破格の性能を持つチャーフィー、そして隊長車は45年ルールの中ではパンターをも凌ぐ総合的な性能では最強とも言われるセンチュリオンか。

 此れは、確かに今まで戦ったどんな相手よりも手強いわねみほ?」

 

「うん、先ずは戦車の性能が凄いからね……」

 

センチュリオンにパーシングにチャーフィー……いずれも劣らぬ強力な戦車だけど、今回の試合は此処に+αがあると考えといた方が良いかも知れないね?

大洗を廃校にしたい文科省のお偉いさんが、大学選抜チームに今のレギュレーションでは認められてない戦車を試合ギリギリのタイミングで認可するかも知れないけどね。

まぁ、今のレギュレーションで禁止されてるのって、ラーテとかモンスターとか、設計だけ存在して企画倒れになった機体が殆どだから、ソンなのが出て来た所で脅威にはなり得ないんだけど、問題は大学選抜チームのメンバーだよ寧ろ。

大学選抜チームを率いる隊長は……島田愛里寿――島田流の跡継ぎにして、飛び級で大学に進学し、更には大学選抜チームの隊長を務める猛者……良いね、逆にやる気が出て来るよ。

 

 

 

「みほさん、この方は前にボコミュージアムで会った方では?」

 

「そうだよ華さん。

 この子は島田愛里寿って言うみたい……戦車道島田流の子みたいだね。」

 

「島田流の……と言う事は、此の試合は間接的にですが、西住流対島田流の戦い――にはならないですよね?隊長は純粋な西住流とは言い難いですし。

 ぶっちゃけて言うと、西住流よりも島田流の方が合ってるレベルですので。」

 

 

 

反論したいけど、反論できないのがきついね梓ちゃん。

まぁ、確かに私の戦車道は大凡西住流とは呼べない位に、裏技搦め手上等だからね……真正面からの力押しよりも、色々策を巡らせて戦う方が楽しいから。

そう言う意味では私の戦車道は島田流に近いのかも知れないけど……

 

 

 

「貴女の戦車道と島田流の戦車道は似て非なる物よみほ。

 島田流は『忍者戦術』とまで呼ばれる程のトリッキーかつ効率的な戦術を得意としているけれど、其れはあくまでも個人の力がモノを言う戦車道であり、チームメンバーの力を加算・乗算して戦う貴女の戦車道とは根本的に異なるわ。

 島田流は『個』の戦車道、西住流は『全』の戦車道、そして貴女の戦車道は『個の力を最大限に引き出しつつも、集団としての機能も低下させない』って言うモノなのよ。」

 

「つまり、西住流と島田流を良いとこ取りして融合して、更に其れを自分流に昇華したと言う事でありますか!?」

 

「形としてはそうですけど、みほさんの場合は天然でそうなってしまったと言う所でしょうね……流石は戦車の申し子と言うべきでしょうか?」

 

 

 

戦車の申し子って、其処までかな?

でも、確かに自分のやりたい戦車道を突き詰めて行った結果、今の戦い方に辿り着いたんだよねぇ……若しかしたら、西住流と島田流の開祖も、己の理想を追求した結果、流派の根幹に至ったのかも知れないね。

 

 

 

「西住隊長、いっその事『西住みほ流戦車道』の流派立ち上げません?」

 

「私の戦車道って教えて教えられる物じゃないから、私の感覚による所が大きい戦術を体系化しちゃった梓ちゃんの『澤流戦車道』の方が良いんじゃないかな?」

 

「そんな、恐れ多い。」

 

「そうかな?結構行けるんじゃないかと思うんだけどね?」

 

今の明光大のドクトリンだって、根っこの部分は私の戦術だけど、其れを『明光大のドクトリン』として完成させたのは梓ちゃんだからね。

さて、隊長は試合が終わったらボコメイトになれるであろう愛里寿ちゃんな訳だけど、他に注目すべき選手は……やっぱり選抜に入ってたね、天城さんと、エリカさんのお姉さんであるアールグレイさん。

此の2人は愛里寿ちゃんと同レベルに要注意だね。

 

 

 

「みぽりん、この人達って強いの?」

 

「強いよ。

 天城さんはお姉ちゃんが黒森峰に入る前に隊長を務めてた人で、中等部、高等部では1年生の時から隊長を務めてて、お姉ちゃんが2年生になると同時に隊長職を明け渡したんだ。

 お姉ちゃんが2年生になるのを待ってたのは、『西住流の嫡子が1年から隊長を務めたら、周囲の風当たりが強いから』って言う理由だったらしいんだけど、お姉ちゃん曰く『もしも天城さんと私のスタートラインが同じだったら、きっと私は天城さんには敵わなかった』って言う位の実力者。」

 

「凄い方なんですねぇ……其れで、エリカさんのお姉様と言うのは?」

 

「先代の聖グロの隊長よ華。

 そして、聖グロでは現在までたった2人しか名乗る事を許されていないノーブルネーム『アールグレイ』を名乗った戦車乗りよ。

 でもって、もう1人の『アールグレイ』は、現在の島田流の家元様よ。」

 

「うっそーー!それってマジなのエリリン!!

 だとしたらエリリンのお姉さん凄いじゃん!島田流の総元締めと同格って事でしょ!?」

 

「……まぁ、そう言えなくもないわね。

 でも、アールグレイは聖グロ最強の隊長だけど、アールグレイの仮面を脱ぎ捨てた逸見カンナは、戦車道が強いシスコンでしかないわよ?」

 

 

 

……アールグレイさんもとい、カンナさんってシスコンなんだ。

お姉ちゃんもちょっとシスコン入ってる事を考えると、戦車女子の姉妹の姉はシスコンになるのかな?……もしもミカさんまでシスコンだったら、此の仮説は定説にしても良いかもだよ。

で、後注目すべきはパーシング率いる小隊を任されてる小隊長、アズミさん、メグミさん、ルミさんか……個々の能力で言えば天城さん達からは1枚落ちる感じだけど、此の3人が繰り出す三位一体の攻撃『バミューダアタック』は撃破率100%を誇る必殺技だから要注意だね。

 

 

 

「三位一体の攻撃……アタシャ『ジェットストリームアタック』が脳裏に浮かんだね。」

 

「会長さん、古すぎません?」

 

「種デスでも出て来たからそうでもないっしょ?」

 

「そう言われればそうでしたね。」

 

其れは兎も角、大学選抜の主要戦車と主力選手は分かったから、其れを基に戦術と作戦を考えて行こうかな――楽しむ事が一番大事な事だけど、今度の試合は全国大会の決勝以上に勝たないといけない試合だから、私の持てる力の全てを限界を超えて注ぎ込まないとだよ。

戦力差3倍の相手……となると、やっぱりフラッグ車を徹底的に狙って行くしかないだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:千代

 

 

さて、大洗女子学園の廃校撤廃をかけた試合が決まった訳ですが、何用ですか白神殿?

 

 

 

「いえ、此度は大洗女子学園の無茶な要求に応えて頂き感謝を……先生が了承してくださったお陰で、如何にか試合を行う事が出来そうです。

 いやはや、大洗女子学園の生徒会長から念書を突き付けられた時にはどうしようかと思いましたが、此れで何とか……」

 

 

 

心にもない事を。

私が署名捺印しなければあの念書は無効になったのだから、心底では余計な事をしてくれたと思っているくせに、マッタク持って白々しい事。

 

「まぁ、大洗女子学園の廃校には私も思う所がありましたので。

 マッタク、全国大会優勝校を廃校にするなど、一体何を考えているのですか白神殿?」

 

「先生、私とて何も考えずに大洗女子学園の廃校を進めている訳ではありません。

 彼女達には気の毒ですが、大洗女子学園の廃校は既に決まった事であり、辻局長の口約束で覆せる物ではなくなっていたのです――ですが彼女達は結果を示した。

 殆ど素人の集団が全国大会を制してしまうなど、誰も思っていなかった事でしょうが……其れを考えると、大洗女子学園の戦車隊の才能は惜しいモノです。

 なれば、廃校になってしまう彼女達の為に、せめて転校先でも戦車道が続けられる環境を用意してやるのが優しさと言うモノでしょう?

 何よりも、彼女達には無名の弱小校を優勝にまで導いた実績と、戦車道に関するノウハウがある――其れが、色々な学校に広まれば、結果として戦車道全体のレベルアップに繋がる事でしょう。」

 

「成程、一応は納得のいく理由です。

 ですが、彼女達が転校先で戦車道をやらないと言う可能性については考えなかったのですか?」

 

「え?」

 

 

 

『戦車道の全国大会で優勝すれば廃校は撤回される』、そう信じて戦って来たのに、この様な仕打ちを受けて、彼女達が戦車道を辞めてしまう可能性については考えなかったのですか?

栄光の記憶が一転して暗い記憶となったのならば、戦車道に見切りをつけてもおかしくないでしょう?

 

 

 

「その時は、無理やりにでも――!」

 

「そのような形でやらせた所で、良い結果が生まれる事はないでしょう。

 無理矢理にやらせては、必ず何処かで不満が爆発して結果を出さずに終わってしまうのは目に見えています。」

 

策を弄し過ぎましたね。

貴方がやろうとしている事は、間違いなく失敗するでしょう――大洗女子学園の相手として、私の娘の愛里寿が隊長を務める大学選抜チームを当てがったのは悪くない戦術ですが、其れで制圧できるほど大洗女子学園は、西住みほさんは甘くはありません事よ白神殿?

 

 

 

「ご、御冗談を。

 先生の御息女は、飛び級で大学まで行った天才児、隻腕の軍神などと呼ばれていても所詮は身体障碍者に過ぎない西住みほに劣るとは思えないのですがな?」

 

「そう思うのならば、一度その目を取り出して徹底的に洗ってきなさいな。

 確かに愛里寿は類稀な才能の持ち主、其れこそ10年に1人の逸材と言っても良いかも知れないけれど、西住みほさんの才能は、100年、否1000年に1人の逸材と言うレベルなの。

 今の愛里寿がみほさんに勝てる要素は何一つないわ。」

 

3倍の戦力差をもってして漸く互角と言った所かも知れないのだから。

其れを聞いた貴方は、更なる策を巡らせるのだろうけれど、その策は全て無意味に終わるわ――隻腕の軍神の覇気の前には、如何なる謀も一切意味をなさないのだから。

何よりも、みほちゃんは貴方如きが御せるような小さな器ではないのだからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

試合が決まったその日から、戦車をフェリーに積み込んで、試合会場の大洗までやって来て、明日は試合と言う所まで来たんだけど……

 

 

 

「せ、殲滅戦?」

 

「世界大会のルールは、殲滅戦で進めてるんだって。」

 

 

 

あの白髪モノクルと、戦車道連盟の会長が現れたと思ったら、今度の試合形式は殲滅戦ですって!?……いや、其れだけなら良いんだけど、殲滅戦って事は、大学選抜チームの戦車数は大洗の戦車数に合わせるのよね?

 

 

 

「いや、其れは無い。

 10対30の殲滅戦を行って貰う――此の試合をテストケースとして、世界大会の殲滅戦は数の少ない方に合わせる必要があるかどうかを検証する心算だからね。

 だが、私とて3倍の戦力差での殲滅戦が無茶でしかないと言うのは理解しているから、君達が試合を辞退すると言うのならば其れを止めはしないさ。

 だが、辞退をするのならば早めに申し込んでくれたまえよ?此方も大学選抜チームに連絡する都合があるのでね。」

 

 

 

白々しいわね此の野郎。

もっともらしい事言ってくれたけど、大洗を廃校にしたい意図が見え見えなのよこのクソモノクルが……河嶋先輩と言い、アンタと言い、モノクルには碌な奴が居ないわね?

 

 

 

「なにぃ!私をこんな奴と一緒にするな逸見!!」

 

「無理。私の中でアンタの評価最低クラスだから。」

 

「なぜだぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

考えれば分かるでしょうに……考えても分からないなら救いようが無いけどね。

だけど、マッタク持って馬鹿な真似をしたわね白髪モノクル……忠告しておくわ、大学選抜メンバーは何人かを入れ替えないといけなくなるだろうから、その準備だけはしておいた方が良いわよ。

 

 

 

「……どういう事かね?」

 

「アンタは、みほの――隻腕の軍神の逆鱗に触れたとだけ言っておくわ。」

 

「……一応、考えておきましょう。」

 

 

 

一応じゃなくてちゃんと考えておきなさい――今度の試合で、確実に何人かは戦車乗りとして再起できなくなるからね。……って、早々にタクシーに乗ってっちゃったから、多分最後のは聞こえてないわね。

 

 

 

「ねぇエリリン、今のって如何言う事?」

 

「沙織……此れは余り言いふらさないで欲しいんだけど、みほは黒森峰時代に10人の隊員を機甲科から追い出した事があるのよ。」

 

「うそ!?でも何で?」

 

 

 

まぁよくある話かもしれないけど、その日は校内の紅白戦で、みほ率いる紅組と3年生の先輩が率いる白組の対戦だったんだけど、結果だけ言うのならみほ率いる紅組の大勝利だったのよ。

其れだけなら何にも問題はなかったんだけど、白組の隊長は自分が達が負けたのはお前達のせいだって、隊長車の操縦士と砲手を務めていた1年生を虐めに等しいレベルで責めてたのよ――負けたのは己の実力不足なのにね。

 

でも、其れを見たみほは黙ってられなかった。

後輩を叱責する3年生を張り倒したと思ったら、その3年生が責めていた1年生のメンバーを庇い、その2人を自分の戦車に乗せた上での試合を申し込んだわけよ――1対10の殲滅戦をね。

 

 

 

「マジで!?結果は?」

 

「結果だけ言うのならみほの圧勝だったわ。

 罵倒されていた1年のメンバーの能力を最大限に発揮した結果、3年生のチームは何も出来ずに敗退し、負けた全員がみほとの実力差に自信を粉砕されて機甲科から去ったって言う事実があるのよ。」

 

「みぽりんマジパネェって!!」

 

 

 

其れが、西住みほなのよ沙織。

逆境であればあるほどに、みほは底知れぬ実力を発揮する戦車乗りだからね……寧ろ、殲滅戦だって言うのを聞いた事で、逆に闘気が迸っている感じだからね。

 

 

 

「10対30での殲滅戦……上等だよ、やってやろうじゃない!!」

 

 

 

――バガァァァァァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 

来たわね、軍神招来――とは違う!!

此れは、この闘気は軍神招来の其れを遥かに上回っているわ!……この闘気、如何やらみほは辿り着いたみたいね――戦車長を超えるスーパー戦車長をも越えたスーパー戦車長に!!

こうなった以上は、大洗に負けはないわね――だって、みほの怒りが遂に限界を超えたのだからね。

 

ま、覚悟しておきなさい大学選抜チームもとい、白神源一郎!

……覚醒したみほの前では、己は所詮塵芥に過ぎないと言う事を精々その身で味わうが良いわ――そして後悔しなさい、自分が一体誰に喧嘩を売ったのか、売ってしまったのかと言う事をね!

 

 

ううん、みほだけじゃない……私達に、大洗女子学園に喧嘩を売った事を後悔させてあげるわ――特に、私を、『狂犬』逸見エリカを敵に回した事を後悔させてやろうじゃない。

己の喉笛が、狂犬に喰いちぎられる事に恐怖するのね。

 

 

 

「エリカさん……試合では思い切り暴れちゃってください。」

 

「言われなくともその心算よみほ。」

 

そして、今この瞬間に私を縛る鎖は解き放たれた――其れはつまり、狂犬の牙が解き放たれたと言う事……覚悟しなさい大学選抜チーム、1匹残らず喰い殺してやるわ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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