ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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此れは……こう来たかだね?Byみほ         流石に此れは、予想外だったわByナオミ


Panzer17『大会終わって、そして急展開です』

Side:みほ

 

 

 

大会の結果は準決勝敗退……だけど、ベスト4進出って言うのは決して恥じる物じゃないと思う。

 

って言うか、万年1回戦負けの弱小校がベスト4って言うのは快挙だよ。――お母さんも『よく頑張りましたね』って褒めてくれたからね……お婆ちゃんは、ちょっとアレだったけど。

 

 

で、準決勝が終わった週明けの学校なんだけど……此れは、1回戦突破した時以上だねナオミさん、つぼみさん、青子さん?

 

 

 

 

「幾ら何でも、少し騒ぎ過ぎじゃない此れは?」

 

 

「まぁ、悪い気分ではありませんけれど……」

 

 

「別に良いんじゃねぇか?

 

 てかむしろ誇るべきだろコイツは!!アタシ等の活躍が、学校全体を盛り上げたって事なんだからな!!」

 

 

 

 

まぁ、確かにそうと言えるかもしれないね。

 

だけど流石に『祝!明光大付属中戦車道チームベスト4』の横断幕って言うのはやり過ぎなんじゃないかって思うんだよね?……尤も、其れだけの快挙だったって言う事なのかもしれないけど。

 

 

でも、だったら胸を張って行かないとだね。

 

学校全体が凱旋ムードだから、それに水を注すような行為って言うのは、きっとよくないと思うから、此処は堂々と行くのが最もベストだよね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer17

 

『大会終わって、そして急展開です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳で、学校の門を潜ったんだけど…校門でばら撒かれた学校新聞の記事は、流石に持ち上げ過ぎじゃないかぁ?嘘は書いてないけど。

 

 

 

 

『全国中学校戦車道大会に於いて、我が明光大付属中学校の戦車道チームは、破竹の勢いで勝ち進みついには準決勝にまで駒を進めた。

 

 その準決勝の相手は、絶対王者である黒森峰だった。

 

 試合の結果だけを言うのならば黒森峰の勝利だったが、絶対王者を相手に回して一歩も引けを取らぬ戦いを見せた、我が校の戦車道チームの力は全国レベルと見て間違いないだろう。

 

 そして、それを成し遂げた戦車道チームの隊長である『西住みほ』の実力は疑う余地もない。彼女こそ、正に戦車道における『軍神』!!

 

 彼女ならば、きっとこれからも素晴らしい活躍を見せてくれるだろう。此れからの戦車道チームに目が離せない。』

 

 

 

 

幾ら何でも、此れは言い過ぎだよ~~!

 

否、皆の実力が全国でも通用するって言うのは、大会を通じて証明された事だから否定する気は更々ないけど、私の実力はマダマダだよ~。

 

準決勝の結果は、多くの人が『黒森峰は運が良かった』って言うかもしれないけど、私にはお姉ちゃん以上の『運を引き寄せる力』がなかった。

 

だから、あそこで負けちゃった訳だからね……もっともっと頑張らないと。

 

 

 

 

「ん~~~、そうでもねぇんじゃねぇかな?

 

 実際にみほの姉ちゃんと戦ってみたから言える事なんだけど、みほとまほ姉ちゃんの実力には殆ど差がねぇだろ?運を引き寄せる力もだ。

 

 ぶっちゃけて言うなら、総合能力は殆ど五分。今回は、偶々コイントスの結果がまほ姉ちゃんに傾いただけで、実力的には負けてねぇ!!」

 

 

「青子さんの言う通りよみほさん。

 

 あの倒木がなければ、突撃から急旋回してフラッグ車の背後に回り……」

 

 

「ティーガーⅠの唯一にして絶対の弱点である後部を、アタシが撃ち抜いてやったからね。」

 

 

 

 

青子さん、つぼみさん、ナオミさん……うん、ありがとう。確かにアレが無かったら、私達が勝っていたかもしれない可能性は否定できないかも知れないね――号外でも其れに触れてるし。

 

まぁ、そう言う事なら私の実力を評価してるって言う事にするけど、流石に『軍神』は言い過ぎじゃないかな?

 

 

 

 

「そーでもねーだろ?

 

 試しに、左の袖を風にはためかせながら、パンターのキューポラの上で仁王立ちしてるみほを想像してみ?――如何よ?」

 

 

「「凄く軍神です!!」」

 

 

 

 

え~~~!?其れで納得!?

 

って言うか青子さん、なんかすごく具体的過ぎるんですけど、その例え……何となく、そう遠くない未来に其れをやる様な気がするんだけど……

 

 

 

 

「あ~~、するんじゃね?多分確実に。」

 

 

「其れって予言ですか?」

 

 

「うんにゃ、只のヤマ勘。

 

 まぁ、其れは其れとして、其処に更に今度は、ティーガーⅠのキューポラの上で、腕を組んで相手を睨みつけてるまほ姉ちゃんを追加ぁ!!」

 

 

「「ダメだ、勝てる気がしない!!」」

 

 

「え、其処まで?」

 

 

確かに私とお姉ちゃんが組んだら、誰にも負けない自信はあるけど、其処までかなぁ?

 

相当に強い部隊になるって言う事は否定しないよ?お姉ちゃんは最強クラスだし、私だって並の戦車長以上だって言うの位は自覚してるから。

 

だけど、勝てる気がしないレベルではないと思うよ?

 

 

 

 

「あめぇなぁ、みほ。

 

 お前の実力がハンパねぇのは、アタシ等が一番よく知ってるが、まほ姉ちゃんだって半端ねえだろ?しかもみほが技ならまほ姉ちゃんは力。

 

 最高の技と、最高の力が合わさって、其れがかみ合ったら、其れは間違いなく無敵にして最強だ……多分誰も勝つ事は出来ねぇよ。」

 

 

「その意見には賛成ね。

 

 みほとまほさんが力を合わせたら、誰も勝てないんじゃないかと思うわよ?」

 

 

「と言うか、みほさんが敵に回った時点で、対峙したチームの勝率は半分以下にまで落ち込むわ!――まほさん率いる黒森峰を除いては!」

 

 

 

 

其処まで凄いかなぁ、私とお姉ちゃんて。

 

まぁ、確かにお姉ちゃんと同じチームだったら、誰にも負ける気がしないのは否定しないけどね?――もっと言うなら、私の乗る戦車が、アイスブルーのパンターのクルーだったら、確実に負ける気がしないよ。

 

 

 

 

「嬉しい事を言ってくれるじゃないみほ?……なら、其れに応えないのは嘘よね?」

 

 

「もっともっと、操縦技術に磨きをかけないといけないわね?其れこそ不意の倒木だって完璧に避けきれるように!――絶対に至ってやるわ。」

 

 

「なら、アタシはもっと装填速度を早くしねぇとだな?装填速度は速過ぎて悪いって事はねぇだろうからさ♪

 

 何よりも、アタシ等を纏め上げてんのは、最高の車長様だからなぁ?余程の事がない限りは負ける事はねぇって!つか、負けねーっての!」

 

 

 

 

言われてみればさもありなんですね。

 

確かに、余程の事がない限りは、私達が負けるという事は想像すら出来ませんから――この前の準決勝の時みたいな事が起こらない限りは。

 

 

 

 

「なら良いだろ?

 

 アタシ等は、最強の一角に斬り込んだんだ――なら、今度は其処から更に斬り込んでい行くだけの事、だろ?」

 

 

「だよね♪」

 

 

だから、負けて落ち込んでる暇なんて無い。次は負けないように、もっともっと頑張って強くならなくちゃだから――勿論、チーム皆で一緒にね。

 

とは言え、準決勝が終わったばかりで撃破された戦車の修理も終わってないから、今日の部活の時間は今大会全体の反省会と、試合のビデオを見ながらの戦術会議になると思うけどね。

 

それと、お母さんから言われた事も、その時に皆に伝えておかないとね。

 

 

其れじゃあ、今日も一日頑張りましょう。ぱんつぁー、ふぉー!

 

 

 

 

「「「おーーーーーー!」」」

 

 

 

 

という訳で、今日も今日とて学校生活始まりです。

 

……この新聞のせいか、教室に付くまでの間に色んな人に声を掛けられて、更に教室に着いたら着いたで大会の事で『凄かった』とか『マジ感動した』とか、挙げ句の果てには『サインください。西住隊長』とか……なんか、一気に『時の人』になっちゃったみたい。

 

取り敢えずは、青子さんが何とかしてくれたけど、ベスト4で此れだと、若しも黒森峰に勝って決勝進出してたらどうなってたんだろう?

 

 

 

 

……考えない方が良いね、うん。

 

 

 

 

因みに今日の午前中の授業、青子さんは珍しく睡眠学習じゃなかった。

 

理由を聞いたら『何かえらく注目されてるせいで、寝る気にならなかった』とか…意外な所で、戦車道の結果が良い効果を齎したみたいだね♪

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

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・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

 

で、放課後になって部活の時間。

 

大会を振り返っての反省会で多くでた意見は、思った通り『経験不足』だった――流石に、こればっかりはどうしようもない部分があるけど、確かに所々で、経験の浅さが出てたのも事実だからね。

 

 

皆の急成長もあって、其れが致命的な弱点になる事は無かったけど、経験の差が明暗を分ける事は少なくないからね。

 

まぁ、その経験の差は、来年までに色んな所と練習試合をする事で可成り解消されると思うし、お母さんが企画してる事が実現すれば経験不足を補えるだけの『練度』が得られるだろうからね。

 

 

続いての試合のビデオを見ながらの戦術会議では、本当に色んな意見が出て来た感じ。

 

改めて試合を見直したからなんだろうけど、試合中には気付かなったっ点が色々出て来たみたいで、1回戦のあそこではこうした方が効果的だったとか、黒森峰戦での『ドッカン作戦』にはティーガーに護衛をつけた方が良かったとか色々ね。

 

それで、それらを纏めてメモにして、新たな戦術の参考資料が完成。――此れを生かして、来年こそは優勝しないと嘘だよ。

 

 

さて、其れじゃあ一段落した事で皆さんに伝えておかなきゃならない事があるんですけど良いですか?

 

 

 

 

「良いわよ?大切な事なんでしょう?」

 

 

「はい。

 

 まず今週末に行われる大会の決勝戦は、全員で観戦しようと思うので、各自公欠届を出しておいてください。お姉ちゃんが、唯一ライバルと認めた安斎さんが率いる愛和学院と、黒森峰の決勝戦は見るだけでも得る物があると思いますから。

 

 それと、大会が終わった翌日の日曜日に、全員で私の実家に来てください――お母さんが、何か話があるとの事だったので。」

 

 

「決勝戦の観戦は兎も角として、西住流の師範が直々に私達を呼び出すなんて……何て言うか、物凄い事なんじゃないかって思うわ此れは。」

 

 

 

 

固くならなくても大丈夫ですよ近坂部長。

 

お母さんは、単純に私が明光大で得た仲間と会ってみたいだけですから。――尤も、他にも目的はあるんですけれどね。

 

 

それじゃあ、今度の土日はそう言う事で良いですね?

 

 

 

 

「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」

 

 

「って言うか、隊長の家って楽しみ!」

 

 

「隊長のお母さんて、西住流の偉い人なんだよね?……ヤバイ、菓子折りとか用意した方が良いのかな?」

 

 

 

 

尤も、私の家に来るって言う事で軽い衝撃が走ったみたいだけど。

 

取り敢えず、あんまり気にしないで気軽に来てくれると嬉しいかな?お母さんは、切れ長の目のせいでちょっと目に見ると怖い人に見えるけど、実は凄く優しい上に、指導者としても最高レベルの人だから。

 

 

……尤も、お母さんが本気で睨み付けたら、大概の人は震えあがって、縮こまって、何も言えなくなるかもしれないけどね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:凛

 

 

 

決勝戦の結果だけを言うなら、黒森峰が勝ったけど、愛和学院は私達以上に食い下がったわね。

 

勝負自体は、西住まほのティーガーⅠと、安斎千代美のIS-2の一騎打ちの果てに、ほぼ同時に相手に白旗を上げさせて、ビデオ判定の結果本当に僅かの差で、愛和学院の白旗が先に上がって居たという事で黒森峰の勝ち。

 

もしも、後0.5秒IS-2の砲撃が早かったら結果は違ってただろうから、西住まほがライバル認定した安斎千代美って言うのは本当にトンでもない戦車乗りだって言うのが良く分かった――来年は当たるかも知れないから、確りと対策をしておかないとね。

 

 

 

んで、その翌日。

 

明光大の戦車道チーム全員で西住の実家に来た訳だけど……

 

 

「でか……」

 

 

「私の家の5倍は軽くある……」

 

 

「流石は西住流の本家。半端ねぇわこれ。」

 

 

 

 

想像以上の豪邸だったわ此れ!!

 

門から母屋までが、純日本建築の大豪邸!!庭には、鹿威し付きの小池があるし、建物の端から端までが軽く100mはあるでしょ此れ!?

 

加えて庭の方だって広そうだし……

 

 

 

 

「あ、庭の8割は戦車道の訓練場になってるんですよ。

 

 大体、明光大の練習場の倍はあるんじゃないかと思いますよ?西住流の門下生は、其処で色々訓練するんです――お母さんの指導下で。」

 

 

「家に戦車の訓練場って……流石は天下の西住流、設備からして違うわ。」

 

 

「戦車が全てですからね西住は。

 

 さてと、こっちにどうぞ。大広間でお母さんが待っていますから。」

 

 

 

 

そ、そうね。

 

其れじゃあ改めて、お邪魔します――

 

 

 

って、此れは如何言う事?

 

大広間の扉を開けたら、其処には黒森峰の生徒が雁首揃えてたって……人数は私達と同じくらいだけど、如何して黒森峰が此処に居るの?

 

 

 

 

「あれ、早かったねお姉ちゃん?」

 

 

「丁度寄港していたからな。地元だから早いのは当然だろ?

 

 寧ろみほの方こそ思ったよりも早かったんじゃないか?迎えに行って戻って来るんだから、もう少し時間がかかると思っていた――如何に菊代さんが操縦するバートルであったとしてもな。」

 

 

「集合場所と集合時間は決めてあったからね。」

 

 

「成程そう言う事か、納得した。」

 

 

 

 

でも、西住は驚いてない所を見ると、今日此処に黒森峰の面々が居るって事は知ってた訳よね?

 

ん~~~、一体全体何が起こるのか予想できないわね?……つーか、なんか睨み付けて来てるわね黒森峰の奴等の一部が――多分、準決勝で苦戦させらたからなんだろうけど――やんのかコラ!!

 

 

 

――ギン!!

 

 

 

「「「「!!!!」」」」

 

 

 

 

はん、私にメンチ切りで勝とうなんて100万年早いのよ。

 

西住まほ以外で、私の眼力に耐えられるのは、大会で遊撃隊を務めてた車輛の車長位でしょうね――と、此処で西住の母上様の御登場ね?

 

さて、何が始まるのやら。

 

 

 

 

「本日は忙しい中で良く集まってくれました。先ずは黒森峰と明光大の双方に、今日此処に来てくれた事に対する感謝を申し上げます。

 

 さて、既に知っている方もいるでしょうが、私は西住しほ。西住流の現師範であり、黒森峰と明光大の隊長を務めているまほとみほの母です。

 

 先ずは、黒森峰の皆さん、大会優勝おめでとうございます。王者の名に恥じない堂々とした戦いぶり、実に見事でした。」

 

 

「ありがとうございます。その賛辞、謹んでお受けします。」

 

 

 

 

で、自己紹介から、黒森峰への賛辞か。

 

それに対して、頭を下げる西住まほの姿が様になってる事……こう言った様式的な事も徹底的に叩き込まれてるんでしょうね。

 

 

 

 

「そして明光大付属の皆さんも、ベスト4おめでとうございます。

 

 正直な事を言うと1・2回戦を破竹の勢いで勝ち進んだとはいえ、準決勝で黒森峰を相手にあそこまで食い下がるとは思っていませんでした。

 

 或は、あの倒木がなければ勝っていたのは貴女達だったかもしれませんね。」

 

 

 

 

って、予想外に、こっちの事も褒めて来た!?

 

あのその……其れは嬉しい評価ですけど、全ては西住が――みほが居たからです。もしも彼女が居なかったら、私達は準決勝に駒を進める事は出来なかったと思うんです。

 

いえ、彼女だけではなく、パンターブルーの存在がなかったら、私達は今年も1回戦負けだったかもしれません。其れだけ、パンターブルーの存在は明光大にとって大きな物だったんです。

 

 

 

 

「そんな事ないですよ?チーム皆が一丸となったからこそ、あそこまでやれたんです。

 

 誰一人欠けた所で、こうはならなかったと思いますから――このベスト4は、皆で掴んだ結果なんですよ近坂部長。」

 

 

「みほの言う通りだな。この結果はみほ1人で掴んだものではないと、私も思っている。

 

 特に近坂凛だったか?君の戦車乗りとしての能力は相当に高い……現時点では、我が校の逸見よりも高いであろう事は間違いないと思う。

 

 正直な事言うと、あの準決勝の時、みほの護衛を務めていた君と本気でやり合いたくなってしまったからね?……新たなライバルを見つけた気分だったよ。」

 

 

「マジか!?」

 

 

知らない間に、彼女にライバル認定されてたとはね……みほとの日々の訓練で地力が思った以上に底上げされていたのかも知れないわね。

 

だけど、アンタにライバル認定されたって言うのは光栄だわ――今度戦う時は負けないからね?

 

 

 

 

「あぁ、楽しみにしているよ近坂凛。」

 

 

「凛で良いわよ、西住まほ。」

 

 

「なら、私もまほで良い。」

 

 

 

 

予想外にライバルゲットか……まぁ、悪い気分じゃないわね。

 

さて、黒森峰と明光大への賛辞だけが目的じゃないとは思うんだけど、果てさてここから何が起こるのやら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

 

明光大付属と黒森峰への賛辞は終わったから、本番は此処からだね?……お姉ちゃんと近坂部長が、良い感じにライバルになったのは嬉しい誤算だったけど♪

 

 

 

 

「さて、黒森峰と明光大、準決勝で直接ぶつかり合った訳だけれど……双方の隊長は、夫々に思った事があったんじゃないかしら?

 

 其れを言って貰って良いかしら?……先ずは、まほから。」

 

 

「そうですね……地力と練度、そして戦車の質では明らかに黒森峰の方が上回っていたのは間違いないと思いますが、其れでありながらあれ程の苦戦を強いられたのは、『想定外』の事態に対しての対処能力が低かったからではないかと。

 

 序盤の電撃戦からの上空からの砲弾攻撃、更にはみほ達が合流した後でのフラッグ車同士の戦い……そのいずれの場面でも、黒森峰の隊員は、自らの考えで動く事が出来ていなかったのではないかと思います。

 

 遊撃隊を務めた逸見と赤星は兎も角として、隊長からの明確な指示が無くなった時の黒森峰は、最強の筈なのに脆い……そう感じました。」

 

 

「ふむ、成程。

 

 ではみほ、貴女は如何ですか?」

 

 

「うん、明光大は皆柔軟にどんな局面にも対応できるから、作戦の大筋を伝えておけば、後はその場その場で各自が考えて行動できるんだけど、如何せん経験差と練度の差は、他校と比較するまでもないと思う。

 

 勿論、それでも皆頑張ってくれたけど、追う立場に加えて追われる立場になった今、もっと質を上げないと来年以降を勝つのは難しいと思う。」

 

 

で、もう1つの目的が、明光大と黒森峰の弱点を、隊長の視点から浮き彫りにする事。

 

其れを浮き彫りにする事で、其れを如何にかして次のステップに進める訳だからね?……そして、お母さんが考えたのはそれだけじゃないよ!

 

 

 

 

「双方、己の弱点は良く分かっている様ですね。

 

 今大会の準決勝を見て、黒森峰は勿論ですが、明光大も更に強くなるだろうという事を確信しています……なので、学校が長期休みに入った後の話になりますが、夏休み中に、黒森峰と明光大の合同合宿をこの西住流道場で行おうと思います。」

 

 

 

「「「「「「「「「「「……はい?」」」」」」」」」」」

 

 

「「「「「「「「「「「え~~~~!?」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

流石に驚くだろうけど、お母さんは伊達や酔狂でこんな事は言わない。

 

この合同合宿で、明光大と黒森峰が更なるステップアップをするって確信してるから、こんな事を言った訳だからね?……私とお姉ちゃんも、そう思ってるから、お母さんの提案を受け入れた訳だしね。

 

 

 

 

「黒森峰との合同合宿か……上等だぁ!!盗めるもん、全部盗んでやんぜ!!」

 

 

「命中精度を上げるには、最高の合宿になりそうだわ。」

 

 

「操縦技術を上げる面でも、同じ事が言えるわね。」

 

 

 

 

で、皆もやる気は満々みたいだから、良かった。――其れに……

 

 

 

 

――バチィ!!

 

 

 

 

逸見さんが、獰猛な笑みを浮かべて視線を向けて来てくれたから、それだけでも、楽しい合宿になる事は間違いないんじゃないかって思うよ。

 

って言うか、何となく逸見さんは、私の生涯のライバルにして友になりそうな気がする。

 

 

 

何れにしても、この合宿で得る物は、きっと大きいよね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 


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