ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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本番は此処から……気合は充分?Byみほ        誰に物を言ってるの?10年分の気合を貯蔵して来たわ!Byエリカ      戦闘力のインフレが始まったみたいですBy小梅


Panzer159『此処からが本当の大学選抜戦です』

Side:みほ

 

 

カールを撃破した後に、一度全車輌が合流して、目指すは遊園地の跡地――あそこなら、疑似的にだけど私の得意な市街地戦を行う事が出来るから、私にとっては最高のフィールドだよ。

どんなフィールドでも負ける心算は無いけど、市街地戦こそが私の力を120%発揮できるフィールドだからね。

 

 

 

「何を言ってるんですか西住隊長?市街地戦で発揮される隊長の力は200%オーバーですよ?

 隊長の一番弟子である私が言うんだから間違いありません。

 下手したら、400%オーバーの可能性すらありますから!……結論として、隻腕の軍神は市街地戦無敗なんです!」

 

「うん、少し落ち着こうか梓ちゃん。」

 

でも、梓ちゃんが市街地線における私の力が最大で4倍を超えるて言ってくれたのは、ちょっと自信になったかな?……頼れる副隊長が、そう言ってくれたのなら、きっとそれは正しい事だろうからね。

そして、私は其れを正しい事とする義務が有るからね!!

 

 

 

「ま、そうなるわね。

 所でみほ、私は何時まで鎖に繋がれていればいいのかしら?」

 

 

 

そして、其れとは別にエリカさんの事も有ったね……お姉ちゃんのひまわり小隊に組み込んだエリカさんだけど、ソロソロ鎖に繋がれてるのは限界が来てるみたいだね?

だけどもう少しだけ我慢してくれるかな?――遊園地に着いたら、その鎖は外してあげるから。

 

 

 

「約束よみほ。」

 

「うん、約束だよ。」

 

って言うか、エリカさんの鎖を外さない選択肢は無いからね?

私達が目的地に到達したその瞬間に、銀狼の動きを制限していた鎖を取り払う――果たして、鎖から解き放たれたエリカさんを相手に大学選抜が何処までやれるか見せて貰うよ?

大洗の狂犬と化したエリカさんは、並の戦車乗りじゃ相手にならないからね。

取り敢えず今は遊園地に……愛里寿ちゃんも、あそこなら私の十八番の市街地戦が出来ると分かってるだろうけど、先に遊園地に入って、其処から動かなければ、否が応でも遊園地に来ざるを得ないからね。

 

 

 

「最初のフィールドで此方に致命的な損害を与える事が出来ずに、遊園地での市街地戦に持ち込まれた……プライドの高い大学選抜の隊員からしたら、相当に悔しい結果なのではないでしょうか?

 加えて、みほさんの事を知っているのならば市街地戦での強さも分かっている筈ですから。」

 

「プライドに傷が付いたのは確かだと思うよ小梅さん。

 加えて、カールを撃破する為に天城さんとアールグレイさんが反旗を翻した後に棄権したって言う事も、結構ショッキングだったと思うから、可成りメンタル面でのダメージは大きいと思う。」

 

尤も、愛里寿ちゃんは動揺してないと思うけどね。

何にしても、次のフィールドは私の最も得意な戦い方が出来る場所――大学選抜には、もう1輌正体不明のシークレットが存在してるけど、この際どんな戦車が出て来た所で敵じゃない……纏めて撃破するだけだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer159

『此処からが本当の大学選抜戦です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊園地跡地までは問題なく到着する事が出来たけれど、此処で大学選抜を迎え撃つ為には入り口での防衛線が重要になって来るかな?

中に入れるのが目的とは言え、何もしないで『ハイどうぞ』って言う訳には行かないからね……さて、部隊を如何分けたモノだろうね此れは?

ミカさん、何かアイディアはありませんか?

 

 

 

「私に意見を求める理由が分からないな?」

 

「いえ、分かってますよね普通に?

 最大限ぶっちゃけて言わせて貰うなら、愛里寿ちゃんだったらこの状況でどんな感じで来ると思いますか、愛里寿ちゃんのお姉さんである島田美佳さん?」

 

「へ?ミカさんって島田流の人なの!?」

 

「……私の正体を明かす事に意味があるとは思えない。」

 

 

 

継続高校隊長、通称『名無しのミカ』こと島田美佳さん……類稀なる力を持った戦車乗りで、中学時代には私率いる明光大と激戦を繰り広げた人。

戦車乗りとしての実力は確かで、恐らく黒森峰以外の学校だったら間違いなく何処でも隊長になれるだけの実力者なんだけど、性格は自由奔放な上に、言動は素直じゃない、ともすればひねくれ者と取られかねない位に特殊で、序に割と周囲を巻き込む困ったさん。

あと、そうは見えないかも知れないけど多分若干シスコンの気あり。

 

 

 

「みほさん、その辺で勘弁して貰えるかな?……と言うか、なんで私がシスコンだと思うんだい?」

 

「若干お姉ちゃんと同じニオイを感じました。」

 

「この場合、まほさんと同じと言うのを喜ぶべきなのか嘆くべきなのか悩むところだね……まぁ、今は其れに言及してる場合じゃないか。

 そうだねみほさん?あくまでも私の知ってる範囲の愛里寿ならば、恐らくだが裏の裏の裏で――南正門入り口から来ると見せかけて東西どちらかの通用門からと思わせておいての南正門入り口ルートで来る筈だよ。

 私が島田の家に居た頃に、何度も愛里寿に『裏の裏のそのまた裏』と言った戦術を見せているからね。

 只、此れはあくまでも可能性の話であり、私が家を出た後の愛里寿ならば私の予想を超えて来る可能性は充分にある――妹自慢じゃないけれど、あの子は間違い無く島田流始まって以来の天才だよ。」

 

「其れならば、みほもまた西住流始まって以来の天才だな。」

 

 

 

……お姉ちゃん、其処は張り合わなくて良いから。

でも、そうなると結局は出たとこ勝負って事になる訳か……仕方ない、元々市街地戦は局地戦闘になる訳だから、適当に散開して相手の出方に合わせて仕掛けて行く事にしましょう。

 

 

 

「其れなんだがみほ、私等に独立行動許してくれないか?」

 

「アンチョビさん?独立行動って、何をする心算ですか?」

 

「なに、遊園地って特殊な場所を最大限生かしてやろうと思ってな?

 CV-33でジェットコースターの最上部にまで登ってGPSの役目をしてやろうかと――大学選抜が、各車両の位置を把握できるGPS機能付きタブレットを使ってるのに、こっちには其れが無いって言うのは不公平だからな。」

 

「成程、そう言う事ですか。」

 

確かに高所から広範囲を見渡す事が出来れば、戦局も良く分かるから指示も出しやすいからね……分かりました、お願いしますアンチョビさん!!

 

 

 

「任せておけ!フィールドの全ての状況を詳細に報告してやる!」

 

「安斎のGPSか……これ以上に頼りになるGPSもあるまい。」

 

 

 

マッタクだね。

其れじゃあ、アンチョビさんからの報告を基に作戦を考えて行くとして……其れとは別に、エリカさん、戦闘が始まったら好きなようにやって良いよ。

銀の猟犬は、ソロソロその牙で血を吸いたい所でしょ?

 

 

 

「えぇ、勿論よ……その言葉を待っていたわみほ!

 だけど、首輪を外された猟犬は狂犬となって、敵や獲物と認識した相手には容赦なく襲い掛かって喰い殺す……隊長の島田愛里寿はみほに譲るけど、他の連中は軒並み喰い殺してやろうじゃない!!」

 

 

 

……瞳をぎらつかせ、犬歯をむき出しにした獰猛で凶暴な笑みを浮かべるエリカさんは凄く迫力があるねうん。――このエリカさんと相対したら並の戦車乗りなら敵前逃亡するかもだよ。

でも、こうなった以上、エリカさんは止まらない……例え履帯を切られても、相手を道連れにする位の事は平然とするだろうからね。

準備は出来た――後は、愛里寿ちゃんが如何出て来るかだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

カールが撃破され、大洗連合が遊園地跡地に向かっているという事は、直ぐに大学選抜の隊長である愛里寿にも伝わっていた。――本来ならば、態々みほの得意な市街地戦に付き合う必要は無いのだが、大洗連合が先行している今、遊園地跡地に入るのを止める事は出来ない。

カールが健在だったならば、阻止も出来ただろうが、撃破された今では其れも不可能だ……尤も、カールが健在であっても愛里寿はそんな命令は下さなかっただろうが。

 

 

「遊園地の跡地……疑似的に市街地戦が出来る場所、か。……此処は行くべきよね。」

 

 

此の報告を聞いた愛里寿は、暫し考えた後に遊園地跡地での戦いに、みほの策に敢えて乗る事にしたようだ。

此れは偏に、戦車乗りとしての血が騒いだとしか言いようがない――隻腕の軍神として名を馳せているみほの十八番である市街地戦……其れが如何程のモノかを直に見たくなったのだろう。

 

 

「全車輌遊園地跡地に向かえ。

 但し、真面に行っても向こうの思う壺だ。細工をするのを忘れるな。」

 

『了解!』

 

 

だが、だからと言って真っ向から挑むのは愚の骨頂!

愛里寿は裏門が本命だと思わせろとの命令を下し、部隊を動かして行く――この辺りの冷静さは、流石若干13歳で大学選抜チームの隊長になった島田流始まって以来の天才児と言った所だ。

愛里寿の実力は、今の日本で5本の指に入ると言っても過言ではない。

 

が、相手は隻腕の軍神――世界で5本の指に入ると噂されている戦車乗りである事を忘れてはいけない。

 

 

「こちらみほ。アンチョビさん、大学選抜の姿は確認できましたか?」

 

『え~とだな……おぉ、来たぞ!パーシング2輌を先頭に、派手に土煙あげながら東通用門の方に向かってるな?

 土煙の量からすると、恐らく戦力の殆どが東通用門の方に集められたと見て間違いない――と言う所だが、さっきのミカの話を考えると、あの派手な土煙は多分煙幕。ありゃ、陽動だな。』

 

「了解しましたアンチョビさん。

 お姉ちゃん、近坂さん、ダージリンさん、ノンナさんとカチューシャさんは東通用門に!ケイさん、西さん、エクレールさん、華さんは西側通用門に!

 エリカさんと小梅さんと梓ちゃんを除いた残りは、全て南正門入り口に!」

 

「みほ、本隊と別動隊の指揮系統は如何する?」

 

「私が大隊長と言うのは形の上では残しますが、最高指揮権を各校の隊長に分配します。

 今でこそチーム分けをしましたが、遊園地での戦闘が始まれば局地戦になって、今のチーム分けは意味をなさなくなるので、その時々のチームで好きなようにやって下さい。

 その際、隊長と同じチームになった場合には隊長の指示を最優先に!」

 

「大胆な作戦ですわねみほさん……ですが、その大胆さこそがみほさんの戦車道。

 それでいながら、臨機応変さも併せ持っているのだから、みほさんの戦車道は正に水……時には激流となって全てを飲み込み、時には静かに衝撃を吸収してしまう――捉えどころがありませんわ。」

 

 

アンチョビからの報告を受けたみほは、すぐさま部隊編成をして大学選抜チームの迎撃態勢を整える――そのスピードたるや、プロチームですら遥かに凌駕しているのだから恐ろしい。

そしてその指示とは別に……

 

 

「エリカさんは好きなようにして。……お腹が膨れるまで食べて良いよ。」

 

「ククク……其れは、最高の指示だわみほ。」

 

 

此処でエリカを完全に野に放つ。

こうなった以上、最早エリカの凶暴性を抑えるモノは何もなく、敵は噛み殺す!喰い殺す!!……銀の狂犬が完全開放されたというのは大学選抜にとっては悪夢でしかないだろう。

その悪夢を味わうのは此れからなのだが。

 

 

「梓ちゃんと小梅さんは高台の観覧車の方に向かってくれるかな?――私の勘が、其処に2人を向かわせるべきだって告げてるから。」

 

「西住隊長の勘がそう言うのなら、其れには従うが吉ですね……了解しました。」

 

「みほさんの直感はスーパーコンピューターの予測以上ですからね……了解しました、赤星小梅、澤梓副隊長と共に観覧車に向かいます。」

 

 

更にそれだけでなく、梓と小梅を直接的な戦闘には関係のない観覧車の丘に向かわせる――一見すると意味のない命令かも知れないが、梓も小梅も、みほの戦い方を知ってるから異を唱える様な無粋な真似はしない。

みほの事だから、必ず自分達を向かわせた意味があると、そう思っているからだ。

 

ともあれ此れで部隊配置は完了。

あとは大学選抜を待つばかりなのだが……

 

 

 

「へ?パーシングが3輌だけ!?」

 

 

南正面入り口で陣を構えていたみほの前に現れたのは、パーシングが3輌のみ!冗談ではなく、本気でパーシングが3輌しか現れなかった。

まだ、目視できる段階とは言え、此れは流石に予想外だろう――ミカの予想が正しければ、裏の裏の裏で南正面入り口から来ると言うのが正解なのだから。

だからこそ、嫌な予感がみほの中を駆け巡った。

 

 

「こちらみほ!お姉ちゃん、ケイさん、状況報告をお願いします!!」

 

『此方ケイ。西側通用門にパーシング2輌、チャーフィー1輌を確認したわ。』

 

『此方まほ……オイ、此れは何の冗談だ?

 南側通用門にはパーシングが13輌向かってきているぞ?』

 

 

即座に状況報告をした事で、その嫌な予感は確信に変わった――ミカの言った『裏の裏の裏』の上を行く『裏の裏の裏の裏』とも言うべき事を愛里寿はやったのだ。

みほがミカに助言を求めたのに対し、愛里寿は姉であるミカが大洗連合に居るのならばと考え、ミカの予想の上を行く作戦を立てたのである。

 

 

「やられた……ミカさんがこっちに居る事を逆手に取られた!

 でも、こうなっちゃったことは仕方ない!私とルクリリさんとアリサさん以外は、全て東側通用門に向かって下さい!!」

 

 

だが、其処はみほ。

すぐさま自分の部隊を再編成し、東側の通用門に援軍を送る――遊園地内に大学選抜チームが入って来ていない今ならば、援軍をスムーズに送る事が出来るのだから、この判断はベターだろう。

此れだけを見るのならば、みほとルクリリとアリサでパーシング3輌を迎え撃つ事になるのだが……果たしてみほが馬鹿正直に3輌のパーシングと遣り合ったりするだろうか?

 

 

「ルクリリさん、アリサさん……やっちゃってください。」

 

「了解!此れでも喰らえ!!」

 

「隻腕の軍神の恐ろしさ、其の身で味わいなさい。」

 

 

答えは否!断じて否!!

みほの命を受けたルクリリとアリサは、夫々発煙筒と閃光弾を投げ、スモークに閃光を混ぜた強烈な目暗ましを発生させる……若干反則かも知れないが、発煙筒も閃光弾も、緊急時の連絡手段として戦車に搭載する事が義務付けられているモノだから、其れを使った所で全然問題はない。

そもそもにして、難癖付けて来るのなら、違法改造カール使ってたお前等が言うなだ。

 

詰まるところ、自分とルクリリとアリサ以外を先に離脱させたのも、自分達が迎え撃つと思わせる為のみほの罠だったという事だ。

 

とは言え、最速で向かった所で遊園地内には様々な遊具や施設がある為、移動には時間がかかる――其れはつまり、東側通用門の部隊が劣勢になるのは避けられないという事だ。

 

 

「く……此のままでは全滅する――仕方ない、撤退するぞ!本隊と合流して体勢を立て直す!」

 

「仕方ありませんわね……今は其れが上策ですわ。」

 

 

実際に、東側通用門では5対13と言う圧倒的な戦力の前に、まほですら撤退を余儀なくされていた――西住流の理念には反する撤退とも思うだろうが、この場では西住流の理念よりも勝利を優先し、勝つための戦略的撤退を選んだという所だろう。

 

 

そして、西側通用門では……

 

 

 

「Welcome!今よ、キヌヨ、エクレール、ハナ!!」

 

「これぞ戦車の華!やらせて頂きます!!」

 

「優雅とは言い難い戦い方ですが、此れも勝利の為ならば受け入れますわ。」

 

「花を生ける時の様に集中して……撃ちます!!」

 

 

ケイ率いる部隊がゲリラ戦を展開して、パーシング2輌を撃破!!――惜しくもチャーフィーには、そのフットワークの良さから逃げられてしまったものの、此れで大洗と大学選抜チームの車輌差は8輌になり、俄然大洗が有利になったと言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

だが、そう巧く行かないのが試合と言うモノだ。

東側通用門から撤退したまほ達は、みほ達と合流し、大学選抜と戦車戦を行っていたのだが、まほが撤退戦を行っていた事で受け身の戦いとなってしまい……

 

 

 

「あぁ、ダメだ!そっちはダメだ!!」

 

 

 

ジェットコースター上のアンチョビの叫びもむなしく、大洗連合の大半は、野外音楽堂付近で包囲される結果となってしまった――窪んだ地形に集結したエリカと小梅と梓を除く大洗の部隊と、其れを上から狙う大学選抜チーム。

状況だけ見れば最悪極まりないだろう。

 

 

「アラアラ如何やらここまでの様ね?」

 

「高校生相手に、心が痛むわ。」

 

「まぁ、此れが実力差と言う事だ。

 カールの撃破には驚かされたけれど、如何やら快進撃は終わりみたいだな?」

 

 

この状況に『勝ち』を確信し、大学選抜の中隊長であるアズミ、メグミ、ルミの3人は余裕の態度をとって見せるが、この状況下にあっても尚みほの目から闘志の炎は消えていない。

其れと同時に、みほの口元には僅かではあるが笑みが浮かんでた事には、誰も気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:梓

 

 

西住隊長の命令で、私のウサギチームと赤星先輩のオオワシチームは観覧車のある高台までやって来たんだけど……此処に到着すると同時に、西住隊長達が大学選抜チームに包囲されて絶体絶命の大ピンチ状態になってるって、一体何が起きたの!?

あの包囲から抜け出るのは、如何に西住隊長でも難しいよ……此のままじゃ、西住隊長達がやられちゃいますよ赤星先輩!!

 

 

 

「其れは分かってます……でも、だからと言って何を如何すれば良いのか――何か作戦は無いんですか副隊長!!」

 

「此処で私に丸投げしますか普通!?」

 

「みほさんの後継者である梓さんと、一隊員に過ぎない私とでは格が違うんですよ格が!分かり易く言うなら、梓さんはブラック・マジシャンで、私はブラック・マジシャン・ガールなんです!!」

 

 

 

サラリと遊戯王のアイドルモンスターを持ってくのは流石だと思います赤星先輩!

だけど、現実問題としてこの状況を如何した物かな?――って何を見てるの紗希?蝶々とか蝶野は今はいらないからね?

 

 

 

「……観覧車。」

 

 

 

と思ったんだけど、紗希から返って来たのは予想外の『観覧車』……成程、運用が停止された観覧車を使う事自体は違法じゃないし、此れだけのモノを使うって言うのはインパクトも大きいからね。

赤星先輩!!

 

 

 

「了解しましたよ梓さん……やってしまいましょう!!」

 

「ですよね!!……此れより、ミフネ作戦を開始します!!」

 

作戦開始と同時に、Ⅲ号とⅣ号の主砲が火を噴いて、観覧車のゴンドラを支えている支柱を破壊し、其処からゴンドラを搭載した円盤が落下し、そのまま坂道を爆走!

リアルパンジャンドラムって言う所だけど、この一発は絶対に隊長達の窮地を救ってくれる――私はそう信じてるから。

何よりも、西住隊長が『追い込まれて撃破された』なんて事があって良い筈がないからね……西住隊長達を追い込んだ心算かも知れないけど、其れは、幻想だったって事を認識して貰いますよ?

 

追い込んでいたと思っていたのは貴女達の方で、実際に追い込んでいたのは私達なのですから――そして、此れがファイナルラウンドのゴングに他ならない。

ファイナルラウンド、勝たせて貰うから覚悟しておいてください……此の観覧車の一件で、西住隊長の鬼神が目を覚ますのは確定ですから。

 

だから、向かってくるものは最優先で排除する!!……其れが、私の仕事だからね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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