ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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推奨BGMは『爆勝宣言』かな?Byみほ        時は来た、それだけだ!Byエリカ      ぶぅ!?……此れは、黒のカリスマも噴き出しますよねぇ……By小梅


Panzer166『爆裂!爆熱!体育祭です!!』

Side:みほ

 

 

2学期が始まって2回目の日曜日、今日は待ちに待った体育祭当日!――高々学校行事だろうって言う人も居るけど、体育祭って言うのは学校行事の中でも白熱するモノだから、盛り上がること間違いない!

特に今年の大洗は短期転校で在席してる人が居るから、その分だけ盛り上がるのは間違いなからね!!

 

 

 

「ま、確実に盛り上がるのは間違いないわね……白熱した体育祭になるのは間違い無いんじゃないかと思うわ――まぁ、貴女が参加する以上、只では終わらないでしょうみほ?」

 

「まぁ、只では終わらないかな……エリカさん、私は此の体育祭で新たな伝説を打ち立てる!!」

 

「して、その伝説とは?」

 

「騎馬戦で、単騎で相手チームの8割を撃滅する。」

 

「……何を馬鹿なって言う所だけど、貴女なら其れ位は出来ると思ってしまうから、アタシも可成り毒されてるみたいだわ……悪い意味じゃなくて良い方向にね。

 だけどみほ、貴女に敗北は似合わないわ……やるからには全力でやって優勝しましょう?優勝すれば、打ち上げ会も出来るからね。」

 

「因みに打ち上げの会場は?」

 

「県庁の近くに有る焼き肉屋のマルト。其処に団体で『国産和牛食べ放題コース』の予定ですって――太っ腹よね。」

 

「だね。」

 

少しばかり打ち上げの内容にグラっと来たけれど、確かにこんなご褒美があると知れば、全力を出すかもだからある意味で効果は抜群だったと言えるかもね。

ともあれ、何にしても体育祭で勝たない限りは、其れも無しになっちゃうから、此処はキッチリ勝たないとだね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer166

『爆裂!爆熱!体育祭です!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそろそろ体育祭が始まる頃なんだけど、大洗の学園艦の上空には輸送用の大型ヘリが……此れは確実にお母さんが来たね。一般家庭であんなモノ持ってるなんて有り得ないから。

まず個人で所有出来るモノじゃないし、仮に出来たとしても維持管理がスッゴク大変だから……ってか、此れはお母さんだけじゃなくて菊代さんも一緒かな?お父さんは……黒森峰の『学期初めの戦車整備』に駆り出されてるから来てないだろうなぁ。

今年の体育祭は一家全員揃わずかぁ……ちょっと残念だけど、体育祭の様子は菊代さんがビデオに収めてくれるだろうから、お父さんとお姉ちゃんは其れを見れば良いよね。

 

で、西住家の輸送ヘリは、学園艦のヘリポートには移動せずに、校庭の遥か上空でホバリングすると……

 

 

 

「「ハッ!!!」」

 

 

 

其処からパラシュートが2つ降下!!間違いなくお母さんと菊代さんだ!!

インパクト充分な登場だとは思うんだけど、ヘリで学園艦まで飛んでくるのは兎も角、ちゃんとヘリポートに着陸してから歩くなりバスを使うなりして来てほしかったなぁ……蝶野教官にしろお母さんにしろ、戦車道に係わる大人の人って、普通に登場する事が出来ないのかなぁ?

 

 

 

「いやははは、西住ちゃんのお母さんは随分ぶっ飛んだ登場すんだね~~?……流石のアタシも驚いたさ。」

 

「会長さんを驚かせるとは、流石は西住流の家元ってところなんでしょうか……私としてはもっと普通に来てほしかったんですけどねぇ――如何にも戦車道に携わる大人は普通じゃないみたいです。」

 

まぁ、其れは良いとして会長さん……

 

 

 

「ガッデム。」

 

 

 

何で居るんですか黒のカリスマが!戦車道の試合ならいざ知らず、只の体育祭ですよ!なんで出張ってるんですか黒のカリスマが!しかも何故か茨城のご当地ヒーローの1人であるイバライガーブラックを連れて来てますし!!

 

 

 

「黒繋がりで連れて来たんじゃないかなぁ~~?……いやぁ、まさか来るとは思わないから、体育祭の日時を教えといたんだけど、本当に来ちゃうとは予想外だったって言うかね?

 取り敢えず、盛り上がるから良くね?」

 

「其れを言われたら何も言えませんって。」

 

 

 

兎も角黒のカリスマが見に来てた事と、お母さんと菊代さんがパラシュートで降下して来た事に依るちょっとした騒ぎは有ったけど、其れも無事に収める事が出来て良かったよ。(お母さんには『今度同じ事したら嫌いになっちゃうよ?』って言ったら効果抜群だった。)

 

さて、いよいよ体育祭が始まって先ずは入場行進なんだけど、其処から先ずはざわめきが起きてた……まぁ、当然だよね。

私達2‐Aが所属してる緑組の旗手は私が勤めてるんだけど、その私はアンドリューに跨って緑組の応援旗を左手一本で掲げてるんだから、見てる人に与えたインパクトは相当だろうね。

 

多大なインパクトを与えた入場行進が終わった後は開会式。

お決まりの国歌斉唱と国旗掲揚に続いて、校長先生の挨拶……長くならないと良いなぁ。

 

 

 

「本日はお日柄も良く、絶好の体育祭日和です。

 本来ならば、もっといろいろと言うべき事は有るのでしょうが、生徒諸君は其れを望んで居ないでしょうからそれらは全て割愛するとしましょう。

 私が言うべき事は只一つ、生徒諸君、体育祭を思い切り楽しんでください!以上を持ちまして、校長の挨拶と変えさせていただきます。」

 

 

 

と思ったら凄く短く終わっちゃった……校長先生GJです!

 

 

 

「良いぞ校長~~!!」

 

「よくやった~~!長話なしとか最高~~~!!」

 

 

 

他の生徒からも絶賛の声が上がってるからね……他校の校長先生も見習って欲しいモノだね――生徒は誰一人として校長先生の長話なんてモノを望んではいないんだから。

さてと、校長先生の挨拶が終わったら……

 

 

 

『選手宣誓!選手代表、西住みほ!澤梓!!』

 

「「はい!!」」

 

 

 

開会式の花形とも言える選手宣誓!

本来なら最高学年の生徒が行う所なんだけど、会長さんが『大洗を救った英雄と、その英雄の一番弟子がやった方が盛り上がるっしょ?』って言う理由で私と梓ちゃんが選手宣誓を行う事に。

因みに私と梓ちゃんは同じ緑組だったりするんだよね。

 

 

「「宣誓!!」」

 

「我々選手一同は、スポーツマンシップに則り!」

 

「そして戦車道履修者は、戦車道精神にも則り!」

 

「「正々堂々、全力で戦う事を誓います!!」」

 

「選手代表、西住みほ!」

 

「選手代表、澤梓!!」

 

 

 

そして、選手宣誓は大成功の大喝采!!――本来の選手宣誓にはない戦車道云々を加えたのが、結構よかったみたいだね?……客席で、お母さんも、『戦車道の精神は大事ね』と言わんばかりに頷いてたからね。

ともあれ、此れで体育祭は開催された……全力で楽しんだ上で、勝ちに行かないとだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

こうして始まった体育祭は、初っ端から盛り上がりを見せていた。

最初の競技は1年生の3人4脚だったのだが、この競技は梓、あゆみ、クロエのチームが他のチームを圧倒して1位を獲得したのだが、その走法が凄まじかったのだ、真ん中のクロエはあゆみと繋がれた足は常に上げ、梓と繋がれた足は動かす、そして梓はクロエと繋がれてない足を常に上げ、逆にあゆみはクロエと繋がれた足を上げっぱなしにし、地に付いた足だけで地面を蹴る『ぴょんぴょん走法』とも言うべき走法で爆走し、2位以下に圧倒的な大差を付けて1位を捥ぎ取ったのだから盛り上がるのも然りだろう。若干反則だとか言うのは無粋である。

尚、盛り上がったのは矢張りチームに梓が居たと言うのも大きいだろう――軍神を継ぐ者の名は、隻腕の軍神に次いで大洗では有名であり、その有名人がぶっちぎりで1位になったのだから。

 

とは言え、梓、あゆみ、クロエのチームが1位を捥ぎ取ったからと言って、緑組がいきなりトップに躍り出る訳では無い……後続の走者の結果によって得点は変わって来るのだから。

結果、全5チームが走り終わった時点での順位は、上から青、緑、赤、白、紫となったのだが、大きな点差にはならず、次以降の競技の結果次第では、順位が大きく入れ替わる事も有りうる状況だった。

 

さて、ここからは注目の競技をピックアップして見て行く事にしよう。

 

 

 

・2年生『二人三脚』

 

 

この競技もまた、3レースが終わった時点では甲乙付け難い得点差となっていたのだが、緑組は4レース目に強力なチームを投入していた。

そう、華と沙織の『親友コンビ』である。

一見すると身長差もある凸凹コンビに感じる2人だが、普段の会話のやり取りに於けるテンポの良さは沙織と麻子の『幼馴染コンビ』以上である為に、二人三脚で歩調を合わせるのは大して難しくなかったのだ。

 

 

「行くよ、華!」

 

「はい、参りましょう沙織さん。」

 

 

更に忘れてはいけないのが、此の2人は共に戦車道履修者であると言う事――もっと正確に言うのならば『西住流フィジカルトレーニング』を行ったスーパーJKの一員だと言う事だ。

その2人が手を組んだら……先ず一般生徒は勝てないだろう。

スタート直後から『スバァン』って効果音が聞こえそうな勢いで飛び出すと、そのまま2位以下を突き放してゴールイン!!これにより緑組が他の組を抜いて総合成績でも1位に。

だが、最終走者には最強すぎる3チームが揃っていた――緑組のみほ&ペパロニペア、青組の小梅&優花里ペア、赤組のカエサル&カルパッチョペアの3チームである。

全員が全員戦車道履修者である上に、みほとペパロニは中学時代からの親友だから息は合っているし、小梅と優花里は実は似たような髪型である事から親近感を覚えてとても仲が良いし、カエサルとカルパッチョは幼馴染な上、カルパッチョがたかちゃん(カエサル)が関係すると何かが色々と吹っ飛んでリミッター解除しちゃうので、此の3チームによるデッドヒートは避けられないのだ。

一応戦車道の人間として白組から玉田とクラーラのペアも参加しているのだが……

 

 

「Это будет великая битва.(此れは、凄い戦いになりそうです。)」

 

「何を言ってるのかさっぱり分からんであります!!」

 

 

意思疎通が真面に出来てない時点で、期待は出来ないだろう……と言うか、なんでこの2人を組ませてしまったのか些か謎である。……そして、まったくもって関係ないが、クラーラの中の人にガチのロシア人を採用したガルパンスタッフは矢張り頭おかしい(褒め言葉)のだろう。

 

其れは兎も角、二人三脚の最終レースは、スタート直後から緑、青、赤のデッドヒートが展開された!どのチームも滅茶苦茶速い!

其れこそ、二人三脚の競技記録なんて物が存在したのならば、最新記録が出るんじゃないかと言う位に速い!其れこそ此の3チームが横一線でゴールしてもおかしくない位のデッドヒート!!

だが隻腕の軍神にして、知将であるみほが参加している事を忘れるなかれ!!

 

 

「ペパロニさん、クリスマスに食べるターキーって何の肉?」

 

「え?アレって異常に成長しちまった鶏じゃねぇの?あぁ、鶏じゃなくてダチョウか!!」

 

「「「「「「「「なんですとーーーー!?」」」」」」」」

 

 

――ドンガラガッシャーン!!

 

 

みほの質問に対するペパロニの打っ飛んだ答えに、他の走者は揃ってずっこけた。それこそ見事なまでにずっこけた。ドリフのコントも顔負けな位に教科書に載せられるくらいに見事にずっこけた。クラーラが思わず日本語が出ちゃうくらいにずっこけた。

尚、ペパロニの答えは『ガチョウ』を『ダチョウ』と言い間違えただけである……其れでも不正解であるのには変わらないが。尚正答は七面鳥です。

で、他チームが全員ずっこけている間に、みほ&ペパロニペアは悠々とゴールイン!みほの頭脳プレーにより、緑組は連続1位を獲得して2位以下に少しだけ差を付ける事に成功していた。

 

その後も競技は続き、200m走ではエリカと華と沙織とローズヒップが、200mハードルでは矢張りエリカと沙織、そしてナオミとペパロニが良い結果を出して緑組は首位をキープしていた。

尤も他の競技では無双できないモノもあり、差は大きくはない……と言うか、緑組は3年生が完全に足を引っ張っている状況であると言える。

原因は言わずもがな、桃ちゃんである。

いや、彼女にやる気がない訳では無い……寧ろやる気だけを見るのならば誰よりもあるのだが、そのやる気が空回りしてしまい、大事な所でミスをしてしまい、最下位なのだ――此れも彼女の愛すべき魅力であると言われればそれまでであるのかもしれないが、其れで足を引っ張って居るのでは笑えないだろう。

 

 

 

・2年生『騎馬戦』

 

 

最早何も言うまい。

この競技に限っては緑組無双であったとしか言えないのだから……

 

 

「さぁ、次の相手は誰かな?隻腕の軍神を討ち取って名を挙げる人は誰?」

 

「狂犬に喰い殺されたい奴はかかって来なさい……狂犬の牙は、未だ血を吸い足りないわ!!」

 

 

みほとエリカ、此の2人は戦車道でなくとも軍神であり狂犬であったらしく、次から次へと相手の騎馬武者の鉢巻を奪い、時には騎馬ごと押し潰して撃破すると言う凄まじいまでの蹂躙劇を展開!

其れこそ、此の一面を切り取っただけで映画のアクションシーンとして使えそうなくらいの無双っぷりを披露してくれているのだから――みほに至っては、すれ違った瞬間に鉢巻を奪うと言う神技まで披露しているのだから驚きだ。……此の子本当に隻腕なのだろうか?

ともあれ、此の2チームの活躍により、騎馬戦は全試合緑組が圧勝!!これにより、緑組は更に得点を重ねる事になったのだった。

 

 

 

・2年生『借り物競争』

 

 

午前中最後の競技が此れだった。――正確に言うのならば、この後で学年別のエンタメ競技がある為最後ではないのだが、得点に直結する競技は此れが最後だと言えるだろう。

これにも各チームから戦車道の人間が参加してるのは、最早お約束と言えるだろう。

で、その借り物競争の第3走者は緑から直下、青からアリサ、赤からエクレール、白からクラーラが出場しているのだ。

 

 

――パァン!!

 

 

出発の合図と共に、全員がスタートし、先ずは真っ先にクラーラが借り物の紙をゲット!その借り物は『ドラゴンの○ん毛』……何で?と言うか誰だこんなモンを借り物したのは?

一応メ○カリに8万円で出品されている(マジです)が、簡単に借りられる物ではない……なので――

 

 

――キュキュキュ……さっさっさ

 

 

クラーラは何処からともなくサインペンを取り出すと、こっそりと借り物を改竄した……『西住みほ』に。

 

 

「Михо, пожалуйста, пойдем со мной.(みほさん、一緒に来て下さい。)」

 

「クラーラさん?うん、良いよ。」

 

 

そう言ってみほの手を取ろうとするクラーラだったが……

 

 

「させませんわよクラーラさん、みほさんは私達マジノが頂きますわ!」

 

「何を言ってるの?みほはサンダースが貰うわ……来年はサンダースが天下を取るんだから!!」

 

 

其処にエクレールとアリサも参戦!そしてこの2人の手にも、借り物が『西住みほ』に改竄された紙が……何だかいつかどこかで見た光景ではあるが、クラーラもエクレールもアリサも、みほをこのまま自分の学園艦まで持ち帰る気は満々であった。

まぁ、仕方ないだろう……みほを獲得する事が出来れば、大きく戦力を底上げする事が出来る――みほを引き抜く事が出来れば、エリカと小梅と梓と優花里を引き抜く事も出来るのだから。

だが、そんな悪だくみは成功しないのが世の常である。

 

 

「不正してんじゃねーわよごるあぁ!!」

 

 

みほを奪い合う一団に、直下がパンターで突撃してターンエンド……戦車にフッ飛ばされて無傷であるのは突っ込んではいけない。

 

 

「理子さん、其れ良いの?」

 

「仕方ないでしょ、書いてあったんだから!」

 

 

そう、理子の借り物は『戦車』だったのだ。

なので、格納庫まで行ってパンターを引っ張り出して来たのだ……其れで生身の人間に体当たりをブチかますのは如何かと思うが、戦車乗りは頑丈なので大丈夫だろう。

 

 

「兎に角審判、その3人は失格よ!!」

 

「悪質なので、各チーム所謂一つの減点5。」

 

 

そして不正を行ったチームには痛恨の減点5!

これにより順位は変動し、戦車道関係者が居なかった紫が繰り上がりで2位に浮上した。

 

で、最終走者のみほの番だが……

 

 

「こんなもん、どげんせんというね?」

 

 

借り物を見たみほは、思わず熊本弁が全開になってしまったが、其れもまた仕方ないのかもしれない――だって、みほがドローした紙には『黒(要カリスマ)』と書かれていたのだから。

誰が考えたのかは定かではないが、十中八九干し芋会長がぶっこんだと見て間違いないだろう。

このトンでも借り物にみほは一瞬困ったが、在る事を思い出し客席に!!

 

 

「蝶野さん、一緒に来て下さい!!」

 

「俺を御指名かみぽりん!なら、喜んでやらせて貰うぜ!!

 有象無象蹴散らすぜ!俺とみぽりんだけ見てりゃいいんだオラァ!!ガッデメファッキンガイズ!!!」

 

 

其処で応援してる黒のカリスマに声を掛け、そのまま借り物に……確かに彼以上に借り物の条件を満たせる人はいないだろうから、この選択は当然であったと言えるだろう。

で、黒のカリスマはみほをお姫様抱っこするとそのまま爆走して1位でゴールイン!!JKとプロレスラーの身体能力を考えると、可成りの反則技でしかないのだが、黒のカリスマはヒールだから反則技上等であるし、そもそもにして借り物がメインになってゴールしてはいけないと言う規定はないので、此れは合法であると言えるのだ。

ともあれ、此れで緑組は更に得点を重ねたのだった。

 

 

さて、此処からは得点に関係ないエンタメ競技だ。

その先陣を切ったのは3年生なのだが……100人以上の生徒が、ピンクのあんこうスーツを身に纏って行った『あんこう踊り』は観客の度肝ぶち抜く程のインパクトがあった。

正にゴッドハンドインパクトだった。

 

続く1年生のマーチングバンドは、梓が鼓笛隊長を務め、アニメソングをメインにした楽曲を演奏しながら行進を続ける……『名探偵コナンのメインテーマ』『となりのトトロの主題歌』『ラピュタのメインテーマ』と続き、校庭で部隊を展開すると軽快なトリオのリズムの後に日本では『友達賛歌』で知られるメロディーから『カチューシャ』のメドレーを披露し、繋ぎとしてトリオのリズムを挟んで『フニクリフニクラ』を奏で、再びトリオを挟んで『雪の進軍』を演奏し、最後に軽快な吹奏楽の演奏を行ってターンエンド。(参考BGM『学園十色』)

此れに会場は満場の拍手に包まれたが、エンタメ競技のトリを任された2年生のシンクロダンスは、その上を行っていた。

何故ならば、此のシンクロダンスのBGMに採用されたのは『決着R&D(98アレンジバージョン)』だったからだ!

サイバーでテクノでロックな曲調である上に、中盤から突然まったく曲調が変わる曲で一糸乱れぬシンクロダンスを披露してみせたのだから、拍手は粉砕!玉砕!!大喝采!!

特に、朝礼台で踊るみほとエリカと小梅の乗りはキレッキレで、其れこそ此の3人でダンスユニットっとしてデビューできるレベルだった。

 

 

『YearGoGo YearGoGo Be come Goーーーーー!!』

 

 

――バン!!

 

 

そして、一糸乱れぬ姿でフィニッシュ!

その見事な姿に観客席からは割れんばかりの拍手が沸き起こり、みほ達の演技を称賛する……得点には直結しないが、最高の喝采を貰ったのは2年生のシンクロダンスで間違いないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

午前中の競技を終えて緑組はトップだけど、午後の競技の結果如何ではどうなるか分からないから、マダマダ油断は出来ないね――とは言え、エンタメ競技で会場を盛り上げる事が出来たから、午後の競技もテンションはマックスで行けそうだね。

 

で昼休み。

菊代さん、お弁当の内容は?

 

 

 

「みほお嬢様の為に特製の3段重を用意させて頂きました。

 1段目には、お嬢様の好物である塩こうじと紹興酒で下味をつけた鶏の唐揚げと、これまたお嬢様の大好物である明太ポテトサラダを詰めて、2段目には、菊代特製の『ボコおにぎり』を詰めました。具はサケのハラス焼きと辛子高菜と明太子です。」

 

「うん、其れだけでもGJだよ菊代さん。」

 

「ありがとうございます。

 そして3段目には……奥様の愛情たっぷりのダシ巻き卵焼きを詰めてみました。」

 

「その、菊代の料理と比べたら劣るかも知れないけど、せめて1品くらいは作らないと思っただけよ……見た目が良くないから恥ずかしいのだけれどね――でもやり甲斐は有ったわ。」

 

 

 

此の卵焼きはお母さんのなんだ……ふふ、其れはとっても嬉しいかな?

卵焼きは、お母さんが作れる唯一の料理だけど、だからこそ感慨深い物が有るんだよね……此の卵焼きは、子供の頃からの大好物だったからね。

此の卵焼きを食べれば、午後の種目もぶっちぎれるのは間違いないよ♪

 

 

 

――ズギャァァァァァァン!!

 

 

 

「実の娘である乙女がハートにズギュン……菊代、後は任せたわ……」

 

「奥様、気を確かに!と言うか、実の娘にハートブレイクされないで下さい!!って言うか、それで良いんですか西住流家元!!」

 

「娘の愛を感じる事が出来たから悔いなし……!!」

 

 

 

……何だか大変な事になってるみたいだけど、取り敢えずは午後の競技に集中だね――私の出場する種目は『必修科目対抗リレー』と、最終種目である『クラス対抗リレー』だけど、その何方でも勝ちたいからね。

午後も全力全壊で行くよ――お母さんと菊代さんの特製お弁当を食べた私の戦闘力は53億だから、誰にも止める事は出来ないからね!!

体育祭の優勝旗、ゲットさせて貰うよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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