ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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な~~んか、面倒事の予感Byみほ        貴女が感じたのなら予感じゃなくて確定じゃない?Byエリカ      みほさんの勘は優れてますからねぇBy小梅


Panzer173『桃ちゃんウォー!まさかの展開です!!』

Side:みほ

 

 

文化祭の最終日に、桃ちゃん先輩のDQN発言があったとは言え文化祭は無事に終了して、振替休日はエリカさんと小梅さんと一緒に充実した日を送らせて貰ったよ。

あぁ、丸一日ボコランドだなんて、夢みたいだったね。

 

 

 

「夢は夢でも私と小梅にとっては悪夢だったわ。」

 

「目を瞑ると問答無用で包帯だらけのクマが現れるんです……ボコ怖い。」

 

 

 

え~~~?其れはなんだか納得いかないなぁ……ボコってこんなに可愛いのに、何でそれが分からないかなぁ?

 

 

 

「せからしか!!其れの良さが分かる人間なんて、世界広しと言えど貴女と島田愛里寿位のモノでしょうが!!貴女の特殊な趣味は万人受けするモノじゃないって事を先ずは自覚しないさい!!」

 

「ボコは可愛いよ?」

 

「だから、先ずはその認識から改めろって言ってんのよ私は!大丈夫、日本語通じてるわよね!?」

 

「うん、其れは問題ないよ。だけど、ボコが可愛いと言うのを訂正する心算はマッタク持ってないし、そもそもにしてボコの本当の魅力を分かっている人達だけがファンになれば良いだけだからね。」

 

「其れは、深いわね。」

 

 

 

ボコ道は奥が深いんだよエリカさん……だから、俄か知識で入って来たら確実に溺死するから気をつけてね?……ボコラーの沼は、底なし沼よりも圧倒的に深いからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer173

『桃ちゃんウォー!まさかの展開です!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで学校に到着した訳なんだけど……なんか物々しいね?風紀委員の取り締まりが強化されたと言う事でもないみたいなんだけど……此れは一体どういうことなのかな?

 

 

 

「あ~~おはようございます西住殿!」

 

「おはよう優花里さん……えっと、なんか物々しい雰囲気なんだけど何かあったのかな?

 

「実は、つい先程聖グロ、サンダース、プラウダ、マジノ、アンツィオ、継続、黒森峰の隊長の方々が、西住家のオスプレイでやって来たのでありまますよぉ!!」

 

「ウチのオスプレイ……って事は、首謀者はお姉ちゃんだね?……でも、何だってイキナリ大洗にやって来たんだろう?」

 

「原因は、多分此れでありますよ西住殿。」

 

 

 

優花里さんが渡してくれたのは学園新聞の最新号――出来立てほやほやの新聞なんだけど、此れはまた凄い事になっちゃったね?

 

 

 

『生徒会広報・河嶋桃、大洗の救世主に大暴言!?』

 

 

 

新聞の見出しにデカデカと書かれてたのは、昨日の桃ちゃん先輩のあの発言の事だよね……やっぱり地獄耳の新聞部は、誰にも気付かれる事なく、あれを見てたって事か――大洗女子学園の新聞部恐るべし。部員は忍道の履修者かもね。

で、その記事の内容だけど……

 

 

 

『大洗女子学園生徒会の広報、河嶋桃が大洗女子学園を廃校の危機から救った救世主である西住みほ戦車隊隊長に耳を疑う暴言をブチかましてくれた。

 其れは学園祭最終日のフィナーレ近くになって起こった。

 当時西住隊長は、大洗を訪れていた島田愛里寿大学選抜隊隊長と学園祭を回っていた……と言うのも、島田愛里寿嬢は飛び級で大学に進学した事で高校生活と言うモノの経験がなく、色々な高校を見て回って何処に編入するかを考えている最中であり、西住隊長は島田愛里寿嬢に大洗女子学園をアピールしてスカウトしようとしていたのだろうと思う。

 前日のエキシビションマッチでは同じチームで戦ったと言う事も有り、それらの事を総合的に判断すれば島田愛里寿嬢が大洗女子学園に編入するのは確実だと思っていたのだが……ところがどっこいそうはならなかった。

 島田愛里寿嬢は西住隊長とライバル関係にある事を望み、敢えて大洗女子学園を候補から外したのだ……非常に残念な事ではあるが、西住隊長も、島田愛里寿嬢の気持ちを汲み、大洗女子学園への編入を強行はせず、2人の天才は好敵手として、また友として握手を交わした。

 其れで終わればよかったのだが、ここで生徒会広報の河嶋桃がやってくれたのだ。

 島田愛里寿嬢が大洗女子学園に来ないと分かるや否や、その原因が島田愛里寿嬢がライバルとして戦いたいと言った西住隊長に有ると短絡し、在ろう事か『西住、お前が転校しろ!』との大暴言発動!!

 隻腕の軍神こと西住みほと言えば、大洗の学園艦で暮らす者及び戦車道関係者であるのならばその名を知らぬ者は存在しない程の人物であると同時に大洗女子学園を救った救国の英雄とも言える存在だ。

 そんな彼女に対しての此の暴言は大凡許せる物ではない……聞いた話によれば、此れだけでなく『片腕の身体障害者よりも、島田愛里寿が隊長の方が良い!』と言う、障害者蔑視とも取れる発言をしたとも――何れにしても、河嶋桃の発言は人として許されるモノではない。

 生徒会会長である角谷杏氏は、河嶋桃に対して何らかの処分を下さねばならないだろう。

 尚、追記として我が大洗女子学園は、島田流家元の島田千代氏がスポンサーに付いてくれる事になったらしいのだが、それも島田流家元が西住隊長の戦車道に惚れ込んでいるからの事であり、西住隊長が大洗女子学園から去ったら、この話も無かった事になるだろう。

 果たして、河嶋桃は如何なる考えがあってあのような暴言を吐いたのか、その真意を聞かせて貰いたいモノである。』

 

 

 

うわぁ……文春砲も真っ青なゴシップ記事だね此れは。ご丁寧に、桃ちゃん先輩がDQN発言した瞬間の写真まで掲載してるし……一体何時の間に撮ったのやらだよ。

でも此れって、大洗の学園艦だけで配られてる新聞だよね?なのに何で各校の隊長が……

 

 

 

「私達が登校する前に到着している事を考えると、新聞部が各校隊長に直接タレこんだ可能性があるわね……大洗女子学園の生徒会と、戦車道で名の知られた学校の戦車隊隊長が一悶着となれば、其れは其れでネタになるし。

 恐らくだけど、短期転校で大洗に来てるエクレールと西にもタレコミが有ったと見るべきでしょうね。

 ……まぁ、其れは其れとして河嶋先輩、流石に此れは無いわね?

 『お前が転校しろ』は、まぁ毎度の後先考えないその場の感情から出た言葉だとしても、みほの身体の事を馬鹿にした発言は許せないわ……みほは好き好んで左腕を失った訳じゃないのに……あのクソモノクルが。」

 

「この発言は完全にアウトですよね……と言うか、世界中の身体障害者に喧嘩売ってるとしか思えませんよ此れ――同時に、パラアスリートと言う存在を完全否定してますよね。」

 

「あははは……西住隊長、河嶋先輩の事ちょっと滅殺してきますね。」

 

 

 

如何やら新聞部がタレコミした事で、各校の隊長陣が凸って来たみたいだね……大洗女子学園の新聞部は最早新聞部と言うよりも週刊誌の編集部になってるような気がする……取材の仕方も、そして記事の書き方も煽り方も!!本気でプロかと思うレベルだよ此れは!

で、何やらエリカさんと小梅さん、そして今し方やって来た梓ちゃんが殺意の波動に目覚めかけてるみたいだけど落ち着いて。

『片腕の~~』云々は、少なくとも私が直接言われた事じゃないから……私の居ない所で他の誰かに言った可能性が無くは無いけど、少なくとも私は直接言われてないから、そんなに怒らなくても大丈夫だよ?

 

 

 

「だとしても、コイツの発言は普通にないでしょ!

 その場の勢いで出た言葉だとして100歩譲ってやるとしても、だからと言って許せるかと言われればそれは絶対に否!!全国大会も大学選抜戦も、みほが居たからこそ勝てた。

 みほが居なかったら大洗は廃校になってたのよ?……にも拘らず、みほに感謝の言葉一つなくこんな暴言を吐くだなんて、河嶋先輩がドンナ神経してるのか疑うわ。」

 

「ですよねぇ?

 普通なら、学園艦の最高権力者である生徒会が、みほさんに菓子折りの一つでももってお礼に来て然りですからねぇ……あ、会長さんから段ボール箱で届いた干し芋がお礼だったんでしょうか?」

 

「となると、生徒会としての礼は、一応はしたと言う事ですね……では、この河嶋先輩の発言は、完全な個人的暴走の結果と言う事ですか……矢張り絶対許せないです西住隊長!

 河嶋先輩のやった事は、恩を仇で返すに等しい行為です!!」

 

 

 

……如何やら怒りは収まらないみたいだね……と言うか、若しかしなくても優花里さんも?

 

 

 

「当然であります西住殿!

 私だけでなく、武部殿、五十鈴殿、冷泉殿も大層立腹しておられました!特に、冷泉殿が『あのモノクルが……クズだな』と言ったのには、凄まじい悪寒を感じたであります!

 口数少ないクールキャラがガチでキレるとまっじでおっかねぇって事をこの身で体験したでありますよぉ!!」

 

「優花里さん……お疲れ様でした。」

 

桃ちゃん先輩のDQN発言が、まさか此処までの事態になるだなんて、言った本人でも予想すらしてなかったんだろうなぁ……そう言う私も、マッタク予想してなかったし。

此れは、若しかしたら今日は私は授業どころじゃないかもね。

 

 

 

――ピンポンパンポ~ン

 

 

 

『あ~~、テステステス、本日は晴天なり、所により血の雨が降る可能性あり。冗談抜きにマジで。

 ども~~、生徒会長の角谷杏でっす!

 行き成りだけど西住ちゃ~ん、登校してたら即刻生徒会室に来てくんねーかな?可能だったら逸見ちゃんと赤星ちゃんと澤ちゃんも。

 兎に角、えっれー事になってるから早急に頼むよ~~~。』

 

 

 

そう思ってた矢先に、会長さんから直々に生徒会室への呼び出しを受けたか……其れも、私だけじゃなくてエリカさんと小梅さん、そして梓ちゃんまでって言うのは相当な事だよ。

まぁ、呼び出しを受けた以上は行くしかない訳なんだけど――一緒に来てくれるかなエリカさん、小梅さん、梓ちゃん?

 

 

 

「ハッ、何を当然の事言ってのよみほ?言われずとも行くに決まってるじゃない!小梅と澤も勿論行くわよね?」

 

「勿論ですよエリカさん!」

 

「寧ろ行かないと言う選択肢が存在してませんから!」

 

「呼ばれてはいませんが、不肖秋山優花里、御一緒させて頂きます!!」

 

 

 

あはは……まぁ、優花里さんも一緒に来るよね此れは――でも、この状況は桃ちゃん先輩は絶対に想定してなかっただろうから、今頃相当アタフタしてるだろうなぁ。……自分で蒔いた種な訳だけどさ。

でもまぁ、先ずは生徒会室に向かってぱんつぁ~~・ふぉ~~~!!!

 

……それにしても、お姉ちゃんが聞いたら確かにブチ切れそうな内容ではあるけど、だからと言ってオスプレイ飛ばして各校の隊長まで連れて大洗に凸って来なくてもいいのに。

ホントお姉ちゃんって、私の事になるとすぐ熱くなっちゃうんだから。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

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・・・

 

 

 

で、やってきた生徒会室なんだけど……うん、此れは確かに会長さんが言っていたように『えっれー事』になってるみたいだね?って言うか、完全なカオス空間って言うのかな?

お姉ちゃん達をはじめとする各校隊長陣が居るのは分かってたけど……

 

 

 

「河嶋桃先輩にお聞きしたい!

 先の全国大会、そして大学選抜戦に於いて我等を勝利に導いた西住隊長に対して『転校しろ』とは一体如何なる考えがあっての事か!!」

 

「圧倒的に劣る戦力で天下を取った隊長は、10倍の兵力差を覆して今川義元を討った織田信長の如し!」

 

「いやいや、大国ロシアを相手に旅順を制圧した乃木希典大将ぜよ!」

 

「西住隊長は戦車乗りだ、ここは矢張り大戦期のドイツの戦車乗りで、戦車138輌、対戦車砲132門を撃破したミハエル・ヴィットマンだろう!」

 

「「「それだ!!」」」

 

「其れもだけど、片腕云々って酷くない?西住隊長、好きで片腕になったんじゃないのに!」

 

「まぁ、隊長は片腕である事を気にしてはいないけれどナ……寧ろ隻腕である事が一種のステータスになってるヨ。」

 

「……死刑。」

 

「紗希、其れは物騒!」

 

「あい~~~!!」

 

「河嶋さん、大洗を救った西住隊長にこんな事言うなんて、校則違反も甚だしいわ!それ以前に、人としてのルールを逸脱してるわよ!!」

 

「そど子、其れは流石に強引だよ……?」

 

「良いのよパゾ美!こう言う人は、少し強引かつ無理矢理な理論でねじ伏せなきゃ分からないのよ!!」

 

「相当な力技……」

 

 

 

戦車隊のメンバーも集まって、桃ちゃん先輩を糾弾(?)中……って言うかエルヴィンさん、ヴィットマンって……其れを私のソウルネームとして定着させようとか考えてないよね?

まぁ、アレほどの戦車乗りに譬えられるのは誇らしいけれどね。

 

 

 

「いや、有れは其の、本心ではなくてだな、其の何と言うか……島田愛里寿が来てくれなかった事が残念でつい口が滑ってだな……」

 

 

 

で、針の筵状態の桃ちゃん先輩は完全涙目であたふたと説明してるみたいだけど……あれじゃあ誰も納得しないだろうなぁ。

 

 

 

「か、かいちょ~~!!」

 

「悪いか~しま、今回の事は流石にアタシでも擁護できねーわ。

 西住ちゃんが居なくなったら、島田流からの援助の話も無しになっちゃうからね……か~しま、自分の言った事には責任持てよ~~~?」

 

「かいちょ~~~~!!」

 

 

 

頼みの綱である所の会長さんも、如何やら今回は少しばかりお灸をすえる事にしたみたいだね。

戦車隊のメンバーだけじゃなくて、各校の隊長からの追及もある訳だし、可成り大変だろうなぁ此れは。

 

 

 

「河嶋桃、君が如何なる意図をもってみほに『転校しろ』と言ったのかは分からないが……みほに転校しろと言うのであれば、黒森峰に寄越してもらおう。みほだけでなく小梅とエリカと澤もな。

 元々みほと小梅とエリカの転校はお祖母様との確執が原因であり、澤もまた私が大洗に進学先を変更させたのであって、みほ達の転校がなければ黒森峰に来ていた人材だからな……みほが転校すると言うのであれば、その3人と共に黒森峰で引き取るべきだろう。」

 

「お待ちになってまほさん……確かに貴女の言う事は当然であるのかも知れませんが、みほさん達には此れを機に此れまで自分が経験したのとは異なる戦車道に触れて貰う方が今後の戦車道の発展に繋がるわ。

 だから、みほさん達は私達聖グロリアーナに来るのが良いと思うの……みほさんならば次期隊長として申し分ないし、澤さんとペコも互いに切磋琢磨して再来年度の隊長候補として成長するでしょうし。」

 

「おぉっと、抜け駆けはズルいわよデイジー!

 みほ達はサンダースに来るのが一番よ!サンダースなら、面倒な伝統とかそんな物は一切ないからみほの好きなように戦車道がやれるモノ!

 みほの戦車道はザッツフリーダム!自由な環境こそがみほ達の力は発揮されるわ!」

 

「その理論で言うのなら、ピッタリなのは我がアンツィオだろう!

 圧倒的に劣る戦力で強豪を薙ぎ倒したみほならば、アンツィオを全国大会で優勝させる事だって夢じゃない、いや出来る!何よりも、ウチのペパロニは中学時代、みほの一番の親友だったのだから、これ程いい環境もないだろう!」

 

「な~に言っちゃってるの?ミホーシャはプラウダに来るのが一番なのよ!

 来年はミホーシャが隊長、ミホーシャの弟子が副隊長になってプラウダは全国制覇を成し遂げるんだから!!」

 

「全国制覇……其れはそんなに大事な事かな?

 其れに、未だみほさんが大洗から居なくなると決まった訳では無い……まぁ、みほさんが転校すると言うのであれば、継続に向かって吹く風に乗って欲しいとは思うけれどね。」

 

「西住隊長には是非とも知波単に!と言うか、東雲の『おんどりゃぁぁぁぁ!!』を如何にかする術を是非ともご享受願いたいです!!」

 

「みほさん達は、マジノに来ていただこうかと思いますわ。

 マジノは現在改革の真っ最中ですが、みほさん程の人が居て下されば、改革半ばのマジノの改革を完遂してくれる筈ですし、何よりもみほさんと一緒に戦えるだなんて素敵過ぎますわ。」

 

「ふざけるなーー!西住は大洗の隊長だーーー!!」

 

「「「「「「「転校しろと言ったお前が言うな!!」」」」」」」

 

「マッタクだね。」

 

 

 

――ぽろろ~~~ん

 

 

 

って、何故か各校隊長が私を獲得する方向で話をしてるし。

本気なのか、其れとも桃ちゃん先輩を懲らしめる為の芝居なのかの判断が付きかねるのが困るなぁ……西さんとアンチョビさんは可成り本気っぽいしね。

 

 

 

「まるでみほ争奪ドラフト会議ね此れ。」

 

「一位指名するのは何処でしょう?」

 

「本命が黒森峰、次点がアンツィオ、大穴が知波単であると予想するであります。」

 

「って言うか、西住隊長が転校する事が前提になってますね此れ。」

 

「だね。私は転校するだなんて一言も言ってないのにね。」

 

其れよりも、状況が『えっれー事』になり過ぎてるせいで、誰一人として私達が生徒会室にやって来た事に気付いてないよね?気付いてたら何かしらの反応があると思うし。

しらの反応があると思うし。

此れは、先ずは皆の意識をこっちに向けさせないとだね……エリカさん、小梅さん!

 

 

 

「ハッ!!静まれぇ!!」

 

「静まれ、静まれぇ!!」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」(鍵カッコ省略)

 

 

 

OK、突然のエリカさんと小梅さんの大声に、お姉ちゃんまでもが驚いたみたいだね……このまま一気に畳み掛けちゃおうか!!

 

 

 

「此の紋所が目に入らぬかぁ!」

 

「此処におあす御方を何方と心得る!恐れ多くも隻腕の軍神、西住みほ殿にあらせられるぞ!」

 

「一同、軍神の御前である!頭が高い、控えおろう!!」

 

 

 

――ババーン!!

 

 

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「ははぁ~~~!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」(鍵カッコ省略)

 

 

 

はい、バッチリ決まったね。

茨城らしく、水戸黄門で登場してみましたけど、如何でしょうか会長さん?私的には、掴みはバッチリだったと思うのですけれど?

 

 

 

「OK、ナイスな登場だよ西住ちゃん!

 逸見ちゃんと赤星ちゃんの啖呵の切り方も、まるで本物の助さんと格さんみたいでベリーグッド!!いっその事、大洗女子学園のPR動画として『大洗黄門』とかやってみる?」

 

「其れも良いかも知れませんね。

 でも、其れよりも前に、この状況を何とかしないとです……戦車隊の隊員はこの新聞を見て来たとして、お姉ちゃん達は如何して大洗に?」

 

「うむ、昨晩私をはじめとした各校の隊長に大洗女子学園の新聞部を名乗る者から電話があって、この記事の内容を伝えられてな……もしも此れが本当であるのならば黙って居る事は出来ないので、全員で大洗に乗り込んで来たと言う訳だ。」

 

「みほは大洗を救った英雄でしょ?其れに対して、こんな無礼な発言をするなんて、絶対に許せないわ!!」

 

 

 

成程……だけど、お姉ちゃん達は私を――私だけじゃなくて、エリカさんと小梅さんと梓ちゃんも自分の所に引っ張って行こうとしてたよね?

何で文句を言いに来たんじゃなくて、私達を引き抜く話になっているのかな?

 

 

 

「正直に言うと、誰もが強引にみほ達を連れて行こうとしている訳じゃない。

 だが、本当にみほが転校する事になったら転校先が必要になるので、私をはじめとした各校が其れに名乗りを上げたに過ぎん……まぁ、みほが転校してきてくれればエリカと小梅と澤が付いて来ると言う漁夫の利を考えていたのも事実だがな。」

 

「うふふ、イギリス人は恋と戦争では手段を選びませんの。」

 

 

 

……やっぱり、私達を引き抜く気は有ったんだね……其れだけ、私達の事を評価してくれてるって思っておく事にするよ――だけど、今は其れよりも、桃ちゃん先輩だね。

桃ちゃん先輩、なんか大変な事になっちゃいましたねぇ?あの時の一言が、まさかこんな大事になるだなんて、私も予想外でしたよ。

 

 

 

「に、西住~~!!何とかしてくれ~~!私だけではどうにもならないんだ~~!!」

 

「どうにかしてくれと言われても、此れって桃ちゃん先輩が自分で蒔いた種ですよね?私に出来る事と言ったら、精々『片腕云々』に関する事が新聞部が盛った記事だって言う事だけなんですけど?

 桃ちゃん先輩が私に『転校しろ』って言ったのは紛れもない事実ですし、其れは否定しようがないですよね?……だったら桃ちゃん先輩は、その発言に対しての説明をしないとですよ。」

 

「んな、助けてはくれないのか!?」

 

「貴女ねぇ、こんな暴言を吐いておいて、何でみほが助けてくれるとか思う訳?厚顔無恥にも程があるわよ幾ら何でも……その面の皮、鉋で削っって薄くしてやろうかしら?」

 

「エリカさん、其れなら槍鉋の方が……」

 

「いっその事サバイバルナイフでザックリと……」

 

「此の電動グラインダーで如何でしょう?」

 

「「「「其れだぁぁぁ!!」」」」

 

 

 

あはは……皆容赦がないね?……だけど、私だって桃ちゃん先輩の『転校しろ』発言をマッタク気にしてない訳じゃないんですよ?……私は大洗で自分の戦車道を見つける事が出来たのに、『転校しろ』って言われるって、其れってある意味で大洗で見つけた私の戦車道を全否定してるのと同じなんですよ。

だから、貴女が然るべき事をしない限り、誰も貴女を許さないと思いますよ桃ちゃん先輩。

 

 

 

――轟!!!

 

 

 

「此れは……此れがみほの軍神招来か――間近で見ると凄まじいな?」

 

「まほがタイガーだとするなら、みほはドラゴンね……正に軍神だわ!Excellent!!」

 

「これ程の威圧感を醸し出すとは……おやりになりますわねみほさん。」

 

「西住も可成りの闘気を纏っているが、軍神招来したみほはそれ以上か!!……益々アンツィオに欲しくなったぞ!!」

 

「此れは、やっぱりミホーシャはプラウダに来るべきよ!永久凍土をも溶かしかねないこの闘気こそ、今プラウダに必要なモノだもの!!」

 

「その闘気が誰のものになるか、其れに大きな意味があるとは思えない。」

 

「ならば、みほさんは我が知波単に!!」

 

「いいえ、是非ともマジノに。」

 

 

 

毎度お馴染みの闘気を解放しての軍神招来も、各校の隊長には其れ程効果は無かったみたいだけど……桃ちゃん先輩には、効果抜群だったみたいだね?

 

 

 

「に、西住……私を如何する心算だ?」

 

「さて、如何しましょうかね?」

 

「に、西住~~!!?」

 

 

 

取り敢えず桃ちゃん先輩には、私に『転校しろ』って言った分の仕返しをさせて貰おうかな?……それほど気にしてないとは言え、流石に面と向かって『転校しろ』って言われたのはちょっとショックだったからね。

何よりも、其れに対しての謝罪もないのに、私に助けて貰おうとか思ってるのが普通に有り得ないですから……なので、本番は此処からですよ桃ちゃん先輩?

 

取り敢えず、御自分の発言には責任を持った方が良いと思いますよ?……でないと、火傷じゃ済まない痛手を被る事になりますからね――今回の事が、正にそれですから。

桃ちゃん先輩、お仕置きとしてはやりすぎかもしれないですけど、少しだけ痛い目を見て貰いますから覚悟しておいてくださいね?……流石に今回の事は、笑って許せるレベルをはるかに超えてしまったからね。

 

 

桃ちゃん先輩……覚悟を決めろ!!

 

 

 

「ひひゃぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

「悲鳴を上げた所でもう遅い……あの発言の真意、徹底的に糾弾する心算だから覚悟しておいて下さいね?

 ……私は、貴女の言った事を絶対に許しませんから……精々後悔すれば良いんじゃないですか?」

 

「そんなぁぁぁ!!」

 

 

 

泣いてもダメです!

貴女が相応の対応をしない限り、私は貴女の発言を絶対に許さない……だって、貴女のあの発言は、私達がやって来た事を全否定するに等しい事だったんですから。

取り敢えず、今は御自身の尻拭いをすべきだろうね……ま、精々頑張って下さい桃ちゃん先輩。――この場に貴女の味方は、誰一人として存在してないですけれどね。

先ずは、己の失言を後悔すると良いよ――其れすら出来ないようでは、前に進む事なんて絶対に不可能だからね……精々頑張ってくれとしか言い様がないよ。

 

 

 

「に、西住~~!!」

 

「全力で、知らね!!」

 

全ては自分が蒔いた種なので、責任を持って下さい桃ちゃん先輩――自分の言った事に責任を持つのは、大人としての最低限のマナーな訳ですからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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