ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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遂に160話まで来たよ!!Byみほ        でも、ここで終わりじゃないわ!Byエリカ      目指せ200話ですね♪By小梅


Panzer160『大学選抜!粉砕!玉砕!大喝采です!』

Side:みほ

 

 

野外音楽堂前で包囲されて、状況だけを見れば絶体絶命なのは間違いない――だけど、本当は絶体絶命じゃないんだよね此れは……だって、此の状況もまた、私の計算の上だったんだから。

まぁ、其れを悟られる訳には行かないから、表面上は焦っている演技をしてるけどね。

 

 

 

「さぁて、完全に包囲したから逃げ場はないわ……最後に言いたい事があるのなら聞いてあげるわよ?」

 

「これ以上は無意味だ、大人しく降伏しろ。」

 

「素直に負けを認めるのも、一流の証じゃない?」

 

 

 

でも、其の効果はあったみたいで、大学選抜の副長トリオ、通称バミューダ3姉妹は降伏勧告をして来たか……確かに、降伏って言うのも一つの手だとは思うけれど、私達は絶対に退かないから降伏はあり得ない。

 

其れに、未だ勝負は決まった訳じゃない――!!

 

 

 

「強がるのは良いけれど、追い詰められているのは事実……諦めて降伏しなさいな。」

 

「断ります――其れに気付かないんですか?大洗連合の残存車輌と、今此処に集結してる戦車では数が異なっている事に――さて、足りない戦車は、今どこで何をしてるんでしょうね?」

 

「え?……まさか!!」

 

 

 

そのまさかですよ。

梓ちゃんと小梅さんとエリカさんは、此処には居ない――つまり、自由な戦力として存在しています……そして、彼女達が選んだ一手が大洗の逆転の一手になると断言するよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer160

『大学選抜!粉砕!玉砕!大喝采です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処に居ない連中が、逆転の一手になる、ですって?」

 

「その通り!そして、その一手は既に打たれた!

 私は手札から『超巨大パンジャンドラム』を召喚!!」

 

「へ?」

 

 

――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 

超巨大パンジャンドラム(観覧車):ATK3000

 

 

「「「なんだとぉぉぉぉ!?」」」

 

 

 

うん、まぁ此れには驚くよね普通に。

私の勘が、梓ちゃんと小梅さんを観覧車の丘に向かわせたけど、成程こう来るとは私の勘も結構冴えてた訳だ……にしても観覧車を転がすだなんて、随分思い切った作戦を思いついたものだよ。

 

 

 

「思い付いたのは間違い無く澤でしょうね。隻腕の軍神の一番弟子はやっぱり違うわ。」

 

「あ、其れって私も思ったよ!

 澤ちゃんて、見た目は生真面目な優等生って感じなのに、戦車に乗ると物凄くクレイジーって言うか大胆って言うか、予想もつかない事やるもん!

 きっとあの観覧車も、澤ちゃんの思い付きだよ!」

 

「あはは……まぁ、多分そうなんだろうね。」

 

丘の上から転がって来た観覧車は、ゴンドラを失いながらもその圧倒的な質量で大学選抜に襲い掛かり、更にナオミさんが砲撃で進行方向を調節してくれたおかげで、包囲網に穴が開いた。

だからと言って其処から馬鹿正直に逃げようとしたら的になるだけなんだけど……

 

 

 

「大学選抜、覚悟しなさい!!」

 

「お前、逸見の妹か!!」

 

 

 

此処でエリカさんが大学選抜の包囲網に対して攻撃を行ってくれた事で、一時的に指揮系統が混乱して動きが完全に乱れた――この絶好の好機を逃す手はない!

全車全速離脱!体勢を立て直します!!

 

 

 

「了解した。先ずは私が先行するので、皆は後に付いて来てくれ。」

 

「殿は私が務めますわ。チャーチルの装甲ならばパーシングの砲撃にもある程度耐える事が出来ますから。」

 

 

 

お姉ちゃんを先頭に、ダージリンさんを殿にしてその場から離脱。序に観覧車も並走する形でこの場から離脱。エリカさんは……

 

 

 

「ほらほらほら、虎殺しのパーシングが虎を相手に何をモタモタしてんのかしら?

 ティーガーを倒せるって言うのがパーシングの自慢なんでしょ?……其れとも、ティーガーⅠは倒せても、キングタイガー――虎の王の異名をティーガーⅡを倒す事は出来ないのかしら?

 まぁ、大学選抜に選ばれたって事で満足してる、小母さま方じゃ虎の王を倒す事なんて出来ないでしょうけどね。」

 

「な!もう一遍言ってみなさい!!」

 

「なぁに、聞こえなかったの?加齢性難聴が進行してるんじゃない?」

 

「逸見妹、其処を動くな!!」

 

「動くなと言われて動かない馬鹿が居ますかっての、アバヨとっつぁーん!!」

 

 

 

……毎度お馴染み毒舌八丁の挑発で煽った挙げ句に離脱。しかもその際に、御丁寧に白いハンカチを振ってるんだから、やられた側からしたら腹の立つ事この上ないよねうん。

でも、その挑発はナイスだよエリカさん……逆上して冷静な判断力を奪う事が出来れば、其れだけ此方が有利になるからね。

 

 

 

「相変わらず、挑発をさせたら天下一品ですわね彼女は。

 敵として相対した時には果てしなくムカつく事この上ありませんが、味方である時はとても頼もしく感じますわ……その辺は、流石アールグレイ様の妹と言った所ですわね。」

 

 

 

あはは……ダージリンさんはエリカさんの被害者だったねそう言えば。

だけど、此れで大学選抜の指揮系統は一時的に麻痺らせた――恐らくだけど、愛里寿ちゃんは細かな指示は出さないで、現場での指示は私達に降伏勧告をして来た3人がやってるって感じだったからね。

 

取り敢えず私が演出した窮地とは言え、無事に脱する事が出来たから、此処からは各々散開して局地戦を展開しましょう。――各個撃破を繰り返して愛里寿ちゃんを戦場に引き摺り出します!

 

 

 

「愛里寿を引き摺り出すか……其れが目的なら、各個撃破を繰り返す必要はないよみほさん。

 私が出張れば愛里寿を戦場に引き摺り出すのは容易い事だ……だから、その役目は私に任せて貰えないかな?」

 

「ミカさん……分かりました、お願いします。」

 

「ふふ、任されたよ。

 西住のスーパーセルと、島田のハリケーン……2つの激しい風がぶつかったらどうなるのか、とても楽しみだ。」

 

 

 

スーパーセルとハリケーンじゃ、そもそも比較にならないって言うのは言っちゃダメなんだろうねきっと。

其れは其れとして、流石に丘を転がって来た惰力で進んでいた観覧車はそろそろ限界みたいだね?……大洗連合の31輌目のシークレット、見事な活躍だったよ。

 

 

 

「あら、そろそろお疲れの様ね観覧車さん?」

 

「助かったよ観覧車先輩!!」

 

「かんちゃん、サンキュー!!」

 

 

 

皆がそれぞれ観覧車にお礼を言った所で、遂に惰力がなくなった観覧車は山型の建物にもたれかかるように倒れてターンエンド。――そして、ここからは私のターン。

行くよ、青子さん、ナオミさん、つぼみさん!!!それから沙織さん!!!

 

 

 

「おうよ!任せとけ!!」

 

「吉良ナオミ、どんな相手でも撃ち抜いてあげるわ。」

 

「お~っほっほ!!やってやりますことよ!!!」

 

「ちょっとみぽりん、私だけおまけっぽくない!?」

 

「其れは気のせいだよ沙織さん。」

 

此方を追い詰めたと思って余裕ぶっこいてくれたけど、その余裕はただの油断だったって言う事を知って貰おうかな?――何よりも、私の戦車道はまだまだこんな物じゃないからね。

 

 

 

「だよな。つー訳で、アタシは手札から魔法カード『軍神招来』を発動!みほの能力を3倍にするぜ!!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「みぽりんの髪が青くなった!?あ、そんな訳ないか。でも、一瞬そう錯覚したよ!」

 

「ついに神を超えたか……流石だなみほ。」

 

「軍神を超えた軍神、正にゴッド軍神ですわ!!」

 

 

 

試合は此処からが本番だから、覚悟しておいた方が良いよ大学選抜――と言うか、高校生だからって見下すの止めないと私達に勝つ事は出来ないよ。

私達の事を侮ってる相手に負けてあげる程、私は優しくないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

観覧車の奇襲で(みほが演出したモノとは言え)窮地を脱出した大洗連合は適当に散開し、散開した先で適当にチームを組んでいた――それだけ聞くと、トンデモない事のように聞こえるのだがテキトウではなく、適当に……その場に適したチームを組んでいたのだ。

その中の1チームは、ダージリンを指揮官とした麻子のクルセイダーと、エクレールのARL-44のチームだ。

防御力のダージリン、攻撃力のエクレール、機動力の麻子が揃ったこのチームのバランスは最高レベルなのは間違いない……其れこそ、ルール違反の戦車が相手でない限りは略勝てるだろう。

 

そんなチームが差し掛かったのは西の通用門付近だ。――其処に、パーシング2輌(うち1輌はメグミ車)が現れた事で、一気に戦闘モードだ。

 

 

「パーシング……最強クラスの攻守の戦車だが、クルセイダーの足には付いて来られまい。

 撹乱して消耗させてやるとするか……適当な所で一発撃って撃破してくれエクレール。」

 

「お任せ下さい冷泉さん。

 1輌でも多く撃破すれば、その分だけ勝利に近付くと言うモノですもの――ダージリン様、サポートを宜しくお願いしますわ。」

 

「任されましたわエクレールさん。

 それにしても、みほさんと同じチームで戦うと言うのが此処まで楽しい物だとは思いませんでしたわ……だからこそ、みほさんの戦車道を潰えさせる事は出来ないのですわ。」

 

 

先程も言ったように、このチームは防御力のダージリン、攻撃力のエクレール、機動力の麻子とキッチリ役割が分かれており、パーシングを撃破出来るのはエクレールの乗るARL-44だけなのだが、なればこそキッチリ役割が分かれているのを生かすのは道理。

クルセイダーの操縦士だが、大洗でピカ一の頭脳を持つ麻子は、2輌のパーシングに対して即座に有効策を思いつき(この作戦立案能力は、みほと同じ戦車に乗っていたら身に付いたと言うのだから驚きだ。)、其れを実行に移そうとしていた。

要するに、クルセイダーの機動力でパーシングを撹乱し、其処をARL-44の主砲で撃破する。チャーチルは、ARL-44の護衛兼盾と言う所だろう。

 

その作戦を実行すべく、麻子はクルセイダーを発進させようとするが……

 

 

「?……麻子さん、お待ちになって。」

 

「何だ、如何したダージリン?」

 

 

寸での所でダージリンが待ったをかけ、麻子の出撃を止める。

当然出鼻を挫かれた形になった麻子は、何事かを問う――ダージリンが無意味に出撃を止めたとは思えなかったと言うのもあるだろう。

 

 

「如何やら、トンデモない隠れ兵が待ち伏せていたようですわ。」

 

 

そしてその答えは門の向こう側から現れた。

漆黒の装甲に身を包み、大口径の超長砲身を備え、4本の履帯を持った異形の戦車――大学選抜の2輌目のシークレット車輌である『T-28重戦車』が現れたのだ。

主砲の口径だけならばARL-44の方が上だが、砲身はT-28重戦車(以下T-28と表記)の方が長いので、射程と貫通力に関してはT-28の方が上であると言えるだろう。

更に防御面に関しても、正面装甲はマウスをも上回る305mm!防盾も292mmと言う化け物の様な防御力まで備えている。

唯一の弱点は重装甲による機動力の低さではあるが、当たれば大洗連合の全ての戦車を撃破可能な主砲は驚異だろう。

 

 

「此れはまた、倒し甲斐のあるデカブツだな?

 コイツを倒したら、ボーナスポイントでも貰えそうな感じだぞ。」

 

「では、確りと倒してボーナスポイントを得るとしましょう。」

 

「相手にとって、不足はありませんわね?」

 

 

だが、だからと言って怯まないのが大洗連合!分厚い装甲?超強力な主砲?其れが如何しただ。

戦車の性能と、隊員の練度だけでは決まらないと証明したのは、他でもない大洗女子学園だ――なればこそ、此処で退く等と言う選択肢は存在せず、T-28の撃破に作戦をシフトする。

圧倒的な火力を備えた敵戦車を生かしておく道理は無いのだから、此れは当然の選択だったと言えるだろう。

 

 

「麻子さん、改めてお願いしますわ。」

 

「おうよ、任せとけ。」

 

 

改めて麻子のクルセイダーが発進し、パーシング2輌とT-28に向かう。

当然相手は撃って来るが、天才的な操縦技術を持つ麻子が操るクルセイダーは砲撃の雨を避けて避けて避けまくる。その回避能力は能力カンストの255であると言っても過言ではないだろう。

 

 

「少しばかり、遊んでもらいますわ。」

 

 

同時に、ダージリンの目に彼女には似つかわしくない剣呑な光が宿る。

其れは、紅茶の園の淑女の中に眠っている戦車乗りとしての凶暴性が目を覚ました事を意味していた――この瞬間に、ダージリンは聖グロの淑女から、戦車乗りと言う獣に変異したのだ。大洗を勝利に導くために。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃――

 

 

「T-28だって。此れかな?」

 

「いや、ダージリンは重戦車って言ったからこっちじゃね?」

 

 

パンターの車内では、ダージリンから『T-28重戦車と遭遇した』との報告を受けて、沙織お手製の戦車図鑑で車輌の照合が行われていた。

沙織は真っ先に『T-28中戦車』を選ぶが、青子が『T-28重戦車』と言う事を考えて、別の車両を選択――そして、この場合は青子の方が大正解!

まぁ、この辺は知識の差によるものなので沙織は落ち込む必要はない。此れから頑張れ。

 

 

「重戦車の方!?

 確か重戦車の方って、すっごく強い主砲と滅茶苦茶固い装甲があるんじゃなかったっけか!?……みぽりん、流石にヤバくない?

 カールと比べたら全然かもしれないけど、T-28が生き残ったら絶対に厄介な事になっちゃうよ?」

 

 

そんな沙織ではあるが、戦車の基本スペックは頭に詰め込まれている様で、即座にT-28の脅威をみほに伝える――みほならば、その脅威は充分に知っているとは思っても、伝えずにはいられないのだろう、通信士として。

 

 

「そうだね、放っておいたら厄介な事になるね。」

 

 

だが、当のみほは口では『厄介な事になる』と言いながらも、ナオミから貰ったアロマシガレットを咥えて余裕綽々。――ない方の左袖を風に揺らしながら、アロマシガレットの紫煙を燻らせる軍神の姿は実に威厳に満ちていて素晴らしい。

 

 

「だったら!!」

 

「だけど、ダージリンさん達なら必ず撃破してくれる。私はそう信じてるよ沙織さん。」

 

 

当然沙織は『此れはヤバい相手だ』と言う思いからみほに『何とかしないと』と言うが、みほはシレっと『ダージリン達ならば必ず撃破する』と言い切る。

ダージリンとエクレールと麻子の力を信じていればこそ可能な、絶対の信頼だ――

 

 

「其れに、麻子さんが居るんだよ?あの大洗女子学園一の天才である麻子さんが居て、負けるとは思わないでしょ?」

 

「当然じゃん!麻子が居れば無敵だよ!

 麻子ってば、どんな事でも一度見れば覚えちゃうんだからほんとに天才なんだよ……だから麻子が居ればT-28だって撃破出来る筈だよ!!」

 

 

そして、その信頼を沙織にも訴え、更に麻子の優秀さを引け合いに出して、沙織を納得させた上で黙らせる――流石は隻腕の軍神、見事な手腕であると言わざるを得ない。

だが、其れとは別にみほにはみほの戦場がある。

観覧車の一撃で包囲網を脱出したみほは、生徒会のヘッツァーと共に生垣の迷路にやって来た――自分達を追って来た、ルミ率いるパーシング部隊と共にだ。

無論、此れは誘導であり、此処からが軍神の力の見せ所だ。

 

 

「会長さん、準備は良いですか?」

 

『OK西住ちゃん、何時でもやって貰って良いよ~~♪』

 

「では此れより、『迷宮フィールドゲートガーディアン作戦』を開始します!!」

 

 

作戦名に若干――否、大いに突っ込み所が満載ではあるが、此の生垣の迷路を利用したみほの作戦が発動!!

同時に此の迷路はみほの作戦の盤面と化し、みほの望むように試合展開がされると言う、迷い込んだ相手からしたら悪魔の様な迷宮でもある。

 

 

「さて、このトリックを見破れるかな?」

 

 

迷宮の主であるみほは、妖絶な笑みを浮かべて迷宮に迷い込んで来た獲物を睨みつける――隻腕の軍神にロックオンされたターゲットに残された道は白旗判定になる以外は無い。

隻腕の軍神が主たる迷宮での戦いが、始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:愛里寿

 

 

観覧車を使って攻撃してくるなんて、本当にみほさんは何をしてくるか予想が出来ない……若しかしなくても、アズミとルミとメグミは、みほさん達を『追い詰めた』んじゃなくて『追い詰めさせられた』のかも知れない。

自らピンチを演出し、其れをチャンスに変える位の事はみほさんならやっても不思議じゃないモノ。

 

 

 

「そうだね、みほさんならば其れ位の事は平然とやってのけるさ……彼女は、私が知り得る中で最高の戦車乗りだからね。」

 

「!!!」

 

って、此れは、この声は……美佳姉様!!

 

 

 

「やぁ、久しぶりだね愛里寿?元気だったか……なんて言う事を聞くのは意味がないね?君が元気なのは見れば分かるからね。

 其れにしても、君が飛び級までして大学選抜の隊長になっているとは思わなかったかな?……流石は島田流始まって以来の天才と称されるだけの事はある。私も姉として鼻が高い。」

 

「姉様が居たから、だから私は此処までこれた。

 だからこそ聞きたい……姉様は如何して家を出てしまったの?姉様は、私の目標だったのにどうして?」

 

「其れは、君の方が私よりも上だったからだよ愛里寿。

 君の戦車道に於ける才能は私よりも上だ――そして、流派を存続させるためには、より能力のある者が流派を継ぐのが道理……君に劣る私が身を引くのは当然の事なんだよ。

 尤も、そのせいで君には重責を追わせてしまったけれどね……すまないね。」

 

「姉様……!!」

 

つまり姉様は、島田流を守るために家を出た、そう言う事だよね?……馬鹿、馬鹿だよ姉様!!

姉様の実力なら立派に島田流の跡取りが務まっていた、少なくとも私はそう思ってた……其れなのに、私に跡取りの権利を譲渡した上で島田の家から出てしまうなんてあんまりだ。

私もお母様もずっと心配してんだ……だから、少しだけ八つ当たりさせて貰う。

 

「姉様、覚悟は良い?」

 

「そんなに睨みつけないでくれ愛里寿……思わず委縮してしまいそうだ。」

 

「思ってもない事を言うのは、相変わらず得意なんだね?」

 

「まぁ、否定はしないかな。――だけど、私に勝てるかな愛里寿?」

 

「勝ちます、絶対に。」

 

「うん、良い返事だ……其れじゃあ始めるとしようか?史上最強の姉妹喧嘩を。」

 

 

 

受けて立つよ姉様。

姉様は強いけど、姉様が居なくなった後の3年で、私も強くなったから昔のように簡単にやられるなんて言う事は無い――だからこそ、姉様の作戦に乗らせて貰う。

そして、その上で敢えて言わせて貰う――勝つのは私達だってね。

 

美佳姉様、相手になって貰うよ!!

 

 

 

「此れは良い闘気だ……愛里寿、君の戦車道を見せて貰うよ?」

 

「たっぷりと味わって貰うよ姉様!!」

 

私の持てる力の全てをもって行かせて貰う――大凡、手加減とかが出来る相手じゃないからね!!全力で行く、只それだけだね!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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