ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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此れは……此の援軍は!Byみほ        貴女の人徳故よみほByエリカ      此れだけの援軍、凄いですねBy小梅


Panzer153『土壇場の援軍は学園十色です』

Side:みほ

 

 

3倍の戦力差での殲滅戦って言うのは、流石に楽に戦う事は出来ないかな?

エリカさんは、私が黒森峰に居た頃の武勇伝を話してたけど、あの時は相手が私のチームを見くびっていたからこそ10倍の戦力差があっても勝つ事が出来たんだけど、大学選抜チームはあれよりも遥かに上の相手だから、3倍の戦力差って言うのは正直可成り厳しいって言えるかな?

尤も負ける気は無いけど、苦戦は必至かもね。

多分だけど、大学選抜は私達の戦い方を徹底的に研究してるだろうし、隊長の愛里寿ちゃんの実力は私と同等……或いは私より上かもだしね。

 

 

 

「不審者発見!此れより職務質問を開始する!――どったの西住ちゃん?眠れないの?」

 

「会長さん……はい、少し。」

 

「ま、其れもまた仕方ないか。

 また西住ちゃんに重荷を背負わせる事になっちゃったからね……何とか試合をこぎつけはしたけど、条件は可成り厳しいと思うんだ――君には苦労ばかり掛けてすまないね西住ちゃん。

 ゴメンね、其れとありがとうだ。」

 

 

 

顔をあげてください会長さん。

不利な戦いは今更です……その不利を覆すのが隊長の務めですから、私はその職務を果たす、只それだけです会長さん。

必ず勝って、大洗に戻りましょう会長さん!!

 

 

 

「あはは…発破かける心算が、逆に発破かけられてりゃ世話ねーなこりゃ。

 でも、君の言う通りだな西住ちゃん……必ず勝って、大洗に戻ろうじゃないか――勝とう、絶対に!!」

 

「勿論、勝つ心算ですよ会長さん。」

 

試合が始まる前から負けをイメージしてしまったら、その瞬間に負けが確定しちゃうからね――誰が相手でも、私は其れを倒す事をシミュレートして来たので負けのイメージは湧きませんけれどね。

何にせよ、実力のある相手との3倍以上の戦力差で殲滅戦って言うのは経験が無いけど、私は隊長としての務めを果たす、只それだけだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer153

『土壇場の援軍は学園十色です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、一夜明けて試合の日で、既に会場に来て、此れから試合前の挨拶だって言うのに……大学選抜を攻略する為の作戦が練り終わらないなんて言う事になるとは思わなかったよ。

あらゆる状況を想定して、幾つかの作戦を練って、其れを試合中に取捨選択、或いは融合させて戦うのが私流なんだけど、あらゆるフィールドの状況、大学選抜チームの戦車隊の構成、シークレット車輌の有無なんかを色々と含めたら、全国大会での黒森峰戦の時の数倍の作戦パターンが出来上がった上に、マダマダ思い付くって言うんだから此れはちょっと困ったかも。

 

「大学選抜がシークレットとしてシュトゥルムティーガーを使って来た場合は、此方の射程外からの長距離砲撃を受ける可能性があるから、その場合はパンチ力のあるティーガーⅡとポルシェティーガーで撃破に向かわせるのがベター。

 草原と高地のフィールドでは5輌位撃破したと想定した場合、遊園地に誘い込んでの疑似市街地戦……全てが巧く行ったとしても、恐らく最後は隊長車同士の戦いになるだろうから、何とかばれないように梓ちゃん、エリカさん、小梅さんのいずれかが生き残るようにして、2対1の状況に持ちこめれば勝てる。

 後はやっぱり数で劣る訳だからセオリー通りに稜線を取って、其処で数を減らすって事も考えた方が良いかも知れないかなぁ?

 私の戦い方は研究されてるだろうから、セオリー通りって言うのは逆に意表を突く事が出来るかも知れないし。」

 

「あの、西住隊長、一体何パターンの作戦を考えたんですか?」

 

「今のでちょうど200個目。

 多分あと50個は余裕で思いつくと思うよ梓ちゃん。」

 

「ドレだけですか其れ!?

 逆に言うなら、隊長が其れだけの作戦を思いつくほどに大学選抜チームは強力って言う事ですね?」

 

 

 

そうなるかな?

戦車の性能もそうだけど、先ずは隊長が良いし、天城さんとアールグレイさんが居る時点で相当だよ――調べてみたら、天城さんとアールグレイさんは、夫々の所属大学では1年生ながらエースになってるみたいだしね。

其処に所属大学が同じで連携に定評があるアズミさん、メグミさん、ルミさんの通称『バミューダ3姉妹』が居る事を考えると、此れまで戦ったドンなチームよりも強いのは間違いないよ。

 

 

 

「だからこそ、何通りもの作戦がと言う事なのでしょうけれど……そろそろ、挨拶の場所に着きますよ?」

 

「あ。」

 

作戦を考えるのに没頭してて全然気付かなかった。

だけど、此れで時間切れか……仕方ない、取り敢えず思い付いた作戦だけでやってみるしかなさそうだね――少しばかり不安はあるけど、其処は皆を信じて行くしかないか。

 

 

 

「其れでは西住隊長、挨拶前に何か一言お願いします。」

 

「時は来た。其れだけだ。」

 

「ぶふぅ!?」

 

「アレ、意外と嵌った?」

 

「ゆ、油断してた所に強烈なボディブローを喰らった気分です。

 まさか、伝説の破壊王ネタで来るとは思いませんでした……あの時、思わず吹き出してしまった蝶野さんは仕方ないと思います。」

 

「今のがモニターに映ってたら、客席の蝶野さんが思い出し笑いしてたかもね。」

 

今日も会場には蝶野さん率いる『nOs』の皆さんが来てたからねぇ……しかも今回は盟友の天才レスラーである武藤さんだけじゃなく、武藤さんの名タッグパートナーだった馳浩文部科学大臣に、馳大臣の親友の佐々木健介さんと、その奥さんである『鬼嫁』北斗晶さんの姿まであったからねぇ……随分と気合を入れてくれたみたいだから、其れには応えないとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

全ての作戦を考え終わる前に試合前の挨拶となってしまったが、だからと言ってみほの顔に不安はなく、隣に立つ副隊長の梓の顔にもマッタク不安の色は見えない――隻腕の軍神と、軍神を継ぐ者は試合前の挨拶を控えて、最高の精神状態に至ったのだろう。

みほの瞳には灼熱の炎が、梓の瞳には冷たい炎が宿っている……軍神姉妹の闘気はマックス状態だと言う所だ――が、其れと対峙する大学選抜チームの隊長である愛里寿の瞳にも、雷光の闘気が宿っている。

この時点で、此の試合が激しい物になるのは目に見えているだろう。

 

先ずは両チームのオーダーを見て行くとしよう。

 

 

・大洗女子学園

 

パンターG型×1(隊長車)

Ⅲ号戦車J型改(副隊長車、L型仕様)×1

ティーガーⅡ×1

Ⅳ号戦車D型改(H型仕様)×1

Ⅲ号突撃砲F型改(G型仕様)×1

クルセイダーMk.Ⅱ×1

38(t)改(ヘッツァー仕様)×1

ルノーR35改(R40型仕様)×1

ソミュアS35×1

ポルシェティーガー×1

 

 

・大学選抜チーム

 

A41センチュリオン×1(隊長車)

M26パーシング×24

M24チャーフィー×3

SECRET×2

 

 

戦車の性能で言うのならば大学選抜の方が上なのは間違いないが、更に其処にシークレット車輌が2輌と言う事を考えると、戦力の全てが明らかになっている大洗が絶対不利と言えるだろう。

だが、不利な状況であっても試合になったらそんな物は吹き飛ばしてなんぼだろう。

 

 

「其れでは、此れより大洗女子学園対大学選抜チームの試合を開始する。お互いに、礼!」

 

 

そして、審判団長の蝶野亜美が、試合前の礼をするように言った次の瞬間、其れは起きた。

 

 

 

「待ったーーーーー!!!」

 

 

 

物凄い大音量での『待った』の声と同時に黒森峰のティーガーⅠ2輌と、パンターG型2輌が試合会場に乱入!『Hear Comes new Challenger』ってな具合に大乱入。

そして、その戦車から現れたのは……

 

 

「大洗女子学園、西住まほ。」

 

「同じく、近坂凛。」

 

「以下18名、試合に参加する。短期転校の手続きは済ませて来た。」

 

 

黒森峰の隊長であるまほと、副隊長の凛だ。

短期転校と言う裏技中の裏技を使って大洗の生徒となり、試合開始の土壇場で助っ人に駆けつけたのだ。――しかもよく見れば、戦車に施された黒森峰の校章を消し、大洗女子学園の校章を上書きする徹底ぶりだ。

この予想外の事態に、誰よりも驚いたのは大洗女子学園を廃校にしたくて仕方ない、文科省特別顧問の白神だ。

 

 

「短期転校は兎も角、戦車まで持って来るのは違反ではないのか?」

 

「私物なんじゃないですか?私物を持って来ちゃだめってルールはないですよね?」

 

「卑怯だぞ!」

 

 

すぐさま、隣に座っていた児玉理事長に噛みつくが、児玉はそんな事には全く動じず、涼しい顔で対応する――戦車道連盟の理事長としても、大洗女子学園の廃校には思う所があるのだろう。

戦車まで持って来た事に、白神は『卑怯だ』と言うが……『卑怯だと?お前が言うなよお前がよ。』である。

 

 

「お姉ちゃん!来てくれたんだ……!」

 

「妹を助けない姉は居ないだろう?そして、私達だけじゃない。」

 

 

其れは兎も角、予想してなかった援軍に驚くみほだが、まほは自分達だけではないと言って視線を移す――と其処には……

 

 

「ハァイ!私達も転校して来たわ!!」

 

「助けに来たわよみほ。」

 

「此処からは味方だから、覚悟なさい大学選抜!」

 

 

2輌のシャーマンと、1輌のファイアフライ――サンダースからの援軍が!しかも、隊長のケイだけでなく、副隊長のナオミとアリサも一緒と言う豪華極まりないメンバーでの参戦だ。

 

 

「黒森峰とサンダースが!此れは何とかなるかも知れないであります!!」

 

 

高校戦車道4強の内の2校が援軍に来てくれた事に興奮する優花里だが、マダマダ援軍は此れだけではない。

 

 

「みほさーん!助っ人に来ちゃいましたわよ~~~!!!」

 

「此の制服も悪くないけれど、試合の時は何時ものタンクジャケットに着替えましょう。」

 

「なら、何で着たんですか?」

 

「皆、着てみたかったんだって。」

 

 

ローズヒップのクルセイダーを先頭に聖グロの助っ人部隊が現れれば――

 

 

「あぁ、もう遅れちゃったじゃない!!一番乗りしたかったのに!!」

 

「楽しみ過ぎて寝る事が出来なかったのが敗因ですねカチューシャ?」

 

「仕方ないじゃないノンナ!ミホーシャと同じチームで戦えるのよ?其れを楽しみに思わないで、何を楽しみにしろって言うのよ!!」

 

「みほさんと同じチームで戦える事が楽しみだと言う事に関しては否定しませんが、眠れなくなるほどではありませんね。」

 

「煩いわよノンナ!」

 

 

毎度お馴染みなやり取りをしながらプラウダの援軍が到着し、

 

 

 

「継続学園から転校して来ました。今日は宜しくお願いします。

 ……其れにしても珍しいね?ミカなら、助っ人に行くのをもう少し渋ると思ったんだけど?」

 

「助けるに値する相手なら、私は助っ人に向かうよアキ――みほさんの戦車道は、潰えさせるには惜しすぎる……否、日本戦車道における最大の損失だって言えるからね。

 其れを守る為に、私は風に流されて来たのさ。」

 

「随分と都合のいい風があったもんだな?ま、今回ばかりはミカに同意だけどな。」

 

 

継続のミカとアキとミッコが何時ものやり取りをしながら参戦し、この時点で大洗のチームの戦車は22輌まで増えたが、マダマダ援軍は終わらないのだ。

 

 

「は~っはっは!大洗の諸君!ノリと勢いとパスタの国から、ドゥーチェアンチョビの参戦だ、恐れ入れぇ!!」

 

「大洗のたかちゃん、助けに来たよ!」

 

「みほーーー!助けに来たぜ!!」

 

 

 

「ペパロニさん!」

 

「ひなちゃん!!」

 

 

続いて参戦して来たのはアンツィオだ。

戦力的には決して強くないが、サンダースや聖グロと違い、みほだけでなくカエサルとも交流のある生徒が居ると言うのは大きい――ならば、連携が巧い具合に繋げる事が出来るかも知れないからだ。

更に……

 

 

「助太刀に参りましたわみほさん!!マジノ学園戦車隊隊長エクレール……試合に参加させて頂きますわ!!」

 

 

マジノ学園のエクレールが、フランスの最強戦車であるARL-44と共に現れる。

パーシングをも上回るパンチ力を持つARL-44の参戦は実にありがたい事だろう。

 

 

「昨日の友は今日の盟友!知波単学園、鉄の獅子20輌到着いたしました!!」

 

「西さん、援軍は全部で20輌。貴女の所は3輌よ。」

 

「はっ!心得違いをしておりました!17輌はその場で待機!!」

 

 

加えて知波単学園から3輌が追加され、大洗女子学園の最終オーダーは――

 

 

パンターG型×3(アイスブルーカラーは隊長車)

Ⅲ号戦車J型改(副隊長車、L型仕様)×1

ティーガーⅡ×1

Ⅳ号戦車D型改(H型仕様)×1

Ⅲ号突撃砲F型改(G型仕様)×1

クルセイダーMk.Ⅱ×1

38(t)改(ヘッツァー仕様)×1

ルノーR35改(R40型仕様)×1

ソミュアS35×1

ポルシェティーガー×1

ティーガーⅠ×2

チャーチル歩兵戦車Mk.Ⅶ×1

マチルダⅡ歩兵戦車Mk.Ⅲ/Ⅳ×1

クルセイダーMk.Ⅲ×1

M4シャーマン×2

シャーマン・ファイアフライ×1

T-34/76×1

T-34/85×1

IS-2×1

KV-2×1

BT-42突撃砲×1

CV-33型快速戦車×1

ARL-44×1

九七式中戦車×2

九五式軽戦車×1

 

となっていた。

何とも多国籍な戦車だが、援軍としては充分過ぎる――が、援軍は何も戦車だけではない。

 

 

「頑張れ大洗女子学園!!大会覇者の意地を見せてやれ~~~!!」

 

「貴女達が廃校になったら、優勝校を倒すって言う私達の目標がなくなっちゃうんだから、絶対に勝って!大人の汚い陰謀なんかに負けるな!」

 

「試合ではガチンコでやっても、試合が終われば戦車の仲間よ!

 今回は、敵も味方も関係ない!高校戦車道の誇りを守る意味でも、私達は貴女達を応援させて貰うわ!大洗ファイトーー!!」

 

「「「「「Go、Go大洗!!Go、Go大洗!!Go、Go、Let's Go Fight オーーーーーーーー!」」」」」

 

 

観客席では全国大会に出場した全ての学園が大洗の応援に駆け付け、更には全国大会で優勝する程の実力を持つ、サンダースのチア部が応援に参加し、大洗の応援を盛り上げる。

そしてそうなれば、この人が黙ってる筈がない訳で……

 

 

「ガッデーム!!アイアム、チョーノ!!

 オラァ、大洗の応援に此れだけの人が集まってくれたんだ、声出せ声!好子さん、アンタからも何か言ってくれ!」

 

「応援の迫力で、現役女子高生に負けてんじゃねぇぞ!テメェ等プロレスラーだろ!気合入れろ気合いをよ!!!」

 

 

黒いカリスマが吠えれば、なんでか参加してる好子さんもnOsの面子を鼓舞し、其の効果もあって一気に大洗の応援は熱を帯びて行く――戦いの場は北海道であるにも拘らず、フィールドの空気は完全に大洗のホームゲームと言う感じになって来たのだ。

ダージリンの狙いは大当たりだったと言う所だろう。

 

 

「皆……」

 

「其れとみほ、お前に手紙が届いていた。

 大洗が廃校になったせいで実家の方に届いたらしい。」

 

 

この応援にも感激するみほに、まほは1通の手紙を渡す。

その手紙を受け取ったみほは、封を開け、手紙の内容を読んで驚いた。

 

 

『みほへ。

 まほさんから、貴女が今とても大変な状況になっていると言う事を聞きました……本当なら、私も援軍として駆けつけたい、其れが出来ずとも客席で応援したいけれど、私が留学してる学園の学園艦は、遥か太平洋を航行中で、何方も出来そうにありません。

 だから、せめて手紙を送ります。 

 厳しい戦いだって言うのは分かり切ってるけど、貴女なら誰が相手だって勝てると、私は信じています――だって貴女は、殆ど素人の集団と言っても過言じゃない大洗女子学園を優勝させたんだもの。

 試合其の物はネット動画でしか見てないけど、あの試合は見事でした……アレが、貴女の戦車道なんですね?とても、みほらしいと思う。

 貴女が見つけた貴女の戦車道を貫けば、きっと勝てると思う――だから、頑張れみほ。

 試合会場からは遠く離れた場所からではあるけど、貴女の事を応援しているわ。

 

 遥か太平洋から信愛を込めて――中須賀エミ』

 

「エミちゃん?」

 

 

その手紙の差出人は、小学校の頃の友達である中須賀エミからだった。

時には衝突しながらも、戦車道を通じて親友となった、みほの一番最初の戦車道での親友が応援のメッセージをくれた事に、みほの感情は遂に決壊し、その瞳から歓喜の涙が零れる。

これ程までに自分達の事を応援してくれる人が居ると言う事に、感激しない方がおかしいだろう。

 

だが、其れでも空気を読まない奴と言うのは存在するものだ。

 

 

「試合前の助っ人は違反じゃないのか!!」

 

 

其れは言うまでもなく白神。

大洗を廃校にしたくて仕方ない者からすれば、此の援軍は認める事の出来ないモノだ。大洗を廃校にしたくて仕方ない者からすれば、此の援軍は認める事の出来ないモノだ。大事な事なので2度言いました。

 

 

「其れに異議を唱える事が出来るのは、相手チームの隊長だけです。」

 

 

審判長の蝶野亜美は、涼しい顔で其れを聞き流し、大学選抜チームの愛里寿に『如何するの?』と言わんばかりの視線を向ける――少しばかり挑発的な視線が混じってるのは、『島田流の跡継ぎが異を唱えたりしないでしょ?』と言った意味合いがあるのかも知れない。

 

 

「構いません。受けて立ちます。」

 

 

その視線を受けた愛里寿もまた、ひるむ事無く大洗の援軍を是とし、みほに右手を差し出す――試合前の握手と言う事だろう。

 

 

「貴女の事は姉様とお母さまから聞いてる……良い試合にしましょう、西住みほさん。」

 

「うん……最高の試合をしよう愛里寿ちゃん。」

 

 

涙を拭ったみほは、差し出された右手をガッチリと掴んで試合前の握手。

 

 

「其れでは改めて、此れより大洗女子学園と大学選抜チームによる試合を開始する!お互いに、礼!!」

 

「「「「よろしくお願いします!!!」」」」

 

 

そして、改めて蝶野亜美の号令をもって試合開始が告げられた。

大洗女子学園――否、高校選抜と言っても過言ではない大洗連合軍と大学選抜チームの試合の火蓋は、此処に斬って落とされたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

あはは……まさか、お姉ちゃんをはじめとして、此れだけの援軍が来てくれるとは思わなかったよ――でも、これで数は対等になったから、考えた作戦の幾つかは不要になったかな?

試合開始前のブリーフィングで、新たな作戦が出来るかも知れないけどね。

 

 

 

「西住殿!」

 

「如何したの優花里さん?何かあった?」

 

「はい!とても重要な事です!!」

 

「とても重要な事?何かあった?」

 

「あのですね西住殿……此の試合は、全国大会以上に勝たねばならない試合であります――なので、あんこうチームは、武部殿を残して全員パンターからは降りるであります!!」

 

「……はい?」

 

ちょ、ちょっと待ってよ優花里さん!

確かにこの試合は絶対に負ける事は出来ないけど、だからってなんで沙織さん以外のメンバーがパンターから降りるって言う事になるの!?

って言うかそんな事になったらパンターを動かす事が出来ないんだけど!?

 

 

 

「だから、パンターにはアタシ等が乗るぜみほ。」

 

「マッタク、行き成りパンターに乗ってくれって言うんだから驚いたわ。」

 

「久しぶりのパンターの操縦士、腕が鳴りますわ!!!」

 

「ペパロニさん、ナオミさん、ローズヒップさん!?」

 

優花里さん、まさか!!

 

 

 

「そのまさかであります。

 確かに我々大洗は、この短期間に目を見張る程の成長を遂げましたが、パンターの運用に関しては、僅か3ヶ月ちょいの我々よりも、中学で3年間も西住殿とパンターで戦っていたナオミ殿達の方が上だと思いましたので、パンターのクルーになってくれるようにお願いしたのです。

 其れに、中学戦車道の伝説となっているアイスブルーのパンターを完全復活させるのも良いと思いましたので。」

 

「でも、それで良いの優花里さん、華さん、麻子さん?」

 

「良いも悪いもないであります!大洗がなくなってしまっては駄目です!その為ならば、他のチームへのコンバートなど些細な事です!」

 

「ファイアフライは、中々に刺激的な砲撃が出来そうなので楽しみです。」

 

「クルセイダーは扱い辛そうだが、だからこそやりがいもあるってモンだ――私達の事は気にせず、西住さんは西住さんのやりたいようにやってくれ……そっちの方が私達もやり易いからな。」

 

 

 

麻子さん……そうだね。

だけどまさか、此の試合で中学時代の青パンターチームが再結成されるとは思わなかったよ――でも、アイスブルーのパンターに原初のメンバーが搭乗した以上は負けは絶対に有り得ない!!

行こう、ペパロニさん、ナオミさん、ローズヒップさん!!

 

 

 

「ペパロニじゃねぇ……今のアタシは青パンターの装填士の辛唐青子だ!!」

 

「同じく砲手の吉良ナオミよ。」

 

「操縦士の野薔薇つぼみです事よ!!」

 

「つぼみ、口調が戻ってねぇぞ?」

 

「お~っほっほ、2年も聖グロにいた事で、此の話し方がすっかり地になっちまってんですのよ青子さん!!」

 

 

 

アハハ、つぼみさんは何と言うか……でも、夫々のソウルネームじゃないって言うのなら、本当にあの頃のチームが再結成されたって事だね?

まさか、あのチームがこんな形で再結成されるとは思っても居なかったけど、この再結成のおかげで私の不安要素は全て消し飛んだ――この面子が揃ったら絶対に負けないって言えるからね。

期せずして再結成された伝説とも言われている青パンターチーム――其の力、久々に振るわせて貰うよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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